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眠れぬ夜に戦う為に 7
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ローストビーフに簡単なサラダと細かく切ったスープはコンソメなんて作る時間はない為からのコーンスープ。俺が知る限りこの家にはなかったフードプロセッサーが何故ある?とか、やっぱりくっそうめぇなんて思いつつも去年飯田さんが作ってくれた方が美味いよなと思うのは生産者のプライドだろうか。焼き立てのパンは無理でもトーストしたフランスパンはカリッとしてしっかりと沁み込んだガーリックバターが何とも言えなく美味。パンだけで幾らでも食べれると瞬く間になくなっていく理由は多分半分が俺の腹に納まったからだろう。
なんだかんだ言って夕暮れの大草原を眺めながらの夕食は何処か優雅で、半分見ないふりをしたい雑草の生い茂った窓の外の世界は俺の管轄外だからそよぐ風に揺れる草さえも今は何処か愛ういと思うのはただの現実逃避だ。
「なんかおなか一杯になったら眠くなっちゃったなー」
言いながらも俺は部屋の真ん中に置かれたベットに潜り込むも直ぐに飯田さんによって布団をはぎ取られてしまった。
「寝るには早すぎますよ」
「えー?もう夜の九時じゃん」
晩御飯には遅い時間だが緯度が高い為に日本とは随分外の様子が違い色々と錯覚をしてしまう物の食欲に忠実な腹時計は時差を乗り越えて日の入り時間に食事を求めてさっさと寝ようとする習慣は他に何か用事がないと耐える事の出来ない身体は眠りを求める様に訴えていた。
はふっとあくびを零し
「となるとシンデレラは夜の十時過ぎに城に遊びに来て十二時の鐘でさっさと帰る……
仕事終わりに遊びに行って終電前に帰るお姉さま方と何が違うって話になるな」
「そこに婚活が入るか一時の享楽で終わるかの差位に留めておきましょう」
「どちらにしてもハンターには変わりないか。こわっ」
ふるりと体を震わしながらも飯田さんに奪われた布団を取り返そうと引っ張り合いになる中
「そういやオリオールさん達はどこ行ったの?さっきから見えないけど」
「三人でキッチンの方に籠ってますよ。何やら大掃除するつもりです」
「何故に?」
「キッチンが汚れているのが許せないようです」
「何で?さっきも掃除してたのに」
「悲しい習性です」
「の割には飯田さんここにいて良いんですか?」
「はい。足止めの役を与えられたので」
つまり……
「皆さん何を遊んでいらっしゃるのでしょうか」
「欲望と本能の赴くままに竈を堪能していると思います」
……。
さすが飯田さんの師匠達と言うか
「当然俺の分け前もあるよね?!」
「さあ?綾人さんは寝るつもりだったのでしょう?」
「だから起こしに来てくれたんじゃないの?!」
「そのつもりでしたがそれでも寝ようとしていたので」
「よし!目が覚めた!」
「お布団ふっかふかであったかそうですよ?」
「飯田さん寝てていいよ」
なんて布団を抱きしめる飯田さんを置いてキッチンへと向かえばすぐについてくる足音。この寂しがり屋めとキッチンへと飛び込めば想像通りの
「パイの匂い!これは何のパイですか!!!」
「アヤト、もう寝るつもりじゃなかったのかい?」
「美味しそうな匂いを嗅ぎつけてきました!」
素直に告白をすればお爺ちゃん三人組は笑みを零しながらも俺と飯田さんの分の取り皿とナイフとフォークも用意してくれた。
「いやな、今日カオルと久しぶりに一緒に買い物に行ったのだが今時の店は中々面白い物を売っててな 」
ちょうどオーブンから出されて物は
「臓物は好きか?キドニーパイなのだがこれがなかなかワインに合うんだ」
「むしろどんとこいです。って言うか、キドニーパイが食べれるとは思わなかった」
「言ってくれれば幾らでも作ったのに」
とは飯田さんは言うが
「飯田さんが作ってくれるのならキドニーパイよりももつ鍋ですね。味噌仕立ての韮をいっぱい入れた奴」
なんて言えばオリオール達は驚いたかのように
「日本でも臓物を食べるのか?」
「どちらかと言うとかなり細かい部位に分けてまで食べる民族ですよ」
「じゃあ、今はやりの牛の脳髄はどうだ?とろっとろで美味いぞ?」
「うちは鹿や猪はいても牛や豚は手に入りにくい所なので」
言えばオリオールは声を上げて笑い
「折角だ。こんな立派なキッチンを使わせてもらうのだからどんどん食べて行くと良い」
まるで晩酌用にと言わんばかりの芳しき香りと見るからに安そうなワインが並べられた。
「ここ数年馴染の酒屋しかワインを仕入れてなかったからな。こんなにも安くてうまいのがあるとは随分損をして来たなぁ」
オラスさんはこんな安いテーブルワインでも美味いのがあるとはと唸りながらも味わう様に飲み
「だがまだまだ味が若い」
そんな職業病的評価。お値段以上の物を求めてはいけません。
「オリオールの料理ならもっとどっしりした物が良い」
何て皆様好き勝手仰る中
「いや、これはワインよりビールでしょ」
冷蔵庫で冷やしていたラガーを取り出してごきゅっと半分ほど勢いよく飲めば何故かお爺ちゃん達にノン!とブーイングを頂いてしまうもお構いなしに俺はしっかりとスープを吸ったパイ生地を堪能しながらビールを呷る。
「うめえっ!」
俺の喜びの悲鳴に飯田さんも冷蔵庫からビールを取り出して
