43 / 53
43.大倫の花
しおりを挟む
一脚の椅子のまわりに、三人の少女たちが集まっている。彼女たちは、あたえられた「素材」を興味津々といった様子でのぞきこんでいる。
一人の少女が、「素材」の長い髪を手のひらにすくった。
「せっかくなら、凝った髪型にしたいです……」
「そうね、あなたの技を駆使しなさい」
「楽しみだなあ」
キャッキャとおしゃべりをする三人の少女たち、すなわちエミリア嬢、オードリー嬢、ルイーズ嬢。
そのネタにされている「素材」こと俺。
女の子たちが集まってのオシャレ談議のはずなのに、三人にとりかこまれているのはオシャレに無関心な俺なのである。
エミリア嬢が、呪いが解けたなら物が作れるようになったかどうかを確かめたいといった。それ自体はいい。だが、証明手段がなぜ俺の髪。しかもルイーズ嬢やオードリー嬢まで、髪型や髪飾りについて口をはさんできた。
いま、テーブルには大量のピンやリボンや髪留めなんかがおかれている。
「長さを活かした編みこみがいいですね」
「派手で大振りな髪飾りより、エミリアの技術が映えるものを使いましょう」
俺は知ってる。
「すごいね、さすが編むのが丁寧で速い」
「ルイーズさま、ここを押さえていただけるでしょうか」
こんなときは、虚無になるのだ。
「こうかな」
「はい、ありがとうございます。あの、ノアさま、頭をもう少し右にかたむけていただけますか」
俺はすでにいやというほど経験しているのだ。たとえば公式な集まりがあって、ちゃんとした格好をしなきゃならないとき、使用人たちはよってたかって俺をいじくりまわした。さっさと仕度を終えたティリーが混ざることもあった。俺より妹に手をかけてほしいと頼んでも、当の本人が「兄さまが正装する機会なんて、めったにないでしょ。わたしより、兄さまを着飾らせるほうが絶対おもしろいもの」というのだ。
いや、おもしろいって、なにか違うだろうとは思った。思ったけど、そんな体験から学んだのは、下手に嫌がったり口だしすると、ただただ高速時間が長くなるということだった。石像になるのだ。なにも考えず、なにも言わず、ただの像となるのだ。それが、もっとも早くこの時間をやり過ごす方法なのだ。
アルバートの気の毒そうな視線は無視だ、無視。
「ノアさまの髪は、さらさらなのにしっとりコシがあってとても編みやすいです」
「それなら、わたくしでも……」
「あっ、オードリーさま、そこをさわられるとだいなしに……あああっ」
「オードリー嬢は審美眼が優れているときいているよ。ここに、この髪飾りはどうだろう?」
「そうですわね、それも合いますが他にもっといいものがあったはずです。エミリア、ターニャさまの胸飾りに使った素材のあまりがあったでしょう。金の枠に赤や緑の絹を張ったものよ」
「それなら、作業部屋の右手前の棚に入ってます。上から八段目です」
俺は虚無に徹した。
以前と違って、エミリア嬢に髪をいじられても痛かったり頭皮を引きちぎられかけることはなかった。むしろ櫛で梳かれたり、髪をするするさわられるのは、わりと気持ちいい。俺が解呪したんだから疑ってはなかったけど、エミリア嬢の手先は本当に元にもどったんだなぁ。
やがて「できました」と言われた。大きな姿見の前に連れていかれると、俺の前に両手で鏡を抱えたエミリア嬢がやってくる。
鏡に映った後頭部をみて、声が出た。
「おい、なんだ、これは!」
大きな花が二輪咲いてた。
左右から一本ずつ斜め下に向けて編まれた髪が、頭の後ろで交差してる。それが三本あるから、合計三つのひし形の空間ができてる。ひし形の中の部分の髪は、薄紅の細いリボンと一緒にぐるぐるの輪にされてて、まるで大きな花のようだ。輪の中心には金の細工が差しこまれておしべとめしべみたいにみえる。おまけに頭のあっちこっちに、花びらや葉っぱにみえる指の先くらいの大きさの布が留められていた。
髪の毛が、きれいな花になってた。
まるで細かい刺繍みたいだけど、これは即席で髪を編んだだけなんだ。エミリア嬢の指先が作ったものなんだ。めちゃくちゃすごいじゃないか。
「おっ、お気に召しませんか」
「好き嫌いの問題じゃない。こんなことができるくせに、なにが才能がないだ、バカが!」
「ひっ、すみません!」
「謝罪するな、卑屈者!」
「ごめんなさいっ」
