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雨のち嵐 2
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出かけるに当たりいろいろ準備が必要なのと圭斗達の所にも顔を出して来ると言って出かけよとすれば長谷川さんが車で上がって来た。
俺も車のエンジン回そうとした所で慌てて降りて挨拶に向えば
「出かける所だったか?」
「ええ、ちょっと。所で今日は?」
「午後からでもと思って山の様子を見に来たが、今日はやっぱり無理そうだな」
今は晴れ間が見えるが朝は雲が降りてきたせいでどろどろの地面を何度か踏みしめながら溜息を零す長谷川さんは
「山の上の柵が酷いから先に直した方が良いのは判ってはいるんだが、こんな天気が続くんじゃ畑側からやろうか悩んでな」
山側にある馬小屋に資材を置いているので運ぶのが大変と言った所だろうか。天気が晴れても足元はぬかるんで、足場の悪さから事故になっても大変だとはいえ野生動物問題は何もこの家だけの問題ではなく、その厄介な事を知る長谷川さんだからこそ早く何とかしてあげたいと言う所だろう。
「畑側なら機材を使ってもらっても構いませんよ」
そう言って駐車場代わりにしている小屋のシャッターを開ける。
いつもは使う車の所しか開けないけど、自家用車、軽トラ、その奥にはトラクターやシャベルカーを始めとする農作業用の作業車が幾つもある。どれもオークションで落札し、宮下の兄貴の大和さんにメンテナンスを頼んでいる物ばかりだ。意外と機械オタクですねと呟いてしまう物の
「メンテナンスなんかに業者を頼ったら高いじゃないか」
さすが借金で農地を手放した家。お金の大事さと自分で直せるものは直すと言うスタイル嫌いじゃない。むしろ
「何所か学びにいって資格取りませんか?」
なんて囁いてみた物の
「そう言う情熱のある時代はとうに過ぎたんだよ。
それに知識はあるし、うちで使う物なら自己責任だからね。
人様からお金を貰うつもりならちゃんと勉強するけど自分で弄る分には資格なんていらないし……
俺も友達に恵まれてるから、整備士の資格持ちの奴に教えてもらって自力で何とかできるようになったから、これ内緒な?」
そう言って笑い
「機械も嫌いじゃないけど、やっぱり畑の方が俺は好きなんだ。
親父と作る蕎麦で母さんのストレスが解消できて美味い蕎麦が食べれるぐらいでいいんだよ」
かなりの事故物件の嫁さんと戦争の如く離婚した大和さんの事を思えば涙が溢れて来る。安らぎこそ、大和さんに絶対必要な物で、そんなこんなで家のトラクターのメンテナンスをいろいろお願いして小遣いを稼いでもらっているので宮下家の向かいに建てた車庫にも農作業用の機械が幾つもあり、大和さんの手でメンテナンスがきっちりと施されていた。
そんな謎の充実な機械を見て長谷川さんも笑い
「これなら家からもってくる事もないなぁ」
そんなわけないのは判ってる物の
「ガソリン代はもちますのでちゃんと入れて戻していただければ問題ないです」
一番入手しにくい燃料さえ何とかしてくれれば作業のアイテムの増加に長谷川さんも大声で笑う。
灯油、ガソリン、山を下りなければ手に入らない物を買いに行く車のガソリンで一回分の補給が必要になると言うのは大げさだがそれだけに麓に降りるのは効率が悪いので敬遠しがちな話し。
「ならお天道様がご機嫌なうちに下周りから張り替えをしよう」
「よろしくお願いします」
わざわざ飛び地の草刈りをするかどうするか直接自分の目で確かめに来てくれたのは山の天気の気まぐれさを知るからで。長谷川さんはすぐにスマホから店の方に電話して午後からの方針を決めるのだった。
「上の方は大分張替が済んだがそれでも西側の斜面の方が手つかずだからな」
「倒木した木もありますしね」
自分の家より低い位置にあるので見て見ぬふりをしていたが、そこは長谷川さんから元林業仲間に話が行ったらしく、六月になったら杉の間伐をする時に一緒に切る事になってると言う。段どりが付いたら話が来る予定だったらしいが、そう言う話が今進んでいると言う事をついでに聞かせてもらって、本当なら家主に真っ先に相談しろと言う所なのだが、皆さんから言えばそれより先に俺から話を落せと言う事なのだろう。段どり悪くて申し訳ないですと頼りない依頼主に職人の皆様に教えを乞いながら学んでいく事にする。
「所で何処か行くつもりだったろうが大丈夫か?」
足止めして申し訳ないと時計を気にするが
「はい、時間はまだ問題ないけど、明日一日家を離れる予定で……
今飯田さんが見えてまして家の事は彼に頼むつもりです。あと七月まで友人がお客さんを連れて滞在する事になりました」
「はあ、こんな山奥になぁ。真夏だったら快適だろうに」
「遊びに来たわけではないので」
