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日常とは 7
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いや、別に牛肉だからというわけではなく、確実に一人分浮かせる手段に呆れると言うか、風呂から上がる頃には肉は跡形もないと言うか……
「知ってたけどいい根性だよな?」
「先生にはそろそろ健康に気を使ってもらわないと」
三十そこそこでまるでメタボの不健康親父のように扱うのはどうかと思う。少なくとも風呂場で見る腹筋はそこそこ引き締まったいい体をしているし、この山を一人で開拓する根性もあるのだ。むしろ塩分過多はどうよと言う料理を気にしないのはここが味噌を食べる習慣がある地域であって、またそれが美味いと言うのを良く知っているから体に良くないと判っていても口にしてしまう。美味しいんだから仕方がないじゃん。その一言に尽きる。
言いながらも容赦なく圭斗は肉を焼いて行く。
じゅうっ……金網に置いた瞬間に熱が伝わる音に圭斗の口角がにんまりと弧を描く。絶対おいしい奴だ。嗅覚視覚聴覚総てで焼かれて行く過程を見守り、そしてぺろりと唇をなめながらレア気味の肉を裏返す。もう少し焼けよと思うも岩塩だけをまぶして
「もう?!もうちょっと焼けよ!」
「これぐらいレアが美味いに決まってるだろ!ほら、陸も綾人に食べられる前に食べておけよ!」
「いただきます!」
うっすい肉じゃないんだからしゃぶしゃぶ程度の火の通りで食べるな!と言おうとする前に次々焼いては食べて行く篠田兄弟。
「いや、もうちょっと焼こうよ。もうちょっとしっかり焼こうよ?!」
「陸、遠慮するなー。食べれる時に食べて置け」
「美味しいです!」
「そりゃ美味しいに決まってるだろ」
ブランド牛ではないけど黒毛和牛だ。綺麗な刺しも入っていて脂が落ちて表面がサクッとした食感、中のレアの部分のくにっとした食感の差が良いんだと主張したいのだけど、まるで俺の分と言わんばかりに目の前に置かれた三切れは程よく火が通っていて……
まるでそれには興味がないと言わんばかりに鳥皮を焼いたり玉ねぎのホイル包みコンソメ入りを作りだしたりと……狭い七輪の上は所せましの中で陸斗が程よく育てた焼きおにぎりが食べごろとなっていた。
焼きたてのおにぎりは熱いからお皿の上に乗せて箸で食べると言う手掴みで食すと言うおにぎりの使命を忘れられているものの陸斗は半分ほど食べた所でまた焼きおにぎりを育て始めた。
「陸斗、悪いけど俺の分も焼いてもらえる?」
やっぱりうまそうだなと見て居ればもう一つ七輪の上におにぎりが置かれた。
「これを見てたらくるみ味噌が欲しくなるな」
「合わせてきましょうか?」
くるみを擂って砂糖とお酒を少し加えて味噌で練るなんて……
高校生の料理じゃねぇ。いや作る子もいるだろうがこんな身近な所に居るとはさすがに思わなかった。
「うちの陸のスキルをバカにするなよ?」
「バカにしないよ。ただもうちょっと世界を広げような?」
くるみ味噌ならこのあたりの道の駅にいくらでも売っている。そして宮下商店にも置いてあるポピュラーな物。むしろ手作りの方が手間かかるだろうと続いて口に出そうになる言葉は無理やり呑み込む。こう言った物の作り方を知る、それはあの生まれ育った場所で学んだからのもの。辛くて、苦しくて、寂しい世界でも覚えてきた事は今もちゃんと役に立とうとしている。
「くるみと言えばそう言えば落花生もそろそろ収穫時期だったな」
「お前そんな物まで作ってるのか?」
ピーナッツ何ておつまみのコーナーに行けば幾らでもあるだろうと呆れた視線を向けられるも
「いやいや、俺が食べたいのはピーナッツじゃないんだよ」
「なんか他に食べ方何てあったか?」
小首かしげる圭斗を他所に俺は陸斗を連れて笊を持って畑へと向かう。
鍬で落花生を一株根こそぎ掘り返すようにして地中から株をそのまま持ち上げるように掘り出す。
一緒に眺めに来た圭斗が
「はー、落花生って地中で実になるんだ」
感心した声に俺も笑う。
「花が咲いてそこから根っこみたいなのが伸びて地面に刺さるんだ。
朝顔の観察日記より落花生の観察日記の方が断然面白いと思う。しかも最後は食べれるしな」
「成長の過程より食べれるって言うのはいいな」
花より団子の圭斗は笑いながらもそれを焼くのか?という質問には待ってろと言って俺は水路でざぶざぶと笊事水に浸けて土を洗い落とす。
陸斗も一緒に落花生の実を取るのを手伝ってくれた。
面白いのか台所にまで付いて来てくれて俺は蟹を茹でるのと同様に海水と同じ位の塩分で圧力なべを使って十五分ほど加圧する。あとは放置するだけだしコンロのタイマーをセットすれば十五分後にはかってに火も消える。竈にはない便利機能は本当にありがたい。
「結構時間かかるんだな?」
「美味しく食べるには時間がかかるんだって飯田さんも言ってるし」
「美味いは正義だ」
頷きながらもいつの間にかビールを持って来ていて新しくプルタブを跳ね上げるのだった。
「綾人ー、風呂出たぞー。飯ー」
「とりあえず縁側行って!
頭しっかり拭いてよ!ここ下界と違って寒いんだから風邪ひくよ!」
「はいよー。やだ、七輪バーベキューまだ続いてたの?大きいのにしないとこの人数だと難しいよ?」
「俺達大体食べたから後はせんせーがゆっくり摘まむ程度でこのまま続投!」
「ならのんびり食べさせてもらうわー」
こんがりと焼けすぎたピーマンを焼き肉のたれにつけて食べる。
あれだけしし唐を食べてたのにそれに行くかと子供味覚な俺達は呆れていたが、ふと目を離したすきに玉ねぎのホイル焼きが侵略されていた。
「コンソメだけでシンプルだけどこれはいいなぁ。綾人なすも焼いてー?」
ほふほふと一人玉ねぎを頬張る先生の隣で陸斗が焼きおにぎりを死守する姿が妙にかわいく見えたのは俺だけではないはずだ。おにぎりならいくらでも焼いて食べると良いぞと俺も追加で握る横にビールを片手に圭斗がやってきて
「宮からも言われてるが先生を甘やかすのはほどほどにしろよ」
「甘やかしてるつもりはないんだけどなぁ」
宮下程面倒見が言い訳でもないしと
「綾人お前先生のお母さんになってるぞ」
「ふっ、給料全部渡してくれるようになるまであと少しか」
「お前恐ろしい事企んでたんだな」
呆れてしまうもやがてお腹がいっぱいになってかテレビから野球の放送を聞きながら烏骨鶏達を鳥小屋に入るように合図を出して集める為の餌をばらまけばどこからともなく草の汁まみれだったり砂まみれの烏骨鶏達が集まって勢いよく高たんぱくな餌を突くのを見てしっかりと鍵を閉める。壁は勿論二重扉になってる外壁はイタチ科何かが穴を掘ろうとした後があるが今の所辿り着いた獣は熊ぐらい。バアちゃんが教えてくれたから熊以外からは奪われる事はなかったものの今朝烏骨鶏達を小屋から出した瞬間一羽鷹に華麗に持ち去られてしまったのだ。
時々起きるとは言えショックは勿論あるが……
ピヨピヨと小さな雛たちが集団で固まって小屋の一角のゲージの中に住み着いている。卵を孵そうと抱えさせて始めてからでも計算しても合わないいつの間にか生まれていた雛達は逞しく育ち、寒くならないようにペット用のホットカーペットを入れて育ててるけど、大体ホットカーペットの上に居ない。そろそろ大人達と混ぜてもいいかなあと外はまだ怖いから小屋の中でも好きにさせようと思うけどその前に宮下に聞こう。なんせあいつが一番かわいがって面倒見てるからな。この隔離小屋もホットカーペットも宮下が持って来てくれた物だから判断も任せる事にしよう。俺の宮下頼みも随分ひどいなと一応反省はしている。
それよりもだ。
台所に戻って陸斗を呼ぶ。
すっかり冷めてしまった圧力鍋の圧力をしっかり抜いてふたを開けてボールに移し替える。
「圭斗、落花生の塩茹でだ。まだ熱いから注意して食べてみて」
「塩茹でってふにふにじゃん」
殻を割ると言うかむくまで軟らかくした落花生の中味もやわらかくて……
「うわっ、汁が出てきた」
「茹で汁だね。って言うかこうやって食べるんだよ」
殻の端をちゅっと吸い上げる。
茹で汁の塩味とふにゃふにゃの落花生の甘味が混ざり合い
「良い塩加減」
「落花生の塩茹で何て綾人も渋い物知ってるな」
先生もちゅっと吸い上げるように落花生を食べる。
「あー、これだとビールより日本酒が欲しくなる」
「持って来るよ。
陸斗も試してみて。枝豆と同じ要領で食べるんだよ」
言えば先生を真似する様に恐る恐ると落花生に手を伸ばす。
知って居る物とは違う柔らかさにピュッと塩が吹きだして慌てるけど、ゆっくりと口に含めばそれだけで殻は潰れて中から落花生の実が口の中に飛び込む。
「甘い……」
驚いて目を見開いて圭斗を見上げる。
「うん。こんな食べ方あったんだな」
「ふふふ、普通にゆでるとここまでならないからな。圧力鍋最高!」
俺と圭斗の分のぐいのみももって来て、陸斗にはサイダーを用意する。
「まぁ、今日はゆっくりご飯を食べよう」
炭はまだ十分にある。肉も野菜もまだまだある。
焼いて食べるだけの食事だが誰かと一緒にご飯を食べる。孤食になれたつもりだけどやっぱり温かいなと普段と変わらない食卓なはずなのに普段よりおいしく思うのは……
食卓を囲むみんなが笑っていれば当然だ。
「知ってたけどいい根性だよな?」
「先生にはそろそろ健康に気を使ってもらわないと」
三十そこそこでまるでメタボの不健康親父のように扱うのはどうかと思う。少なくとも風呂場で見る腹筋はそこそこ引き締まったいい体をしているし、この山を一人で開拓する根性もあるのだ。むしろ塩分過多はどうよと言う料理を気にしないのはここが味噌を食べる習慣がある地域であって、またそれが美味いと言うのを良く知っているから体に良くないと判っていても口にしてしまう。美味しいんだから仕方がないじゃん。その一言に尽きる。
言いながらも容赦なく圭斗は肉を焼いて行く。
じゅうっ……金網に置いた瞬間に熱が伝わる音に圭斗の口角がにんまりと弧を描く。絶対おいしい奴だ。嗅覚視覚聴覚総てで焼かれて行く過程を見守り、そしてぺろりと唇をなめながらレア気味の肉を裏返す。もう少し焼けよと思うも岩塩だけをまぶして
「もう?!もうちょっと焼けよ!」
「これぐらいレアが美味いに決まってるだろ!ほら、陸も綾人に食べられる前に食べておけよ!」
「いただきます!」
うっすい肉じゃないんだからしゃぶしゃぶ程度の火の通りで食べるな!と言おうとする前に次々焼いては食べて行く篠田兄弟。
「いや、もうちょっと焼こうよ。もうちょっとしっかり焼こうよ?!」
「陸、遠慮するなー。食べれる時に食べて置け」
「美味しいです!」
「そりゃ美味しいに決まってるだろ」
ブランド牛ではないけど黒毛和牛だ。綺麗な刺しも入っていて脂が落ちて表面がサクッとした食感、中のレアの部分のくにっとした食感の差が良いんだと主張したいのだけど、まるで俺の分と言わんばかりに目の前に置かれた三切れは程よく火が通っていて……
まるでそれには興味がないと言わんばかりに鳥皮を焼いたり玉ねぎのホイル包みコンソメ入りを作りだしたりと……狭い七輪の上は所せましの中で陸斗が程よく育てた焼きおにぎりが食べごろとなっていた。
焼きたてのおにぎりは熱いからお皿の上に乗せて箸で食べると言う手掴みで食すと言うおにぎりの使命を忘れられているものの陸斗は半分ほど食べた所でまた焼きおにぎりを育て始めた。
「陸斗、悪いけど俺の分も焼いてもらえる?」
やっぱりうまそうだなと見て居ればもう一つ七輪の上におにぎりが置かれた。
「これを見てたらくるみ味噌が欲しくなるな」
「合わせてきましょうか?」
くるみを擂って砂糖とお酒を少し加えて味噌で練るなんて……
高校生の料理じゃねぇ。いや作る子もいるだろうがこんな身近な所に居るとはさすがに思わなかった。
「うちの陸のスキルをバカにするなよ?」
「バカにしないよ。ただもうちょっと世界を広げような?」
くるみ味噌ならこのあたりの道の駅にいくらでも売っている。そして宮下商店にも置いてあるポピュラーな物。むしろ手作りの方が手間かかるだろうと続いて口に出そうになる言葉は無理やり呑み込む。こう言った物の作り方を知る、それはあの生まれ育った場所で学んだからのもの。辛くて、苦しくて、寂しい世界でも覚えてきた事は今もちゃんと役に立とうとしている。
「くるみと言えばそう言えば落花生もそろそろ収穫時期だったな」
「お前そんな物まで作ってるのか?」
ピーナッツ何ておつまみのコーナーに行けば幾らでもあるだろうと呆れた視線を向けられるも
「いやいや、俺が食べたいのはピーナッツじゃないんだよ」
「なんか他に食べ方何てあったか?」
小首かしげる圭斗を他所に俺は陸斗を連れて笊を持って畑へと向かう。
鍬で落花生を一株根こそぎ掘り返すようにして地中から株をそのまま持ち上げるように掘り出す。
一緒に眺めに来た圭斗が
「はー、落花生って地中で実になるんだ」
感心した声に俺も笑う。
「花が咲いてそこから根っこみたいなのが伸びて地面に刺さるんだ。
朝顔の観察日記より落花生の観察日記の方が断然面白いと思う。しかも最後は食べれるしな」
「成長の過程より食べれるって言うのはいいな」
花より団子の圭斗は笑いながらもそれを焼くのか?という質問には待ってろと言って俺は水路でざぶざぶと笊事水に浸けて土を洗い落とす。
陸斗も一緒に落花生の実を取るのを手伝ってくれた。
面白いのか台所にまで付いて来てくれて俺は蟹を茹でるのと同様に海水と同じ位の塩分で圧力なべを使って十五分ほど加圧する。あとは放置するだけだしコンロのタイマーをセットすれば十五分後にはかってに火も消える。竈にはない便利機能は本当にありがたい。
「結構時間かかるんだな?」
「美味しく食べるには時間がかかるんだって飯田さんも言ってるし」
「美味いは正義だ」
頷きながらもいつの間にかビールを持って来ていて新しくプルタブを跳ね上げるのだった。
「綾人ー、風呂出たぞー。飯ー」
「とりあえず縁側行って!
頭しっかり拭いてよ!ここ下界と違って寒いんだから風邪ひくよ!」
「はいよー。やだ、七輪バーベキューまだ続いてたの?大きいのにしないとこの人数だと難しいよ?」
「俺達大体食べたから後はせんせーがゆっくり摘まむ程度でこのまま続投!」
「ならのんびり食べさせてもらうわー」
こんがりと焼けすぎたピーマンを焼き肉のたれにつけて食べる。
あれだけしし唐を食べてたのにそれに行くかと子供味覚な俺達は呆れていたが、ふと目を離したすきに玉ねぎのホイル焼きが侵略されていた。
「コンソメだけでシンプルだけどこれはいいなぁ。綾人なすも焼いてー?」
ほふほふと一人玉ねぎを頬張る先生の隣で陸斗が焼きおにぎりを死守する姿が妙にかわいく見えたのは俺だけではないはずだ。おにぎりならいくらでも焼いて食べると良いぞと俺も追加で握る横にビールを片手に圭斗がやってきて
「宮からも言われてるが先生を甘やかすのはほどほどにしろよ」
「甘やかしてるつもりはないんだけどなぁ」
宮下程面倒見が言い訳でもないしと
「綾人お前先生のお母さんになってるぞ」
「ふっ、給料全部渡してくれるようになるまであと少しか」
「お前恐ろしい事企んでたんだな」
呆れてしまうもやがてお腹がいっぱいになってかテレビから野球の放送を聞きながら烏骨鶏達を鳥小屋に入るように合図を出して集める為の餌をばらまけばどこからともなく草の汁まみれだったり砂まみれの烏骨鶏達が集まって勢いよく高たんぱくな餌を突くのを見てしっかりと鍵を閉める。壁は勿論二重扉になってる外壁はイタチ科何かが穴を掘ろうとした後があるが今の所辿り着いた獣は熊ぐらい。バアちゃんが教えてくれたから熊以外からは奪われる事はなかったものの今朝烏骨鶏達を小屋から出した瞬間一羽鷹に華麗に持ち去られてしまったのだ。
時々起きるとは言えショックは勿論あるが……
ピヨピヨと小さな雛たちが集団で固まって小屋の一角のゲージの中に住み着いている。卵を孵そうと抱えさせて始めてからでも計算しても合わないいつの間にか生まれていた雛達は逞しく育ち、寒くならないようにペット用のホットカーペットを入れて育ててるけど、大体ホットカーペットの上に居ない。そろそろ大人達と混ぜてもいいかなあと外はまだ怖いから小屋の中でも好きにさせようと思うけどその前に宮下に聞こう。なんせあいつが一番かわいがって面倒見てるからな。この隔離小屋もホットカーペットも宮下が持って来てくれた物だから判断も任せる事にしよう。俺の宮下頼みも随分ひどいなと一応反省はしている。
それよりもだ。
台所に戻って陸斗を呼ぶ。
すっかり冷めてしまった圧力鍋の圧力をしっかり抜いてふたを開けてボールに移し替える。
「圭斗、落花生の塩茹でだ。まだ熱いから注意して食べてみて」
「塩茹でってふにふにじゃん」
殻を割ると言うかむくまで軟らかくした落花生の中味もやわらかくて……
「うわっ、汁が出てきた」
「茹で汁だね。って言うかこうやって食べるんだよ」
殻の端をちゅっと吸い上げる。
茹で汁の塩味とふにゃふにゃの落花生の甘味が混ざり合い
「良い塩加減」
「落花生の塩茹で何て綾人も渋い物知ってるな」
先生もちゅっと吸い上げるように落花生を食べる。
「あー、これだとビールより日本酒が欲しくなる」
「持って来るよ。
陸斗も試してみて。枝豆と同じ要領で食べるんだよ」
言えば先生を真似する様に恐る恐ると落花生に手を伸ばす。
知って居る物とは違う柔らかさにピュッと塩が吹きだして慌てるけど、ゆっくりと口に含めばそれだけで殻は潰れて中から落花生の実が口の中に飛び込む。
「甘い……」
驚いて目を見開いて圭斗を見上げる。
「うん。こんな食べ方あったんだな」
「ふふふ、普通にゆでるとここまでならないからな。圧力鍋最高!」
俺と圭斗の分のぐいのみももって来て、陸斗にはサイダーを用意する。
「まぁ、今日はゆっくりご飯を食べよう」
炭はまだ十分にある。肉も野菜もまだまだある。
焼いて食べるだけの食事だが誰かと一緒にご飯を食べる。孤食になれたつもりだけどやっぱり温かいなと普段と変わらない食卓なはずなのに普段よりおいしく思うのは……
食卓を囲むみんなが笑っていれば当然だ。
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