俺とエミリア嬢のそんな心あたたまる一幕があったあと、彼女は自分の手を思うように動かすことができるようになったという事実を受け入れた。俺の虚無の時間は役に立ったのだった。
エミリア嬢復活の証である俺の頭をみながら、オードリー嬢が悩まし気にため息をついた。
「エミリア、本当はウーンデキム祭であなたの名前を広めるつもりだったけれど、それは難しいわ。杯を作ってこちらの正当性を訴えても、金の宿り木工房が先に出品しているなら、正しい判断を下してもらえるかどうかわからない」
「訴えを起こした場合、兄と妹の盗作合戦だとまわりから好奇の目で見られるのは確実だね。金の宿り木工房は名の通った工房だけど、エミリアちゃんは残念ながら工房と準契約をしているだけの年若い見習い職人だから、世評的には不利になる。仮に審議の結果エミリアちゃんに軍配が上がったとしても、しばらくはエミリア・チャップマンの名に醜聞がついてまわることは避けられない。肉親間の争いなんて、暇な貴族の好物だからね」
オードリー嬢は悔しくてたまらないように、ルイーズ嬢は淡々と話す。
「すべて覚悟して徹底抗戦するというなら、申し立てることはできるよ。けれど、早期解決は難しそうだね」
「ドクズが、いくらでも引き延ばすとほざいていたな」
「エミリアの成人の儀が過ぎれば、行き場がなくなるとたかをくくっているのでしょう」
たとえ訴訟を起こしても、来年の一の月を過ぎてしまうとエミリア嬢は成人になる。無償では家にいられなくなるから、自分の下に来るしかないってロバートは思ってるんだろう。
「悔しいですが、金杯に時間を割いている余裕はありません。だからエミリア、先ほどルイーズさまがおっしゃったように、別の機会を探しましょう」
もし訴訟を起こさなければ、金杯は利益も名声もすべてロバートと金の宿り木工房のものになる。かといって訴訟を起こしたら長い泥仕合を覚悟しなきゃならないし、その間にエミリア嬢の将来が決まってしまうかもしれない。つまりウーンデキム祭に金杯の意匠登録をした時点で、どっちに転んでもロバートにはうまみしかないってことだ。
勝ち誇った男の顔がみえるようだった。
俺が本物の女神さまなら、天罰を下してやりたいぞ!
オードリー嬢は、不快感をみせながらもどうにか気持ちを切り替えようとしてる。でもエミリア嬢は、力なく頭を左右に振った。
「そんなことをして、意味があるんでしょうか」
「そんなこと?」
「わっわたしは、工房では本当に下っ端です。それに、これまでオードリーさまのご紹介で小品を作ったことはありますが、それだけです。……わたしなんかが作るものを、オードリーさまとは関係なく好まれる方が、本当にいるのかって……」
「何回、何百回いわせたら気がすむの! 『わたしなんか』じゃない、あなたの作品だからこそわたくしは世に認めさせたいし、自分の人生を賭けようと思ったのよ!」
「だからですっ」
エミリア嬢がくちびるを固くむすぶ。こらえるように瞬きをしたけど、それは逆効果でぽろっと涙がこぼれた。
「わたしが独立して、売れなかったら? 誰も見向きもしなかったら? オードリーさまやウェントワース伯爵家のお名前まで汚すことになったら? ずっと、ずっと怖かった。わたしのせいで、ほかの方に迷惑をかけてしまうかもしれないのが、嫌なんです……!」
どうやら、似たような話し合いはこれまでにもあったようだ。オードリー嬢がエミリア嬢の両腕をつかんで、「またなの? まだ、駄目なの」って揺すぶる。
「どうすれば、あなたはわたくしの言っていることを、自分の才を信じてくれるの!」
声には絶望がにじんでいた。
オードリー嬢には自信がない。自分には才能がないって、たぶん本気で信じてる。だけど、俺の髪型ひとつをとっても彼女が非凡だっていうのはわかる。俺だけじゃなくて、そもそもオードリー嬢が絶賛してるのに、なにがあってこうも考えを変えられないんだろう。
もちろん、小さいころから周囲に虐げられてきたならしかたないのかもしれない。でも、理由はそれだけなんだろうかって考えてしまうくらいには、エミリア嬢はかたくなだった。
静かになった部屋で、アルバートが誰に向けてともなく語りだした。
「私の知り合いに、面倒な男がいてね」
みんなの視線が俺に集まった。
アルバートが、ノアのことじゃないよって断りを入れる。なんでだ、俺はべつに面倒な男じゃないだろう!
