851 / 976
無垢なる綿に包まれて 2
しおりを挟む
話している間に一杯目の猪汁を完食した先生はお酒に手を伸ばしながら
『日本文化だけどアイヴィーはこっちに来てやりたい事は何かないのか?そろそろ綾人に身体を動かせたいから行きたい所があれば連れてってもらえ』
何て、たどたどしいけど先生が時間をかけながら言葉を投げるので
『はい。綾人にお願いしてあります。
イイダのご実家の京都に連れてってもらう事になってます。本格的な和食を食べたいって言うのもありますが日本文化の坩堝と聞いたので是非とも古都を堪能したいと思ってます』
『なるほど……』
「で、シェフは知ってるのか?」
「先生、俺に気を使って日本語に直さなくても良いですよ?」
「やっぱり英語は単語がすぐ出てこないのよ。
門前の小僧じゃないけど陸斗達の横で英語の勉強を見聞きしてたけど先生じゃここが限度だったわ」
若いって羨ましいとふてくされるけどそこで勉強し直そうと言う根性こそ立派じゃんなんて声を出して誉めれば調子に乗るから言わないけど。こっそりと数学も理科も勉強し直してる事を知っているので笑みを浮かべるだけにしておく。
「飯田さんのお母さんがご飯を食べにいらっしゃいって呼んでくれたので顔を見せに行ってきます。多分当日飯田さんが知る事になると思いますので」
「何か前にもあったな」
「ボジョレーも終わったのでクリスマスまでの束の間の休みを堪能する母親の心情は俺には分かりませんので」
「あー、うん。先生にもわからないわぁ。特に飯田家なんて、これ以上後だと忘年会で賑やかそうだからな」
一見様お断りのお店の繁忙期何てどれぐらいの収入になるか考えただけでぞっとしてしまうも、その直前にお呼ばれしてくれる事に感謝は尽きない。
イギリスから帰って初めての訪問なのでお土産は何にしようかなと考えてしまう。
ちなみに宮下に栗や松茸を運んでもらってる時にイギリス土産も運んでもらったので地味にお土産が難しいと悩んでしまえばそこは長沢さんの奥様が京都でもそん色のない和傘を用意してくれると言ってくれた。勿論これはアイヴィーのお土産も兼ねての物。本当に感謝しますと頭を下げたのは今朝の話し。大矢さんから外国から女の子のお客様が来てると言う事で気合を入れてくれたとかなんとか。皆さん浮かれないでよと言いたかったけど、心配かけた後なので仕方なく遊ばれる事にしておく。
それでほっとしてくれるならと願って。
日曜日の夜から月曜の朝にかけて吹雪くと言う天気予報に俺達は一足先に麓の家へと降りて月曜日に京都へと向かう事にした。俺の家付近ではしっかりとした雪の世界だったけど少し降りれば紅葉真っ盛りの世界。紅葉と雪のコラボレーションを美しいとは思う物のそこに住む身となるとここまで来たら確り雪よ降ってくれと空に向かって祈ってしまう。その直後後悔するのは毎年の事なので割愛するが、案外冬の何もない山の家も嫌いじゃないと次第に暑くなっていく世の中に休憩ごとに上着を脱いでいくのは山の上で着こみ過ぎただけ。
やっぱりうちって断熱材が部分的にしか入ってないから寒いんだよね。
『ねえ、アヤト。世の中ってこんなに温かかったんだね』
『むしろ暑い位。風邪ひかないように注意しろよ』
『どっちかって言うと綾人がね』
すっかり山の家で冬モードになって食欲減退から弱っていた俺の方が暑さにばてている様子の俺とフランスとは言えしっかりと庭仕事や畑仕事、そして烏骨鶏の世話を手伝う様になって健康を手に入れたアイヴィーではどちらが元気かなんて比べるまでもなく、ゆっくりとサービスエリアで休憩を取りながら飯田家に辿り着く頃にはすっかりお昼も過ぎていて
「体調が悪いのなら無理して車で来る事なかっただろう。駅まで庵に迎えに行かせたのに」
「ご心配おかけしまして。アイヴィーにいろいろ見せたかったので張り切ってサービスエリアめぐりをしてきました」
飯田さんのお父さんは呆れたと言う顔をしたけど直ぐにいつもの少し難しい顔をして
「紗凪、綾人を少し休ませてやる間こちらのお嬢さんの面倒を頼む」
「まあまあ、可愛らしいお嬢さんを連れてきたのね。
うちの薫も青い目のお嬢さんを連れてくるのを楽しみにしてたけど、まさか綾人さんの方が先に緑の目のお嬢さんを紹介してくれるなんてお母さん嬉しいわ」
「いえ、友人ですので」
「ふふふ、照れちゃって。恥ずかしがらなくてもいいのよ」
「恥ずかしくもなく友人ですので……」
『アイヴィーちゃん、折角京都に来たのだから着物に着替えて見ない?
若い頃の着物がたくさんあるからきてみましょう!』
まさかの英語の堪能さに驚く合間にわけのわからない顔のままアイヴィーが拉致られてしまった。
ポカンとした顔で見送ってしまえばすぐ横でお父さんがコホンと咳払い。
「何着か着せ替え人形楽しんだら仕事の時間だから済まないがそれまで休んで待っててくれ」
遠回しにあれはもう何を言っても無駄だから諦めろと言う言葉に考えるのもしんどかったので
「好意に甘えさせてもらって少し横にならさせてもらいます」
「すまない。客間は多分足の踏み場もないだろうから薫の部屋を使ってくれ」
そう言って勝手知ったる他人の家で真っ直ぐに飯田さんの部屋へと向かって直ぐにいつでも使える準備をしてあるベットへと潜り込んで瞼を閉じた。
『日本文化だけどアイヴィーはこっちに来てやりたい事は何かないのか?そろそろ綾人に身体を動かせたいから行きたい所があれば連れてってもらえ』
何て、たどたどしいけど先生が時間をかけながら言葉を投げるので
『はい。綾人にお願いしてあります。
イイダのご実家の京都に連れてってもらう事になってます。本格的な和食を食べたいって言うのもありますが日本文化の坩堝と聞いたので是非とも古都を堪能したいと思ってます』
『なるほど……』
「で、シェフは知ってるのか?」
「先生、俺に気を使って日本語に直さなくても良いですよ?」
「やっぱり英語は単語がすぐ出てこないのよ。
門前の小僧じゃないけど陸斗達の横で英語の勉強を見聞きしてたけど先生じゃここが限度だったわ」
若いって羨ましいとふてくされるけどそこで勉強し直そうと言う根性こそ立派じゃんなんて声を出して誉めれば調子に乗るから言わないけど。こっそりと数学も理科も勉強し直してる事を知っているので笑みを浮かべるだけにしておく。
「飯田さんのお母さんがご飯を食べにいらっしゃいって呼んでくれたので顔を見せに行ってきます。多分当日飯田さんが知る事になると思いますので」
「何か前にもあったな」
「ボジョレーも終わったのでクリスマスまでの束の間の休みを堪能する母親の心情は俺には分かりませんので」
「あー、うん。先生にもわからないわぁ。特に飯田家なんて、これ以上後だと忘年会で賑やかそうだからな」
一見様お断りのお店の繁忙期何てどれぐらいの収入になるか考えただけでぞっとしてしまうも、その直前にお呼ばれしてくれる事に感謝は尽きない。
イギリスから帰って初めての訪問なのでお土産は何にしようかなと考えてしまう。
ちなみに宮下に栗や松茸を運んでもらってる時にイギリス土産も運んでもらったので地味にお土産が難しいと悩んでしまえばそこは長沢さんの奥様が京都でもそん色のない和傘を用意してくれると言ってくれた。勿論これはアイヴィーのお土産も兼ねての物。本当に感謝しますと頭を下げたのは今朝の話し。大矢さんから外国から女の子のお客様が来てると言う事で気合を入れてくれたとかなんとか。皆さん浮かれないでよと言いたかったけど、心配かけた後なので仕方なく遊ばれる事にしておく。
それでほっとしてくれるならと願って。
日曜日の夜から月曜の朝にかけて吹雪くと言う天気予報に俺達は一足先に麓の家へと降りて月曜日に京都へと向かう事にした。俺の家付近ではしっかりとした雪の世界だったけど少し降りれば紅葉真っ盛りの世界。紅葉と雪のコラボレーションを美しいとは思う物のそこに住む身となるとここまで来たら確り雪よ降ってくれと空に向かって祈ってしまう。その直後後悔するのは毎年の事なので割愛するが、案外冬の何もない山の家も嫌いじゃないと次第に暑くなっていく世の中に休憩ごとに上着を脱いでいくのは山の上で着こみ過ぎただけ。
やっぱりうちって断熱材が部分的にしか入ってないから寒いんだよね。
『ねえ、アヤト。世の中ってこんなに温かかったんだね』
『むしろ暑い位。風邪ひかないように注意しろよ』
『どっちかって言うと綾人がね』
すっかり山の家で冬モードになって食欲減退から弱っていた俺の方が暑さにばてている様子の俺とフランスとは言えしっかりと庭仕事や畑仕事、そして烏骨鶏の世話を手伝う様になって健康を手に入れたアイヴィーではどちらが元気かなんて比べるまでもなく、ゆっくりとサービスエリアで休憩を取りながら飯田家に辿り着く頃にはすっかりお昼も過ぎていて
「体調が悪いのなら無理して車で来る事なかっただろう。駅まで庵に迎えに行かせたのに」
「ご心配おかけしまして。アイヴィーにいろいろ見せたかったので張り切ってサービスエリアめぐりをしてきました」
飯田さんのお父さんは呆れたと言う顔をしたけど直ぐにいつもの少し難しい顔をして
「紗凪、綾人を少し休ませてやる間こちらのお嬢さんの面倒を頼む」
「まあまあ、可愛らしいお嬢さんを連れてきたのね。
うちの薫も青い目のお嬢さんを連れてくるのを楽しみにしてたけど、まさか綾人さんの方が先に緑の目のお嬢さんを紹介してくれるなんてお母さん嬉しいわ」
「いえ、友人ですので」
「ふふふ、照れちゃって。恥ずかしがらなくてもいいのよ」
「恥ずかしくもなく友人ですので……」
『アイヴィーちゃん、折角京都に来たのだから着物に着替えて見ない?
若い頃の着物がたくさんあるからきてみましょう!』
まさかの英語の堪能さに驚く合間にわけのわからない顔のままアイヴィーが拉致られてしまった。
ポカンとした顔で見送ってしまえばすぐ横でお父さんがコホンと咳払い。
「何着か着せ替え人形楽しんだら仕事の時間だから済まないがそれまで休んで待っててくれ」
遠回しにあれはもう何を言っても無駄だから諦めろと言う言葉に考えるのもしんどかったので
「好意に甘えさせてもらって少し横にならさせてもらいます」
「すまない。客間は多分足の踏み場もないだろうから薫の部屋を使ってくれ」
そう言って勝手知ったる他人の家で真っ直ぐに飯田さんの部屋へと向かって直ぐにいつでも使える準備をしてあるベットへと潜り込んで瞼を閉じた。
142
お気に入りに追加
2,670
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!
佐々木雄太
青春
四月——
新たに高校生になった有村敦也。
二つ隣町の高校に通う事になったのだが、
そこでは、予想外の出来事が起こった。
本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。
長女・唯【ゆい】
次女・里菜【りな】
三女・咲弥【さや】
この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、
高校デビューするはずだった、初日。
敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。
カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!
裏路地古民家カフェでまったりしたい
雪那 由多
大衆娯楽
夜月燈火は亡き祖父の家をカフェに作り直して人生を再出発。
高校時代の友人と再会からの有無を言わさぬ魔王の指示で俺の意志一つなくリフォームは進んでいく。
あれ?
