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幸せは幸せを呼ぶ連鎖反応に対する準備はなんだ 5
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四人でバールを片手に空家巡りをしていた。通り過ぎの親子連れのびびった視線はやめてほしい。
宮下家のおじさんおばさんは家に帰ってもらい、俺の案内でお勧め物件を物色していた。
広い敷地面積、くたびれたとはいえ元は立派な古風なたたずまいの邸宅。バールで雑草をなぎ倒しながら辿り着いた玄関の鍵を開けて入れば……
「く、くさっ!何この臭い?!」
驚く香奈に
「まぁ、不法占拠している皆様の落し物だろうね」
「いやあああ!窓開けよう!」
慌てて窓を開けて回る香奈の反応の新鮮さに思わず笑ってしまう俺達はいつの間にかかなり上級者になっていたようだ。嬉しくない。
パタパタと走り回って換気をしながらのルームツアーが始まった。
作業場に近い方の家だが街中から外れているだけあってかなり広い間取りとなっている。
広い玄関、すぐ横には仏間に客間田舎ならではの田の字型の四部屋。奥には当たり前のように床の間と仏間がある。勿論庭側には広めの縁側が走っている。廊下を挟んでキッチンとダイニング、トイレ、風呂があるいわゆる水場だ。構造的には元々部屋だったようだけど改造してトイレと風呂、洗面場をやけに広くとってあった。だけど部屋の片隅に物干しざおがありここで家の中で乾かしてたのかと納得の面積だった。
二階に続く階段もこちら側にあり、二階も広々三部屋プラス納戸があり、更には大きな屋根付き駐車場まである。別名倉庫だけど車が余裕で三台は入るし、旧型の農具も色々置いてあった。敷地内には小さい畑もあり中々スローライフをするには快適物件で何より街を見下ろす夜景に反対側は穏やかな牧歌的な風景。いや、ただの大草原だけど。
「綾人が持ってる家はどれも柱が立派だな」
「欄間の彫刻もすごいし、障子の桟もすごくこだわってる」
「キッチンとトイレ、風呂場は少し古いけど」
中々の好印象にジイちゃん達を褒め称えたくなる孫バカだ。
ざっと一通り見て、しっかり戸締りをした所で
「次行ってみよう!」
香奈の何かのスイッチが入ったらしく車に乗って街中の家を案内した。
今度は両隣がすぐと言う街中のよくある家だった。
車二台停めたらいっぱいの庭と昔ながらの薄暗い室内。微妙にリフォームしてあるけど昭和感漂うフェルトのようなカーペットの敷かれた廊下、手狭なキッチン。風呂場には脱衣所もなく、鬱々とした坪庭が唯一の採光の場となっていた。
「風情は悪くないんだけどね」
「これから子供を育てるには便利なんだけど、子供が育つ環境的には難ありなんだよな」
岡野家の凛ちゃんののびのびとした子育て環境を見ると少し可哀想にも見える。勿論周囲にも子育てした家があるので一概には否定できないが
「お風呂場の脱衣所がないって言うのはないよね」
「そういや燈火のお爺さんの家もお風呂場の脱衣所無くって従弟の女の子達が来ないって話しあったな」
「あったねー」
「じゃあなし!」
言えば何故か俺達を睨む香奈。
まあ、そうだろうな。香奈自身もそうだけど女の子が産まれたら男だらけの圭斗の職場で万が一があってはいけないのだからと考えた所で重要な事を思い出す。
「香奈、宮下、今から実桜さんの所に行くぞ」
今はちょうどお昼の納品前の詰め作業をしている時間。
俺は問答無用で圭斗も含めて車に押し込んで約五分の移動。
狭い街ってコンパクトでいいね。
あっという間に目的地に着いたよ。
すれ違う自転車が怖くて側溝に蓋が閉まってないのドキドキだけど慣れた道のりを経て辿り着けば倉庫では賑やかな笑い声が聞こえてきた。
その声を頼りに
「こんにちはー。実桜さん今いいですかー?」
朗らかな声でにこにことまるでいい事があったんだと言う空気を隠さずに声を掛ければ香奈と圭斗が固まったけど、宮下は俺をうさん臭そうに見てるだけだった。
「綾人さんこんにちは。
香奈ちゃんお帰りなさい。夜には挨拶に伺う予定だったのよ」
「実桜さんもお久しぶりです。ええと、初めまして篠田香奈です」
この街の古い人間に挨拶するのは勇気がいると言うような香奈の顔だけど俺は香奈と宮下を引き連れて
「実は今度この二人の結婚が決まったんですよ」
親友の幸せな報告が嬉しいと言う空気をだだ漏れにしながら伝えればそこは年の功。俺に負けないくらいの喜び満面な顔をして
