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振り向いて立ち止まり 5
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「まさかの驚きの人数だね。
これだけのカレッジの学生がいるのは心強いが法律に精通してるのは?」
綾人だけが手を上げて後はそっと視線を反らすだけ。そして
「アヤト、君は一体どれだけの国の法律を学べば気がすむんだい?法律家の俺達がどれだけ苦労して資格を取ったと思ってるのか判ってるかい?」
「いやぁ、その国を知りたければ法律を学ぶのが一番って、俺の尊敬する人が言ってたから」
「ユキオの事かい?まさかユーキの事じゃないだろ?」
「沢村親子を名前で聞く新鮮さ。今度帰る時はお土産買ってかないとな」
休みに帰らなくて合わなかっただけでこんなにも懐かしく思うのは沢村さんには一番つらい時に支えてもらった事もあるだろう。
婆ちゃんが残してくれた遺産の中で沢村さんとの出会いが一番価値ある人だと思っている。勿論それに並ぶ人も山ほどいる。それらすべてが感謝だなとおもいながら
「まずはカティだったね。辛いけど少し二人で話しをしよう。
アヤト、悪いがベッドルームを借りるよ」
「その間やっておく事は?」
「とりあえず向こうの様子を詳しく知りたい」
「了解」
そう言ってエドガーはベッドルームの扉を開けた状態でカティと何やら話をしていた。何だか向こうの様子が気にはなるが、それよりもカティの婚約者を改めて知らなくてはいけない。
「エドワード・ロビンソン三十二歳。
すげー、イギリス人らしい名前だ」
「アヤト、何わけのわからない事に感心してるの?」
ケリーが呆れていたが
「こう言う所に改めてイギリスに居るって実感してるんだよ」
何故か叶野もうんうんと頷くのを柊は見ないふりをしていた。
タブレット、ノートPC、デスクトップ、各自スマホで主だった事を調べられるだけ調べてみる。
父親の代で成り上がったロビンソン氏は貿易商として色々な物を商品とした。
文房具と言った小物から茶葉やチョコレートと言った嗜好品を初め中古車は勿論、船やヘリコプターと言った物から……
「人材派遣もやってるとか……」
介護要員、建築業、清掃員と言ったおなじみ3Kの職種だけではなく6Kの分野にも手を広げている。
仕事の紹介、一見ぱっと見では素晴らしいと思うだろう。そして生活の為に職を選べれない彼らに敬遠されがちな仕事を割り当てるのはどう考えても善意ではないと感じてしまう。
しかもその派遣会社を調べれば案の定
「ひどい。給料中抜きされてるとか、残業代でないのって普通じゃない」
カティの友達の一人が早速と言う様に見つけてくれた。
「とりあえず中身はこっちで判断するからURL送って」
中身を一々見てたら時間なんていくらあっても足りないと言ってとりあえず探しまくれと指示を出す。
仕事をくれるからと聞いて働きだした彼らとて今時スマホ位は持っている。
住所が無くてもメールアドレスがあれば何とかなる時代。
それを逆手にかき集めた労働者を酷使して使い捨てる様子に誰もが呆れていた。
「カティこんなクズと結婚させられるのか?」
「いや、冗談だよな?」
疑わないといられないくらいそれぐらい酷い内容。
大学卒業したらすぐ結婚するからと就職活動をせずに家に戻っていたカティがどのような扱いをされていたのか心が疲れ切っていた様子のカティを見れば一目同然。幸せな花嫁ならば輝かんばかりに綺麗になっているはずなのにこの姿……
何があった魁皇としないのと言ったカティの友人は調べれば調べる程ろくな結果が出ない婚約者にポロポロと涙を落しながらも懸命に証拠を集める。
証拠としての判断材料にはならないが、それでも数が集まれば心象が変わる。それがどれだけの力になるか頼りないが一るん望みとして用意するのなら必要な努力。
何を見たのか時々やるせなさに机を叩く音が響いたりもしたが、カティとエドガーが長い時間をかけて話し終え、やっとベッドルームから出てきた。
こちらもカティは泣き晴らした顔でカティの趣味とは思えないハンカチを目元に押し当てていた。
きっと誰にも聞かせたくない話でもしていたのだろう。
可愛そうではあるがエドガーの話術に一人溜めこんでいた恐怖を無事吐きだせたことを良しとして俺は響くように手を打ち鳴らす。
「今日は解散しよう。夜遅くまで付き合ってもらってありがとう。本当なら泊まってけと言いたいのだが、この後エドガーと話をするから、悪いが全員帰ってもらいたい」
有無も言わさない声に誰もが帰る準備をする中
「カティ」
目を真っ赤にしたカティを呼びとめて
「お前の執事はもう信用がない。これからは彼女達友人の側に居る様にしてくれ」
やはりと言うか一番身近な執事の裏切りに一番こたえていたようで
「うん。そうするよ。ほんと迷惑かけてごめん」
俯くカティの綺麗な旋毛を見下ろしながら頭をポンポンとする。
驚く様に視線だけ見上げたカティに
「迷惑じゃない。頼れって言ったのは俺なんだから。
それよりもしっかりと美味しい物食べてまずは元気になる事だ」
言えば無理やりつくったぎこちない笑みで
「アヤトが教えてくれた料理、頑張ってみる」
あの雪に囲まれた家での生活を思い出してか少しだけ表情が柔らかくなった様子に
