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予想外は本当に無防備な想定外で俺を巻き込むなと言いたいけど何故あとヨロで済ますと怒りながらも付き合う俺素敵だと思う 5
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しっとりとした空気は凛として冷たく、肥沃な大地と深い森の匂いに溢れていた。
太陽に支配される前の暁から黎明にさしかかる時間帯が綾人の一番好きな時間だ。
暗く深い夜が終わりを告げる時間帯でもあり、突き抜けるような大空が青く染まる変化が最も美しい時間帯でもある。
とは言え山の天気は中々に気難し屋なので霧で隠したり荒れる上空が雲を呼び寄せたりと中々に忙しい場所でもある。
それでも東京では切り取られたかのような空を見上げるのがせいぜいだったので眼下に広がる山並みの上の一面の空はどんな顔をしていても美しく見えた。
飯田さんは俺がその時間帯が好きなのを知っているので一度だけ休憩を入れて夜中中車を走らせて間に合う様に俺を届けてくれた。
「帰って来たー!」
車の中から降りて背伸びをしながら思わずと言う様に叫べばチキンながらも好奇心旺盛に近寄ってきた烏骨鶏が大慌てで逃げて行くのを笑ってしまう。
「またふえたなー」
わらわらと庭を駆け回る烏骨鶏に飯田さんもにこやかに頷きながら
「大和さんが一生懸命増殖させてくれましたので。食べ放題ですよ?」
「よし!まずは半分売り飛ばそう」
「潔い」
「綾人いきなり半分はないよ!」
「あ、大和さんただいま帰りました。だけどこの数は要らないので。エサ代請求していいですか?」
「うん。おかえり。ごめんなさい。可愛さに増やし過ぎました。諦めますのでエサ代は請求しない程度に減らしてください」
「兄ちゃん何言ってるのさ。あれほど止めろって言ったのにヒヨコが可愛くって癒されるとか訳は分かるけど囲まれて暮らしたいなんて馬鹿なこと言うからこんな事になったんだよ」
宮下がエンジン付きの一輪車で山ほどの間引いただろうハーブを乗せてやって来て俺の所まで来た所で
「綾人お帰り。荷物届いてるから運んでおいたから」
「サンキュなー。荷物の中に入ってたお土産受け取ってくれた?」
「うん。圭斗と先生にも配ったし凛ちゃんにくまのぬいぐるみも渡して来たよ。
あと内田さんと長沢さんの所のも配達して来て置いた」
「悪いな。東京で蓮司と会う約束してたからお土産だけでも先に渡しておこうと思ってな」
「気にしないで。毎日会う顔ぶれだから問題なし」
麓の家に行けば全員そろうのだから宮下に頼めば間違いないと予想通りの働きをしてくれた親友に満足していればこんな日でも安定のお犬様は俺達が立ち話している間に荷物を運んで野菜の収穫を終えていた。
ぶれないなあと感心しながら宮下がご飯は炊いておいたからとオカンぶりは相変わらずで思わずニマニマとした笑みを浮かべてしまえば
「ないそのヤラシイ笑い方は……」
宮下に警戒されるも
「何、やっと帰って来た実感を味わってるって言うの?」
「だけどね、こう言うのは変って無くてもちゃんと下界に慣れた体にはここはちょっとハードモードだから今日は一日ゆっくりして体を馴染ませてね」
「うん。酸素薄くて頭痛くなってきたからご飯食べたら薬飲んで寝る」
「ああ、もう言わん事ない!洗濯物洗っておくから出しておいてよ!」
「あざーっす」
「他にやって欲しい事は?」
「俺はご飯食べたらすぐに寝るので飯田さんを寝かしつけてください。仕事終わってから車走らせてるので」
「飯田さんも相変わらずだなあ」
なんて感心をしていれば
「大和君も宮下君も朝ご飯食べて行くでしょ?」
台所の勝手口から顔を出しての確認。
二人は嬉しそうな顔で
