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とりあえずそこに座りなさい 6
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所でと断りが入った所でそちらに視線が集中すれば
「動画何て上げてどうするつもりかな?」
エドガーが動画を撮り、インターネットで拡散する事をよくわかってない人達に教える様に俺へと質問をする。
正しい質問に俺はこれからの計画を口に出す。
「動画を上げれば間違いなく広告収入を得られるでしょう。今更ありふれた料理動画だけど、オリオールの知名度を生かして撮影します。場所はこのキッチン。先日見た所では不便はないと思います」
聞けば三人そろって問題ないと言う。
「その広告収入を使ってこの城を使ってレストランを開いてもらいます」
三人はポカンとする横で飯田さんがホントにやるんだと頭を抱えていた。
「エドガーの見立てではこのキッチンは営業するに当たり問題はないと言います。ですがお三方とも年齢を考えて金、土、日の三日間のまずはランチだけの営業とします。設定金額は郊外のちょっといい感じのレストラン設定。特別な人間だけじゃないけど誰もがちょっと気取って入る設定ぐらいが良いでしょう」
「待ってくれ、そんな……」
「畑も作るので自ら野菜を作ってもらいます。勿論使ってもらっても構わないし食べてもらっても構いません」
「いや、だからそんな夢のような……」
またレストランを営業できる。そんな事があってもいいのだろうかと喜色を浮かべる顔に俺は酷く冷静な顔で伝える。
「売り上げの一部を借金の返済として俺へと払ってもらいます」
そんな甘くも優しくもない提案だ。むしろこのままだと生涯働き続けなければいけないと暗にほのめかせばオリオールは完全に動きが止まってしまった。だけど口元は何やらぶつぶつと頭の中を整理しているようなので暫くの間その思考がまとまるのを待つようにパイを食べていれば
「だとしたら全然足りない」
何が足りないと言うのか、何を考えていたのか全く理解できませんよと言う代わりにサクッとパイを齧る。
「テーブルは勿論皿やグラスもだ。どの部屋で店をやる?三人なんて到底無理だ!圧倒的に人間も足りない!」
他にはと言う様に次々に足りない物を並べて行くオリオールに
「内装テーマはこの城が建てられたアンティークでいきたいと思いますが?」
なるほどと言う様に頷きながらも必要な物を呟いて行く。勿論それを俺は記憶しながら初期投資が大変だなとオリオールの借金に上乗せをする。都心から離れてお客が来るのも怪しい立地だが、それでもオリオールは情熱的に店を作り上げようとする横で
「だったら庭も手を入れないとな。こんな何もない庭なんてお見せできる物じゃない」
ギャルソンだったリヴェットがテーブルを飾る花すらないなんてと嘆くのを聞いて
「あ、そこは大丈夫。俺の頭の中に既に庭の設計図があるから。庭らしくなるには少し時間がかかるけど任せて」
なんて胸を張って言えば
「綾人さん」
久しぶりに口を開いた飯田さんの声の低さに俺は地雷を踏んでしまった事に気が付いた。
「とりあえず座りなさい」
指をさす先や冷たい石の床の上。
エドガーとオリヴィエは又かという様に体を震わせる中、まだ何も知らないオリオール達は何が始まるのかとキョトンとしている。
飯田さんの冷たい視線に俺はしぶしぶと言う様にまた床の上で正座をすれば
「オリオールの借金の件はありがたく思います。そして新たな仕事の斡旋も俺も安心して日本に帰れると言う物です」
安心なんて顔を全く見せずに半目になって俺を見る視線からさっと顔を背ける。
「綾人さんの目的は庭であって、オリオールのレストランはおまけぐらいの考えなのでしょう?」
「えー?おまけぐらいで初期投資をつぎ込もうなんてしませんよ……」
床に視点を合わせて飯田さんの顔を見ないように言えば
「美しい庭、そして美味しい料理の並ぶテーブル。素敵な景色ですね?」
「それは思い過ごしですよ飯田様」
ばれてる、しっかりばれてる?!なんて動揺を気づかれないように笑うもはたから見れば的確な答えをついてる飯田にオリヴィエでさえ呆れ果てていた。
「綾人は素直じゃないな」
そんな呟きにエドガーもまさかその為だけにオリオールの借金を肩代わりして雇ったんじゃないでしょうねと言う様に飯田と綾人へと視線を交互に向けるのだった。