「じゃあ、俺達は女の子送って来るから」
フェイの合図に全員そろって出て行くのを見送った。
これだけのカレッジの学生がいるのは心強いが法律に精通してるのは?」
綾人だけが手を上げて後はそっと視線を反らすだけ。そして
「アヤト、君は一体どれだけの国の法律を学べば気がすむんだい?法律家の俺達がどれだけ苦労して資格を取ったと思ってるのか判ってるかい?」
「いやぁ、その国を知りたければ法律を学ぶのが一番って、俺の尊敬する人が言ってたから」
「ユキオの事かい?まさかユーキの事じゃないだろ?」
「沢村親子を名前で聞く新鮮さ。今度帰る時はお土産買ってかないとな」
休みに帰らなくて合わなかっただけでこんなにも懐かしく思うのは沢村さんには一番つらい時に支えてもらった事もあるだろう。
婆ちゃんが残してくれた遺産の中で沢村さんとの出会いが一番価値ある人だと思っている。勿論それに並ぶ人も山ほどいる。それらすべてが感謝だなとおもいながら
「まずはカティだったね。辛いけど少し二人で話しをしよう。
アヤト、悪いがベッドルームを借りるよ」
「その間やっておく事は?」
「とりあえず向こうの様子を詳しく知りたい」
「了解」
そう言ってエドガーはベッドルームの扉を開けた状態でカティと何やら話をしていた。何だか向こうの様子が気にはなるが、それよりもカティの婚約者を改めて知らなくてはいけない。
「エドワード・ロビンソン三十二歳。
すげー、イギリス人らしい名前だ」
「アヤト、何わけのわからない事に感心してるの?」
ケリーが呆れていたが
「こう言う所に改めてイギリスに居るって実感してるんだよ」
何故か叶野もうんうんと頷くのを柊は見ないふりをしていた。
タブレット、ノートPC、デスクトップ、各自スマホで主だった事を調べられるだけ調べてみる。
父親の代で成り上がったロビンソン氏は貿易商として色々な物を商品とした。
文房具と言った小物から茶葉やチョコレートと言った嗜好品を初め中古車は勿論、船やヘリコプターと言った物から……
「人材派遣もやってるとか……」
介護要員、建築業、清掃員と言ったおなじみ3Kの職種だけではなく6Kの分野にも手を広げている。
仕事の紹介、一見ぱっと見では素晴らしいと思うだろう。そして生活の為に職を選べれない彼らに敬遠されがちな仕事を割り当てるのはどう考えても善意ではないと感じてしまう。
しかもその派遣会社を調べれば案の定
「ひどい。給料中抜きされてるとか、残業代でないのって普通じゃない」
カティの友達の一人が早速と言う様に見つけてくれた。
「とりあえず中身はこっちで判断するからURL送って」
中身を一々見てたら時間なんていくらあっても足りないと言ってとりあえず探しまくれと指示を出す。
仕事をくれるからと聞いて働きだした彼らとて今時スマホ位は持っている。
住所が無くてもメールアドレスがあれば何とかなる時代。
それを逆手にかき集めた労働者を酷使して使い捨てる様子に誰もが呆れていた。
「カティこんなクズと結婚させられるのか?」
「いや、冗談だよな?」
疑わないといられないくらいそれぐらい酷い内容。
大学卒業したらすぐ結婚するからと就職活動をせずに家に戻っていたカティがどのような扱いをされていたのか心が疲れ切っていた様子のカティを見れば一目同然。幸せな花嫁ならば輝かんばかりに綺麗になっているはずなのにこの姿……
何があった魁皇としないのと言ったカティの友人は調べれば調べる程ろくな結果が出ない婚約者にポロポロと涙を落しながらも懸命に証拠を集める。
証拠としての判断材料にはならないが、それでも数が集まれば心象が変わる。それがどれだけの力になるか頼りないが一るん望みとして用意するのなら必要な努力。
何を見たのか時々やるせなさに机を叩く音が響いたりもしたが、カティとエドガーが長い時間をかけて話し終え、やっとベッドルームから出てきた。
こちらもカティは泣き晴らした顔でカティの趣味とは思えないハンカチを目元に押し当てていた。
きっと誰にも聞かせたくない話でもしていたのだろう。
可愛そうではあるがエドガーの話術に一人溜めこんでいた恐怖を無事吐きだせたことを良しとして俺は響くように手を打ち鳴らす。
「今日は解散しよう。夜遅くまで付き合ってもらってありがとう。本当なら泊まってけと言いたいのだが、この後エドガーと話をするから、悪いが全員帰ってもらいたい」
有無も言わさない声に誰もが帰る準備をする中
「カティ」
目を真っ赤にしたカティを呼びとめて
「お前の執事はもう信用がない。これからは彼女達友人の側に居る様にしてくれ」
やはりと言うか一番身近な執事の裏切りに一番こたえていたようで
「うん。そうするよ。ほんと迷惑かけてごめん」
俯くカティの綺麗な旋毛を見下ろしながら頭をポンポンとする。
驚く様に視線だけ見上げたカティに
「迷惑じゃない。頼れって言ったのは俺なんだから。
それよりもしっかりと美味しい物食べてまずは元気になる事だ」
言えば無理やりつくったぎこちない笑みで
「アヤトが教えてくれた料理、頑張ってみる」
あの雪に囲まれた家での生活を思い出してか少しだけ表情が柔らかくなった様子に
「じゃあ、俺達は女の子送って来るから」
フェイの合図に全員そろって出て行くのを見送った。
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