「そいつは危篤だ!」
かかかと笑う様子は一見失礼にも聞こえるかもしれないけどよほどの目的がないとこんな何もない山奥に来る人なんている訳もない。
「では麓の家の方にも顔を出したいので行ってきますね」
「なら俺は健太郎達が来る前に一度山をぐるりと回らせてもらおうか」
山が懐かしいのか見上げる視線に映すのは今か昔かなんて事は聞かない。
が、その前に
「飯田さん!」
大声で呼べばひょこっと台所の勝手口から顔を出せば飯田さんに餌付け……ではなく、すっかり懐いたオリヴィエも同じように顔を出す。金髪に青いおめめのオリヴィエに長谷川さんは驚いて
「英語なんて話せないぞ?」
「フランスとかドイツとかイタリアとかそっちの言葉がメインなので英語話せなくても問題ありません」
もちろん英語も話せるらしい。さすが地続きのヨーロッパは多言語活用は子供の頃から生活に馴染んでいて自然とと言うか必要に駆られて身に付くらしい。東京からこっちに来た時の方言の馴染めなさに同じ国じゃないと思ったのに多言語でも問題なく過ごせるのだから尊敬するしかない。
そんなオリヴィエの予備知識を与えてからオリヴィエを連れてやって来た飯田さんに
「長谷川さんは山を見回ってから畑の方から工事に入るそうです。帰りに虹鱒を持たせてもらえますか?」
「なら捌いておきましょう。
俺は母屋の方に居るので長谷川さんも帰りに声をかけてください」
「いや、悪いなぁ」
悪いなと言いつつ嬉しそうな顔をするのは好物だから。
「これの甘露煮が美味いんだよ」
鮎ではなくと言う所だが野暮な事は言わない。
「でしたら今から炊けば明日には食べれますので」
うきうきとする顔にこれはもう竈を使って山ほど作るのは決定だと好きにしてくださいと言うしかない。
長谷川さんも飯田さんの料理の上手さを理解してか楽しみだと笑いながら生簀の方に向かって小さな個体を網でバケツ一杯分掬い上げ……
その数にオリヴィエも長谷川さんも驚いていたが、俺はもう見慣れた景色なので何とも思わなく、この後もう一杯のおかわりがある事を知っている上級者だ。
「圭斗君所と内田さんの所と宮下さんの所と、足りるかな?」
せっかく薪を使って作るなら大量にと言う言い分は判るし、一人では処理しきれない虹鱒を間引くにはここでケチらずガンガン使えと視線で訴える。
「温かい蕎麦に乗せて食べるの好きなんだ」
「良いですね。宮下さんにお礼は蕎麦でとリクエストしてきます」
とてもいい笑顔の飯田さんに是非ともよろしくお願いしますと言って俺は車に乗り込むのだった。
俺も車のエンジン回そうとした所で慌てて降りて挨拶に向えば
「出かける所だったか?」
「ええ、ちょっと。所で今日は?」
「午後からでもと思って山の様子を見に来たが、今日はやっぱり無理そうだな」
今は晴れ間が見えるが朝は雲が降りてきたせいでどろどろの地面を何度か踏みしめながら溜息を零す長谷川さんは
「山の上の柵が酷いから先に直した方が良いのは判ってはいるんだが、こんな天気が続くんじゃ畑側からやろうか悩んでな」
山側にある馬小屋に資材を置いているので運ぶのが大変と言った所だろうか。天気が晴れても足元はぬかるんで、足場の悪さから事故になっても大変だとはいえ野生動物問題は何もこの家だけの問題ではなく、その厄介な事を知る長谷川さんだからこそ早く何とかしてあげたいと言う所だろう。
「畑側なら機材を使ってもらっても構いませんよ」
そう言って駐車場代わりにしている小屋のシャッターを開ける。
いつもは使う車の所しか開けないけど、自家用車、軽トラ、その奥にはトラクターやシャベルカーを始めとする農作業用の作業車が幾つもある。どれもオークションで落札し、宮下の兄貴の大和さんにメンテナンスを頼んでいる物ばかりだ。意外と機械オタクですねと呟いてしまう物の
「メンテナンスなんかに業者を頼ったら高いじゃないか」
さすが借金で農地を手放した家。お金の大事さと自分で直せるものは直すと言うスタイル嫌いじゃない。むしろ
「何所か学びにいって資格取りませんか?」
なんて囁いてみた物の
「そう言う情熱のある時代はとうに過ぎたんだよ。
それに知識はあるし、うちで使う物なら自己責任だからね。
人様からお金を貰うつもりならちゃんと勉強するけど自分で弄る分には資格なんていらないし……
俺も友達に恵まれてるから、整備士の資格持ちの奴に教えてもらって自力で何とかできるようになったから、これ内緒な?」
そう言って笑い
「機械も嫌いじゃないけど、やっぱり畑の方が俺は好きなんだ。
親父と作る蕎麦で母さんのストレスが解消できて美味い蕎麦が食べれるぐらいでいいんだよ」
かなりの事故物件の嫁さんと戦争の如く離婚した大和さんの事を思えば涙が溢れて来る。安らぎこそ、大和さんに絶対必要な物で、そんなこんなで家のトラクターのメンテナンスをいろいろお願いして小遣いを稼いでもらっているので宮下家の向かいに建てた車庫にも農作業用の機械が幾つもあり、大和さんの手でメンテナンスがきっちりと施されていた。
