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わらしべ長者とは言わないけど頂き物はありがたく頂く事にしています 4
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ちょこんと見上げる顔はそこのお兄さんおやつ持っていません?
悪意無き下心の顔でやってきた烏骨鶏を俺は抱き上げてそのままぬいぐるみの如き抱きしめる。精神の安定にはやっぱり烏骨鶏だと言う様に逃げたく暴れる烏骨鶏を抱いてゴロゴロしていれば圭斗は近寄りたくないと離れて行くし見慣れている宮下は埃まるけになるから転がらないでと俺を立ちあがらせようとする始末。二人ともなんか俺の扱い酷くね?と思う。
「そう言えばもう一つ。森下さんがこのまま内田さんに工事をお願いしていいのかって心配してた。再生チームの人達は内田さん親子の人柄と腕を知ってるからそれで縁を切るわけにはいかないなんて言ってくれるけどどうするかって」
このまま内田さん中心で良いのか。決して安くはない工費を心配してくれての物だろう。ただでさえなんかハイテンションになって飯田さんのリクエスト?良し来い!みたいな買い物をしたのだ。かといってここで内田さんを外したらそれこそ気まずさだけが残る。何よりこの内田建築群に自分の作品を残すと言う言い方も変な言い方だが、一人の仕事人としての集大成として、内田の家に生まれた証を残したいだろう気持ちは否定するまでもない。
「奥さんの事は現在進行形とは言えもう済んだ事だから。俺はジイさん達やそのジイさん達からの付き合いを壊したくない」
言いながら今も暴れる烏骨鶏を手放して冷蔵庫からトウモロコシを何個か取り出し皮をむいて庭先にコロコロと転がす。さっきまで暴れていた事なんて忘れてどこからともなく集まって来た烏骨鶏達に混ざりながら一見平和そうに、でも決して平和ではない餌にありつけない烏骨鶏達を見ながらもう一つトウモロコシを取り出して粒粒だけを側に在った鉈でそげ落してありつけない烏骨鶏達に向かってばらまいてやる。
「まぁ、話ありがとう。森下さんにそれとなく最後までこのままやりますって圭斗言っておいてよ」
「俺が?」
驚く声に肩をすくめて
「森下さんが圭斗に話をもってったんだろ?だったら圭斗から返すのが筋だろ」
「案外綾人から連絡を待ってるかもしれんぞ?」
お互い睨み合っていれば
「だったら今森下さんに連絡すればいいじゃん」
身もふたもなく俺は家に置いて来たからと連絡先を知ってる圭斗のスマホで宮下がパスワードを解除して連絡を取ればすぐに出てくれてた。パスワード意味ないじゃん。
「森下さん今綾人と一緒にいるんですが少し時間良いですか?」
その切り出しにすぐにお互い顔が見えるようにと切り替えればどこかの現場のようだった。工具の乗ったバンの荷台に座った姿で周囲には一緒に仕事をしている人の姿も見えたが気にせずに話しを進めてくれた。
「吉野です。今圭斗……篠田から話を聞いた所です」
「ああ、うん。ちょっとショックだと思ったんだけど、俺達も仕事の料金貰わないといけないからちゃんとしておきたくてね」
その話は仕事をする上での正当な主張だ。
「過剰でもいけないし足りなくてもいけない。一度そんな事が身に付いたら仕事がやっていけなくなる。その線引きの確認をしたかったので、もし気に障るようでしたなら申し訳ありません。」
つい最近それによく似た話しを聞いたばかりだった。それは奇しくも
「内田さんと同じこと言うんですね」
「はい。内田さんが俺の心の師匠ですから」
おたがい静かに苦笑。
「それにしてもままなりませんね」
本人たちが幾ら真面目に仕事をしても周囲が足を引っ張るどころか今まで築き上げた信頼を壊して行く。落ち度はないのに巻き込まれて評価を下げられるなんてやってられないだろう。
「俺としてはこのまま知らないふりをして継続でお願いします。その内内田さんの事だから頭を下げて来るでしょうし、あの家はもう俺だけの物じゃないから。そんな理由で工事を止めるつもりはありません」
言えばふっと笑い声が零れた。
何かおかしなことを言ったかと思えば
「吉野さんやっとあの『家』って言ってくれましたね」
嬉しそうな声にそれが何だと思っていれば
「今までずっと納屋とか小屋とか言ってたじゃありませんか」
そうだっけ?と言われて気付いた言葉の変化に渋面を作ってしまう。
「良い変化です。家を直すのと同時に心の在り方も少しずつ変えていきましょう」
そう言う物かと思うもついでにもう一つの話しをする。
「そう言えば圭斗の家の方も手を貸してくれたとか……」
「はい。この辺りの農家の家もどんな感じなのか気になってお宅拝見代わりに少し触らせていただきました」
「費用のこと気にしてましたよ」
主におんぶにだっこでいいのだろうかと言う所だが
「頂いた分は仕事しますよ。それに前の住人の方も大事に住まわれていたみたいであまり痛みもなく駐車場も広くて羨ましい限りです!街中なのに我々の車全部お庭に入りましたし本当に羨ましいです!」
「圭斗、羨ましい二回言われてるぞ!」
「街中であの程度のコンパクトさが決め手でしたので!」
あまり近寄った事ないけど圭斗の家もべらぼうに広い農家のお家だった事を思い出せば
「確かにあれはお前に言わせるとコンパクトだな」
「うわっ!羨ましい!何それ!羨ましい!完成したら嫁と娘を連れて遊びに行ってやる!」
ムカつくを通り越えて羨ましいしか森下さんの口から出てこなくなっていた所で何やらごたごたと物音が聞こえてきた。窓から水野の姿が見えた所でもう昼かと思えば背後の仕事の人達のちらちらこちらを見る視線にここまでかと話を切り上げる事にした。
悪意無き下心の顔でやってきた烏骨鶏を俺は抱き上げてそのままぬいぐるみの如き抱きしめる。精神の安定にはやっぱり烏骨鶏だと言う様に逃げたく暴れる烏骨鶏を抱いてゴロゴロしていれば圭斗は近寄りたくないと離れて行くし見慣れている宮下は埃まるけになるから転がらないでと俺を立ちあがらせようとする始末。二人ともなんか俺の扱い酷くね?と思う。
「そう言えばもう一つ。森下さんがこのまま内田さんに工事をお願いしていいのかって心配してた。再生チームの人達は内田さん親子の人柄と腕を知ってるからそれで縁を切るわけにはいかないなんて言ってくれるけどどうするかって」
このまま内田さん中心で良いのか。決して安くはない工費を心配してくれての物だろう。ただでさえなんかハイテンションになって飯田さんのリクエスト?良し来い!みたいな買い物をしたのだ。かといってここで内田さんを外したらそれこそ気まずさだけが残る。何よりこの内田建築群に自分の作品を残すと言う言い方も変な言い方だが、一人の仕事人としての集大成として、内田の家に生まれた証を残したいだろう気持ちは否定するまでもない。
「奥さんの事は現在進行形とは言えもう済んだ事だから。俺はジイさん達やそのジイさん達からの付き合いを壊したくない」
言いながら今も暴れる烏骨鶏を手放して冷蔵庫からトウモロコシを何個か取り出し皮をむいて庭先にコロコロと転がす。さっきまで暴れていた事なんて忘れてどこからともなく集まって来た烏骨鶏達に混ざりながら一見平和そうに、でも決して平和ではない餌にありつけない烏骨鶏達を見ながらもう一つトウモロコシを取り出して粒粒だけを側に在った鉈でそげ落してありつけない烏骨鶏達に向かってばらまいてやる。
「まぁ、話ありがとう。森下さんにそれとなく最後までこのままやりますって圭斗言っておいてよ」
「俺が?」
驚く声に肩をすくめて
「森下さんが圭斗に話をもってったんだろ?だったら圭斗から返すのが筋だろ」
「案外綾人から連絡を待ってるかもしれんぞ?」
お互い睨み合っていれば
「だったら今森下さんに連絡すればいいじゃん」
身もふたもなく俺は家に置いて来たからと連絡先を知ってる圭斗のスマホで宮下がパスワードを解除して連絡を取ればすぐに出てくれてた。パスワード意味ないじゃん。
「森下さん今綾人と一緒にいるんですが少し時間良いですか?」
その切り出しにすぐにお互い顔が見えるようにと切り替えればどこかの現場のようだった。工具の乗ったバンの荷台に座った姿で周囲には一緒に仕事をしている人の姿も見えたが気にせずに話しを進めてくれた。
「吉野です。今圭斗……篠田から話を聞いた所です」
「ああ、うん。ちょっとショックだと思ったんだけど、俺達も仕事の料金貰わないといけないからちゃんとしておきたくてね」
その話は仕事をする上での正当な主張だ。
「過剰でもいけないし足りなくてもいけない。一度そんな事が身に付いたら仕事がやっていけなくなる。その線引きの確認をしたかったので、もし気に障るようでしたなら申し訳ありません。」
つい最近それによく似た話しを聞いたばかりだった。それは奇しくも
「内田さんと同じこと言うんですね」
「はい。内田さんが俺の心の師匠ですから」
おたがい静かに苦笑。
「それにしてもままなりませんね」
本人たちが幾ら真面目に仕事をしても周囲が足を引っ張るどころか今まで築き上げた信頼を壊して行く。落ち度はないのに巻き込まれて評価を下げられるなんてやってられないだろう。
「俺としてはこのまま知らないふりをして継続でお願いします。その内内田さんの事だから頭を下げて来るでしょうし、あの家はもう俺だけの物じゃないから。そんな理由で工事を止めるつもりはありません」
言えばふっと笑い声が零れた。
何かおかしなことを言ったかと思えば
「吉野さんやっとあの『家』って言ってくれましたね」
嬉しそうな声にそれが何だと思っていれば
「今までずっと納屋とか小屋とか言ってたじゃありませんか」
そうだっけ?と言われて気付いた言葉の変化に渋面を作ってしまう。
「良い変化です。家を直すのと同時に心の在り方も少しずつ変えていきましょう」
そう言う物かと思うもついでにもう一つの話しをする。
「そう言えば圭斗の家の方も手を貸してくれたとか……」
「はい。この辺りの農家の家もどんな感じなのか気になってお宅拝見代わりに少し触らせていただきました」
「費用のこと気にしてましたよ」
主におんぶにだっこでいいのだろうかと言う所だが
「頂いた分は仕事しますよ。それに前の住人の方も大事に住まわれていたみたいであまり痛みもなく駐車場も広くて羨ましい限りです!街中なのに我々の車全部お庭に入りましたし本当に羨ましいです!」
「圭斗、羨ましい二回言われてるぞ!」
「街中であの程度のコンパクトさが決め手でしたので!」
あまり近寄った事ないけど圭斗の家もべらぼうに広い農家のお家だった事を思い出せば
「確かにあれはお前に言わせるとコンパクトだな」
「うわっ!羨ましい!何それ!羨ましい!完成したら嫁と娘を連れて遊びに行ってやる!」
ムカつくを通り越えて羨ましいしか森下さんの口から出てこなくなっていた所で何やらごたごたと物音が聞こえてきた。窓から水野の姿が見えた所でもう昼かと思えば背後の仕事の人達のちらちらこちらを見る視線にここまでかと話を切り上げる事にした。
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