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~高校生編~
第12章 ミュージカル・スター
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中間テストが終わり、しばらくすると学校中が慌ただしくなりました。11月の末にある合唱コンクールに向けて、準備が始まったからです。
クラス対抗で課題曲、自由曲を競い合うほか、毎年二年生は学年全体でミュージカルを発表するのです。音楽選択の生徒が舞台に立ち、美術選択の生徒が演出を担当します。クラスの発表曲を朝とお昼休みに練習し、放課後はミュージカルの練習をしました。体育祭や文化祭とは違って、授業の一環なので行事委員会の活動とは違うのですが、同じくらい忙しい毎日になりました。
放課後、美術室で舞台背景をどうするか打ち合わせをしていたら、一佳がひょっこり顔を出しました。
「順調?」
「うん!文化祭の装飾に比べたら大したことは無いよ。一佳はこれから練習?」
「ああ、めんどくせー…」
そう言って、ドカリと椅子に座り込みました。一佳や潤くんは音楽選択なので舞台に立ちます。今年は『レ・ミゼラブル』の中の一幕、『ワンデイモア』をやるのです。一佳は主役のジャン・バルジャン、潤くんは敵役のジャベール、ちなみに薫ちゃんは総監督なのですよ。
今日もこのあと音楽室で練習のはずなのに、一佳はムッとしたままなぜかいつまでも動こうとしません。
「俺も美術選択にすりゃあ良かったなー。」
「それなら私は音楽選択にすれば良かった。みんなとミュージカルに出れたもん。」
「それじゃ、意味ないじゃん。」
そう言ってクククと笑い転げました。相変わらず、意味分かりません。
「あー、いたいた。こんなところでサボってんじゃねーぞ。」
潤くんと薫ちゃんがやってきました。
「つか、なんで俺が主役なんだよ。普通、潤が主役で、俺が敵役だろ?」
「潤は声が低すぎるし、全編通して歌うには声量も足りないのだ。一佳はテノールだし、見てくれも主役にピッタリだぞ。」
「ウザいこと言うな!」
薫ちゃんに諭されたものの、一佳は不貞腐れたままです。
「いい加減諦めろ。何なら七海に音楽室まで付いてきてもらえば。」
「え、え?なんで私?」
「そうしよう、ついでに練習を観て感想を聞かせてくれ。て言うか、衣装作りも手伝って!」
「どうせなら、七海もコーラスで出ればいいじゃん。」
「ちょ、ちょっと、待ってよー!」
この三人に囲まれたら、もう逆らうことは出来ません。他の美術選択の子たちに舞台作成を任せて、私は音楽選択の子たちのお手伝いに行きました。
練習が始まると、不貞腐れていたのがウソのように一佳は集中しました。何をさせても卒なくこなす、比類無い才能を持つ彼は、テノールを響かせ歌い上げます。練習を聞いていただけで感激でした。本番が楽しみで仕方ありません!
合唱コンクール当日、受付のお手伝いをしていたら、華やかな保護者の一団がいらっしゃいました。
「七海ちゃん、がんばってね!」
その中に一佳のママが居て、私に気さくに声を掛けてくれました。本当に人懐っこくて、一佳とは真逆です。
「一佳のお母さん、今日のミュージカル、楽しみですね!」
「うん、しっかり記録しようと思ってスタンバイしてきたわ!」
見ればテレビクルーが持っているような本格的なデジタルビデオカメラを一式持っています。
「一佳にがんばれって伝えてね!あの子、朝から機嫌が悪くて困ったわよ。」
「そうですか?さっき逢った時はいつもとおなじでした。」
「ん、ならいいの。七海ちゃん、一佳を励ましてね!」
ニコリと笑って、一佳ママは派手なママ集団と一緒に会場に入って行きました。ううーん、類は友を呼ぶですよね。
「一佳、機嫌が悪いのかな?緊張しているとか?」