「その男は、幼いころから剣を得意としていた。けれど後見人で武人の叔父から才能がないと言われ続け、恥さらしだからと訓練以外では人前で振るうことを許されなかった。彼は、叔父さえいなければ自分の剣は世の中に認められるはずだと憤っていた。さて、彼が十五歳のとき、転機がやってきた。剣の勝ち抜き試合に出場する権利を得たんだ。有象無象が参加する試合だが、いい成績を残せば彼の腕が優れていることが証明できる」
唐突に、誰とも知らない男の話が始まった。でも、アルバートのことだから意味があるんだろうって、みんな耳を傾けてる。さすがだなあ、ここで俺が「きさまらにはもったいないが、面倒な男の話をしてやろう。感謝して、ひとことも聞き漏らさないようにするがいい」とでも言ったら、オードリー嬢あたりはすぐエミリア嬢とおしゃべりを始めそうだ。
「だが、彼は試合に出なかった。どうしようもなく怖かったんだ」
「なんだその腰抜けは。剣での試合を恐れるとは、叔父のほうが正しかったということだな」
「少し違う。彼が恐れたのは、試合をすることでも怪我をすることでも、負けることでさえなかった。彼はね、自分の剣の腕がどの程度かを明らかにされてしまうことを恐れたんだ」
「はあ? それこそ、その腰抜けが望んでいたことだろう」
ひょっとして、とんでもなく弱いのをうすうす自覚していて、それを叔父に知られたくなかったんだろうか。そう訊ねたけど、アルバートは首を横に振った。
「彼は、剣の才能があると思っていたよ。しかしなにしろ経験がないからね、本当に自分が世間で通用するのかどうかはわからなかった。だから初めての試合に臨もうとしたとき、ひょっとしたら自分にはたいして才がないかもしれない、それが証明されてしまうかもしれないと怯えたんだ。確かめなければ、いつまでも『自分には剣の才があるのに、叔父のせいで活躍できない』と言い訳ができるからね」
俺は「面倒な男」の気持ちを想像しようとした。だけど早々に匙を投げた。
「腰抜けの思考なぞ、理解できるわけがなかった。己の程度を知らなければ、次に進むべき道もみえん。それを自ら放棄とはな」
「ノアさまは、できなかったり、自分の才能を疑ったことがないから……」
ぼそっとエミリア嬢がつぶやいた。たぶん無意識だったんだろう、慌てて両手で自分の口を押える。
「なんだと! 魔法に関しては、俺はできないことばかりだ。あたりまえだろう、できることしかなければ学ぶ必要はない。才能だと? フン、己に才能があると信じればすべて上手くいくなら、この世はうぬぼれ屋の天国だな」
たしかに俺は、普通の人とは違ったやりかたで、普通の人よりは魔法を使えるんだろう。でも、知れば知るほど「魔法」のほんの一部しかみえてないって実感するんだ。それに新しい魔術式や魔道具の実験では、よく失敗してるぞ。
「正論だけどさ。ノア君にはみえないものも、あると思うよ」
ルイーズ嬢が苦笑する。
俺だって、自信作の魔術式を披露するときは怖いぞ。まったく役に立たないっていわれたり、こてんぱんに反論されたり、設計を根本から否定されるかもしれないじゃないか。誰にもいってないけど、そんな目に遭って心が折れて泣いたことは何度もある。ずっと取り組んでたけど、上手く構築できなくて挫折した魔術式だっていろいろある。でも、だからといってなにもしなかったら、もっといい魔術式を構築することはできないじゃないか。
ルイーズ嬢が言いたのは、いま俺が思ってるようなことじゃない気はする。だけど「面倒な男」の怖さは、俺にはピンとこないものだった。
他の人も、わかってないんじゃないだろうか。
「わたしがその方みたいだと、アルバートさまはおっしゃるんですね」
「エミリア嬢と彼がおなじだと言いたいわけではない。ただ、思い出しただけだ」
「でも、たしかに、そうかもしれません。わたしは……怖いのかもしれないです……」
エミリア嬢はわかってた!
「世に出ることをあなたが怖がっていたなんて、わたくし、考えたこともなかったわ」
オードリー嬢もわかってるみたいだ!