「「ご馳走になります!」」
しっかり胃袋を掴まれてる宮下家なので聞く方が野暮と言う物だろう。
手伝いますと言う様に勝手口から家に潜り込む二人とは別に俺は久しぶりの玄関から入って土間をあがり真っ直ぐ仏壇へと向かって
「ジイちゃん、バアちゃんただいま。夏休みになったから帰ってきました。
お盆が終わったらまた向こうに行く予定だけどそれまでちゃんと山のお勤めさせていただきます」
線香の香りが広がり、お凛の音も響けば飯田さんがご飯とお水を持って来てくれた。
「すみません。ここまでしてもらって……」
「俺の方こそ綾人さんがいないのにお邪魔させてもらってるのでこれぐらいはさせて下さい」
そう言って飯田さんも手を合わせてくれれば
「ほら翔太、お前は花を摘んで仏壇に供える!」
「えー、じゃあ兄ちゃんは?」
「俺は鳥小屋の掃除を済ませたからな」
何て相変わらず仲の良い兄弟を笑っていれば
「そうだ。綾人さんにはあのお社のお供えをお願いしますね」
「あー、あっちもいつもありがとうございます」
「いえ、俺がいる時だけなので申し訳ない位です」
京都の人なのでこう言った事には敏感なのだろう。基本は宮下が面倒見てくれてるが、やっぱり飯田さんがいる時は飯田さんが率先してやってくれるのでありがたく思う。
お供えを小さなお盆は宮下が作った物らしいがお社のアジサイの花に倣って彫刻を施した可愛らしいお盆に本日の朝食を少しずつ削って盛られたお供えを渡された。こう言うのは何か形式ばった物があるはずだがそう言った物は一切考えずにお皿に並べられているお供えは肉類は一切使ってないのがこだわりを感じてしまう。
久しぶりに履くクロックスで川沿いに一つだけ植えられたアジサイの隣に建つ、イギリスに行く前にちょっとした古くから吉野と縁を持つ人に作ってもらった犬小屋サイズのお社はまだまだ新しさを誇っており、吉野が不在の間見守ってくれるそんな存在感にお供えを置いて手を合わせる。そんな簡単なお参り。
手を合わせている間ふと遠くから獣の声が聞こえたような気がしたがここではよく聞く声なので目の前に現れなければ問題はない。
「しばらくは家に居ます。また留学先に行きますがそれまでどうぞよろしくお願いします」
と入った物のイギリスに向かう時は留守にするのでどうぞよろしくお願いしますなんて言うのだろうほぼ確定されてる未来の言葉にずるさを見出す物の返って来るまでは許してくれと心の中で伝えて置く。
「綾人、そろそろ食べれるよ!
食べて痛み止め飲んで早く寝ちゃって!」
「言われなくても!」
決して軽いとはいえ二日酔いで頭が痛いなんて言えないのでそこは飯田さんの俺を見る目が呆れていても薬を飲むためにご飯は美味しく頂かせてもらいます。
家の中に戻った所で洗濯ものを出す為に広げられた鞄の中に入っていた一本の瓶。黄金色にも似た液体を持って
「朝から飲むの?」
「おや、桂花陳酒ですか。また珍しい物を」
なんて言う飯田さんに押し付ければおや?と言う様に意図をくみ取る顔。
「昨日の所で買ってきた奴なんだけど、今年の秋これを作って欲しいんだけど……」
「構いませんが金木犀のお花はどちらに?」
そんな質問には宮下だ。
「下の畑に生えてるよ。
かなり大木になっちゃったからお花を摘むのは至難の業だな」
宮下に代わって大和さんが答えてくれた。
って言うか、やっぱりあったんだなと思いながらもスマホを取出し
「何所にかけるの?」
「実桜さんにお願いするだけだよ。沢山お花を咲かしてくれますようにって」
久しぶりの家、そして美味しい朝ごはん。兄弟の如く構ってくれる宮下兄弟そろってのご飯は珍しくもあり、高地からの頭痛は何処かふわふわとさせた気分も連れて来てくれて……
ご飯を食べて土間を超えた所でぱたりと寝転んでしまえば
「あー!やっぱり熱出てるじゃん!
