783 / 976
振り向いて立ち止まり 6
しおりを挟む
みんなが帰った後エドガーがカティから聞きだした話を聞いた俺は怒りのあまりに積み上げた本棚を蹴り倒すと言う事をする位怒りに飲まれる事になった。
エドガー曰く婚前とは言えカティの婚約者はカティにそれなりのコミュニケーションを強要したと言う。
カティは拒絶したものの、家族の事や、会社の事、それに繋がる従業員の事をあげられて服従するしかなかったと言う。
それも一度や二度ではなく何度もだと言う。
「きっと子供が出来れば満足したんだろうね」
昏い瞳で呟いた声は嫌だと言っても相手に従った自分が悪いのだろうとどれだけ時代が進んでも理解されない女性弱者の問題に静かにそっと涙を落したと言う。
裏垢問題は遠く離れた島国でも、いや、きっと世界中に溢れる問題なのだろうが、そこで吐露された言葉は処女を奪った喜びと言いなりになる婚約者のいやいやながらの痴態を赤裸々に綴る物。
目を背けたくなるような生々しさに胃の中がひっくり返りそうになる物の、きっと成人女性、婚約者、そのワードだけでカティだけが不利になる現実だ。
仮令、夫婦間にレイプが成立してもきっと何度も会社の従業員と言う人質がある以上、カティは決して戦う意志を表さないのだろう。
気の小さな彼女の出来る事はひたすら襲い来る嵐に耐えるだけの弱々しい抵抗。
誰の助けを求められない孤独な時間。
想像するだけで耳の奥に響き渡る叫び声が今になって届いた。
エドガーの報告に勝てる見込みはと聞くも、今時この材料で勝てる見込みはないと、みんな自分を切り捨ててまで勝ちを取りに来るのだから、そうやって勝ちを取りに来る問題ではカティはまず戦う事も出来ないだろうと考えて理不尽だと歯を食いしばる。
「ただ悪い情報だけじゃない。
カティはピルを服用して妊娠だけは避けている。
続けば体に負担はあるだろうが、彼女の意志はそれだけはっきりしている事をお前は認めろ」
半ば戦友として、なんだかんだ気にせずにはいられない友人の悲劇に怒り狂う感情の名前を認めろと言うエドガー。
だけどそれは未だに俺の中に残る呪が拒絶して汗が噴き出すのを済まないと言ってくれる彼も俺を理解してくれようと一生懸命になってくれる人の一人。
「無理をするな。無理に考えるな」
手を口に当てる俺を支えながらトイレへと連れてってくれた。
自分で首を絞めたと吐いて母親の呪いの強さに胃の中を空っぽにして嫌な汗までかいてふらふらとしながら部屋の真ん中で枕を抱きかかえて横になる俺の側にエドガーは座り込み
「巻き込まれたお前に俺は出来る限りの力を使いまくる。
だからアヤトはいつもみたいに金を積み上げて待っていればいい。
それくらいの胸糞悪い懸案だから、絶対俺が勝たせてやる」
なんて物騒で頼もしい言葉だろう。
だけど助けたいのは俺だから首を軽く横に振って
「確実に仕留める。
とことん、二度とお日様の下を歩けないくらいに追い詰めるぞ」
俺の怒りを表現するには可愛らしい表現だが、そんな拙い決意の言葉でもエドガーは満足げに笑みを浮かべてくれた。
「それでこそアヤトだ」
それはどんな綾人なんだと問いただしたかったが、まだ吐きだそうとする胃袋に俺はトイレに逆戻りして、そんな疑問共々便器に吐き出すのだった。
エドガー曰く婚前とは言えカティの婚約者はカティにそれなりのコミュニケーションを強要したと言う。
カティは拒絶したものの、家族の事や、会社の事、それに繋がる従業員の事をあげられて服従するしかなかったと言う。
それも一度や二度ではなく何度もだと言う。
「きっと子供が出来れば満足したんだろうね」
昏い瞳で呟いた声は嫌だと言っても相手に従った自分が悪いのだろうとどれだけ時代が進んでも理解されない女性弱者の問題に静かにそっと涙を落したと言う。
裏垢問題は遠く離れた島国でも、いや、きっと世界中に溢れる問題なのだろうが、そこで吐露された言葉は処女を奪った喜びと言いなりになる婚約者のいやいやながらの痴態を赤裸々に綴る物。