「あらおめでとう!」
「翔ちゃんが一番乗りね!」
「式とかは何時になるの?」
「香奈ちゃんはこちらに帰って来るの?」
何て早速の情報収集。
俺は香奈の背中を押して
「まだ決まっただけで式の日取りとか何も決まってないけど、宮下のおばさんとおじさんにご挨拶した所です。
仕事の引継ぎがあるので年内は向こうですが当面は兄の所での生活になります」
よろしくお願いしますと頭を下げる。
皆さん不安そうな顔を隠せなく、それは圭斗も同じ。それだけ圭斗達の生みの親がした事は簡単には許せない様子に俺は思わず舌打ちをしてしまう。
ここまでこじれている事を実際まだ目の当たりにした事のない実桜さんは戸惑ってしまっている目の前で
「ジイちゃんの足の原因は篠田の家に問題がある。
ただ代わりに篠田を家から追放して山も貰った。そこで縁は切れたけど、あの家から出た圭斗は俺の命の恩人だから俺は圭斗を守る。一緒に仕事するのが嫌なら辞めてもらっても構わないから」
一緒に仕事をするようになってもどことなく圭斗への態度の悪さを止めようとしなかった奥様方。一応俺の親友だからと見える所では何てことなかったけど香奈に対する視線が酷過ぎた。明らかに格下を見る態度には俺に対してよくしてくれた顔を知っていただけにこれを今まで放置していたのかと俺なりにショックを受ける中
「仲良くしてほしいから一番に連れてきたのに」
本当なら香奈と圭斗が一番傷つくはずなのに俺の方が強く傷ついた顔で逃げるようにこの場を去った。
みんなを置いて一人車で圭斗の家に帰る酷さ。
それほどショックを受けている事を印象付けるように去って……
「綾人、ここに居たのか」
俺は三日月でココアを飲んでいた。
俺の好きな生クリームが乗っかったココアにまったりとしながら
「待ってたよー。燈火、三人にも注文とって」
時間帯からかがらんとした店内の中
「知ってるけど改めて紹介。
圭斗の妹の香奈で、今度宮下と結婚するんだ。で見た事あると思うけどこの店のオーナーの燈火だ。いつも圭斗とつるんでた奴」
「うん。覚えてるよ。婚約おめでとう」
「ありがとうございます」
言いながら俺同様にカウンターに座った。
「で、何があったの。さっきから綾人の奴こっちがどんびきする位何かご機嫌なんだけど……」
と言った所で圭斗と宮下に物凄い顔で睨まれてしまった。
「あまりいい話じゃないけど、ポーズって大切だよねって話しがあったんだよ。
まあ、知っての通り香奈が帰って来た事をよろしく思わない連中がいる。だけど香奈に落ち度はない。いつまでもこの状況でいるわけにもいかない。いちいち香奈と圭斗が小さくなる理由はもうどこにもない」
とっくに世代も替わったのだ。
カタも付けたしお互い代償も支払った。
「当事者が蟠るのならともかく周りが何十年前の事に、当時産まれても居なかった俺達にまで押し付けるなって話しだ」
黙って出されたコーヒーに口をつける香奈の表情が暗いのが心配だが、そこは気使いの宮下がいる。何か話しかければ少し疲れたような顔でも笑顔を浮かべる香奈にさすがに東京からの移動と宮下家との顔合わせもあって連れまわし過ぎたと反省すれば
「さて、飲んだから帰るわ。香奈も来たばっかりなのにゆっくりさせてやれなくって悪かったな。明日は残りの家さがししよう。冬の間にリフォームの計画をしっかりできるようにな。
もっともジイちゃんがのコレクションにこだわる必要もないから、気にいった家があったり土地もあるから好きな家を宮下に建てさせても良いぞ。こいつその程度には稼いでるから」
気にするなと言う様に笑う。
建具屋としての収入は生活をするには程よい金額だけど、こいつには動画収入がある。充分家を建ててもお釣りの来る程度には溜めているからあの婆さん達の言葉を気にするなと言うように言えばはにかむような笑顔に
「嘘、お前そんなにも稼いでるのかよ」
なぜか燈火が食いついた。
えへへと何故か燈火に向かって照れ笑う宮下も不気味だ。そこは香奈に向けれよと思いながらも
「まぁ、燈火はこの家があるから問題ないしな」
「エスプレッソマシーンが欲しいです」
「自力で何とかしろ」
「綾人酷い!やっぱり魔王だ!」
「魔王言うな!」
これには香奈もおかしそうに声を立てて笑う。
その間に俺は会計を済ませて
「じゃあ、圭斗。折角休みの所だが明日また来るから」
「おう。ウコ達の為にも早く帰ってやれ」
「小屋の中に入れっぱなしだからストレスたまってるだろうな……」
やれやれと肩を竦めながら店を出ればすっかり冬の冷たさを運ぶ風に身を震わせた。
宮下家のおじさんおばさんは家に帰ってもらい、俺の案内でお勧め物件を物色していた。
広い敷地面積、くたびれたとはいえ元は立派な古風なたたずまいの邸宅。バールで雑草をなぎ倒しながら辿り着いた玄関の鍵を開けて入れば……
「く、くさっ!何この臭い?!」
驚く香奈に
「まぁ、不法占拠している皆様の落し物だろうね」
「いやあああ!窓開けよう!」
慌てて窓を開けて回る香奈の反応の新鮮さに思わず笑ってしまう俺達はいつの間にかかなり上級者になっていたようだ。嬉しくない。
パタパタと走り回って換気をしながらのルームツアーが始まった。
作業場に近い方の家だが街中から外れているだけあってかなり広い間取りとなっている。
広い玄関、すぐ横には仏間に客間田舎ならではの田の字型の四部屋。奥には当たり前のように床の間と仏間がある。勿論庭側には広めの縁側が走っている。廊下を挟んでキッチンとダイニング、トイレ、風呂があるいわゆる水場だ。構造的には元々部屋だったようだけど改造してトイレと風呂、洗面場をやけに広くとってあった。だけど部屋の片隅に物干しざおがありここで家の中で乾かしてたのかと納得の面積だった。
二階に続く階段もこちら側にあり、二階も広々三部屋プラス納戸があり、更には大きな屋根付き駐車場まである。別名倉庫だけど車が余裕で三台は入るし、旧型の農具も色々置いてあった。敷地内には小さい畑もあり中々スローライフをするには快適物件で何より街を見下ろす夜景に反対側は穏やかな牧歌的な風景。いや、ただの大草原だけど。
「綾人が持ってる家はどれも柱が立派だな」
「欄間の彫刻もすごいし、障子の桟もすごくこだわってる」
「キッチンとトイレ、風呂場は少し古いけど」
中々の好印象にジイちゃん達を褒め称えたくなる孫バカだ。
ざっと一通り見て、しっかり戸締りをした所で
「次行ってみよう!」
香奈の何かのスイッチが入ったらしく車に乗って街中の家を案内した。
今度は両隣がすぐと言う街中のよくある家だった。
車二台停めたらいっぱいの庭と昔ながらの薄暗い室内。微妙にリフォームしてあるけど昭和感漂うフェルトのようなカーペットの敷かれた廊下、手狭なキッチン。風呂場には脱衣所もなく、鬱々とした坪庭が唯一の採光の場となっていた。
「風情は悪くないんだけどね」
「これから子供を育てるには便利なんだけど、子供が育つ環境的には難ありなんだよな」
岡野家の凛ちゃんののびのびとした子育て環境を見ると少し可哀想にも見える。勿論周囲にも子育てした家があるので一概には否定できないが
「お風呂場の脱衣所がないって言うのはないよね」
「そういや燈火のお爺さんの家もお風呂場の脱衣所無くって従弟の女の子達が来ないって話しあったな」
「あったねー」
「じゃあなし!」
言えば何故か俺達を睨む香奈。
まあ、そうだろうな。香奈自身もそうだけど女の子が産まれたら男だらけの圭斗の職場で万が一があってはいけないのだからと考えた所で重要な事を思い出す。
「香奈、宮下、今から実桜さんの所に行くぞ」
今はちょうどお昼の納品前の詰め作業をしている時間。
俺は問答無用で圭斗も含めて車に押し込んで約五分の移動。
狭い街ってコンパクトでいいね。
あっという間に目的地に着いたよ。
すれ違う自転車が怖くて側溝に蓋が閉まってないのドキドキだけど慣れた道のりを経て辿り着けば倉庫では賑やかな笑い声が聞こえてきた。
その声を頼りに
「こんにちはー。実桜さん今いいですかー?」
朗らかな声でにこにことまるでいい事があったんだと言う空気を隠さずに声を掛ければ香奈と圭斗が固まったけど、宮下は俺をうさん臭そうに見てるだけだった。
「綾人さんこんにちは。
香奈ちゃんお帰りなさい。夜には挨拶に伺う予定だったのよ」
「実桜さんもお久しぶりです。ええと、初めまして篠田香奈です」
この街の古い人間に挨拶するのは勇気がいると言うような香奈の顔だけど俺は香奈と宮下を引き連れて
「実は今度この二人の結婚が決まったんですよ」
親友の幸せな報告が嬉しいと言う空気をだだ漏れにしながら伝えればそこは年の功。俺に負けないくらいの喜び満面な顔をして
「あらおめでとう!」
「翔ちゃんが一番乗りね!」
「式とかは何時になるの?」
「香奈ちゃんはこちらに帰って来るの?」
何て早速の情報収集。
俺は香奈の背中を押して