ったく、イギリスから帰って来たって言うのに蓮司と遊んで疲れて熱出すなんて何て子供だよ!」
「ベットに放り込んでおいてください」
「ああ、もう……」
ずるずると俺の両足を掴んで運ぶ様子に飯田さんが慌てて飛んできてくれたけど、自分の匂いの沁みついたベットと枕は石鹸の匂いもほのかに香っていて
「自分の巣って最高!」
「馬鹿言ってないで早く寝る!」
薬の力も借りて次に目が覚めた時は宮下と大和さんもとっくに帰った日没の時間。
水分を求めて家の中をふらふらと内縁を歩いていれば
「体調はどうです?夕飯はおかゆにしますか?それとも猪のアキレスけんをこんにゃくと一緒にじっくりと煮込んだ物にしますか?明日圭斗君の所に行くでしょうからたくさん作りましたから美味しいですよ?」
「猪でお願いします!」
頭痛も体のだるさもあっという間に飛び去って、絶対おいしい料理が待ち構えている夕食に幸せを覚える綾人だった。
太陽に支配される前の暁から黎明にさしかかる時間帯が綾人の一番好きな時間だ。
暗く深い夜が終わりを告げる時間帯でもあり、突き抜けるような大空が青く染まる変化が最も美しい時間帯でもある。
とは言え山の天気は中々に気難し屋なので霧で隠したり荒れる上空が雲を呼び寄せたりと中々に忙しい場所でもある。
それでも東京では切り取られたかのような空を見上げるのがせいぜいだったので眼下に広がる山並みの上の一面の空はどんな顔をしていても美しく見えた。
飯田さんは俺がその時間帯が好きなのを知っているので一度だけ休憩を入れて夜中中車を走らせて間に合う様に俺を届けてくれた。
「帰って来たー!」
車の中から降りて背伸びをしながら思わずと言う様に叫べばチキンながらも好奇心旺盛に近寄ってきた烏骨鶏が大慌てで逃げて行くのを笑ってしまう。
「またふえたなー」
わらわらと庭を駆け回る烏骨鶏に飯田さんもにこやかに頷きながら
「大和さんが一生懸命増殖させてくれましたので。食べ放題ですよ?」
「よし!まずは半分売り飛ばそう」
「潔い」
「綾人いきなり半分はないよ!」
「あ、大和さんただいま帰りました。だけどこの数は要らないので。エサ代請求していいですか?」
「うん。おかえり。ごめんなさい。可愛さに増やし過ぎました。諦めますのでエサ代は請求しない程度に減らしてください」
「兄ちゃん何言ってるのさ。あれほど止めろって言ったのにヒヨコが可愛くって癒されるとか訳は分かるけど囲まれて暮らしたいなんて馬鹿なこと言うからこんな事になったんだよ」
宮下がエンジン付きの一輪車で山ほどの間引いただろうハーブを乗せてやって来て俺の所まで来た所で
「綾人お帰り。荷物届いてるから運んでおいたから」
「サンキュなー。荷物の中に入ってたお土産受け取ってくれた?」
「うん。圭斗と先生にも配ったし凛ちゃんにくまのぬいぐるみも渡して来たよ。
あと内田さんと長沢さんの所のも配達して来て置いた」
「悪いな。東京で蓮司と会う約束してたからお土産だけでも先に渡しておこうと思ってな」
「気にしないで。毎日会う顔ぶれだから問題なし」
麓の家に行けば全員そろうのだから宮下に頼めば間違いないと予想通りの働きをしてくれた親友に満足していればこんな日でも安定のお犬様は俺達が立ち話している間に荷物を運んで野菜の収穫を終えていた。
ぶれないなあと感心しながら宮下がご飯は炊いておいたからとオカンぶりは相変わらずで思わずニマニマとした笑みを浮かべてしまえば
「ないそのヤラシイ笑い方は……」
宮下に警戒されるも
「何、やっと帰って来た実感を味わってるって言うの?」
「だけどね、こう言うのは変って無くてもちゃんと下界に慣れた体にはここはちょっとハードモードだから今日は一日ゆっくりして体を馴染ませてね」
「うん。酸素薄くて頭痛くなってきたからご飯食べたら薬飲んで寝る」
「ああ、もう言わん事ない!洗濯物洗っておくから出しておいてよ!」
「あざーっす」
「他にやって欲しい事は?」
「俺はご飯食べたらすぐに寝るので飯田さんを寝かしつけてください。仕事終わってから車走らせてるので」
「飯田さんも相変わらずだなあ」
なんて感心をしていれば
「大和君も宮下君も朝ご飯食べて行くでしょ?」
台所の勝手口から顔を出しての確認。
二人は嬉しそうな顔で
「「ご馳走になります!」」
しっかり胃袋を掴まれてる宮下家なので聞く方が野暮と言う物だろう。
手伝いますと言う様に勝手口から家に潜り込む二人とは別に俺は久しぶりの玄関から入って土間をあがり真っ直ぐ仏壇へと向かって
「ジイちゃん、バアちゃんただいま。夏休みになったから帰ってきました。
お盆が終わったらまた向こうに行く予定だけどそれまでちゃんと山のお勤めさせていただきます」
線香の香りが広がり、お凛の音も響けば飯田さんがご飯とお水を持って来てくれた。
「すみません。ここまでしてもらって……」
「俺の方こそ綾人さんがいないのにお邪魔させてもらってるのでこれぐらいはさせて下さい」
そう言って飯田さんも手を合わせてくれれば
「ほら翔太、お前は花を摘んで仏壇に供える!」
「えー、じゃあ兄ちゃんは?」
「俺は鳥小屋の掃除を済ませたからな」
何て相変わらず仲の良い兄弟を笑っていれば
「そうだ。綾人さんにはあのお社のお供えをお願いしますね」
「あー、あっちもいつもありがとうございます」
「いえ、俺がいる時だけなので申し訳ない位です」
京都の人なのでこう言った事には敏感なのだろう。基本は宮下が面倒見てくれてるが、やっぱり飯田さんがいる時は飯田さんが率先してやってくれるのでありがたく思う。
お供えを小さなお盆は宮下が作った物らしいがお社のアジサイの花に倣って彫刻を施した可愛らしいお盆に本日の朝食を少しずつ削って盛られたお供えを渡された。こう言うのは何か形式ばった物があるはずだがそう言った物は一切考えずにお皿に並べられているお供えは肉類は一切使ってないのがこだわりを感じてしまう。
久しぶりに履くクロックスで川沿いに一つだけ植えられたアジサイの隣に建つ、イギリスに行く前にちょっとした古くから吉野と縁を持つ人に作ってもらった犬小屋サイズのお社はまだまだ新しさを誇っており、吉野が不在の間見守ってくれるそんな存在感にお供えを置いて手を合わせる。そんな簡単なお参り。
手を合わせている間ふと遠くから獣の声が聞こえたような気がしたがここではよく聞く声なので目の前に現れなければ問題はない。
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と入った物のイギリスに向かう時は留守にするのでどうぞよろしくお願いしますなんて言うのだろうほぼ確定されてる未来の言葉にずるさを見出す物の返って来るまでは許してくれと心の中で伝えて置く。
「綾人、そろそろ食べれるよ!
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「言われなくても!」
決して軽いとはいえ二日酔いで頭が痛いなんて言えないのでそこは飯田さんの俺を見る目が呆れていても薬を飲むためにご飯は美味しく頂かせてもらいます。
家の中に戻った所で洗濯ものを出す為に広げられた鞄の中に入っていた一本の瓶。黄金色にも似た液体を持って
「朝から飲むの?」
「おや、桂花陳酒ですか。また珍しい物を」
なんて言う飯田さんに押し付ければおや?と言う様に意図をくみ取る顔。
「昨日の所で買ってきた奴なんだけど、今年の秋これを作って欲しいんだけど……」
「構いませんが金木犀のお花はどちらに?」
そんな質問には宮下だ。
「下の畑に生えてるよ。
かなり大木になっちゃったからお花を摘むのは至難の業だな」
宮下に代わって大和さんが答えてくれた。
って言うか、やっぱりあったんだなと思いながらもスマホを取出し
「何所にかけるの?」
「実桜さんにお願いするだけだよ。沢山お花を咲かしてくれますようにって」
久しぶりの家、そして美味しい朝ごはん。兄弟の如く構ってくれる宮下兄弟そろってのご飯は珍しくもあり、高地からの頭痛は何処かふわふわとさせた気分も連れて来てくれて……
ご飯を食べて土間を超えた所でぱたりと寝転んでしまえば
「あー!やっぱり熱出てるじゃん!
ったく、イギリスから帰って来たって言うのに蓮司と遊んで疲れて熱出すなんて何て子供だよ!」
「ベットに放り込んでおいてください」
「ああ、もう……」
ずるずると俺の両足を掴んで運ぶ様子に飯田さんが慌てて飛んできてくれたけど、自分の匂いの沁みついたベットと枕は石鹸の匂いもほのかに香っていて
「自分の巣って最高!」
「馬鹿言ってないで早く寝る!」
薬の力も借りて次に目が覚めた時は宮下と大和さんもとっくに帰った日没の時間。
水分を求めて家の中をふらふらと内縁を歩いていれば
「体調はどうです?夕飯はおかゆにしますか?それとも猪のアキレスけんをこんにゃくと一緒にじっくりと煮込んだ物にしますか?明日圭斗君の所に行くでしょうからたくさん作りましたから美味しいですよ?」
「猪でお願いします!」
頭痛も体のだるさもあっという間に飛び去って、絶対おいしい料理が待ち構えている夕食に幸せを覚える綾人だった。
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