「炭酸が油のしつこさを消していいですね」
なんて至極当然の評価を言えばお爺ちゃん三人組も冷蔵庫から俺のビールを持ち出して来て
「ないとは言わないがな」
「ありと言えばありだが」
「やっぱり舌に馴染んだワインとのコンビが美味いんだよ」
それを言われたら話し合いにもならないじゃんと俺は新たにビールを開け、ゆったりと室内を見回した。
なんだかんだ言って夕暮れの大草原を眺めながらの夕食は何処か優雅で、半分見ないふりをしたい雑草の生い茂った窓の外の世界は俺の管轄外だからそよぐ風に揺れる草さえも今は何処か愛ういと思うのはただの現実逃避だ。
「なんかおなか一杯になったら眠くなっちゃったなー」
言いながらも俺は部屋の真ん中に置かれたベットに潜り込むも直ぐに飯田さんによって布団をはぎ取られてしまった。
「寝るには早すぎますよ」
「えー?もう夜の九時じゃん」
晩御飯には遅い時間だが緯度が高い為に日本とは随分外の様子が違い色々と錯覚をしてしまう物の食欲に忠実な腹時計は時差を乗り越えて日の入り時間に食事を求めてさっさと寝ようとする習慣は他に何か用事がないと耐える事の出来ない身体は眠りを求める様に訴えていた。
はふっとあくびを零し
「となるとシンデレラは夜の十時過ぎに城に遊びに来て十二時の鐘でさっさと帰る……
仕事終わりに遊びに行って終電前に帰るお姉さま方と何が違うって話になるな」
「そこに婚活が入るか一時の享楽で終わるかの差位に留めておきましょう」
「どちらにしてもハンターには変わりないか。こわっ」
ふるりと体を震わしながらも飯田さんに奪われた布団を取り返そうと引っ張り合いになる中
「そういやオリオールさん達はどこ行ったの?さっきから見えないけど」
「三人でキッチンの方に籠ってますよ。何やら大掃除するつもりです」
「何故に?」
「キッチンが汚れているのが許せないようです」
「何で?さっきも掃除してたのに」
「悲しい習性です」
「の割には飯田さんここにいて良いんですか?」
「はい。足止めの役を与えられたので」
つまり……
「皆さん何を遊んでいらっしゃるのでしょうか」
「欲望と本能の赴くままに竈を堪能していると思います」
……。
さすが飯田さんの師匠達と言うか
「当然俺の分け前もあるよね?!」
「さあ?綾人さんは寝るつもりだったのでしょう?」
「だから起こしに来てくれたんじゃないの?!」
「そのつもりでしたがそれでも寝ようとしていたので」
「よし!目が覚めた!」
「お布団ふっかふかであったかそうですよ?」
「飯田さん寝てていいよ」
なんて布団を抱きしめる飯田さんを置いてキッチンへと向かえばすぐについてくる足音。この寂しがり屋めとキッチンへと飛び込めば想像通りの
「パイの匂い!これは何のパイですか!!!」
「アヤト、もう寝るつもりじゃなかったのかい?」
「美味しそうな匂いを嗅ぎつけてきました!」
素直に告白をすればお爺ちゃん三人組は笑みを零しながらも俺と飯田さんの分の取り皿とナイフとフォークも用意してくれた。
「いやな、今日カオルと久しぶりに一緒に買い物に行ったのだが今時の店は中々面白い物を売っててな 」
ちょうどオーブンから出されて物は
「臓物は好きか?キドニーパイなのだがこれがなかなかワインに合うんだ」
「むしろどんとこいです。って言うか、キドニーパイが食べれるとは思わなかった」
「言ってくれれば幾らでも作ったのに」
とは飯田さんは言うが
「飯田さんが作ってくれるのならキドニーパイよりももつ鍋ですね。味噌仕立ての韮をいっぱい入れた奴」
なんて言えばオリオール達は驚いたかのように
「日本でも臓物を食べるのか?」
「どちらかと言うとかなり細かい部位に分けてまで食べる民族ですよ」
「じゃあ、今はやりの牛の脳髄はどうだ?とろっとろで美味いぞ?」
「うちは鹿や猪はいても牛や豚は手に入りにくい所なので」
言えばオリオールは声を上げて笑い
「折角だ。こんな立派なキッチンを使わせてもらうのだからどんどん食べて行くと良い」
まるで晩酌用にと言わんばかりの芳しき香りと見るからに安そうなワインが並べられた。
「ここ数年馴染の酒屋しかワインを仕入れてなかったからな。こんなにも安くてうまいのがあるとは随分損をして来たなぁ」
オラスさんはこんな安いテーブルワインでも美味いのがあるとはと唸りながらも味わう様に飲み
「だがまだまだ味が若い」
そんな職業病的評価。お値段以上の物を求めてはいけません。
「オリオールの料理ならもっとどっしりした物が良い」
何て皆様好き勝手仰る中
「いや、これはワインよりビールでしょ」
冷蔵庫で冷やしていたラガーを取り出してごきゅっと半分ほど勢いよく飲めば何故かお爺ちゃん達にノン!とブーイングを頂いてしまうもお構いなしに俺はしっかりとスープを吸ったパイ生地を堪能しながらビールを呷る。
「うめえっ!」
俺の喜びの悲鳴に飯田さんも冷蔵庫からビールを取り出して
「炭酸が油のしつこさを消していいですね」
なんて至極当然の評価を言えばお爺ちゃん三人組も冷蔵庫から俺のビールを持ち出して来て
「ないとは言わないがな」
「ありと言えばありだが」
「やっぱり舌に馴染んだワインとのコンビが美味いんだよ」
それを言われたら話し合いにもならないじゃんと俺は新たにビールを開け、ゆったりと室内を見回した。
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