会場のクラス席に戻って様子をうかがったけれど、一佳はいつものようにムッとしていました。これは機嫌がいいのか悪いのか、判別できません。
一年生から三年生までランダムに組み合わされた順番で、クラス毎に合唱曲を発表していきます。私のクラスの2年3組も無事に発表を終えました。一佳の声に引きずられるようにみんなの歌がよく出ていて、他のクラスには負けていなかったと思います。
全クラスの発表が終わり、優勝、準優勝、三位、指揮者賞、伴奏賞、審査員特別賞などの選考になります。その幕間に高校二年生のミュージカルが発表されるのです。
舞台が暗転しました。しんと静まり返るなか、一筋のスポットライトが舞台中央に落ちます。薫ちゃんが考えた演出です。そのライトに向かって、暗闇から一佳が朗々と歌いながら現れました。彼の独唱は、マイクを使っていないのに大きな会場に響き渡ります。滑らかな英語の歌詞で歌い上げ、それを聞いただけで自然と涙が溢れて来ました。
スポットライトが一筋一筋増えるたび、他の出演者たちが歌い続きます。潤くんの重低音のバスが一佳のテノールと組み合わさり、心を揺さぶります。この二人は本当にナイスペアですね。
最後は全員の合唱で、感動的なフィナーレを迎えました。
舞台から降りてきた一佳は、みんなから揉みくちゃにされ誉められていましたが、なぜかムッと不機嫌そうにしていました。
表彰式になり、優勝、準優勝は三年生のクラスが受賞して、2年3組はなんと三位をいただきました!そして、審査員特別賞には一佳が選ばれたのです。
閉会式のあと、会場を出て行く一佳を追い掛けました。その前に、一年生の女の子たちが集団で彼を捕まえ取り囲んでいました。
「藤原さん、特別賞おめでとうございます!素敵でした!」
「ここにサインしてください!」
女の子たちは目を輝かせ、一佳にキャーキャーと纏わりついていました。
「ねえ、俺、別にテレビのアイドルじゃないんだから、サインとかしないんだけど。」
「え?」
冷たい一佳の言葉に、女の子たちは呆れかえっていました。
「ウザイからくっついてこないでよ。」
そう言って、女の子たちを振り切って、会場を出て行ってしまいました。
「なによ、あれ!」
「噂どおりだね、めっちゃ感じ悪い!」
さっきまでチヤホヤしていた女の子たちからは、一転してブーイングの嵐が巻き起こりました。
「もう、なんであんな言い方をするのよ……」
私は女の子たちの横をすり抜け、一佳を追い掛けました。
「一佳ー!」
私の呼び声に気付いて、一佳は足を止めました。
「なんだよ。」
「一佳、クラスのみんなで打ち上げに行くよ。一緒に行こうよ。」
「イイよ、めんどくさいから。」
「みんな一佳を誉めてたよ。三位を取れたのだって一佳のおかげだよ!」
「別に、俺は関係無いし。」
その時ふと、一佳は顔を赤らめました。
「一佳、もしかして、誉められるのが照れくさいの?」
「はあ?違うよ、何言ってんの!」
そう言いながら、一佳の顔はどんどん赤くなって行きました。これはもう、決まりではありませんか?
「なんだー照れくさいんだー!」
「うるせー!」
私のつむじを目掛けて、一佳はチョップを振り下ろしました。逃げようとして避けたのに逆に肩をガツンと殴られました。
「痛ーい!」
「お前がからかうからいけないんだ。」
「でも、一佳の歌、本当に良かったよ、涙が止まらなかったもん!」
「それで、あんなに腫れた顔していたのか。不細工だったな。」
ううう、相変わらず、口の減らない子です。
「まあ、でも、七海になら誉められてやってもいいぞ。」
「分かった、いっぱい誉めるから、一緒に打ち上げに行こうよ!」
「やっぱやめた、めんどくせー。」
「いいから行こう!」
照れくさそうに顔をしかめる一佳の腕を掴んで、私はグイグイ引っ張りました。周りに冷たくするのは、恥ずかしがりな性格を隠したい、意外とそんな理由なのかな?
