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たまには色々と仕掛けをしておこうと思います 9
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樹木を植えた山に入った次の日、この日から長谷川さんの応援はないので俺達で山に上がる事にした。
昨日一日長谷川さん達に手伝ってもらって落ち葉はなくなり道路沿いの草刈りも終わっていた。
『皆さん手慣れてますね』
『何今年はやたらと草刈りの仕事が多かったから上達しただけだ』
爽やかな笑みと共にの嫌味には思わずごめんなさいだけど、俺が頼んだおかげでいろんなところからの依頼も多かったと笑ってくれた。当人はうちは工務店なんだけどなぁとぼやいていたが、なんにしろいろいろ仕事があるのは良い事だと話はついた。
そして今日も山から行こうか、と言う所で圭斗の家の前でタクシーが止まった。
こんな街にタクシーとは何じゃらほいと降りてきた人物を見れば
「お父さん、お母さん?!」
実桜さんのひっくり返った声に振り向いた二人はじっくりとこの圭斗の家の方を向いてから頭を下げた。お母さんはその後手を振るからもう逃げられないと言う様に
「少し話をしてきます」
なんて迎えに行ってしまう。
と言うかだ。
「何で圭斗の家の方から?」
「岡野家側の道路細いからタクシーの奴手抜きしやがったんじゃね?」
同じ敷地内、納得の言い分けだと思うしかないのはこの田舎の事情も含まれているのだろう。
だけど目の前の光景は嫌な予感しかなく
「ねえ、今日仕事になる?」
宮下の疑問に
「お前ら二人だけ言って来い。俺が見ておくから」
圭斗と宮下に言えば
「俺は実桜と一緒に居させてもらいます!」
凛と言うように蒼さんは言うも
「当たり前だろ。旦那が女房のピンチに仕事を理由に戦線離脱するな」
相変わらずきらっきらとした派手な色合いだけど圭斗や長谷川さんにどやされてるのを見てご近所の方達は既にカラーリングだけの問題の事言う風に生暖かい目で受け入れてくれていた。
なんせ見た目からは想像できないくらいに子煩悩なのだ。
自分が寂しい思いをして親に迷惑をかけて来た事を誰よりもよく知っているのでそんな思いをさせないと言う様に仕事の終わった後必ずと言うくらい庭で遊ぶ姿があるのだ。それは園田達からも報告が上がってきて、周囲からも毎日のように子供の笑い声が聞こえると評判になっているのだ。
楽しい笑い声の隣には25歳過ぎてもヤンキー仕様のパパが全力で娘と本気で遊んでいる光景はもはやご近所名物だ。凄く狭い地域限定的な名物だが、それでもその幸せな笑い声は新参の家族を受け入れるには十分な挨拶と受け入れられていた。
そんな幸せ家族に一点の墨を流し込む人たちがやって来た。
俺は宮下には仕事の準備を、そして圭斗と蒼さんを連れて実桜さんの所へと足を向けた。
「実桜さん、折角着て貰ったのなら事務所の方へご案内しましょう」
「あ、綾人さん。ですが……」
圭斗と両親を見比べながら
「ああ、そうだね。仕事に行かないといけないから、失礼だけどここで挨拶だけさせてもらって家の方に向おうか」
両親の顔が本当に失礼だなと言いたそうだが
「プライベートな話しだろうから。それに出かけるから事務所の鍵締めないといけないしね」
失礼になるのは当然だと言う様に理由を述べた後俺は圭斗の背中をポンと押す。
強く推したわけじゃないけど、たたらを踏む様にして一歩前を出て
「初めまして。篠田工務店の取締役をさせていただいてます篠田圭斗です」
仕事する上での挨拶だが握手はない。
どうもと頭を下げる圭斗に若造がと言いたそうに鼻を鳴らすも
「先日うちの者がお邪魔させてもらったそうだが」
圭斗の挨拶はスルーされた。何というか、想像通りと言うか予想通りと言うか。
先日来た職人さんが帰った後実桜さんのご両親絶対来るよねと言う話になり、そこから絶対挨拶しても若造がって無視されるよねと爆笑していた通りになったのでまんまだなと俺は笑いをこらえる方に必死になり、圭斗は絶対笑うなと言う様に実桜さんの良心には見えないようにつねられていた。
「とりあえず家の中に入ってもらおうよ。
そして圭斗は宮下と仕事に行っておいで」
「本当に大丈夫か?」
なんて、実桜さんと蒼さんを心配する圭斗の視線はあくまでも話が通じない実の両親と言う一例を知っている所に起因する。
確かに心配する所だが
「大丈夫。応援呼んでおいたから心配しないで」
応援とは何ぞと言う様に誰もが顔を歪ませればタイミングよく
「吉野の、お前は人使い荒い所まで一郎に似るもんじゃない」
ひょこひょことした、でも軽い足取りで現れたのは
「長沢さんすみません。本当なら内田さんにお願いしていたのですが仕事が休めなかったらしいので」
「おうおう、鉄治から聞いてる。
あいつは今ちょっとばかりでかい仕事をしてるから現場から抜け出せないからな」
かかと笑う声の後に
「若様が『動画』で鉄治の仕事を自慢するから、ちーっとばかし断れないお方からの指名なんだと。全く、あいつもいい歳だと言うのに元気なもんだ」
と言って一呼吸の間を置いて
「所で匡、うちの若様にずいぶんの態度だな」
「何で、長沢さん……
こんな小僧、いや、若者達に、って若様って……」
うわ、今長沢さんの人睨みで態度かえたよこのおっさん。
実桜さんもびっくりな様子にこの場を離れようとした圭斗所か少し離れて心配そうにこちらを見ていた宮下まで固まってるよと、横の繋がりで知ってるだろうしなんとなく上下関係には弱そうだからと保険で呼んでおいたつもりなのに想像以上の効果で俺は思わず笑顔で固まっておいた。
「わしの大恩ある吉野の大旦那様の跡取り様だ。
無礼を働いたらお前でも容赦すると思うな」
ちょ、マジかっこいいんだけど長沢さん!
