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第4章 天秤編
第291話 猛縛・愛猛
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「・・・ふふ、ふっふっふ、全然、愛が足りませんね」
そう笑いながら言い放ち、愛の幽霊は起き上がった。
「何が愛だッ!!日和を殺したお前にッ、愛を語る資格はねぇッ!!お前なんかに愛なんてあるわけねぇだろッ!!」
「いいえ、愛ゆえに日和さんは死んだのです。私の愛、あなたの愛、みんなの愛、愛がこの世の全てなのです」
「軽々しく日和の名前を呼ぶな、クソ幽霊ッ」
愛の幽霊との距離を詰める帯巻。
「寵愛術・猛縛」
愛の幽霊がそう唱えると、帯巻の体がピタリと動かなくなってしまった。
「クッソ、体がッ」
「私のあなたへの愛を受け取ってくださいィィィッ!!寵愛術・愛猛ッ」
ハートの形状をした塊が愛の幽霊の手から放たれ、その塊は動けなくなった帯巻の体に入り込んだ。
「うぐッ、ぐあぁぁぁぁぁぁッ!!」
「帯巻ッ!!」
岩山がそう叫んだが、その声は帯巻には届いていなかった。死んでいるのではない、気を失っているだけだ。しかし、この状況下において気を失うというのはかなり危険だ。そんな中、愛の幽霊が帯巻に話しかける。
「愛をッ、愛をッ、目覚めさせるのですッ!!あなたの中にある愛をッ、さぁッ、今ッ!!」
その声は帯巻には届いていないはずだった。
「ここは・・・」
「あなたの心の中です」
「俺はお前に負けたのか?」
「はい、非常に残念ながらあなたの敗北です。あなたの負け。あなたはもう、身も心もボロボロ。そんな状態では何も出来ない。では、どうするか?それは、私にその身も心も譲るのです」
「・・・」
「否定なし。では、頂きますね。あなたの身と心をッ」
愛の幽霊の叫びに答えるように、フラフラと帯巻が立ち上がった。帯巻は目覚めたのだ、愛に。
そう笑いながら言い放ち、愛の幽霊は起き上がった。
「何が愛だッ!!日和を殺したお前にッ、愛を語る資格はねぇッ!!お前なんかに愛なんてあるわけねぇだろッ!!」
「いいえ、愛ゆえに日和さんは死んだのです。私の愛、あなたの愛、みんなの愛、愛がこの世の全てなのです」
「軽々しく日和の名前を呼ぶな、クソ幽霊ッ」
愛の幽霊との距離を詰める帯巻。
「寵愛術・猛縛」
愛の幽霊がそう唱えると、帯巻の体がピタリと動かなくなってしまった。
「クッソ、体がッ」
「私のあなたへの愛を受け取ってくださいィィィッ!!寵愛術・愛猛ッ」
ハートの形状をした塊が愛の幽霊の手から放たれ、その塊は動けなくなった帯巻の体に入り込んだ。
「うぐッ、ぐあぁぁぁぁぁぁッ!!」
「帯巻ッ!!」
岩山がそう叫んだが、その声は帯巻には届いていなかった。死んでいるのではない、気を失っているだけだ。しかし、この状況下において気を失うというのはかなり危険だ。そんな中、愛の幽霊が帯巻に話しかける。
「愛をッ、愛をッ、目覚めさせるのですッ!!あなたの中にある愛をッ、さぁッ、今ッ!!」
その声は帯巻には届いていないはずだった。
「ここは・・・」
「あなたの心の中です」
「俺はお前に負けたのか?」
「はい、非常に残念ながらあなたの敗北です。あなたの負け。あなたはもう、身も心もボロボロ。そんな状態では何も出来ない。では、どうするか?それは、私にその身も心も譲るのです」
「・・・」
「否定なし。では、頂きますね。あなたの身と心をッ」
愛の幽霊の叫びに答えるように、フラフラと帯巻が立ち上がった。帯巻は目覚めたのだ、愛に。
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