そんな謎の充実な機械を見て長谷川さんも笑い
「これなら家からもってくる事もないなぁ」
そんなわけないのは判ってる物の
「ガソリン代はもちますのでちゃんと入れて戻していただければ問題ないです」
一番入手しにくい燃料さえ何とかしてくれれば作業のアイテムの増加に長谷川さんも大声で笑う。
灯油、ガソリン、山を下りなければ手に入らない物を買いに行く車のガソリンで一回分の補給が必要になると言うのは大げさだがそれだけに麓に降りるのは効率が悪いので敬遠しがちな話し。
「ならお天道様がご機嫌なうちに下周りから張り替えをしよう」
「よろしくお願いします」
わざわざ飛び地の草刈りをするかどうするか直接自分の目で確かめに来てくれたのは山の天気の気まぐれさを知るからで。長谷川さんはすぐにスマホから店の方に電話して午後からの方針を決めるのだった。
「上の方は大分張替が済んだがそれでも西側の斜面の方が手つかずだからな」
「倒木した木もありますしね」
自分の家より低い位置にあるので見て見ぬふりをしていたが、そこは長谷川さんから元林業仲間に話が行ったらしく、六月になったら杉の間伐をする時に一緒に切る事になってると言う。段どりが付いたら話が来る予定だったらしいが、そう言う話が今進んでいると言う事をついでに聞かせてもらって、本当なら家主に真っ先に相談しろと言う所なのだが、皆さんから言えばそれより先に俺から話を落せと言う事なのだろう。段どり悪くて申し訳ないですと頼りない依頼主に職人の皆様に教えを乞いながら学んでいく事にする。
「所で何処か行くつもりだったろうが大丈夫か?」
足止めして申し訳ないと時計を気にするが
「はい、時間はまだ問題ないけど、明日一日家を離れる予定で……
今飯田さんが見えてまして家の事は彼に頼むつもりです。あと七月まで友人がお客さんを連れて滞在する事になりました」
「はあ、こんな山奥になぁ。真夏だったら快適だろうに」
「遊びに来たわけではないので」
「そいつは危篤だ!」
かかかと笑う様子は一見失礼にも聞こえるかもしれないけどよほどの目的がないとこんな何もない山奥に来る人なんている訳もない。
「では麓の家の方にも顔を出したいので行ってきますね」
「なら俺は健太郎達が来る前に一度山をぐるりと回らせてもらおうか」
山が懐かしいのか見上げる視線に映すのは今か昔かなんて事は聞かない。
が、その前に
「飯田さん!」
大声で呼べばひょこっと台所の勝手口から顔を出せば飯田さんに餌付け……ではなく、すっかり懐いたオリヴィエも同じように顔を出す。金髪に青いおめめのオリヴィエに長谷川さんは驚いて
「英語なんて話せないぞ?」
「フランスとかドイツとかイタリアとかそっちの言葉がメインなので英語話せなくても問題ありません」
もちろん英語も話せるらしい。さすが地続きのヨーロッパは多言語活用は子供の頃から生活に馴染んでいて自然とと言うか必要に駆られて身に付くらしい。東京からこっちに来た時の方言の馴染めなさに同じ国じゃないと思ったのに多言語でも問題なく過ごせるのだから尊敬するしかない。
そんなオリヴィエの予備知識を与えてからオリヴィエを連れてやって来た飯田さんに
「長谷川さんは山を見回ってから畑の方から工事に入るそうです。帰りに虹鱒を持たせてもらえますか?」
「なら捌いておきましょう。
俺は母屋の方に居るので長谷川さんも帰りに声をかけてください」
「いや、悪いなぁ」
悪いなと言いつつ嬉しそうな顔をするのは好物だから。
「これの甘露煮が美味いんだよ」
鮎ではなくと言う所だが野暮な事は言わない。
「でしたら今から炊けば明日には食べれますので」
うきうきとする顔にこれはもう竈を使って山ほど作るのは決定だと好きにしてくださいと言うしかない。
長谷川さんも飯田さんの料理の上手さを理解してか楽しみだと笑いながら生簀の方に向かって小さな個体を網でバケツ一杯分掬い上げ……
その数にオリヴィエも長谷川さんも驚いていたが、俺はもう見慣れた景色なので何とも思わなく、この後もう一杯のおかわりがある事を知っている上級者だ。
「圭斗君所と内田さんの所と宮下さんの所と、足りるかな?」
せっかく薪を使って作るなら大量にと言う言い分は判るし、一人では処理しきれない虹鱒を間引くにはここでケチらずガンガン使えと視線で訴える。
「温かい蕎麦に乗せて食べるの好きなんだ」
「良いですね。宮下さんにお礼は蕎麦でとリクエストしてきます」
とてもいい笑顔の飯田さんに是非ともよろしくお願いしますと言って俺は車に乗り込むのだった。
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