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脳筋なめんな! 2
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卒業生たちが集まる頃にはプリントはすべて終えて自分達が寝る所の掃除とマットレスや布団を干したり準備をする。体育会系なだけあって頼めば二つ返事で直ぐ動く機敏さ。そして次の指示を待つ姿は仕事を待つワンコのように純粋で、悪く言えばこのバカ忠実さが怪我をしてレギュラー落ちしたらマネージャーになった。そう言う事だろう。詰まらない事を押し付けられてるぐらいなら治療と称してしっかり治して準レギュラーぐらいには慣れるだろうと思うもそこは学校全員所属しないといけないと言う縛りから三人が所属する部活が人気なだけに人材が選り取り見取りなだけあってそこまで怪我人に対して情熱は注がないと言う。なのでマネージャーも溢れているので先生は特に扱いの酷かった三人を理科部を設立して移動させたと言う。これは先生の恩師からの頼みでもあったらしく、推薦でこの学校に来たのにこの仕打ちはあんまりだと毎年何人もの生徒がこうやって落ちぶれているのを見てきたからこその対策。そして移動して二年目で理科部を立ち上げた理由は恩師がまず一年この学校をよく見さてくれたからこそ決意で来たと言う事らしい。
「それは判ったんだけどさ、だからって俺が帰って来た直後に来る事ないだろ」
「お前がいる時間は限られているし、麓のガキじゃないんだから一週間がせいぜいだろ」
とりあえずやって来た下田に竈や五右衛門風呂、いつの間にかセッティングされた囲炉裏の写真を撮らせてこんな所で合宿してますと言う、烏骨鶏も抱えての記念写真を撮らせていた。
「とりあえずここの注意事項も教えてやれ」
「コンビニまで三十キロ、一番近くの自販機まで徒歩一時間ですね」
ビビらせるつもりか良い顔で下田が言うのを聞いて三人はさすがにぎょっとして
「夜は街灯がないから。熊にも出会うから外出は禁止だよ?」
優しい声で陸斗が追い打ちをかける。
いや、それ普通に怖いから。マジ怖いから。
優しいお兄さんのように接しているつもりかもしれないけど言ってる内容はホラーだから。ほら、三人共ビビってるよ?圭斗とは違うイケメンで香奈ちゃんのような美人系で、ガリガリで体中あざだらけだった子供が見事化けた陸斗は見かけによらずパワフルな事も平気でする口数少ない所だけが変わらない子だけど。無事圭斗と香奈ちゃんの中間点位に成長した顔から外出禁止だよ?なんて言われるとヤバい趣味に出そうなやつはここに居ないけど喜んで徹夜でゲームしようとする奴らがどこからか現れそうだから言わないでよと口に出したら負け無様な気がして黙っておく。
「でも安心してください。道が土砂崩れで通行止めになっても生活には困らないだけの備蓄とライフラインはあるのでゆっくり待ってればいいだけですから。いざとなったら山を切り開きながら道を作ってくれるので問題ないですし」
幸治よ、お前きりっと綾人さん尊敬しますって言う顔で言ってくれてるけど壮絶な致命傷を俺が負っているのに気付いてくれと涙が流れそうになるのを見て先生が肩を震わせて笑っているから涙何て流さないけどね!と耐えて見せる。
「あと朝は六時にごはんだけど大丈夫?」
お寺を継ぐことを決めた一樹は大学から帰ってきて家の手伝いをする為に朝の三時起きをしているらしい。いや、さすがに俺でも四時までは寝てるぞと言うも本山から修行に来ている人達と一緒の生活をしているのでどうしてもそうなるんですと苦笑いしていた。お寺を継いで坊主になるなんて冗談じゃないと言ってた出会った頃の一樹だけどこっちで出来た友達や檀家さんの容赦ないお節介ぶりについにその気になったと言う。
なので……