「動画何て上げてどうするつもりかな?」
エドガーが動画を撮り、インターネットで拡散する事をよくわかってない人達に教える様に俺へと質問をする。
正しい質問に俺はこれからの計画を口に出す。
「動画を上げれば間違いなく広告収入を得られるでしょう。今更ありふれた料理動画だけど、オリオールの知名度を生かして撮影します。場所はこのキッチン。先日見た所では不便はないと思います」
聞けば三人そろって問題ないと言う。
「その広告収入を使ってこの城を使ってレストランを開いてもらいます」
三人はポカンとする横で飯田さんがホントにやるんだと頭を抱えていた。
「エドガーの見立てではこのキッチンは営業するに当たり問題はないと言います。ですがお三方とも年齢を考えて金、土、日の三日間のまずはランチだけの営業とします。設定金額は郊外のちょっといい感じのレストラン設定。特別な人間だけじゃないけど誰もがちょっと気取って入る設定ぐらいが良いでしょう」
「待ってくれ、そんな……」
「畑も作るので自ら野菜を作ってもらいます。勿論使ってもらっても構わないし食べてもらっても構いません」
「いや、だからそんな夢のような……」
またレストランを営業できる。そんな事があってもいいのだろうかと喜色を浮かべる顔に俺は酷く冷静な顔で伝える。
「売り上げの一部を借金の返済として俺へと払ってもらいます」
そんな甘くも優しくもない提案だ。むしろこのままだと生涯働き続けなければいけないと暗にほのめかせばオリオールは完全に動きが止まってしまった。だけど口元は何やらぶつぶつと頭の中を整理しているようなので暫くの間その思考がまとまるのを待つようにパイを食べていれば
「だとしたら全然足りない」
何が足りないと言うのか、何を考えていたのか全く理解できませんよと言う代わりにサクッとパイを齧る。
「テーブルは勿論皿やグラスもだ。どの部屋で店をやる?三人なんて到底無理だ!圧倒的に人間も足りない!」
他にはと言う様に次々に足りない物を並べて行くオリオールに
「内装テーマはこの城が建てられたアンティークでいきたいと思いますが?」
なるほどと言う様に頷きながらも必要な物を呟いて行く。勿論それを俺は記憶しながら初期投資が大変だなとオリオールの借金に上乗せをする。都心から離れてお客が来るのも怪しい立地だが、それでもオリオールは情熱的に店を作り上げようとする横で
「だったら庭も手を入れないとな。こんな何もない庭なんてお見せできる物じゃない」
ギャルソンだったリヴェットがテーブルを飾る花すらないなんてと嘆くのを聞いて
「あ、そこは大丈夫。俺の頭の中に既に庭の設計図があるから。庭らしくなるには少し時間がかかるけど任せて」
なんて胸を張って言えば
「綾人さん」
久しぶりに口を開いた飯田さんの声の低さに俺は地雷を踏んでしまった事に気が付いた。
「とりあえず座りなさい」
指をさす先や冷たい石の床の上。
エドガーとオリヴィエは又かという様に体を震わせる中、まだ何も知らないオリオール達は何が始まるのかとキョトンとしている。
飯田さんの冷たい視線に俺はしぶしぶと言う様にまた床の上で正座をすれば
「オリオールの借金の件はありがたく思います。そして新たな仕事の斡旋も俺も安心して日本に帰れると言う物です」
安心なんて顔を全く見せずに半目になって俺を見る視線からさっと顔を背ける。
「綾人さんの目的は庭であって、オリオールのレストランはおまけぐらいの考えなのでしょう?」
「えー?おまけぐらいで初期投資をつぎ込もうなんてしませんよ……」
床に視点を合わせて飯田さんの顔を見ないように言えば
「美しい庭、そして美味しい料理の並ぶテーブル。素敵な景色ですね?」
「それは思い過ごしですよ飯田様」
ばれてる、しっかりばれてる?!なんて動揺を気づかれないように笑うもはたから見れば的確な答えをついてる飯田にオリヴィエでさえ呆れ果てていた。
「綾人は素直じゃないな」
そんな呟きにエドガーもまさかその為だけにオリオールの借金を肩代わりして雇ったんじゃないでしょうねと言う様に飯田と綾人へと視線を交互に向けるのだった。
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――― 2024.12.1 再々公開 ――――
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