だけどそれ絶対勘違いされるパターンだから止めて!
あと若様って言う奴!
宮下が今にも死にそうなくらい顔を真っ赤にして耐えてるのみて!俺もメンタル崩壊しそうだから止めて!!!
とは言いたいけど、きっとこんな事で呼びつけられた腹いせもあるのだろうからと甘んじて受け入れますけどね。
「吉野を知らないと言うのなら幸造に話を聞け。あいつも一郎と旦那様にかなり厄介になってるから。吉野のモンに手を出そうって言うんならわしが話しを付けに行くぞ」
うわー、これが燻銀ってやつなんだね。
どんな任侠な世界なんだろうって言うかジイちゃんがとヒイジイちゃん達一体何やったんだよって聞いても良いですか?
まあ、土地問題だけでいろいろしでかしてるからしでかし伝説がこれからゴロゴロと出て来ても何となく動じなくなったけどさあ……
「も、申し訳ありませんでした!!!」
なぜかがくぶると顔色悪く変な汗を流す実桜さんのお父さんに実桜さんも呆然だけど
「長沢さん、貴方は過去に一体何をやったのですか?」
親切な気の良い爺さんだと思ってたのにこんな簡単な質問が聞けない、聞いてはいけないと思う俺は所詮チキンの王様なのだろ。
昨日一日長谷川さん達に手伝ってもらって落ち葉はなくなり道路沿いの草刈りも終わっていた。
『皆さん手慣れてますね』
『何今年はやたらと草刈りの仕事が多かったから上達しただけだ』
爽やかな笑みと共にの嫌味には思わずごめんなさいだけど、俺が頼んだおかげでいろんなところからの依頼も多かったと笑ってくれた。当人はうちは工務店なんだけどなぁとぼやいていたが、なんにしろいろいろ仕事があるのは良い事だと話はついた。
そして今日も山から行こうか、と言う所で圭斗の家の前でタクシーが止まった。
こんな街にタクシーとは何じゃらほいと降りてきた人物を見れば
「お父さん、お母さん?!」
実桜さんのひっくり返った声に振り向いた二人はじっくりとこの圭斗の家の方を向いてから頭を下げた。お母さんはその後手を振るからもう逃げられないと言う様に
「少し話をしてきます」
なんて迎えに行ってしまう。
と言うかだ。
「何で圭斗の家の方から?」
「岡野家側の道路細いからタクシーの奴手抜きしやがったんじゃね?」
同じ敷地内、納得の言い分けだと思うしかないのはこの田舎の事情も含まれているのだろう。
だけど目の前の光景は嫌な予感しかなく
「ねえ、今日仕事になる?」
宮下の疑問に
「お前ら二人だけ言って来い。俺が見ておくから」
圭斗と宮下に言えば
「俺は実桜と一緒に居させてもらいます!」
凛と言うように蒼さんは言うも
「当たり前だろ。旦那が女房のピンチに仕事を理由に戦線離脱するな」
相変わらずきらっきらとした派手な色合いだけど圭斗や長谷川さんにどやされてるのを見てご近所の方達は既にカラーリングだけの問題の事言う風に生暖かい目で受け入れてくれていた。
なんせ見た目からは想像できないくらいに子煩悩なのだ。
自分が寂しい思いをして親に迷惑をかけて来た事を誰よりもよく知っているのでそんな思いをさせないと言う様に仕事の終わった後必ずと言うくらい庭で遊ぶ姿があるのだ。それは園田達からも報告が上がってきて、周囲からも毎日のように子供の笑い声が聞こえると評判になっているのだ。
楽しい笑い声の隣には25歳過ぎてもヤンキー仕様のパパが全力で娘と本気で遊んでいる光景はもはやご近所名物だ。凄く狭い地域限定的な名物だが、それでもその幸せな笑い声は新参の家族を受け入れるには十分な挨拶と受け入れられていた。
そんな幸せ家族に一点の墨を流し込む人たちがやって来た。
俺は宮下には仕事の準備を、そして圭斗と蒼さんを連れて実桜さんの所へと足を向けた。
「実桜さん、折角着て貰ったのなら事務所の方へご案内しましょう」
「あ、綾人さん。ですが……」
圭斗と両親を見比べながら
「ああ、そうだね。仕事に行かないといけないから、失礼だけどここで挨拶だけさせてもらって家の方に向おうか」
両親の顔が本当に失礼だなと言いたそうだが
「プライベートな話しだろうから。それに出かけるから事務所の鍵締めないといけないしね」
失礼になるのは当然だと言う様に理由を述べた後俺は圭斗の背中をポンと押す。
強く推したわけじゃないけど、たたらを踏む様にして一歩前を出て
「初めまして。篠田工務店の取締役をさせていただいてます篠田圭斗です」
仕事する上での挨拶だが握手はない。
どうもと頭を下げる圭斗に若造がと言いたそうに鼻を鳴らすも
「先日うちの者がお邪魔させてもらったそうだが」
圭斗の挨拶はスルーされた。何というか、想像通りと言うか予想通りと言うか。
先日来た職人さんが帰った後実桜さんのご両親絶対来るよねと言う話になり、そこから絶対挨拶しても若造がって無視されるよねと爆笑していた通りになったのでまんまだなと俺は笑いをこらえる方に必死になり、圭斗は絶対笑うなと言う様に実桜さんの良心には見えないようにつねられていた。
「とりあえず家の中に入ってもらおうよ。
そして圭斗は宮下と仕事に行っておいで」
「本当に大丈夫か?」
なんて、実桜さんと蒼さんを心配する圭斗の視線はあくまでも話が通じない実の両親と言う一例を知っている所に起因する。
確かに心配する所だが
「大丈夫。応援呼んでおいたから心配しないで」
応援とは何ぞと言う様に誰もが顔を歪ませればタイミングよく
「吉野の、お前は人使い荒い所まで一郎に似るもんじゃない」
ひょこひょことした、でも軽い足取りで現れたのは
「長沢さんすみません。本当なら内田さんにお願いしていたのですが仕事が休めなかったらしいので」
「おうおう、鉄治から聞いてる。
あいつは今ちょっとばかりでかい仕事をしてるから現場から抜け出せないからな」
かかと笑う声の後に
「若様が『動画』で鉄治の仕事を自慢するから、ちーっとばかし断れないお方からの指名なんだと。全く、あいつもいい歳だと言うのに元気なもんだ」
と言って一呼吸の間を置いて
「所で匡、うちの若様にずいぶんの態度だな」
「何で、長沢さん……
こんな小僧、いや、若者達に、って若様って……」
うわ、今長沢さんの人睨みで態度かえたよこのおっさん。
実桜さんもびっくりな様子にこの場を離れようとした圭斗所か少し離れて心配そうにこちらを見ていた宮下まで固まってるよと、横の繋がりで知ってるだろうしなんとなく上下関係には弱そうだからと保険で呼んでおいたつもりなのに想像以上の効果で俺は思わず笑顔で固まっておいた。
「わしの大恩ある吉野の大旦那様の跡取り様だ。
無礼を働いたらお前でも容赦すると思うな」
ちょ、マジかっこいいんだけど長沢さん!
だけどそれ絶対勘違いされるパターンだから止めて!
あと若様って言う奴!
宮下が今にも死にそうなくらい顔を真っ赤にして耐えてるのみて!俺もメンタル崩壊しそうだから止めて!!!
とは言いたいけど、きっとこんな事で呼びつけられた腹いせもあるのだろうからと甘んじて受け入れますけどね。
「吉野を知らないと言うのなら幸造に話を聞け。あいつも一郎と旦那様にかなり厄介になってるから。吉野のモンに手を出そうって言うんならわしが話しを付けに行くぞ」
うわー、これが燻銀ってやつなんだね。
どんな任侠な世界なんだろうって言うかジイちゃんがとヒイジイちゃん達一体何やったんだよって聞いても良いですか?
まあ、土地問題だけでいろいろしでかしてるからしでかし伝説がこれからゴロゴロと出て来ても何となく動じなくなったけどさあ……
「も、申し訳ありませんでした!!!」
なぜかがくぶると顔色悪く変な汗を流す実桜さんのお父さんに実桜さんも呆然だけど
「長沢さん、貴方は過去に一体何をやったのですか?」
親切な気の良い爺さんだと思ってたのにこんな簡単な質問が聞けない、聞いてはいけないと思う俺は所詮チキンの王様なのだろ。
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