親に黙って受けた記念受験。うっかり宗派が違う大学に入ってしまったので来年同じ宗派の大学に入り直すと言う、一言親に相談していればありえなかった大事故を起こした一樹は今年も大学受験をする羽目になっていた。と言っても他の宗派を知る貴重な体験ができるとうきうき好奇心に住職もその話を聞きたがると言う呆れた坊主。勉強は苦にならないからと言って親に頭を下げて大学を行かせてくださいと言っていたのは今では笑い話だ。
そんな朝三時起きにすっかり体が慣れてしまった一樹がそう脅して見せるも
「大丈夫っす。朝練行くのに五時起きしてたので問題ありません」
「むしろ理科部は朝練がないので、朝勝手に目が覚めて何をすればいいか判りません」
「だったら勉強しろよ」
すかさず先生がつっこんで見せるも三人は苦笑するだけ。
「良いか、お前ら笑いごとじゃないんだぞ。卒業する為の単位が足りないんだ。休み明けのテスト、一応進学希望なんだろ?どこに進学する」
まさかの進路希望に全員で耳を疑う。と言うかどこが引き受けてくれるのだろうか。その事を直面してきた面々だけにこの夢見がちな三人組を無表情で見てしまう。
「綾人さん、こいつらどうしましょう」
既にこの三人組は既に三年の夏休みを迎えている。同じ脳筋系の葉山でさえ途方に暮れてしまう中あまりの時間のなさに綾人は決断する。
「大学は諦めよう。専門学校で絞って行くぞ」
それでさえもう遅い位だ。今更改めて探すのもあれだしと三人の高校生のしっかりとした体を眺め
「よし土木系で行くぞ。とりあえず庭に集合、陸、適当な道具持って来い」
言えば葉山と一緒に烏骨鶏ハウスの裏側の倉庫に取に行く。
「っていうか綾人よ、お前こいつらの進路希望聞かないのか?」
「ああ?ただでさえ小学生の問題もろくに解けない奴らが一週間程度でどれだけできるかなんてムリゲーに決まってるだろう。既にこいつらの頭は勉強向けには出来てないから手に職を持つコースが良いに決まっている!
それに身体動かすのは嫌いじゃないだろ?寧ろ好きだろ?」
「はい。じっとしてるのは苦手なので」
元サッカー部の池田琉人はボールを追いかけたいワンコの如く部屋から降りた所でうろうろしている。
「確かに俺も身体動かすのは好きです」
「教科書見ると眠くなるしな」
高木優の言う事はともかく眠くなるとかいうか遠藤健二よ。散々苦労した植田、水野、上島の地獄の学年を思い出させないでくれ。
今回もまた一筋縄行かない事がこれで確定されたと思えば強制的に運動の限りをさせてやろうと運動ではない生活に役立つ筋肉を発達させると気合を入れるのだった。
「それは判ったんだけどさ、だからって俺が帰って来た直後に来る事ないだろ」
「お前がいる時間は限られているし、麓のガキじゃないんだから一週間がせいぜいだろ」
とりあえずやって来た下田に竈や五右衛門風呂、いつの間にかセッティングされた囲炉裏の写真を撮らせてこんな所で合宿してますと言う、烏骨鶏も抱えての記念写真を撮らせていた。
「とりあえずここの注意事項も教えてやれ」
「コンビニまで三十キロ、一番近くの自販機まで徒歩一時間ですね」
ビビらせるつもりか良い顔で下田が言うのを聞いて三人はさすがにぎょっとして
「夜は街灯がないから。熊にも出会うから外出は禁止だよ?」
優しい声で陸斗が追い打ちをかける。
いや、それ普通に怖いから。マジ怖いから。
優しいお兄さんのように接しているつもりかもしれないけど言ってる内容はホラーだから。ほら、三人共ビビってるよ?圭斗とは違うイケメンで香奈ちゃんのような美人系で、ガリガリで体中あざだらけだった子供が見事化けた陸斗は見かけによらずパワフルな事も平気でする口数少ない所だけが変わらない子だけど。無事圭斗と香奈ちゃんの中間点位に成長した顔から外出禁止だよ?なんて言われるとヤバい趣味に出そうなやつはここに居ないけど喜んで徹夜でゲームしようとする奴らがどこからか現れそうだから言わないでよと口に出したら負け無様な気がして黙っておく。
