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それぞれの望み4

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氷室冬馬についても正臣は事前に調べていた。
有名な大学の付属高校に外部入学をした後、そのまま大学まで進み、一条ホールディングスに就職していた。
同期の中でもトップクラスの営業成績を上げているのを買われ、4年ほど前から知世の兄の貴斗の秘書を務めていた。
と、同時に一条家に半分住み込みのようになっているところまでは調査が出来た。

(彼の秘書を務めるくらいだ。優秀なのだろう)
正臣も何度か会ったことのある貴斗は、よく言えばいいところのボンボン。悪くいえばボンクラだ。
だからこそ兼近は優秀な補佐を付けているのだろう。
(よく分からないのは、知世との関係性だな)
知世は氷室のことをペットと言っていた。
知世は一条とは関係ない職場で派遣として働いているから仕事上の関係はない。
だが、話を聞く限り氷室は一条家では貴斗よりも知世の傍にいることが多いようだ。

(まぁいい。しばらくおもちゃと遊んでいる内に、氷室から何かしらとアクションあるだろう)
正臣と入れ替わるように浴室に向かった知世のことを思うと残忍な笑みが広がる。
心は決して自分のものにならないだろう。後は体がどこまで堕ちるのか。
そのことを考えると、正臣は暗い喜びを覚えるのだった。



知世がシャワーから出ると、正臣はさっさとチェックアウトをして、一人帰って行った。
まだ朝の7時だ。氷室は寝ているかもしれない。そう思ったが、精神的にも肉体的にも疲れ果てていた。
ホテル内の喫茶店でコーヒーを頼み、電話をかけるかどうか迷った末に、メッセージだけ送った。
それなら彼の時間を邪魔しないと思ったのだ。
間髪入れずに氷室から電話がかかってきた。
『どこのホテルですか?迎えに行きます』
氷室のいつもと変わらない口調に、知世は何かを堪えながら震える声でホテル名を告げた。


いつもよりラフな服装で迎えに来た氷室に連れられて車に向かう。久々に見る氷室個人の車だった。
ということは昨日は自宅に帰れたのだろう。なのに朝早くに呼び出したことに罪悪感が募るが、顔には出さなかった。
いつもの癖で後ろに乗ろうとするが、氷室は助手席に知世を座らせた。
「知世さんは今日は予定あるのですか?」
「いえ」
短く答えた知世に頷くと氷室は黙って車を走らせた。

いつもよりボーッとしていたのだろう。
自宅の方角と違うことに気づいたのは、車が首都高に乗ったからだ。
「氷室、どこに向かっているのです?」
「とりあえず神奈川方面ですね。別に行先は決めていません。その顔で家に帰れないでしょう?どこかで時間潰しましょう」
行きたいところあります?と尋ねる氷室はいつも家で見せる顔よりリラックスしている。

氷室の横顔を見ていると中学生の頃に戻ったみたいに思える。あの時はまだ何も知らなかった。
氷室の生い立ちも、一条家がどのようにして大きくなってきたのかも。
何も知らないまま、生きていければよかった。
それでも今は知っている。
知ってしまった以上、知らない時には戻れないことも理解していた。

「藤間さんに下手だと言われました。次会う時までに練習しておけ、と。氷室、今から教えてくださる?」


首都高を降りた氷室はすぐ近くにあったラブホテルに入る。
初めてくる知世とは対照的に氷室は戸惑う様子もなく部屋を選ぶ。
「慣れているのですね」
氷室は否定も肯定もしなかった。


「ひゃ……んっ!んぁ……。あっ……」
「ちゃんとイかせて貰えなかったんですか?少し舐めただけですごく溢れている」
そう言って強くクリトリスを吸い上げる。いつもならイけない刺激。それでも、今日の知世は敏感に反応しあっさり達する。
無理やり正臣のを咥えた衝撃で忘れていたが、知世の体は散々焦らされたのにも関わらず1度しか絶頂を許されていなかった。
「ん……。あなたっが……知るっ……必要っんっ……ふぁん!!」
全部言い終わる前に2度目の高みに上り詰める。
昨日の夜からほとんど寝ていない中で、体は疲れ果てているのにも関わらず、体の奥底の燻りは解消されなかった。
理由は分かっていた知世は、氷室に欲しいものをねだる。

「……指」
「ん?指がどうしたんです?」
「指を……入れてください。処女膜を傷つけないように」
氷室は躊躇うことなく指を1本入れた。
「ひゃん……っ!あっ……。ふぁ……。んっ!!」
氷室の指を挿入された瞬間、知世は呆気なく達する。なのに体はまだ足りないとばかりに、氷室の指に腰を押し付ける。
「やぁっ!ん……んっ!……知らなっ……。ふぁ……。イっ!!」
頭ではこれ以上すると理性が吹っ飛ぶと分かっているのに、体が快楽を追いかける。
長めでスラッとしている正臣とは違い、太く節だった氷室の指を貪欲に求める。
「藤間さんに教えて貰ったのですか?ナカを触られる快感を。……いいですよ、いっぱいイってください」
氷室は知世のクリトリスを口に含む。知世好みの、舌先でクリトリスの先をつつきながら、時折全て吸い出すようにむしゃぶりつく。
止まらない指の動きと、氷室にいやという程教えられたクリトリスでの愛撫にいつもと違うものが体の奥底から湧き上がってくる。

「やっ……!んっ……!出ちゃっ!!なにっか……!んっふぁん!……でっ」
「全部出してください。……飲み干します」
その言葉にブルリと身を震わせた知世は、襲ってくる快楽の波に抗えなかった。
「ひっ……。ふぁー!!んっ!出ちゃ……う!あっ!んっ……。ふぁっ!……あっ!!」
知世が達するタイミングを見計らって氷室は指の動きと同時にクリトリスを思いっきり吸い上げる。
「ひゃ!!んっ!あっーー!!んっふぁっ!!とっま……!イっ!!」
ガクガクと体を痙攣させ、潮を噴きながら知世は達した。

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