幽霊祓い

弥生 啓

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第1章 日本旋廻 恐山決戦 前編

第73話 霊体化

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霊魂術・廻式れいこんじゅつ  かいしき

右腕を失いながらも、自分を包み込んでいた鳩を消し飛ばし、血まみれの凪澤が現れた。

「おいおい、マジかよ・・・」

「うん、まあまあ、良かったよ。想像以上に強かった。でも、残念だったねぇ。霊体化が進むことで術の威力もかなり上がった。だから、奥義に対して奥義で対応しなくても良くなったんだ。それに・・・」

そう言いかけて、凪澤は右腕を再生した。

「こんな風に再生能力も手に入れた。かなり、強くなっただろ?ところでさぁ、鳩山は紫雲寺という男を知っているかい?」

「当たり前だろ。鳩術使いの俺が鳩術の創案者を知らないわけがないだろ?じゃあ、逆に聞くが、鬼魅宮猛子ってのは何者だ?」

「鬼魅宮様はこの世界の王になる方だよ。この前、鬼魅宮様が紫雲寺を殺したことは知ってるかい?」

「そうなのか?」

「ああ、それはもう素晴らしいものだったそうだよ。気になったが、どうして、お前の口から鬼魅宮様の名前が出る?お前とは面識がないはずだ」

「どうしてだろうな、俺もわかんねぇ。でも、夢の中で知ったんだ、鬼魅宮のことを。正体は●●●●だろ?」

「ほぅ、なんだそこまで察しているのか。なら、なぜ行動を起こさない?」

「分かってるからだよ、お前に俺では勝てないって。だから、その分、少しでも努力してるんだよッ!!鳩術・右宗鳩鳩はとじゅつ  うしゅうはとばと

凪澤の右方向から最高速度マッハ5に到達する鳩が凪澤へと飛んでいった。しかし、凪澤はすべてかわした。

「マッハ5だぞッ!?」

「君じゃ僕には勝てない。霊魂術・呪式れいこんじゅつ  じゅしき

凪澤がそう唱えると、体がピタリと動かなくなった。

「君の勘が優れていることは高く評価するよ。そして、君の実力も。でも、未来を変えることはできない。未来が変わる時、それはこの世界が変わる時だよ。さようなら、鳩山  士郎。新世界でまた会おう。霊魂術・奥義・廻口外下天界れいこんじゅつ  おうぎ  かいこうがいかてんかい

黒い気弾は地面をえぐり取りながら、こちらに迫って来た。そして、俺の右半身を削った。俺はその場に倒れた。
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