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セディの告白
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翌日からは6階は基本的に立ち入り禁止になりました。
しかもあの王太子が『つまらん幽霊』認定してくださったおかげで、幽霊騒動も一段落です。
だって王子さまが『つまらな~い』って言ってるのに、自分達がもてはやす訳にはいきません。
「図書館の幽霊だって? あんなものを面白がるのは馬鹿な奴らだけさ!」
こんな風にさらっと流すのが今のトレンドです。
おかげ様で幽霊に夢中なエルグラント卿の評価は、面白いぐらい急降下しています。
「エルグラント卿も酔狂なものだが、もともとただの魔術馬鹿だったのさ。あんなのが筆頭魔術師なのがおかしいのさ。」
ですからセディは今日もとてもご機嫌なんです。
まぁ今まで強かった風当りが急激に弱くなって、上手くいけば筆頭魔術師のお役目を降りることができそうだからです。
「でもセディ。王室から首になったらどうするつもりなんですか?」
幽霊の間でのんびりとお茶をすすっているエルグラント卿に聞いてみました。
やっぱりリストラされるって困るんじゃないでしょうか?
「いやぁ、出来れば温泉と湖がある山の中で、のんびりとしたスローライフがおくりたいねぇ。」
「温泉と湖。それに山ですって! 素敵ですねぇ。大賛成ですわ。」
私が大喜びしているとセディはチラッとこちらを見ていいました。
「ミーナは図書館の幽霊になるのが夢だったんだろ?」
「そ、それはそうですけれど。でも温泉ですよね。それに窓から湖や山々がみえるのでしょう? ぜーったいのんびりできますよね。私も憧れてたんですよスローライフ。」
それを聞くとセディはクックと笑いだし、私を抱き寄せると膝に乗っけてしまいました。
「意地悪言ってわるかったね。私とミーナって趣味がにているんだねぇ。だったら私が田舎に隠居したら家に図書館を作ってあげるよ。私の図書館に一緒に来るかい?」
「行く!いきまぁ~す。絶対一緒に連れていって下さいね。約束ですよ。」
私はそれがどういう意味を持つことになるのか深く考えずに返事をしてしまいました。
それを聞いたセディは、すっかり満足したみたいです。
「もう、いっそさっさと辞表でもだしてしまうかぁ。」
なんて呟いています。
それいいですね。
私も大賛成ですよ。
「それでセディ、インクと紙はどうですか?なんとかなります?」
「大丈夫だよ。こっちでは使わない材料が使われていたみたいだけどね。ちょうど腕のいい錬金術師がいたのでね。解析に成功して、今日は試作品を持ってきてくれることになっているんだが……」
まるでセディの言葉を聞いていたみたいに、男がひとりやってきました。
浮浪者ではないと思います。
でも何日も着替えをしていないことは確かですね。
30代くらいのひげもじゃの熊みたいな人です。
「出来たぞ! これで使えるはずだ。自信作だぜ。それよかセディ。あのシャンプーとリンス売りにださないか?あれならすまし顔の貴族令嬢に高値で売れるぞ。いい資金源になりそうだな。」
なんだか興奮して一方的にまくし立てていますが、きっとこれも職人気質のなせる技って奴ですよね。
「パドス、挨拶くらいしたらどうだ。ミーナすまないね。きっとわかったと思うがこいつが例の錬金術師さ。腕はいいんだがなぁ。ちょっと礼儀知らずなんだ。」
セディの説明にパドスはさも心外そうに抗議しました。
「お前だけには言われたくねぇよ。どれだけ社交をサボってやがるんだよ。こないだも宰相閣下がぼやいてらしたぞ。」
「あぁ、兄貴ならいつものことさ。気にしなくていい。」
ちょっと待ってくださいよ。
宰相閣下のことを、兄貴って言ってましたよね。
とゆーことは、セディって宰相閣下の弟ってことですよ。
かなり上位の貴族だと思ってましたが、これってうっかりすると相当身分が高いのかもしれませんよ。
「あ~。お前さんが異界からきた幽霊さんかい?」
パドスがさらっと異界って言葉をだしました。
まさかセディ、私がこの世界の人間じゃないって気が付いていたんですか?
いったい何時から?
私が硬直してしまったのを見て、セディはパドスの頭に拳固をくらわしました。
「いってぇなぁ。なにしやがるんだよ。」
「ものには順序ってものがあるんですよ。見てごらんなさい。可愛そうにミーナが固まってしまっているじゃありませんか。」
そうしてセディはソファーにパドスと私を坐らせると、自分は私の横に腰かけて、人数分のお茶とお菓子をベッキーに頼んでいました。
「お菓子はオランジェリーのを用意しているからね。それを頼むよ。残ったお菓子は持って帰りなさい。お茶を出してくれたら今日はもういいからね。」
それを聞くとベッキーはとてもうれしそう準備をしてくれます。
セディも私のやり方を見て、時々こうしてベッキーの弟妹にもお菓子を買ってきてくれるんです。
セディにとっては、はした金でもベッキーの幼い子供たちにとってはとっておきの贅沢になります。
お姉さんであるベッキーの株も最近急上昇なんですってよ。
「この部屋を準備したのは、もともと君を守るためだったのさ。本当なら私の家に引き取っても良かったんだけれど、いきなり見知らぬ男についてくる気にはならないだろう?」
それはそうです。
いきなり見も知らぬ世界に飛ばされて、面識もない人から家に来いって誘われたら、警戒するのが普通ですよね。
「でもどうして異世界から来たってわかったんですか?」
私が不思議そうに尋ねたらパドスが素っ頓狂な声で叫びました!
「え~! まだ白状してなかったんですかい? お前の術式に巻き込んだんだって!」
それを聞いた途端セディは頭を抱えて呟きました。
「だから、物事には順番があるっていってるだろうが。」
私はと~ってもひくい声でセディに尋ねました。
「セディ!」
その声を聞くなり、セディは背筋をピンとのばします。
「はい、何かなミーナ。」
なんだか笑顔がぎこちなくなってますよ、セディ。
「つまり、お前が全ての元凶かぁー!」
私はセディに指を突きつけて大声をあげました。
「ミーナ、ミーナちゃん。ちょっと落ち着こうか。」
セディはあたふたしながら私を宥めにかかりますし、パドスはニヤニヤしながらそれを見ています。
「すまない。」
セディは諦めたように謝りました。
ふぅ、仕方ありませんねぇ。
「もうこっちにきちゃったもには仕方ありません。それで呼んだからには帰れるんでしょうねぇ。」
私の言葉にセディとパドスが固まりました。
つまりそれってもしかして?
「帰れないってことなんですか? いったいなんの術式を使ったんですか?」
セディの答えはあまりに小さい声なので全く聞こえませんでした。
「セディ、聞こえないので大きな声で言って下さい。」
それでもセディはもじもじしてなかなか返事をしません。
私はパドスを睨みました。
パドスはしぶしぶ返事をします。
「こいつは伝説の姫を召喚しようとしたんだ。この国には異界から黒髪・黒目のそれは美しい姫君がこの世界に紛れ込むことがあるって伝説があるのさ。ただの伝説で今時子供でも信じちゃいねぇんだが、こいつは昔から異界渡りのお姫さまに夢中でさ。当代一の術者と言われるようになったのも、姫に会いたいからなんだぜ。」
え~と、つまり都市伝説があったという訳ですよね。
そりゃ日本にも羽衣伝説とかで天女が地上の男に囚われるってお伽話もありますしね。
うん、そこまでは理解できる。
天女とかって、男が憧れそうですもんね。
で、この男はそれを現実にしたくてひたすら頑張ったわけですね。
そしてとうとう王国一番の術者になったと。
ここまでなら王道のサクセスストーリーとして許容範囲です。
その召喚式を作り上げたって訳ですかね。
もう天才と何とかは紙一重の世界でしょうか。
セディは天女オタクなんですね。
そこでやって来たのが私……。
すいませんねぇ~。
地味子で。
なんかもう申し訳ない気分になっちゃうのは何故だろう。
私は被害者。
巻き込まれただけ。
だけど少年セディが必死で努力した術式で、こんなのが落っこちるなんて。
やっぱり申し訳ない気分です。
私が黙り込んでいるので、セディがおずおずと告白しました。
「異界渡りの姫君をこの世界に落とすためには、キスをすればいいんだ。だから私は君を見つけてすぐにキスしてしまったんだよ。もう帰したくなくて……。ごめん。でもずっとそばにいて欲しかったんだ。」
「だってセディ。異界渡りの姫君って絶世の美女なんでしょ。わたしなんて平凡でちっとも美しくないわ。いったいどうやったら異界渡りの姫君だなんて勘違い出来たって言うのよ。」
私はなんだか無性に腹が立ってたまらなかった。
セディは誰でも良かったんだ。
異世界から来た女なら、だれにでも親切にしたんだ。
そんなのあんまりだ。
私は自分の気持ちがどうしてこうもささくれだってしまうのかわからなかった。
けれどセディがただ異界から来たってだけで親切にしてくれているのだと思うと、とっても嫌な気分になったのです。
「ミーナだから。顔とか関係ない。ミーナがいいんだ。ごめん。ミーナはとっても綺麗だよ。その好奇心にあふれるキラキラした瞳とかさ。無茶苦茶やってしまってしょんぼりしている姿とかさ。最初にミーナが自分を偽ろうとしている時凄く腹が立ったんだ。」
ちょっと待て。
落ち着こう。
セディ。
それじゃぁ、まるで。
まるで……。
「ミーナを一目見た時に、運命の人だってわかったんだよ。なのにミーナは私の顔すら見ようとしなかったろ。だから逃がしたくなかったから。キスした。ごめん。でも次だってぜったいにキスするよ。ミーナを捕まえるためならなんでもする。」
それって
やっぱり
恋の告白ですよね。
私はその告白がとって暖かいなぁって思って、だからセディに抱き着いてキスをしたんだ。
しかもあの王太子が『つまらん幽霊』認定してくださったおかげで、幽霊騒動も一段落です。
だって王子さまが『つまらな~い』って言ってるのに、自分達がもてはやす訳にはいきません。
「図書館の幽霊だって? あんなものを面白がるのは馬鹿な奴らだけさ!」
こんな風にさらっと流すのが今のトレンドです。
おかげ様で幽霊に夢中なエルグラント卿の評価は、面白いぐらい急降下しています。
「エルグラント卿も酔狂なものだが、もともとただの魔術馬鹿だったのさ。あんなのが筆頭魔術師なのがおかしいのさ。」
ですからセディは今日もとてもご機嫌なんです。
まぁ今まで強かった風当りが急激に弱くなって、上手くいけば筆頭魔術師のお役目を降りることができそうだからです。
「でもセディ。王室から首になったらどうするつもりなんですか?」
幽霊の間でのんびりとお茶をすすっているエルグラント卿に聞いてみました。
やっぱりリストラされるって困るんじゃないでしょうか?
「いやぁ、出来れば温泉と湖がある山の中で、のんびりとしたスローライフがおくりたいねぇ。」
「温泉と湖。それに山ですって! 素敵ですねぇ。大賛成ですわ。」
私が大喜びしているとセディはチラッとこちらを見ていいました。
「ミーナは図書館の幽霊になるのが夢だったんだろ?」
「そ、それはそうですけれど。でも温泉ですよね。それに窓から湖や山々がみえるのでしょう? ぜーったいのんびりできますよね。私も憧れてたんですよスローライフ。」
それを聞くとセディはクックと笑いだし、私を抱き寄せると膝に乗っけてしまいました。
「意地悪言ってわるかったね。私とミーナって趣味がにているんだねぇ。だったら私が田舎に隠居したら家に図書館を作ってあげるよ。私の図書館に一緒に来るかい?」
「行く!いきまぁ~す。絶対一緒に連れていって下さいね。約束ですよ。」
私はそれがどういう意味を持つことになるのか深く考えずに返事をしてしまいました。
それを聞いたセディは、すっかり満足したみたいです。
「もう、いっそさっさと辞表でもだしてしまうかぁ。」
なんて呟いています。
それいいですね。
私も大賛成ですよ。
「それでセディ、インクと紙はどうですか?なんとかなります?」
「大丈夫だよ。こっちでは使わない材料が使われていたみたいだけどね。ちょうど腕のいい錬金術師がいたのでね。解析に成功して、今日は試作品を持ってきてくれることになっているんだが……」
まるでセディの言葉を聞いていたみたいに、男がひとりやってきました。
浮浪者ではないと思います。
でも何日も着替えをしていないことは確かですね。
30代くらいのひげもじゃの熊みたいな人です。
「出来たぞ! これで使えるはずだ。自信作だぜ。それよかセディ。あのシャンプーとリンス売りにださないか?あれならすまし顔の貴族令嬢に高値で売れるぞ。いい資金源になりそうだな。」
なんだか興奮して一方的にまくし立てていますが、きっとこれも職人気質のなせる技って奴ですよね。
「パドス、挨拶くらいしたらどうだ。ミーナすまないね。きっとわかったと思うがこいつが例の錬金術師さ。腕はいいんだがなぁ。ちょっと礼儀知らずなんだ。」
セディの説明にパドスはさも心外そうに抗議しました。
「お前だけには言われたくねぇよ。どれだけ社交をサボってやがるんだよ。こないだも宰相閣下がぼやいてらしたぞ。」
「あぁ、兄貴ならいつものことさ。気にしなくていい。」
ちょっと待ってくださいよ。
宰相閣下のことを、兄貴って言ってましたよね。
とゆーことは、セディって宰相閣下の弟ってことですよ。
かなり上位の貴族だと思ってましたが、これってうっかりすると相当身分が高いのかもしれませんよ。
「あ~。お前さんが異界からきた幽霊さんかい?」
パドスがさらっと異界って言葉をだしました。
まさかセディ、私がこの世界の人間じゃないって気が付いていたんですか?
いったい何時から?
私が硬直してしまったのを見て、セディはパドスの頭に拳固をくらわしました。
「いってぇなぁ。なにしやがるんだよ。」
「ものには順序ってものがあるんですよ。見てごらんなさい。可愛そうにミーナが固まってしまっているじゃありませんか。」
そうしてセディはソファーにパドスと私を坐らせると、自分は私の横に腰かけて、人数分のお茶とお菓子をベッキーに頼んでいました。
「お菓子はオランジェリーのを用意しているからね。それを頼むよ。残ったお菓子は持って帰りなさい。お茶を出してくれたら今日はもういいからね。」
それを聞くとベッキーはとてもうれしそう準備をしてくれます。
セディも私のやり方を見て、時々こうしてベッキーの弟妹にもお菓子を買ってきてくれるんです。
セディにとっては、はした金でもベッキーの幼い子供たちにとってはとっておきの贅沢になります。
お姉さんであるベッキーの株も最近急上昇なんですってよ。
「この部屋を準備したのは、もともと君を守るためだったのさ。本当なら私の家に引き取っても良かったんだけれど、いきなり見知らぬ男についてくる気にはならないだろう?」
それはそうです。
いきなり見も知らぬ世界に飛ばされて、面識もない人から家に来いって誘われたら、警戒するのが普通ですよね。
「でもどうして異世界から来たってわかったんですか?」
私が不思議そうに尋ねたらパドスが素っ頓狂な声で叫びました!
「え~! まだ白状してなかったんですかい? お前の術式に巻き込んだんだって!」
それを聞いた途端セディは頭を抱えて呟きました。
「だから、物事には順番があるっていってるだろうが。」
私はと~ってもひくい声でセディに尋ねました。
「セディ!」
その声を聞くなり、セディは背筋をピンとのばします。
「はい、何かなミーナ。」
なんだか笑顔がぎこちなくなってますよ、セディ。
「つまり、お前が全ての元凶かぁー!」
私はセディに指を突きつけて大声をあげました。
「ミーナ、ミーナちゃん。ちょっと落ち着こうか。」
セディはあたふたしながら私を宥めにかかりますし、パドスはニヤニヤしながらそれを見ています。
「すまない。」
セディは諦めたように謝りました。
ふぅ、仕方ありませんねぇ。
「もうこっちにきちゃったもには仕方ありません。それで呼んだからには帰れるんでしょうねぇ。」
私の言葉にセディとパドスが固まりました。
つまりそれってもしかして?
「帰れないってことなんですか? いったいなんの術式を使ったんですか?」
セディの答えはあまりに小さい声なので全く聞こえませんでした。
「セディ、聞こえないので大きな声で言って下さい。」
それでもセディはもじもじしてなかなか返事をしません。
私はパドスを睨みました。
パドスはしぶしぶ返事をします。
「こいつは伝説の姫を召喚しようとしたんだ。この国には異界から黒髪・黒目のそれは美しい姫君がこの世界に紛れ込むことがあるって伝説があるのさ。ただの伝説で今時子供でも信じちゃいねぇんだが、こいつは昔から異界渡りのお姫さまに夢中でさ。当代一の術者と言われるようになったのも、姫に会いたいからなんだぜ。」
え~と、つまり都市伝説があったという訳ですよね。
そりゃ日本にも羽衣伝説とかで天女が地上の男に囚われるってお伽話もありますしね。
うん、そこまでは理解できる。
天女とかって、男が憧れそうですもんね。
で、この男はそれを現実にしたくてひたすら頑張ったわけですね。
そしてとうとう王国一番の術者になったと。
ここまでなら王道のサクセスストーリーとして許容範囲です。
その召喚式を作り上げたって訳ですかね。
もう天才と何とかは紙一重の世界でしょうか。
セディは天女オタクなんですね。
そこでやって来たのが私……。
すいませんねぇ~。
地味子で。
なんかもう申し訳ない気分になっちゃうのは何故だろう。
私は被害者。
巻き込まれただけ。
だけど少年セディが必死で努力した術式で、こんなのが落っこちるなんて。
やっぱり申し訳ない気分です。
私が黙り込んでいるので、セディがおずおずと告白しました。
「異界渡りの姫君をこの世界に落とすためには、キスをすればいいんだ。だから私は君を見つけてすぐにキスしてしまったんだよ。もう帰したくなくて……。ごめん。でもずっとそばにいて欲しかったんだ。」
「だってセディ。異界渡りの姫君って絶世の美女なんでしょ。わたしなんて平凡でちっとも美しくないわ。いったいどうやったら異界渡りの姫君だなんて勘違い出来たって言うのよ。」
私はなんだか無性に腹が立ってたまらなかった。
セディは誰でも良かったんだ。
異世界から来た女なら、だれにでも親切にしたんだ。
そんなのあんまりだ。
私は自分の気持ちがどうしてこうもささくれだってしまうのかわからなかった。
けれどセディがただ異界から来たってだけで親切にしてくれているのだと思うと、とっても嫌な気分になったのです。
「ミーナだから。顔とか関係ない。ミーナがいいんだ。ごめん。ミーナはとっても綺麗だよ。その好奇心にあふれるキラキラした瞳とかさ。無茶苦茶やってしまってしょんぼりしている姿とかさ。最初にミーナが自分を偽ろうとしている時凄く腹が立ったんだ。」
ちょっと待て。
落ち着こう。
セディ。
それじゃぁ、まるで。
まるで……。
「ミーナを一目見た時に、運命の人だってわかったんだよ。なのにミーナは私の顔すら見ようとしなかったろ。だから逃がしたくなかったから。キスした。ごめん。でも次だってぜったいにキスするよ。ミーナを捕まえるためならなんでもする。」
それって
やっぱり
恋の告白ですよね。
私はその告白がとって暖かいなぁって思って、だからセディに抱き着いてキスをしたんだ。
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