718 / 976
正しく夏休みを過ごす為に 4
しおりを挟む
至福の時間はあっという間に過ぎる。
夜は部屋風呂で波の音に耳を傾けながらたわいのない会話をつづけ、館内のバーで山間の町ではお目にかかる事のないようなカクテルやバーボンを楽しみ、梯子をして別のお食事処で一品料理を楽しみながら地酒を頂いた。これでもかというくらい食べて飲んで、部屋に帰ったら大きなベットで横になった瞬間寝落ちして。そして悲しい位明け方にはばっちりと二人そろって起きてしまい、どうしようかと言う事になって本館の温泉へと向かうのだった。ご褒美の如く誰も居ない大浴場を二人で独占すると言う贅沢を味わいながらだんだん明るくなる世界に海の色も青みを帯びて行く景色を堪能する頃、他のお客も来たので退散する事にした。
それでもまだまだごはんには時間があるのでアラームを掛けて二度寝。その後は朝食を頂いてもう一度部屋風呂を堪能してからの出発。
「なんかお風呂に入ってばかりでふやけちゃいそうだね」
ふにゃふにゃに茹で上がった宮下の意見には大いに賛成。
「こんな贅沢宮下が誘ってくれなかったら自分から進んでやろうとは思わなかったな」
「俺だって綾人がいなかったら考えもしなかったよ。せいぜい港町の民宿に泊まって魚釣って食べるくらいだから」
「それも面白そうだな」
「そう言うのなら昨日のうちに釣りでもしておけばよかったよね」
「いやいや、昨日はまっすぐここに来るのが正解だっただろう」
「えー?海に来たんだから泳がなきゃ勿体ないよ」
「泳ぐって言うか溺れてただろ」
からかう様に笑う綾人だけど
「海は浮き輪に嵌って浮かぶのが一番楽しいんです!」
速攻で海から上がって速攻で海を後にした俺達が言うには説得力の欠片もないけど
「海も嫌いじゃないが温泉でボーっとするのもまたよろし」
「うん。嫌いじゃない。むしろ大好き」
だよねーと笑いあう理由は麓の家の檜風呂の中毒にやられているから。
「圭斗も仕事上がりにちゃんとお風呂入りに来るし、陸斗も戻って来た時は毎日ちゃんと入りに来るんだ。園田達もちゃっかり来てるけど、ちゃんと長沢さん達が上がってから入る程度の弁えはあるから安心していいよ」
「想像通りの銭湯ぶり。圭斗のとこの社員以外は入浴料取るべきか」
何て事を考えてみるも
「やめた方がいいよ。お金を出せば入れると思ったらお金出して入りに来そうな人が何人か心当たり在るから」
「うん。この懸案は長沢さんの許容範囲と言うのが一番だな」
「だね。みんな怖がって簡単に居すわらないから」
長沢さん最強!
昨日に続き宮下の運転の理由は単に保険の都合。一日保険で変わろうかという物の「慣れない車の運転で隣に乗る度胸はないから」などと言う理由はやっぱり免許取りたての頃、憎き鹿と出会って思わず以下略。当時柵で囲ってなかった畑を丸坊主にされたばかりの反動は宮下が隣に乗っているのを忘れるくらいの衝動。いくつかの春野菜の種をまいてやっと芽が出た所で全部綺麗に刈り取ってくれた鹿は責任とって美味しく頂きましたが、こうやって俺にハンドルを握らせないようにするところはそれが結構トラウマと残っているようだ。
なので宮下の親切に甘えて道の駅で買ったおやつを食べながらカラオケ大会。狭い車内に二人で大合唱。平和すぎていつのまにか寝てるうちに
「綾人、着いたよ」
ふと目覚めれば観光客だらけの駐車場。先払い式の駐車料金を払ってる合間の出来事で、ボーっとしている俺にお茶のペットボトルを渡しながら
「さあ、お土産買いに行こう!」
寝ぼけた頭でも突っ込まずにはいられない。
三大名園の一つに来て置いて観光をせずにお土産とはこれいかに。
とりあえずと言う様に車から降りて早速と言う様に土産物売り場にいきなり行こうとする宮下の首根っこを掴みながら
「楽しみだったんだよねー。
植木の手の掛け方とか勉強にもなるよねー」
何て騒動をしている入場券売り場の人達の何とも言えない生暖かい視線の笑顔。申し訳ありませんと言う気持ちを一切見せないようにしながら
「お土産とおやつは目的が終わってからに決まってるだろ!」
何て、近くにいたお城なんてつまらないと言ってぐずっていた小さなお子様も俺の声にぐずるのをやめて母親のスカートを掴んでいると言う……
このような大人にならないでくれと願いながら門をくぐり、歴史を堪能するのだった。
夜は部屋風呂で波の音に耳を傾けながらたわいのない会話をつづけ、館内のバーで山間の町ではお目にかかる事のないようなカクテルやバーボンを楽しみ、梯子をして別のお食事処で一品料理を楽しみながら地酒を頂いた。これでもかというくらい食べて飲んで、部屋に帰ったら大きなベットで横になった瞬間寝落ちして。そして悲しい位明け方にはばっちりと二人そろって起きてしまい、どうしようかと言う事になって本館の温泉へと向かうのだった。ご褒美の如く誰も居ない大浴場を二人で独占すると言う贅沢を味わいながらだんだん明るくなる世界に海の色も青みを帯びて行く景色を堪能する頃、他のお客も来たので退散する事にした。
