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逃げれない夏休みの過ごし方 1
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土曜日の朝から内田さんと一緒に先生までやって来た。
涙と鼻水を垂らしながらやってきた先生を見て朝からホラーだなと思うも理由は昨日いつもうちに風呂と飯をたかりに来るところを来るなとのメッセージに青ざめていたと言うのは圭斗の言葉。こんな状態の先生を一晩世話した苦労を思い知れと言いにわざわざ着いてやって来たのだと言う。
陸斗は勿論宮下まで連れて来て宮下商店の前で大騒ぎだった所を内田さんが通りかかった所でやって来たと言う豪華メンバー勢ぞろいと言った所だろうか。
豪華と言う点は置いといて。
俺は通常モードで朝から畑仕事や木の枝を落したり、内田さんの顔を見たら山の世話に行ったり水源のチェックに行こうかと予定立てていたのにかなり重い展開となっていた事にひいた。
「単にいつも通り疲れたからめんどくさくなって寝る事にしたから先生の面倒なんて見たくないって言う程度だよ」
「綾人君酷い!」
裏声で非難する先生のめんどくささに
「その状態で風呂に水を溜めて火を焚いてちょうどいい温度に準備させた上に晩飯と晩酌の準備しろなんて何様なんだって話しなんだけど?」
「そりゃ~先生が悪いな」
内田の親分に言われればさすがの先生もそっぽを向いて視線を反らせた。
「綾人も甘やかし過ぎだ。
先生をどこまでも頭に乗らすな」
圭斗にまでダメ出しをくらってしまった。
「なんか綾人君は良き奥さんって使われ方してるなぁ」
離婚調停中の浩太さんはさらにやつれた顔をしているが俺の不幸話を笑い飛ばしてくれる良い人だ。
「それよりも浩太に教えてもらって動画を見せてもらったぞ」
内田の親分は俺と先生を切り離す為にも強引に話題を変えてくれた。
昨夜宮下が日帰りキャンプを編集した動画をアップロードしてくれていたのを今朝知った。
番外編と言う事で俺のチェックを抜きにあげると言う暴挙に出てくれたがそれはそれでいい編集になったと思う。車を運転する俺とかソフトクリームを堪能する俺とか喫茶店の高いコーヒーに驚く俺とかそんな感じでいつもとは違う絵面でいつもと同じオープニングが違和感と共に流れ手際よくタープを張り焚火台で火を熾すこなれた感はさすが俺と自画自賛。だけどその後は俺のぎこちない釣りの映像。おたおたと生餌に翻弄されたり餌ばかり奪われたり、近くを隣のキャンパーさん達が遊んでいるので寄りつかない魚を懸命に釣ろうとしたり。それはもう宮下の容赦ない字幕がディスりまくりで浩太さんと二人大笑いしていたと言う。
笑えてもらえてありがとうございますと頭を下げながら圭斗も今陸斗と一緒に少し遅れて動画を見て笑っていた。
「それにしてもこの水でコーヒーが一杯千円になるとはなぁ?」
妙な関心をする内田さんだがこの川の水の利用方法を知る俺達としては微妙な顔つきになる。そりゃここから水を汲む場所までは何十キロと離れているとは言え生活用水は勿論烏骨鶏を絞めたり鹿などを解体した時の色々な液体は垂れ流しなのだ。村の役場のチェックでOKなのだから問題はないのだろうが
「良いか陸斗。もし沢の水を使いたかったらこの家の排水より上流の水を使うんだ。
もしくは台所にひいてきた水の方がまだ安心だ。一応うちより上流に家はないからな」
汚水や化学物質まみれの水は流れないからと言い聞かせるも時々動物の死骸が流れて行くのはここが動物の住処に住まわせてもらってる家だから。
よくわからない物のあの水汲み場の水は大したことはないと言う事を理解してもらえれば問題ない。
微妙な視線で頷く陸斗はキャンプ飯と言う飯テロを隣のキャンプグループに見せびらかすように食事をする俺を見て
「チゲ鍋って美味しいのですか?」
「あー、それなりに辛いぞ?まだポーション残ってるから今日の昼作ってやろうか?」
「いえ、さすがに……」
「そうだなあ。昼よりも夜の涼しくなった時にした方がきっと美味いはずだ」
何やら断りを入れようとした陸斗に代わって先生が晩飯にチゲ鍋を所望してきた。
「夜だったらちゃんと具材買いたくなるだろ?豆腐は外せないしタラとか、エビとか、今ならワタリガニか?」
「カニならお前の所に居るだろ?」
「だんだんめんどくさくなってきてそろそろやめようと思ってさ。
罠仕掛けて捕まえて育てても食べる所少ないし。買った方が早いしね」
「でもズワイもタラバも年々高騰してるよ?」
「せっせとそぎ落とした身とカニみそとほんの少しの日本酒を甲羅の上で混ぜて七輪で焼いて酒のあてにする、サイコーじゃないか!」
「先生、それは贅沢と言う物ですよ」
浩太さんも呆れた視線で先生を眺め、さぞ大変だっただろうと圭斗と俺にお疲れ様と言う。
二人の間にわだかまりはないと言うわけではないだろうが、それでもお互い恨むのは筋違いだと言う事は理解しているようでなるべくあの話については口に出さないようにしている空気はある。
本人にとったらとんでもないと言うだろうが、第三者から見れば親の責任は、浩太さんに関しては十分に果たしていると思う。
仕事への信頼、狭い町での噂話、離婚と待望の長男を手放したり、やっぱりと言うか幼い子供達はからかいの対象にあっているようでそれを守る母親はおらず、居なくなった母親の仕事を一身に受け入れる事になった内田さんの奥さんは少し寝込んでいたなどと言った話を聞いたりもする。
一家崩壊の苦労は俺もよく知っている。
だけど鉄治さんが家長となって何とか崩壊しそうな家族関係を繋ぎとめようと懸命に頭を下げている事も噂で聞く。
俺に話を持ってくれる皆さん方は何とか内田親子を助けたい一心のようで、俺が出来る事はこのまま家を作ってもらいまた一から信頼を築き上げてもらうしかないと言う所。
そんな事を考えている間に今回はおまけ動画と言う事もあり、いつもより短く約十分の動画は終わってしまった。
「すごい、もうこんなにコメントがある」
尊敬と言う様に陸斗がコメントを読むもほとんどが俺の生餌に対するビビり具合を笑う物が多かった。
畑を耕して山を管理しているのに生餌が怖いとは何事と。
基本虫は嫌いなんだよと改めて思うのだった。
畑を耕せばポツン、ポツンと出現する虫程度の数ならならまだしも一パック幾らで虫しかいない状態のヤツラなんてもうトラウマの光景だろ?!と思うも最後はちゃんと家まで持ち帰って烏骨鶏のおやつになりましたと言うオチは何時もドライなミルワームを与えていただけに生きた奴らを与え処分するのは飼い主として当然だと思う。
至る所に閲覧注意の文字が躍った回だったがミルワーム嫌い仲間はたくさんいたようで俺だけがチキンではない証拠が並べられて満足するのだった。
「じゃあ、今日から断熱材入れて行くぞ」
「お願いします!」
早速仕事に入る親子を見送れば俺達は家へと入り、土間上がりにどっかりと座って
「じゃあ、俺も今日は仕事あるから先生を預けるな」
「俺も昼前から仕事だから。陸斗君をお願いするね」
「あのな保護者どもよ、これだけ立派な大人は自分で自分の面倒見れるんだ。あまり構うと俺のようになるぞ」
「「それは嫌だ」」
何故かこんな時は息の合う幼馴染コンビに呆れながらも去って行った後姿を見送り、今夜はうちに食べに来ると言う不吉な言葉にそう言えばチゲ鍋だったなと冷凍庫にある食材で何とかなるなと確認に行く。
冷凍庫から戻って来る時になって俺はようやく五右衛門風呂に張った水の事をおもいだし、薪をくべて火を入れ、陸斗に本を読みながらでいいから火の番をするように本日最初の仕事を与えるのだった。
涙と鼻水を垂らしながらやってきた先生を見て朝からホラーだなと思うも理由は昨日いつもうちに風呂と飯をたかりに来るところを来るなとのメッセージに青ざめていたと言うのは圭斗の言葉。こんな状態の先生を一晩世話した苦労を思い知れと言いにわざわざ着いてやって来たのだと言う。
陸斗は勿論宮下まで連れて来て宮下商店の前で大騒ぎだった所を内田さんが通りかかった所でやって来たと言う豪華メンバー勢ぞろいと言った所だろうか。
豪華と言う点は置いといて。
俺は通常モードで朝から畑仕事や木の枝を落したり、内田さんの顔を見たら山の世話に行ったり水源のチェックに行こうかと予定立てていたのにかなり重い展開となっていた事にひいた。
「単にいつも通り疲れたからめんどくさくなって寝る事にしたから先生の面倒なんて見たくないって言う程度だよ」
「綾人君酷い!」
裏声で非難する先生のめんどくささに
「その状態で風呂に水を溜めて火を焚いてちょうどいい温度に準備させた上に晩飯と晩酌の準備しろなんて何様なんだって話しなんだけど?」
「そりゃ~先生が悪いな」
内田の親分に言われればさすがの先生もそっぽを向いて視線を反らせた。
「綾人も甘やかし過ぎだ。
先生をどこまでも頭に乗らすな」
圭斗にまでダメ出しをくらってしまった。
「なんか綾人君は良き奥さんって使われ方してるなぁ」
離婚調停中の浩太さんはさらにやつれた顔をしているが俺の不幸話を笑い飛ばしてくれる良い人だ。
「それよりも浩太に教えてもらって動画を見せてもらったぞ」
内田の親分は俺と先生を切り離す為にも強引に話題を変えてくれた。
昨夜宮下が日帰りキャンプを編集した動画をアップロードしてくれていたのを今朝知った。
番外編と言う事で俺のチェックを抜きにあげると言う暴挙に出てくれたがそれはそれでいい編集になったと思う。車を運転する俺とかソフトクリームを堪能する俺とか喫茶店の高いコーヒーに驚く俺とかそんな感じでいつもとは違う絵面でいつもと同じオープニングが違和感と共に流れ手際よくタープを張り焚火台で火を熾すこなれた感はさすが俺と自画自賛。だけどその後は俺のぎこちない釣りの映像。おたおたと生餌に翻弄されたり餌ばかり奪われたり、近くを隣のキャンパーさん達が遊んでいるので寄りつかない魚を懸命に釣ろうとしたり。それはもう宮下の容赦ない字幕がディスりまくりで浩太さんと二人大笑いしていたと言う。
笑えてもらえてありがとうございますと頭を下げながら圭斗も今陸斗と一緒に少し遅れて動画を見て笑っていた。
「それにしてもこの水でコーヒーが一杯千円になるとはなぁ?」
妙な関心をする内田さんだがこの川の水の利用方法を知る俺達としては微妙な顔つきになる。そりゃここから水を汲む場所までは何十キロと離れているとは言え生活用水は勿論烏骨鶏を絞めたり鹿などを解体した時の色々な液体は垂れ流しなのだ。村の役場のチェックでOKなのだから問題はないのだろうが
「良いか陸斗。もし沢の水を使いたかったらこの家の排水より上流の水を使うんだ。
もしくは台所にひいてきた水の方がまだ安心だ。一応うちより上流に家はないからな」
汚水や化学物質まみれの水は流れないからと言い聞かせるも時々動物の死骸が流れて行くのはここが動物の住処に住まわせてもらってる家だから。
よくわからない物のあの水汲み場の水は大したことはないと言う事を理解してもらえれば問題ない。
微妙な視線で頷く陸斗はキャンプ飯と言う飯テロを隣のキャンプグループに見せびらかすように食事をする俺を見て
「チゲ鍋って美味しいのですか?」
「あー、それなりに辛いぞ?まだポーション残ってるから今日の昼作ってやろうか?」
「いえ、さすがに……」
「そうだなあ。昼よりも夜の涼しくなった時にした方がきっと美味いはずだ」
何やら断りを入れようとした陸斗に代わって先生が晩飯にチゲ鍋を所望してきた。
「夜だったらちゃんと具材買いたくなるだろ?豆腐は外せないしタラとか、エビとか、今ならワタリガニか?」
「カニならお前の所に居るだろ?」
「だんだんめんどくさくなってきてそろそろやめようと思ってさ。
罠仕掛けて捕まえて育てても食べる所少ないし。買った方が早いしね」
「でもズワイもタラバも年々高騰してるよ?」
「せっせとそぎ落とした身とカニみそとほんの少しの日本酒を甲羅の上で混ぜて七輪で焼いて酒のあてにする、サイコーじゃないか!」
「先生、それは贅沢と言う物ですよ」
浩太さんも呆れた視線で先生を眺め、さぞ大変だっただろうと圭斗と俺にお疲れ様と言う。
二人の間にわだかまりはないと言うわけではないだろうが、それでもお互い恨むのは筋違いだと言う事は理解しているようでなるべくあの話については口に出さないようにしている空気はある。
本人にとったらとんでもないと言うだろうが、第三者から見れば親の責任は、浩太さんに関しては十分に果たしていると思う。
仕事への信頼、狭い町での噂話、離婚と待望の長男を手放したり、やっぱりと言うか幼い子供達はからかいの対象にあっているようでそれを守る母親はおらず、居なくなった母親の仕事を一身に受け入れる事になった内田さんの奥さんは少し寝込んでいたなどと言った話を聞いたりもする。
一家崩壊の苦労は俺もよく知っている。
だけど鉄治さんが家長となって何とか崩壊しそうな家族関係を繋ぎとめようと懸命に頭を下げている事も噂で聞く。
俺に話を持ってくれる皆さん方は何とか内田親子を助けたい一心のようで、俺が出来る事はこのまま家を作ってもらいまた一から信頼を築き上げてもらうしかないと言う所。
そんな事を考えている間に今回はおまけ動画と言う事もあり、いつもより短く約十分の動画は終わってしまった。
「すごい、もうこんなにコメントがある」
尊敬と言う様に陸斗がコメントを読むもほとんどが俺の生餌に対するビビり具合を笑う物が多かった。
畑を耕して山を管理しているのに生餌が怖いとは何事と。
基本虫は嫌いなんだよと改めて思うのだった。
畑を耕せばポツン、ポツンと出現する虫程度の数ならならまだしも一パック幾らで虫しかいない状態のヤツラなんてもうトラウマの光景だろ?!と思うも最後はちゃんと家まで持ち帰って烏骨鶏のおやつになりましたと言うオチは何時もドライなミルワームを与えていただけに生きた奴らを与え処分するのは飼い主として当然だと思う。
至る所に閲覧注意の文字が躍った回だったがミルワーム嫌い仲間はたくさんいたようで俺だけがチキンではない証拠が並べられて満足するのだった。
「じゃあ、今日から断熱材入れて行くぞ」
「お願いします!」
早速仕事に入る親子を見送れば俺達は家へと入り、土間上がりにどっかりと座って
「じゃあ、俺も今日は仕事あるから先生を預けるな」
「俺も昼前から仕事だから。陸斗君をお願いするね」
「あのな保護者どもよ、これだけ立派な大人は自分で自分の面倒見れるんだ。あまり構うと俺のようになるぞ」
「「それは嫌だ」」
何故かこんな時は息の合う幼馴染コンビに呆れながらも去って行った後姿を見送り、今夜はうちに食べに来ると言う不吉な言葉にそう言えばチゲ鍋だったなと冷凍庫にある食材で何とかなるなと確認に行く。
冷凍庫から戻って来る時になって俺はようやく五右衛門風呂に張った水の事をおもいだし、薪をくべて火を入れ、陸斗に本を読みながらでいいから火の番をするように本日最初の仕事を与えるのだった。
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