えっ、この場でアルバートのたとえ話を理解できてないのって、俺だけなのか。なんでってあせってるあいだに、エミリア嬢が長く息を吐いた。
「わたし、自分が試されるのが怖くてたまらない……かも……です。だから、作品が自分の名前で出なくていいって思ってたのかもしれません。作ったのがわたしだって知られて、それで貶されたり笑われたら……。やっぱり、工房の人たちが言ってるとおりだってわかってしまったら、どうしようって……こわい」
だけど、って彼女は続けた。
「いましゃべって、わかりました。わたしはたぶん、それ以上に、オードリーさまを巻きこんでしまうことが……、一番怖いんです」
眉毛も肩も力なく下げて、エミリア嬢がオードリー嬢に笑いかけた。
「オードリーさま、宝飾品や宝石店のためにわたしと結婚するなんてやめてください……。オードリーさまに犠牲を払わせるのも、また見捨てられるかもしれないって思うのも、どっちもわたしはもう嫌なんです」
これまでで一番前向きな発言かもしれない。だけどオードリー嬢の眉は、エミリア嬢のしょんぼり眉毛とは逆に吊り上がった。
怒鳴ろうとしたんだろう。でもそれを封じるように、アルバートが彼女の名前を呼んだ。だからオードリー嬢は、吸い込んだ息を吐きだして答えるしかできなかった。
「はい、アルバートさま」
「君は、さっきエミリア嬢に求婚したね。それは、彼女を職人として成功させたいためだけか?」
「違います! いえ、たしかにそれも理由の一つです。けれど、決してそれだけではありません」
「では、ほかにどんな理由があるのだろう」
おだやかに訊ねられて、答えを考えてるあいだに、怒りを暴発しかけてたオードリー嬢が少しおちついたようにみえた。
「エミリア嬢は、『また見捨てられる』といった。職人としての腕がおちたり自分の目に適うものが作れなくなったら、オードリー嬢は彼女に背を向けるつもりかな」
「そんなわけが。そんなこと、いたしません!」
エミリア嬢が、怖いことを想像したみたいに自分の腕で自分を抱きしめた。
そうか。エミリア嬢は、呪われたオードリー嬢から、どっかにいけって突き放された。オードリー嬢の話だと嫌ったわけじゃなかったけど、されたほうはそんなのわからない。昨日まで学園をやめろって怒鳴ってた相手が、急に「そんなつもりじゃなかった」「好きだった」といったって、それを信じてくれというのは虫のいい話なのかもしれない。それに、オードリー嬢の状況をエミリア嬢が頭で理解できたとしても、心が怯えることだってあるだろう。
オードリー嬢が結婚をもち出したのが仕事のためだけなら、働けなくなったら切られてしまう。きっと、それもまたエミリア嬢にとっての怖いことなんだ。
「エミリア嬢をみていると、呪われて以降オードリー嬢がしたことは、才能がなくなれば見限ると宣言したようなものだろう。厳しい言い方かもしれないが、客観的にそうみえるということだ」
アルバートは、非難してるんじゃなくて事実を確認するだけだっていう雰囲気で話していく。エミリア嬢はうつむいてるけど、アルバートのことばを否定しないのが彼女の答えなんだろう。
オードリー嬢は、お腹のあたりで両手を組んでる。指が、血の気をなくすくらい強く握りしめられてる。
沈黙が重い。
オードリー嬢は彼女はエミリア嬢の作品に惚れこんでるし、自分の中で職人としてのエミリア嬢とそうでないエミリア嬢を区別することは難しいのかな。それとも、いまの自分に言えることがなくて思い悩んでるんだろうか。
長く口を閉じたあと、オードリー嬢はぽつぽつと語りだした。
「わたくしがエミリアに初めて会ったのは、五歳のときでした」
一人の少女が、「素材」の長い髪を手のひらにすくった。
「せっかくなら、凝った髪型にしたいです……」
「そうね、あなたの技を駆使しなさい」
「楽しみだなあ」
キャッキャとおしゃべりをする三人の少女たち、すなわちエミリア嬢、オードリー嬢、ルイーズ嬢。
そのネタにされている「素材」こと俺。
女の子たちが集まってのオシャレ談議のはずなのに、三人にとりかこまれているのはオシャレに無関心な俺なのである。
エミリア嬢が、呪いが解けたなら物が作れるようになったかどうかを確かめたいといった。それ自体はいい。だが、証明手段がなぜ俺の髪。しかもルイーズ嬢やオードリー嬢まで、髪型や髪飾りについて口をはさんできた。
いま、テーブルには大量のピンやリボンや髪留めなんかがおかれている。
「長さを活かした編みこみがいいですね」
「派手で大振りな髪飾りより、エミリアの技術が映えるものを使いましょう」
俺は知ってる。
「すごいね、さすが編むのが丁寧で速い」
「ルイーズさま、ここを押さえていただけるでしょうか」
こんなときは、虚無になるのだ。
「こうかな」
「はい、ありがとうございます。あの、ノアさま、頭をもう少し右にかたむけていただけますか」
俺はすでにいやというほど経験しているのだ。たとえば公式な集まりがあって、ちゃんとした格好をしなきゃならないとき、使用人たちはよってたかって俺をいじくりまわした。さっさと仕度を終えたティリーが混ざることもあった。俺より妹に手をかけてほしいと頼んでも、当の本人が「兄さまが正装する機会なんて、めったにないでしょ。わたしより、兄さまを着飾らせるほうが絶対おもしろいもの」というのだ。
いや、おもしろいって、なにか違うだろうとは思った。思ったけど、そんな体験から学んだのは、下手に嫌がったり口だしすると、ただただ高速時間が長くなるということだった。石像になるのだ。なにも考えず、なにも言わず、ただの像となるのだ。それが、もっとも早くこの時間をやり過ごす方法なのだ。
アルバートの気の毒そうな視線は無視だ、無視。
「ノアさまの髪は、さらさらなのにしっとりコシがあってとても編みやすいです」
「それなら、わたくしでも……」
「あっ、オードリーさま、そこをさわられるとだいなしに……あああっ」
「オードリー嬢は審美眼が優れているときいているよ。ここに、この髪飾りはどうだろう?」
「そうですわね、それも合いますが他にもっといいものがあったはずです。エミリア、ターニャさまの胸飾りに使った素材のあまりがあったでしょう。金の枠に赤や緑の絹を張ったものよ」
「それなら、作業部屋の右手前の棚に入ってます。上から八段目です」
俺は虚無に徹した。
以前と違って、エミリア嬢に髪をいじられても痛かったり頭皮を引きちぎられかけることはなかった。むしろ櫛で梳かれたり、髪をするするさわられるのは、わりと気持ちいい。俺が解呪したんだから疑ってはなかったけど、エミリア嬢の手先は本当に元にもどったんだなぁ。
やがて「できました」と言われた。大きな姿見の前に連れていかれると、俺の前に両手で鏡を抱えたエミリア嬢がやってくる。
鏡に映った後頭部をみて、声が出た。
「おい、なんだ、これは!」
大きな花が二輪咲いてた。
左右から一本ずつ斜め下に向けて編まれた髪が、頭の後ろで交差してる。それが三本あるから、合計三つのひし形の空間ができてる。ひし形の中の部分の髪は、薄紅の細いリボンと一緒にぐるぐるの輪にされてて、まるで大きな花のようだ。輪の中心には金の細工が差しこまれておしべとめしべみたいにみえる。おまけに頭のあっちこっちに、花びらや葉っぱにみえる指の先くらいの大きさの布が留められていた。
髪の毛が、きれいな花になってた。
まるで細かい刺繍みたいだけど、これは即席で髪を編んだだけなんだ。エミリア嬢の指先が作ったものなんだ。めちゃくちゃすごいじゃないか。
「おっ、お気に召しませんか」
「好き嫌いの問題じゃない。こんなことができるくせに、なにが才能がないだ、バカが!」
「ひっ、すみません!」
「謝罪するな、卑屈者!」
「ごめんなさいっ」
俺とエミリア嬢のそんな心あたたまる一幕があったあと、彼女は自分の手を思うように動かすことができるようになったという事実を受け入れた。俺の虚無の時間は役に立ったのだった。
エミリア嬢復活の証である俺の頭をみながら、オードリー嬢が悩まし気にため息をついた。
「エミリア、本当はウーンデキム祭であなたの名前を広めるつもりだったけれど、それは難しいわ。杯を作ってこちらの正当性を訴えても、金の宿り木工房が先に出品しているなら、正しい判断を下してもらえるかどうかわからない」
「訴えを起こした場合、兄と妹の盗作合戦だとまわりから好奇の目で見られるのは確実だね。金の宿り木工房は名の通った工房だけど、エミリアちゃんは残念ながら工房と準契約をしているだけの年若い見習い職人だから、世評的には不利になる。仮に審議の結果エミリアちゃんに軍配が上がったとしても、しばらくはエミリア・チャップマンの名に醜聞がついてまわることは避けられない。肉親間の争いなんて、暇な貴族の好物だからね」
オードリー嬢は悔しくてたまらないように、ルイーズ嬢は淡々と話す。
「すべて覚悟して徹底抗戦するというなら、申し立てることはできるよ。けれど、早期解決は難しそうだね」
「ドクズが、いくらでも引き延ばすとほざいていたな」
「エミリアの成人の儀が過ぎれば、行き場がなくなるとたかをくくっているのでしょう」
たとえ訴訟を起こしても、来年の一の月を過ぎてしまうとエミリア嬢は成人になる。無償では家にいられなくなるから、自分の下に来るしかないってロバートは思ってるんだろう。
「悔しいですが、金杯に時間を割いている余裕はありません。だからエミリア、先ほどルイーズさまがおっしゃったように、別の機会を探しましょう」
もし訴訟を起こさなければ、金杯は利益も名声もすべてロバートと金の宿り木工房のものになる。かといって訴訟を起こしたら長い泥仕合を覚悟しなきゃならないし、その間にエミリア嬢の将来が決まってしまうかもしれない。つまりウーンデキム祭に金杯の意匠登録をした時点で、どっちに転んでもロバートにはうまみしかないってことだ。
勝ち誇った男の顔がみえるようだった。
俺が本物の女神さまなら、天罰を下してやりたいぞ!
オードリー嬢は、不快感をみせながらもどうにか気持ちを切り替えようとしてる。でもエミリア嬢は、力なく頭を左右に振った。
「そんなことをして、意味があるんでしょうか」
「そんなこと?」
「わっわたしは、工房では本当に下っ端です。それに、これまでオードリーさまのご紹介で小品を作ったことはありますが、それだけです。……わたしなんかが作るものを、オードリーさまとは関係なく好まれる方が、本当にいるのかって……」
「何回、何百回いわせたら気がすむの! 『わたしなんか』じゃない、あなたの作品だからこそわたくしは世に認めさせたいし、自分の人生を賭けようと思ったのよ!」
「だからですっ」
エミリア嬢がくちびるを固くむすぶ。こらえるように瞬きをしたけど、それは逆効果でぽろっと涙がこぼれた。
「わたしが独立して、売れなかったら? 誰も見向きもしなかったら? オードリーさまやウェントワース伯爵家のお名前まで汚すことになったら? ずっと、ずっと怖かった。わたしのせいで、ほかの方に迷惑をかけてしまうかもしれないのが、嫌なんです……!」
どうやら、似たような話し合いはこれまでにもあったようだ。オードリー嬢がエミリア嬢の両腕をつかんで、「またなの? まだ、駄目なの」って揺すぶる。
「どうすれば、あなたはわたくしの言っていることを、自分の才を信じてくれるの!」
声には絶望がにじんでいた。
オードリー嬢には自信がない。自分には才能がないって、たぶん本気で信じてる。だけど、俺の髪型ひとつをとっても彼女が非凡だっていうのはわかる。俺だけじゃなくて、そもそもオードリー嬢が絶賛してるのに、なにがあってこうも考えを変えられないんだろう。
もちろん、小さいころから周囲に虐げられてきたならしかたないのかもしれない。でも、理由はそれだけなんだろうかって考えてしまうくらいには、エミリア嬢はかたくなだった。
静かになった部屋で、アルバートが誰に向けてともなく語りだした。
「私の知り合いに、面倒な男がいてね」
みんなの視線が俺に集まった。
アルバートが、ノアのことじゃないよって断りを入れる。なんでだ、俺はべつに面倒な男じゃないだろう!
「その男は、幼いころから剣を得意としていた。けれど後見人で武人の叔父から才能がないと言われ続け、恥さらしだからと訓練以外では人前で振るうことを許されなかった。彼は、叔父さえいなければ自分の剣は世の中に認められるはずだと憤っていた。さて、彼が十五歳のとき、転機がやってきた。剣の勝ち抜き試合に出場する権利を得たんだ。有象無象が参加する試合だが、いい成績を残せば彼の腕が優れていることが証明できる」
唐突に、誰とも知らない男の話が始まった。でも、アルバートのことだから意味があるんだろうって、みんな耳を傾けてる。さすがだなあ、ここで俺が「きさまらにはもったいないが、面倒な男の話をしてやろう。感謝して、ひとことも聞き漏らさないようにするがいい」とでも言ったら、オードリー嬢あたりはすぐエミリア嬢とおしゃべりを始めそうだ。
「だが、彼は試合に出なかった。どうしようもなく怖かったんだ」
「なんだその腰抜けは。剣での試合を恐れるとは、叔父のほうが正しかったということだな」
「少し違う。彼が恐れたのは、試合をすることでも怪我をすることでも、負けることでさえなかった。彼はね、自分の剣の腕がどの程度かを明らかにされてしまうことを恐れたんだ」
「はあ? それこそ、その腰抜けが望んでいたことだろう」
ひょっとして、とんでもなく弱いのをうすうす自覚していて、それを叔父に知られたくなかったんだろうか。そう訊ねたけど、アルバートは首を横に振った。
「彼は、剣の才能があると思っていたよ。しかしなにしろ経験がないからね、本当に自分が世間で通用するのかどうかはわからなかった。だから初めての試合に臨もうとしたとき、ひょっとしたら自分にはたいして才がないかもしれない、それが証明されてしまうかもしれないと怯えたんだ。確かめなければ、いつまでも『自分には剣の才があるのに、叔父のせいで活躍できない』と言い訳ができるからね」
俺は「面倒な男」の気持ちを想像しようとした。だけど早々に匙を投げた。
「腰抜けの思考なぞ、理解できるわけがなかった。己の程度を知らなければ、次に進むべき道もみえん。それを自ら放棄とはな」
「ノアさまは、できなかったり、自分の才能を疑ったことがないから……」
ぼそっとエミリア嬢がつぶやいた。たぶん無意識だったんだろう、慌てて両手で自分の口を押える。