「でも安心してください。道が土砂崩れで通行止めになっても生活には困らないだけの備蓄とライフラインはあるのでゆっくり待ってればいいだけですから。いざとなったら山を切り開きながら道を作ってくれるので問題ないですし」
幸治よ、お前きりっと綾人さん尊敬しますって言う顔で言ってくれてるけど壮絶な致命傷を俺が負っているのに気付いてくれと涙が流れそうになるのを見て先生が肩を震わせて笑っているから涙何て流さないけどね!と耐えて見せる。
「あと朝は六時にごはんだけど大丈夫?」
お寺を継ぐことを決めた一樹は大学から帰ってきて家の手伝いをする為に朝の三時起きをしているらしい。いや、さすがに俺でも四時までは寝てるぞと言うも本山から修行に来ている人達と一緒の生活をしているのでどうしてもそうなるんですと苦笑いしていた。お寺を継いで坊主になるなんて冗談じゃないと言ってた出会った頃の一樹だけどこっちで出来た友達や檀家さんの容赦ないお節介ぶりについにその気になったと言う。
なので……
親に黙って受けた記念受験。うっかり宗派が違う大学に入ってしまったので来年同じ宗派の大学に入り直すと言う、一言親に相談していればありえなかった大事故を起こした一樹は今年も大学受験をする羽目になっていた。と言っても他の宗派を知る貴重な体験ができるとうきうき好奇心に住職もその話を聞きたがると言う呆れた坊主。勉強は苦にならないからと言って親に頭を下げて大学を行かせてくださいと言っていたのは今では笑い話だ。
そんな朝三時起きにすっかり体が慣れてしまった一樹がそう脅して見せるも
「大丈夫っす。朝練行くのに五時起きしてたので問題ありません」
「むしろ理科部は朝練がないので、朝勝手に目が覚めて何をすればいいか判りません」
「だったら勉強しろよ」
すかさず先生がつっこんで見せるも三人は苦笑するだけ。
「良いか、お前ら笑いごとじゃないんだぞ。卒業する為の単位が足りないんだ。休み明けのテスト、一応進学希望なんだろ?どこに進学する」
まさかの進路希望に全員で耳を疑う。と言うかどこが引き受けてくれるのだろうか。その事を直面してきた面々だけにこの夢見がちな三人組を無表情で見てしまう。
「綾人さん、こいつらどうしましょう」
既にこの三人組は既に三年の夏休みを迎えている。同じ脳筋系の葉山でさえ途方に暮れてしまう中あまりの時間のなさに綾人は決断する。
「大学は諦めよう。専門学校で絞って行くぞ」
それでさえもう遅い位だ。今更改めて探すのもあれだしと三人の高校生のしっかりとした体を眺め
「よし土木系で行くぞ。とりあえず庭に集合、陸、適当な道具持って来い」
言えば葉山と一緒に烏骨鶏ハウスの裏側の倉庫に取に行く。
「っていうか綾人よ、お前こいつらの進路希望聞かないのか?」
「ああ?ただでさえ小学生の問題もろくに解けない奴らが一週間程度でどれだけできるかなんてムリゲーに決まってるだろう。既にこいつらの頭は勉強向けには出来てないから手に職を持つコースが良いに決まっている!
それに身体動かすのは嫌いじゃないだろ?寧ろ好きだろ?」
「はい。じっとしてるのは苦手なので」
元サッカー部の池田琉人はボールを追いかけたいワンコの如く部屋から降りた所でうろうろしている。
「確かに俺も身体動かすのは好きです」
「教科書見ると眠くなるしな」
高木優の言う事はともかく眠くなるとかいうか遠藤健二よ。散々苦労した植田、水野、上島の地獄の学年を思い出させないでくれ。
今回もまた一筋縄行かない事がこれで確定されたと思えば強制的に運動の限りをさせてやろうと運動ではない生活に役立つ筋肉を発達させると気合を入れるのだった。
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