俺が思ったのとなんか違うけどでも俺が想像したよりいいカフェになってるんだけど予算内ならまあいいか?
え?あまい?
は?コーヒー不味い?
インスタントしか飲んだ事ないから分かるわけないじゃん。
はい?!修行いって来い???
しかも棒を銜えて筋トレってどんな修行?!
その甲斐あって人通りのない裏路地の古民家カフェは人はいないが穏やかな時間とコーヒーの香りと周囲の優しさに助けられ今日もオープンします。
第6回ライト文芸大賞で奨励賞を頂きました!ありがとうございました!
家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!
雪那 由多
ライト文芸
恋人に振られて独立を決心!
尊敬する先輩から紹介された家は庭付き駐車場付きで家賃一万円!
庭は畑仕事もできるくらいに広くみかんや柿、林檎のなる果実園もある。
さらに言えばリフォームしたての古民家は新築同然のピッカピカ!
そんな至れり尽くせりの家の家賃が一万円なわけがない!
古めかしい残置物からの熱い視線、夜な夜なさざめく話し声。
見えてしまう特異体質の瞳で見たこの家の住人達に納得のこのお値段!
見知らぬ土地で友人も居ない新天地の家に置いて行かれた道具から生まれた付喪神達との共同生活が今スタート!
****************************************************************
第6回ほっこり・じんわり大賞で読者賞を頂きました!
沢山の方に読んでいただき、そして投票を頂きまして本当にありがとうございました!
****************************************************************
アマツバメ
明野空
青春
「もし叶うなら、私は夜になりたいな」
お天道様とケンカし、日傘で陽をさえぎりながら歩き、
雨粒を降らせながら生きる少女の秘密――。
雨が降る日のみ登校する小山内乙鳥(おさないつばめ)、
謎の多い彼女の秘密に迫る物語。
縦読みオススメです。
※本小説は2014年に制作したものの改訂版となります。
イラスト:雨季朋美様
ハッピークリスマス ! 非公開にしていましたが再upしました。 2024.12.1
設樂理沙
青春
中学生の頃からずっと一緒だったよね。大切に思っていた人との楽しい日々が
この先もずっと続いていけぱいいのに……。
―――――――――――――――――――――――
|松村絢《まつむらあや》 ---大企業勤務 25歳
|堂本海(どうもとかい) ---商社勤務 25歳 (留年してしまい就職は一年遅れ)
中学の同級生
|渡部佳代子《わたなべかよこ》----絢と海との共通の友達 25歳
|石橋祐二《いしばしゆうじ》---絢の会社での先輩 30歳
|大隈可南子《おおくまかなこ》----海の同期 24歳 海LOVE?
――― 2024.12.1 再々公開 ――――
💍 イラストはOBAKERON様 有償画像
透明な僕たちが色づいていく
川奈あさ
青春
誰かの一番になれない僕は、今日も感情を下書き保存する
空気を読むのが得意で、周りの人の為に動いているはずなのに。どうして誰の一番にもなれないんだろう。
家族にも友達にも特別に必要とされていないと感じる雫。
そんな雫の一番大切な居場所は、”150文字”の感情を投稿するSNS「Letter」
苦手に感じていたクラスメイトの駆に「俺と一緒に物語を作って欲しい」と頼まれる。
ある秘密を抱える駆は「letter」で開催されるコンテストに作品を応募したいのだと言う。
二人は”150文字”の種になる季節や色を探しに出かけ始める。
誰かになりたくて、なれなかった。
透明な二人が150文字の物語を紡いでいく。
表紙イラスト aki様
窓を開くと
とさか
青春
17才の車椅子少女ー
『生と死の狭間で、彼女は何を思うのか。』
人間1度は訪れる道。
海辺の家から、
今の想いを手紙に書きます。
※小説家になろう、カクヨムと同時投稿しています。
☆イラスト(大空めとろ様)
○ブログ→ https://ozorametoronoblog.com/
○YouTube→ https://www.youtube.com/channel/UC6-9Cjmsy3wv04Iha0VkSWg
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる