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繰り返す変化のない俺の日常 9
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先生と久しぶりに飲んで、見事酔いつぶされた。
疲れも残ってるし、時差ボケもある。
そこに容赦なく先生のお酌のペースに立派に俺の飲むペースが乱され、こっちに何か食べ物ないかと探りに来た上島によってベットに放り込んでもらうのだった。
ちなみにその時の記憶はない。
先生は相変わらず仏間の隣の部屋の裏庭が見える部屋で適当に敷いた布団の上で大の字になって寝ていた。
先生の寝相は結構見ているが、よくよく考えると眠る所は中々見れないレアな姿だ。
テレビの前でうとうとしている事はあっても寝ると言う所までたどり着いていないし、眼は瞑っていても寝たふりだけで全然寝ていいないのはざらで何度騙されたかと脅かされた事は両手では足りない。
そんな酷い寝つきだけど洗っても残る俺の匂いの沁みついたベットで寝ればいつもの通りの時間に目を覚ますのだった。
いつの間にか暗くなった朝はまだ陽が昇る前の時間。
すっかり冷えた世界としっとりと霧が立ち込める庭を歩いて烏骨鶏ハウスの扉をあける。
小屋の大きさの割にはすっかり減った烏骨鶏の数は両手で数えるほど。
確か倍以上いたよなと昨日も気になったけど改めてその数を見ればあたまがいたくなってくる。
決していたずらに数を減らしたと言う事はあいつらの性格を理解しているので外的要因が原因なのは問い詰める前までもなく理解できる。
とりあえず烏骨鶏を庭に放そうとすれば耳が微かな音を拾う。
俺だけ小屋から出て石を拾っていればすぐに何かが上空をよぎる気配があり、反射的に石を投げるのだった。
もちろん当たるわけない。
相手はこの山の空の支配者。
「くっそー!俺の嫁達をさらうとはふてぇ野郎!降りて来い!」
叫びながら石をガンガン投げていれば
「綾人落ち着け!
相手は鷹だ!石に当るわけない!」
「だけど嫁たちが食べられっぱなしなんて!」
言いながら石を投げていれば旋回して何処かへと去って行った鷹に糖分毎朝やって来るなと経験から消え去った方を睨みつける。
「耐えろ。まさかあいつらがこんなにも毎朝来るとはさすがに俺達も理解できなかったんだ」
「一度食べれたら狩場になるのは当然だろ?
俺が今まで何度防衛して来たか説明したよな?!」
涙ながらに訴えるも先生はそっと視線をそらし
「いや、本当に毎日どころか数時間おきにチェックしに来るなんて思わなかったんだ」
なんて言う言い訳。
とりあえず今は大丈夫だからと烏骨鶏を庭に放せばある程度は植木の下など物の影に隠れながら鷹から狙われにくい低木樹の下を潜り抜ける様に庭の虫や小石をついばむのだった。
「綾人さんおはようございます」
先生に向かってもう一度烏骨鶏のお世話の仕方を叫びながらレクチャーしていれば陸斗がやって来た。
「おはよ、みんなは?」
「俺が起きた時は植田先輩はまだ起きてましたけどゲーム大会は終わったようなので一眠りすると言ってました」
「あいつら、後で今日だけだと言っておくか」
「でも朝の当番の上島先輩は今準備してるのでそろそろ顔を洗いに来るかと思います」
「さすが農家の長男。家を継ぐわけでもないのにしみついた習慣は中々変わらないか」
なんていってるあいだにねぼけまなこのうえしまがやって来た。
「っざいます。畑の水撒きます」
農家らしく半分寝ていても畑の世話を忘れない根性、褒め称えてやろう。
「先生もとりあえず風呂入ったら?
陸斗、朝ご飯作るからその間烏骨鶏の家たのむな」
「はい、終わったらご飯手伝いに行きます」
そう言ってうきうきとした足取りで烏骨鶏の世話をするのがそんなにも好きか?と俺は半分義務としての牧場の主みたいな気分で世話をしているが、陸斗の場合は完全にペット扱いだなと微笑ましく眺めれば、水門を開けて水路に水が走るのを見れば柵の電気を止めて畑の雑草取りを何も言わずに始める上島に
「悪いが味噌汁の野菜お勧めなのをいくつか持って来てくれ!」
「じゃあてきとうにもってきます!」
台所に行けば長閑な先生の鼻歌も聞こえ
「あー、やっぱりこれがあると家に帰って来たと思うな」
少し音程の外れた鼻声、そして朝でもくらい土間台所。
少し土臭い匂いと緑の匂い。
一人ホッとする俺は早速と言う様に竈の薪に火を灯すのだった。
疲れも残ってるし、時差ボケもある。
そこに容赦なく先生のお酌のペースに立派に俺の飲むペースが乱され、こっちに何か食べ物ないかと探りに来た上島によってベットに放り込んでもらうのだった。
ちなみにその時の記憶はない。
先生は相変わらず仏間の隣の部屋の裏庭が見える部屋で適当に敷いた布団の上で大の字になって寝ていた。
先生の寝相は結構見ているが、よくよく考えると眠る所は中々見れないレアな姿だ。
テレビの前でうとうとしている事はあっても寝ると言う所までたどり着いていないし、眼は瞑っていても寝たふりだけで全然寝ていいないのはざらで何度騙されたかと脅かされた事は両手では足りない。
そんな酷い寝つきだけど洗っても残る俺の匂いの沁みついたベットで寝ればいつもの通りの時間に目を覚ますのだった。
いつの間にか暗くなった朝はまだ陽が昇る前の時間。
すっかり冷えた世界としっとりと霧が立ち込める庭を歩いて烏骨鶏ハウスの扉をあける。
小屋の大きさの割にはすっかり減った烏骨鶏の数は両手で数えるほど。
確か倍以上いたよなと昨日も気になったけど改めてその数を見ればあたまがいたくなってくる。
決していたずらに数を減らしたと言う事はあいつらの性格を理解しているので外的要因が原因なのは問い詰める前までもなく理解できる。
とりあえず烏骨鶏を庭に放そうとすれば耳が微かな音を拾う。
俺だけ小屋から出て石を拾っていればすぐに何かが上空をよぎる気配があり、反射的に石を投げるのだった。
もちろん当たるわけない。
相手はこの山の空の支配者。
「くっそー!俺の嫁達をさらうとはふてぇ野郎!降りて来い!」
叫びながら石をガンガン投げていれば
「綾人落ち着け!
相手は鷹だ!石に当るわけない!」
「だけど嫁たちが食べられっぱなしなんて!」
言いながら石を投げていれば旋回して何処かへと去って行った鷹に糖分毎朝やって来るなと経験から消え去った方を睨みつける。
「耐えろ。まさかあいつらがこんなにも毎朝来るとはさすがに俺達も理解できなかったんだ」
「一度食べれたら狩場になるのは当然だろ?
俺が今まで何度防衛して来たか説明したよな?!」
涙ながらに訴えるも先生はそっと視線をそらし
「いや、本当に毎日どころか数時間おきにチェックしに来るなんて思わなかったんだ」
なんて言う言い訳。
とりあえず今は大丈夫だからと烏骨鶏を庭に放せばある程度は植木の下など物の影に隠れながら鷹から狙われにくい低木樹の下を潜り抜ける様に庭の虫や小石をついばむのだった。
「綾人さんおはようございます」
先生に向かってもう一度烏骨鶏のお世話の仕方を叫びながらレクチャーしていれば陸斗がやって来た。
「おはよ、みんなは?」
「俺が起きた時は植田先輩はまだ起きてましたけどゲーム大会は終わったようなので一眠りすると言ってました」
「あいつら、後で今日だけだと言っておくか」
「でも朝の当番の上島先輩は今準備してるのでそろそろ顔を洗いに来るかと思います」
「さすが農家の長男。家を継ぐわけでもないのにしみついた習慣は中々変わらないか」
なんていってるあいだにねぼけまなこのうえしまがやって来た。
「っざいます。畑の水撒きます」
農家らしく半分寝ていても畑の世話を忘れない根性、褒め称えてやろう。
「先生もとりあえず風呂入ったら?
陸斗、朝ご飯作るからその間烏骨鶏の家たのむな」
「はい、終わったらご飯手伝いに行きます」
そう言ってうきうきとした足取りで烏骨鶏の世話をするのがそんなにも好きか?と俺は半分義務としての牧場の主みたいな気分で世話をしているが、陸斗の場合は完全にペット扱いだなと微笑ましく眺めれば、水門を開けて水路に水が走るのを見れば柵の電気を止めて畑の雑草取りを何も言わずに始める上島に
「悪いが味噌汁の野菜お勧めなのをいくつか持って来てくれ!」
「じゃあてきとうにもってきます!」
台所に行けば長閑な先生の鼻歌も聞こえ
「あー、やっぱりこれがあると家に帰って来たと思うな」
少し音程の外れた鼻声、そして朝でもくらい土間台所。
少し土臭い匂いと緑の匂い。
一人ホッとする俺は早速と言う様に竈の薪に火を灯すのだった。
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