それでもまだまだごはんには時間があるのでアラームを掛けて二度寝。その後は朝食を頂いてもう一度部屋風呂を堪能してからの出発。
「なんかお風呂に入ってばかりでふやけちゃいそうだね」
ふにゃふにゃに茹で上がった宮下の意見には大いに賛成。
「こんな贅沢宮下が誘ってくれなかったら自分から進んでやろうとは思わなかったな」
「俺だって綾人がいなかったら考えもしなかったよ。せいぜい港町の民宿に泊まって魚釣って食べるくらいだから」
「それも面白そうだな」
「そう言うのなら昨日のうちに釣りでもしておけばよかったよね」
「いやいや、昨日はまっすぐここに来るのが正解だっただろう」
「えー?海に来たんだから泳がなきゃ勿体ないよ」
「泳ぐって言うか溺れてただろ」
からかう様に笑う綾人だけど
「海は浮き輪に嵌って浮かぶのが一番楽しいんです!」
速攻で海から上がって速攻で海を後にした俺達が言うには説得力の欠片もないけど
「海も嫌いじゃないが温泉でボーっとするのもまたよろし」
「うん。嫌いじゃない。むしろ大好き」
だよねーと笑いあう理由は麓の家の檜風呂の中毒にやられているから。
「圭斗も仕事上がりにちゃんとお風呂入りに来るし、陸斗も戻って来た時は毎日ちゃんと入りに来るんだ。園田達もちゃっかり来てるけど、ちゃんと長沢さん達が上がってから入る程度の弁えはあるから安心していいよ」
「想像通りの銭湯ぶり。圭斗のとこの社員以外は入浴料取るべきか」
何て事を考えてみるも
「やめた方がいいよ。お金を出せば入れると思ったらお金出して入りに来そうな人が何人か心当たり在るから」
「うん。この懸案は長沢さんの許容範囲と言うのが一番だな」
「だね。みんな怖がって簡単に居すわらないから」
長沢さん最強!
昨日に続き宮下の運転の理由は単に保険の都合。一日保険で変わろうかという物の「慣れない車の運転で隣に乗る度胸はないから」などと言う理由はやっぱり免許取りたての頃、憎き鹿と出会って思わず以下略。当時柵で囲ってなかった畑を丸坊主にされたばかりの反動は宮下が隣に乗っているのを忘れるくらいの衝動。いくつかの春野菜の種をまいてやっと芽が出た所で全部綺麗に刈り取ってくれた鹿は責任とって美味しく頂きましたが、こうやって俺にハンドルを握らせないようにするところはそれが結構トラウマと残っているようだ。
なので宮下の親切に甘えて道の駅で買ったおやつを食べながらカラオケ大会。狭い車内に二人で大合唱。平和すぎていつのまにか寝てるうちに
「綾人、着いたよ」
ふと目覚めれば観光客だらけの駐車場。先払い式の駐車料金を払ってる合間の出来事で、ボーっとしている俺にお茶のペットボトルを渡しながら
「さあ、お土産買いに行こう!」
寝ぼけた頭でも突っ込まずにはいられない。
三大名園の一つに来て置いて観光をせずにお土産とはこれいかに。
とりあえずと言う様に車から降りて早速と言う様に土産物売り場にいきなり行こうとする宮下の首根っこを掴みながら
「楽しみだったんだよねー。
植木の手の掛け方とか勉強にもなるよねー」
何て騒動をしている入場券売り場の人達の何とも言えない生暖かい視線の笑顔。申し訳ありませんと言う気持ちを一切見せないようにしながら
「お土産とおやつは目的が終わってからに決まってるだろ!」
何て、近くにいたお城なんてつまらないと言ってぐずっていた小さなお子様も俺の声にぐずるのをやめて母親のスカートを掴んでいると言う……
このような大人にならないでくれと願いながら門をくぐり、歴史を堪能するのだった。
168
お気に入りに追加
2,744
あなたにおすすめの小説
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!
雪那 由多
ライト文芸
恋人に振られて独立を決心!
尊敬する先輩から紹介された家は庭付き駐車場付きで家賃一万円!
庭は畑仕事もできるくらいに広くみかんや柿、林檎のなる果実園もある。
さらに言えばリフォームしたての古民家は新築同然のピッカピカ!
そんな至れり尽くせりの家の家賃が一万円なわけがない!
古めかしい残置物からの熱い視線、夜な夜なさざめく話し声。
見えてしまう特異体質の瞳で見たこの家の住人達に納得のこのお値段!
見知らぬ土地で友人も居ない新天地の家に置いて行かれた道具から生まれた付喪神達との共同生活が今スタート!
****************************************************************
第6回ほっこり・じんわり大賞で読者賞を頂きました!
沢山の方に読んでいただき、そして投票を頂きまして本当にありがとうございました!
****************************************************************
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売中です!】
皆様どうぞよろしくお願いいたします。
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる