幽霊祓い

弥生 啓

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第3章 廃病院編

第233話 強気の精神

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どんなに強気を持った人間だとしても、死んだ人が目の前に現れたら、一瞬、立ち止まる。そりゃそうさ、死んだ人が目の前にいるんだ。必ずと言ってもいいほど、その人の心には驚きと感動が発生する。その隙を狙って、

「いけ、武者の礎ッ」

空牙毒龍斬くうがどくりゅうざんッ」

「かはッ!!」

佐神  雷翔の胴に深い切り傷が刻まれた。それはほぼ即死レベルの攻撃だった。佐神  雷翔・意識不明の重体、早見  緒莉・重体。

「なーんだ、聞いていた以上に弱いじゃん、佐神  雷翔って。こんな奴ごときに負ける幽霊たちは、クソ雑魚ってことじゃん。凪澤様もよくこんな弱い奴を傍に置いておいたものだよ」

「おい、青山  優牙はそんな事はないぞ?」

「武者の礎、君が知っているのは八王子城跡で戦った時の青山  優牙だろ?現在はそれ以上に強くなっている。君の記憶なんて頼りにはならないよ」

「いや、あいつは強い。この我を倒したのだからな」

「じゃあ、それを上回るぐらいに凪澤様だって強くなっている。君を倒したとしても、凪澤様は倒せないよ。おや、アイツは・・・」

ここの主霊であろう幽霊が、早見の元へ近づいた。

「何をするつもりだ、主霊」

と、次の瞬間、主霊は早見の体に入った。そして、しばらくして、フラフラとしながら、早見が立ち上がった。

「さすがは主霊。生身の肉体に取り憑くとは、分かっているじゃないか・・・。ん?」

國田の読みは正しかった。確かに、主霊は早見の肉体に取り憑いた。幽霊にとって、生身の肉体に取り憑くという行為には意味がある。肉体を奪うことで、術や技を安定して使用できるようになるのだ。しかし、早見の肉体は違った。早見の精神はそれを拒否し、体内で主霊を分解し、生まれた霊気を肉体に取り込んだのだ。

「ま、まさかッ、霊体化ッ?いや、違う。これは、これは・・・ッ」

これより、幽霊の力を借りた者による反撃が始まる!!



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