「まだ決まっただけで式の日取りとか何も決まってないけど、宮下のおばさんとおじさんにご挨拶した所です。
仕事の引継ぎがあるので年内は向こうですが当面は兄の所での生活になります」
よろしくお願いしますと頭を下げる。
皆さん不安そうな顔を隠せなく、それは圭斗も同じ。それだけ圭斗達の生みの親がした事は簡単には許せない様子に俺は思わず舌打ちをしてしまう。
ここまでこじれている事を実際まだ目の当たりにした事のない実桜さんは戸惑ってしまっている目の前で
「ジイちゃんの足の原因は篠田の家に問題がある。
ただ代わりに篠田を家から追放して山も貰った。そこで縁は切れたけど、あの家から出た圭斗は俺の命の恩人だから俺は圭斗を守る。一緒に仕事するのが嫌なら辞めてもらっても構わないから」
一緒に仕事をするようになってもどことなく圭斗への態度の悪さを止めようとしなかった奥様方。一応俺の親友だからと見える所では何てことなかったけど香奈に対する視線が酷過ぎた。明らかに格下を見る態度には俺に対してよくしてくれた顔を知っていただけにこれを今まで放置していたのかと俺なりにショックを受ける中
「仲良くしてほしいから一番に連れてきたのに」
本当なら香奈と圭斗が一番傷つくはずなのに俺の方が強く傷ついた顔で逃げるようにこの場を去った。
みんなを置いて一人車で圭斗の家に帰る酷さ。
それほどショックを受けている事を印象付けるように去って……
「綾人、ここに居たのか」
俺は三日月でココアを飲んでいた。
俺の好きな生クリームが乗っかったココアにまったりとしながら
「待ってたよー。燈火、三人にも注文とって」
時間帯からかがらんとした店内の中
「知ってるけど改めて紹介。
圭斗の妹の香奈で、今度宮下と結婚するんだ。で見た事あると思うけどこの店のオーナーの燈火だ。いつも圭斗とつるんでた奴」
「うん。覚えてるよ。婚約おめでとう」
「ありがとうございます」
言いながら俺同様にカウンターに座った。
「で、何があったの。さっきから綾人の奴こっちがどんびきする位何かご機嫌なんだけど……」
と言った所で圭斗と宮下に物凄い顔で睨まれてしまった。
「あまりいい話じゃないけど、ポーズって大切だよねって話しがあったんだよ。
まあ、知っての通り香奈が帰って来た事をよろしく思わない連中がいる。だけど香奈に落ち度はない。いつまでもこの状況でいるわけにもいかない。いちいち香奈と圭斗が小さくなる理由はもうどこにもない」
とっくに世代も替わったのだ。
カタも付けたしお互い代償も支払った。
「当事者が蟠るのならともかく周りが何十年前の事に、当時産まれても居なかった俺達にまで押し付けるなって話しだ」
黙って出されたコーヒーに口をつける香奈の表情が暗いのが心配だが、そこは気使いの宮下がいる。何か話しかければ少し疲れたような顔でも笑顔を浮かべる香奈にさすがに東京からの移動と宮下家との顔合わせもあって連れまわし過ぎたと反省すれば
「さて、飲んだから帰るわ。香奈も来たばっかりなのにゆっくりさせてやれなくって悪かったな。明日は残りの家さがししよう。冬の間にリフォームの計画をしっかりできるようにな。
もっともジイちゃんがのコレクションにこだわる必要もないから、気にいった家があったり土地もあるから好きな家を宮下に建てさせても良いぞ。こいつその程度には稼いでるから」
気にするなと言う様に笑う。
建具屋としての収入は生活をするには程よい金額だけど、こいつには動画収入がある。充分家を建ててもお釣りの来る程度には溜めているからあの婆さん達の言葉を気にするなと言うように言えばはにかむような笑顔に
「嘘、お前そんなにも稼いでるのかよ」
なぜか燈火が食いついた。
えへへと何故か燈火に向かって照れ笑う宮下も不気味だ。そこは香奈に向けれよと思いながらも
「まぁ、燈火はこの家があるから問題ないしな」
「エスプレッソマシーンが欲しいです」
「自力で何とかしろ」
「綾人酷い!やっぱり魔王だ!」
「魔王言うな!」
これには香奈もおかしそうに声を立てて笑う。
その間に俺は会計を済ませて
「じゃあ、圭斗。折角休みの所だが明日また来るから」
「おう。ウコ達の為にも早く帰ってやれ」
「小屋の中に入れっぱなしだからストレスたまってるだろうな……」
やれやれと肩を竦めながら店を出ればすっかり冬の冷たさを運ぶ風に身を震わせた。
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