目を背けたくなるような生々しさに胃の中がひっくり返りそうになる物の、きっと成人女性、婚約者、そのワードだけでカティだけが不利になる現実だ。
仮令、夫婦間にレイプが成立してもきっと何度も会社の従業員と言う人質がある以上、カティは決して戦う意志を表さないのだろう。
気の小さな彼女の出来る事はひたすら襲い来る嵐に耐えるだけの弱々しい抵抗。
誰の助けを求められない孤独な時間。
想像するだけで耳の奥に響き渡る叫び声が今になって届いた。
エドガーの報告に勝てる見込みはと聞くも、今時この材料で勝てる見込みはないと、みんな自分を切り捨ててまで勝ちを取りに来るのだから、そうやって勝ちを取りに来る問題ではカティはまず戦う事も出来ないだろうと考えて理不尽だと歯を食いしばる。
「ただ悪い情報だけじゃない。
カティはピルを服用して妊娠だけは避けている。
続けば体に負担はあるだろうが、彼女の意志はそれだけはっきりしている事をお前は認めろ」
半ば戦友として、なんだかんだ気にせずにはいられない友人の悲劇に怒り狂う感情の名前を認めろと言うエドガー。
だけどそれは未だに俺の中に残る呪が拒絶して汗が噴き出すのを済まないと言ってくれる彼も俺を理解してくれようと一生懸命になってくれる人の一人。
「無理をするな。無理に考えるな」
手を口に当てる俺を支えながらトイレへと連れてってくれた。
自分で首を絞めたと吐いて母親の呪いの強さに胃の中を空っぽにして嫌な汗までかいてふらふらとしながら部屋の真ん中で枕を抱きかかえて横になる俺の側にエドガーは座り込み
「巻き込まれたお前に俺は出来る限りの力を使いまくる。
だからアヤトはいつもみたいに金を積み上げて待っていればいい。
それくらいの胸糞悪い懸案だから、絶対俺が勝たせてやる」
なんて物騒で頼もしい言葉だろう。
だけど助けたいのは俺だから首を軽く横に振って
「確実に仕留める。
とことん、二度とお日様の下を歩けないくらいに追い詰めるぞ」
俺の怒りを表現するには可愛らしい表現だが、そんな拙い決意の言葉でもエドガーは満足げに笑みを浮かべてくれた。
「それでこそアヤトだ」
それはどんな綾人なんだと問いただしたかったが、まだ吐きだそうとする胃袋に俺はトイレに逆戻りして、そんな疑問共々便器に吐き出すのだった。
167
お気に入りに追加
2,744
あなたにおすすめの小説
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!
雪那 由多
ライト文芸
恋人に振られて独立を決心!
尊敬する先輩から紹介された家は庭付き駐車場付きで家賃一万円!
庭は畑仕事もできるくらいに広くみかんや柿、林檎のなる果実園もある。
さらに言えばリフォームしたての古民家は新築同然のピッカピカ!
そんな至れり尽くせりの家の家賃が一万円なわけがない!
古めかしい残置物からの熱い視線、夜な夜なさざめく話し声。
見えてしまう特異体質の瞳で見たこの家の住人達に納得のこのお値段!
見知らぬ土地で友人も居ない新天地の家に置いて行かれた道具から生まれた付喪神達との共同生活が今スタート!
****************************************************************
第6回ほっこり・じんわり大賞で読者賞を頂きました!
沢山の方に読んでいただき、そして投票を頂きまして本当にありがとうございました!
****************************************************************
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売中です!】
皆様どうぞよろしくお願いいたします。
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる