幽霊祓い

弥生 啓

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第4章 白と鬼・決着編

第274話 不完全なる奥義

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鬼魅宮を斬り刻む無数の斬撃。切り刻まれると同時に、鬼魅宮は自身の体を再生していた。

「奥義にしては斬撃の威力が高くない。さては、気がついたか」

亜們填彗の発動条件は、一定の霊気量を相手が術使用時に所持すること。ならば、その一定量に満たさない微量の霊気で術を使用すればいい。その事に気がつけたからこそ、白井は普段の霊気量の5分の1程度の霊気で死王最朽喪霊を発動させたのだ。さらに、ここで、白井がさらに優勢になる出来事が起こる。

「なッ!!」

それは、亜們填彗の顕現の終了だった。鬼魅宮の手から亜們填彗が消失したのと同時に、白井は奥義の威力を上げた。しかし、自己再生をやめない鬼魅宮。

「クハハッ、面白いッ!!それならばッ、呪術・極奥じゅじゅつ  きょくおうッ!?」

鬼魅宮はを知らなかった。青山  優牙、いや、何者かによって少しづつ改変されている自身が見た未来。青山  優牙が原因なのか、はたまた別の者が原因なのかは判明しないが、これは明らかに鬼魅宮が見た未来にはない事象だった。

今、極奥を使おうとした鬼魅宮の目の前には、自身の腹に死神鎌を刺した白井  文也が立っている。それは鬼魅宮には理解できない光景だった。

「な、何をしている?」

「グハッ、こ、ここで、お前をッ、倒すための、行動だッ!!」

死神鎌は白井の体に吸収された。そして、白井が倒れ、その体から、フードを被り、鎌を持った骸骨、恐らく、死神術の化身と思われる存在が顕現した。

「白井  文也、契約通リ片腕ハ貰ッテイクゾ。ソノ代ワリ、全テヲ治シテヤロウ」

化身は白井の左腕を鎌で切り落とした。その後、化身が白井に触れると、緑色の光が白井を包んだ。

「その腕、どうするつもり?」

「コレハ、ワタシガ美味シクイタダク」

そう言って、化身は白井の左腕を口に放り込んだ。
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