「なんだと! 魔法に関しては、俺はできないことばかりだ。あたりまえだろう、できることしかなければ学ぶ必要はない。才能だと? フン、己に才能があると信じればすべて上手くいくなら、この世はうぬぼれ屋の天国だな」
たしかに俺は、普通の人とは違ったやりかたで、普通の人よりは魔法を使えるんだろう。でも、知れば知るほど「魔法」のほんの一部しかみえてないって実感するんだ。それに新しい魔術式や魔道具の実験では、よく失敗してるぞ。
「正論だけどさ。ノア君にはみえないものも、あると思うよ」
ルイーズ嬢が苦笑する。
俺だって、自信作の魔術式を披露するときは怖いぞ。まったく役に立たないっていわれたり、こてんぱんに反論されたり、設計を根本から否定されるかもしれないじゃないか。誰にもいってないけど、そんな目に遭って心が折れて泣いたことは何度もある。ずっと取り組んでたけど、上手く構築できなくて挫折した魔術式だっていろいろある。でも、だからといってなにもしなかったら、もっといい魔術式を構築することはできないじゃないか。
ルイーズ嬢が言いたのは、いま俺が思ってるようなことじゃない気はする。だけど「面倒な男」の怖さは、俺にはピンとこないものだった。
他の人も、わかってないんじゃないだろうか。
「わたしがその方みたいだと、アルバートさまはおっしゃるんですね」
「エミリア嬢と彼がおなじだと言いたいわけではない。ただ、思い出しただけだ」
「でも、たしかに、そうかもしれません。わたしは……怖いのかもしれないです……」
エミリア嬢はわかってた!
「世に出ることをあなたが怖がっていたなんて、わたくし、考えたこともなかったわ」
オードリー嬢もわかってるみたいだ!
えっ、この場でアルバートのたとえ話を理解できてないのって、俺だけなのか。なんでってあせってるあいだに、エミリア嬢が長く息を吐いた。
「わたし、自分が試されるのが怖くてたまらない……かも……です。だから、作品が自分の名前で出なくていいって思ってたのかもしれません。作ったのがわたしだって知られて、それで貶されたり笑われたら……。やっぱり、工房の人たちが言ってるとおりだってわかってしまったら、どうしようって……こわい」
だけど、って彼女は続けた。
「いましゃべって、わかりました。わたしはたぶん、それ以上に、オードリーさまを巻きこんでしまうことが……、一番怖いんです」
眉毛も肩も力なく下げて、エミリア嬢がオードリー嬢に笑いかけた。
「オードリーさま、宝飾品や宝石店のためにわたしと結婚するなんてやめてください……。オードリーさまに犠牲を払わせるのも、また見捨てられるかもしれないって思うのも、どっちもわたしはもう嫌なんです」
これまでで一番前向きな発言かもしれない。だけどオードリー嬢の眉は、エミリア嬢のしょんぼり眉毛とは逆に吊り上がった。
怒鳴ろうとしたんだろう。でもそれを封じるように、アルバートが彼女の名前を呼んだ。だからオードリー嬢は、吸い込んだ息を吐きだして答えるしかできなかった。
「はい、アルバートさま」
「君は、さっきエミリア嬢に求婚したね。それは、彼女を職人として成功させたいためだけか?」
「違います! いえ、たしかにそれも理由の一つです。けれど、決してそれだけではありません」
「では、ほかにどんな理由があるのだろう」
おだやかに訊ねられて、答えを考えてるあいだに、怒りを暴発しかけてたオードリー嬢が少しおちついたようにみえた。
「エミリア嬢は、『また見捨てられる』といった。職人としての腕がおちたり自分の目に適うものが作れなくなったら、オードリー嬢は彼女に背を向けるつもりかな」
「そんなわけが。そんなこと、いたしません!」
エミリア嬢が、怖いことを想像したみたいに自分の腕で自分を抱きしめた。
そうか。エミリア嬢は、呪われたオードリー嬢から、どっかにいけって突き放された。オードリー嬢の話だと嫌ったわけじゃなかったけど、されたほうはそんなのわからない。昨日まで学園をやめろって怒鳴ってた相手が、急に「そんなつもりじゃなかった」「好きだった」といったって、それを信じてくれというのは虫のいい話なのかもしれない。それに、オードリー嬢の状況をエミリア嬢が頭で理解できたとしても、心が怯えることだってあるだろう。
オードリー嬢が結婚をもち出したのが仕事のためだけなら、働けなくなったら切られてしまう。きっと、それもまたエミリア嬢にとっての怖いことなんだ。
「エミリア嬢をみていると、呪われて以降オードリー嬢がしたことは、才能がなくなれば見限ると宣言したようなものだろう。厳しい言い方かもしれないが、客観的にそうみえるということだ」
アルバートは、非難してるんじゃなくて事実を確認するだけだっていう雰囲気で話していく。エミリア嬢はうつむいてるけど、アルバートのことばを否定しないのが彼女の答えなんだろう。
オードリー嬢は、お腹のあたりで両手を組んでる。指が、血の気をなくすくらい強く握りしめられてる。
沈黙が重い。
オードリー嬢は彼女はエミリア嬢の作品に惚れこんでるし、自分の中で職人としてのエミリア嬢とそうでないエミリア嬢を区別することは難しいのかな。それとも、いまの自分に言えることがなくて思い悩んでるんだろうか。
長く口を閉じたあと、オードリー嬢はぽつぽつと語りだした。
「わたくしがエミリアに初めて会ったのは、五歳のときでした」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い!
つくも
ファンタジー
錬金術士学院を首席で卒業し、念願であった宮廷錬金術師になったエルクはコストカットで王国を追放されてしまう。
しかし国王は知らなかった。王国に代々伝わる聖剣が偽物で、エルクがこっそりと本物の聖剣を錬成してすり替えていたという事に。
宮廷から追放され、途方に暮れていたエルクに声を掛けてきたのは、冒険者学校で講師をしていた時のかつての教え子達であった。
「————先生。私達と一緒に冒険者になりませんか?」
悩んでいたエルクは教え子である彼女等の手を取り、冒険者になった。
————これは、不当な評価を受けていた世界最強錬金術師の冒険譚。錬金術師として規格外の力を持つ彼の実力は次第に世界中に轟く事になる————。
さよなら、英雄になった旦那様~ただ祈るだけの役立たずの妻のはずでしたが…~
遠雷
恋愛
【本編完結】戦地から戻り、聖剣を得て聖騎士として英雄になった夫エリオットから、帰還早々に妻であるフローラに突き付けられた離縁状。
戦場で傍に寄り添い、その活躍により周囲から聖女と呼ばれるようになった女性エミリーを、彼は愛してしまったのだと告げる。安全な王都に暮らし日々祈るばかりだったフローラは、居場所を失くしてしまった。
反論も無く粛々と離縁を受け入れ、フローラは王都から姿を消した。
その日を境に、エリオットの周囲では異変が起こり始める。
一方でフローラは旅路で一風変わった人々と出会い、祝福を知る。
――――――――――――――――――――
※2025.1.5追記 11月に本編完結した際に、完結の設定をし忘れておりまして、
今ごろなのですが完結に変更しました。すみません…!
近々後日談の更新を開始予定なので、その際にはまた解除となりますが、
本日付けで一端完結で登録させていただいております
※ファンタジー要素強め、やや群像劇寄り
たくさんの感想をありがとうございます。全てに返信は出来ておりませんが、大切に読ませていただいております!
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので無双はじめたら、元仲間が落ちぶれていきました〜
里海慧
ファンタジー
「カイト、お前さぁ、もういらないわ」
魔力がほぼない最低ランクの最弱ハンターと罵られ、パーティーから追放されてしまったカイト。
実は、唯一使えた魔法で伝説の魔獣王リュカオンと融合していた。カイトの実力はSSSランクだったが、魔獣王と融合してると言っても信じてもらえなくて、サポートに徹していたのだ。
追放の際のあまりにもひどい仕打ちに吹っ切れたカイトは、これからは誰にも何も奪われないように、最強のハンターになると決意する。
魔獣を討伐しまくり、様々な人たちから認められていくカイト。
途中で追放されたり、裏切られたり、そんな同じ境遇の者が仲間になって、ハンターライフをより満喫していた。
一方、カイトを追放したミリオンたちは、Sランクパーティーの座からあっという間に転げ落ちていき、最後には盛大に自滅してゆくのだった。
※ヒロインの登場は遅めです。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
時々おまけのお話を更新しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる