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流星雨と共に 5

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 飽きれるほどの買い物は家と車を何往復する物だった。こまごまとした物を何度も運び入れ、山のようなカーテンを始めとした生活用品。その中には私の布団と折りたたみ簀子ベットがあった。使用頻度が少ないから簀子でもよかったのかもしれないけど、そこはちゃんとした物を買えと綾人さんに言われて妥協。出費が増えたと思うも掃除した部屋にベットを置いて布団を置く。ごろんとベットに飛び込めば
「やっぱりサイコー」
 カーテンはまだ付けていない物のベットの上でごろごろする。東京の家とは違いすぐ側に生活用品が溢れてないので広く感じるのが嬉しい。何よりも生活感がないのがまた良い。
 押入れは壊して貰ってその中に秘密基地のように机と本棚を圭ちゃんに作ってもらう。押入れ全部だと大きすぎるので三分の一は引き出し可能なクローゼットにしてもらう予定。勿論天袋も取り払って圧迫感はない秘密基地のような場所を作ってもらった。当然木製のブラインドを天井から吊り下げてもらって目隠しの準備は万全だ。
 どのみち押入れの襖が破れていたり穴が開いていたり、家のゆがみと共に開けづらかったりと、そこは補強してくれたけど新しく襖を作るくらいなら取り払ってしまえと私の帰って来た時の仕事部屋が出来たのだ。
 嘘です。
 帰って来た時の趣味部屋です。
 仕事はちょっとするかもしれないけど、周囲の情報を得る事の出来ない空間は酷くしっくりとくる。決して親に怒られた時狭い押入れに閉じ込められたのが原因ではないと願う。
 その証拠に陸斗も良いなぁと圭ちゃんを見上げて何かと訴えていて折れた辺り私の勝利だと二人に背中を向けて悪い顔。陸を育てたのは私なんだよと密かな優越感に浸る横で綾人さんがPCの設置をしてくれた。とは言え無線LANに繋ぐだけ。
 スマホももって来たノートPCも接続してもらえば動画も見放題だ。
 仕事?
 そんなの休みにする物じゃないよ。
 とりあえずいつもみたいに家に帰ったらお風呂に入ってご飯を食べて動画三昧何て日々はちょっとお預け。台所の片づけを手伝う。信じられない事に今までカセットコンロで何とかして来たといい顔をして言い切った圭ちゃんを綾人さんが絞めてくれてちゃんと電気コンロを設置してくれた。と言うか流しが新ぴかだった。
 どう言う事と綾人さんを見ると
「折角陸の仕事場になるんだ。折角なら今の常識とすり合わせたらこう言う事になるんだよ」
「と言うかこの家をモデルルームにしようとした綾人の根性に俺は感心するよ」
 ふふんと胸を張る綾人さんは陸が使う事を前提として使いやすいように圭ちゃんを抜きにして勝手にL字キッチンに変更してしまったのだ。
 挙句に圭ちゃんにこの壁をぶち抜けば洗面所と扉一枚で動線確保。台所のこの壁をぶち抜けば隣の使い勝手の悪い部屋をストッカーにも使えるし、通り抜ければ玄関にもつながる。
 便利だぞーと言う綾人さんは少しばかり建築を独学で学んだと言う。この壁は抜いても問題ないだろうと図面上の理論を圭ちゃんに確認させてぶち抜かせた強者だ。
 頭の出来が違うとやる事が違うねーと高校生の時だったら平然と言ったんだろうけど、綾人さんは独学の限りで勉強して知識を得た上で口に出すのだから本当に頭が下がってしまう。なのに綾人さんは俺の知識を理解して実行できる圭ちゃんを尊敬するって、綾人さん絶対モテると思う。本人は恋人作る気もないって言うのが謎だけど、よくよく考えたら大概の事は自力で、無理な場合はお金で解決できる綾人さんに奥さんも恋人も要らない事を理解した。必要なのは奥さんよりも生贄の烏骨鶏って言うのは何か釈然としないけど、命大事には大切だと思う。
 台所も何とか形になって陸斗と晩御飯を作る事になった。
 適当に買って来たと言う内容早くだけでオーケーなお肉と野菜。綾人さんに私の料理技術をなめられてると痛感せずにはいられなかったが、疲れただろうから作るのも片づけるの簡単な料理と言われれば反論なんて出来ない。
 何故か当然のようにこの大きな家には翔ちゃんのお部屋もある。
 宮下翔太、私の初恋で現在も恋してる優しい人。ちょっとぽやっとしてるところがあるけど、そこは私がカバーすればよい。
 小さい頃から育児放棄した親の代わりに翔ちゃんの家で色々助けてもらったのだ。私は特に女の子だから色々母親から教えてもらうはずの物を翔ちゃんのお母さんに教えてもらった。家族同然に甘え、相談して、いつも寄り添ってくれていたのが翔ちゃん。圭ちゃんと違ってからかわれやすくって見てるとまだるっこしいけどいつも笑顔で、時々遠慮がなくて。妹にしか見られてないのは分かっていても大好きなのは今も変わらない。
 部屋は隣同士緊張するなあと一人照れているも
「綾人の部屋は本当なくって良いの?」
「今はいらねー。
 歩いて五分の所のせんせーん家に布団も着替えもあるし鍵も預かってるからこんな近いところに二つも別荘なんて要らんだろ」
「それもそうだな。
 いざとなったら予備の布団で十分か」
 綾人さんの考えってよくわかんない。って言うかまだあの先生とつるんでたんだって言うか鍵預かるってどうよ?と思う。
「外灯の電気も直したし倉庫と離れの電気も直したぞ。他には?」
「害獣除けのネット張ってもらえるか?倉庫にあったやつ」
「アライグマか?」
「多分。なんか夜になると屋根裏がゴソゴソしてるんだよ」
「空き家の欠点だな。あいつらこの家の高さの塀なら上がって来れるし、庭木を伝ってどこからでも進入するぞ」
「お前のとこも何でもいるだろ。熊とか。悪いけどネットが終わったら庭木もをバッサリ切ってくれ」
「人使いあらいなー。
 だったら先に屋根裏探検するけどどこから入れる?」
「二階の物置の押し入れに階段があるからそこから上がれる」
「在宅か留守か見て来る」
 食器の梱包を解きながら作りつけの食器棚に食器を並べる。普段使いにの物は食器類は百均で揃えた。そしてお客様用のものは家具屋にあるキッチンコーナーからセットの物を選ぶ。ちょっとは安っぽすぎないはずだ。
 お風呂はまだ工事中で銭湯に通うらしいけど木目パネルの今時のお風呂でほっとする。綾人さんには悪いけど女の子には五右衛門風呂はハードルが高い。室内風呂で十分ですと、洗面所周りはもう使えるので陸にはタオル類や洗剤などを置いてもらっている。室内干しもできるようにしてくれて本当に陸に優しいお家になってるよと屋根裏から絶叫する声がなければ本当に綾人さん尊敬するのにと、蜘蛛の巣塗れになりながらも粉塵マスクとゴーグルそして箒と塵取りと言う勇者装備でゴミ袋をいくつも一杯にしてくれた事には感謝します。

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