打ち上げのファミレスに一佳を連れていったら、クラスのみんなが揃って愕然としたので面白かったです。でも、いつもと違ってにこやかな一佳を囲み、徐々にみんなが彼を誉めたら、一佳もまんざらじゃなかったみたい。
もっと、打ち解けたらいいのになー!すっきりと整った一佳の横顔に、私はますます見惚れたのでした。
クラス対抗で課題曲、自由曲を競い合うほか、毎年二年生は学年全体でミュージカルを発表するのです。音楽選択の生徒が舞台に立ち、美術選択の生徒が演出を担当します。クラスの発表曲を朝とお昼休みに練習し、放課後はミュージカルの練習をしました。体育祭や文化祭とは違って、授業の一環なので行事委員会の活動とは違うのですが、同じくらい忙しい毎日になりました。
放課後、美術室で舞台背景をどうするか打ち合わせをしていたら、一佳がひょっこり顔を出しました。
「順調?」
「うん!文化祭の装飾に比べたら大したことは無いよ。一佳はこれから練習?」
「ああ、めんどくせー…」
そう言って、ドカリと椅子に座り込みました。一佳や潤くんは音楽選択なので舞台に立ちます。今年は『レ・ミゼラブル』の中の一幕、『ワンデイモア』をやるのです。一佳は主役のジャン・バルジャン、潤くんは敵役のジャベール、ちなみに薫ちゃんは総監督なのですよ。
今日もこのあと音楽室で練習のはずなのに、一佳はムッとしたままなぜかいつまでも動こうとしません。
「俺も美術選択にすりゃあ良かったなー。」
「それなら私は音楽選択にすれば良かった。みんなとミュージカルに出れたもん。」
「それじゃ、意味ないじゃん。」
そう言ってクククと笑い転げました。相変わらず、意味分かりません。
「あー、いたいた。こんなところでサボってんじゃねーぞ。」
潤くんと薫ちゃんがやってきました。
「つか、なんで俺が主役なんだよ。普通、潤が主役で、俺が敵役だろ?」
「潤は声が低すぎるし、全編通して歌うには声量も足りないのだ。一佳はテノールだし、見てくれも主役にピッタリだぞ。」
「ウザいこと言うな!」
薫ちゃんに諭されたものの、一佳は不貞腐れたままです。
「いい加減諦めろ。何なら七海に音楽室まで付いてきてもらえば。」
「え、え?なんで私?」
「そうしよう、ついでに練習を観て感想を聞かせてくれ。て言うか、衣装作りも手伝って!」
「どうせなら、七海もコーラスで出ればいいじゃん。」
「ちょ、ちょっと、待ってよー!」
この三人に囲まれたら、もう逆らうことは出来ません。他の美術選択の子たちに舞台作成を任せて、私は音楽選択の子たちのお手伝いに行きました。
練習が始まると、不貞腐れていたのがウソのように一佳は集中しました。何をさせても卒なくこなす、比類無い才能を持つ彼は、テノールを響かせ歌い上げます。練習を聞いていただけで感激でした。本番が楽しみで仕方ありません!
合唱コンクール当日、受付のお手伝いをしていたら、華やかな保護者の一団がいらっしゃいました。
「七海ちゃん、がんばってね!」
その中に一佳のママが居て、私に気さくに声を掛けてくれました。本当に人懐っこくて、一佳とは真逆です。
「一佳のお母さん、今日のミュージカル、楽しみですね!」
「うん、しっかり記録しようと思ってスタンバイしてきたわ!」
見ればテレビクルーが持っているような本格的なデジタルビデオカメラを一式持っています。
「一佳にがんばれって伝えてね!あの子、朝から機嫌が悪くて困ったわよ。」
「そうですか?さっき逢った時はいつもとおなじでした。」
「ん、ならいいの。七海ちゃん、一佳を励ましてね!」
ニコリと笑って、一佳ママは派手なママ集団と一緒に会場に入って行きました。ううーん、類は友を呼ぶですよね。
「一佳、機嫌が悪いのかな?緊張しているとか?」
会場のクラス席に戻って様子をうかがったけれど、一佳はいつものようにムッとしていました。これは機嫌がいいのか悪いのか、判別できません。
一年生から三年生までランダムに組み合わされた順番で、クラス毎に合唱曲を発表していきます。私のクラスの2年3組も無事に発表を終えました。一佳の声に引きずられるようにみんなの歌がよく出ていて、他のクラスには負けていなかったと思います。
全クラスの発表が終わり、優勝、準優勝、三位、指揮者賞、伴奏賞、審査員特別賞などの選考になります。その幕間に高校二年生のミュージカルが発表されるのです。
舞台が暗転しました。しんと静まり返るなか、一筋のスポットライトが舞台中央に落ちます。薫ちゃんが考えた演出です。そのライトに向かって、暗闇から一佳が朗々と歌いながら現れました。彼の独唱は、マイクを使っていないのに大きな会場に響き渡ります。滑らかな英語の歌詞で歌い上げ、それを聞いただけで自然と涙が溢れて来ました。
スポットライトが一筋一筋増えるたび、他の出演者たちが歌い続きます。潤くんの重低音のバスが一佳のテノールと組み合わさり、心を揺さぶります。この二人は本当にナイスペアですね。
最後は全員の合唱で、感動的なフィナーレを迎えました。
舞台から降りてきた一佳は、みんなから揉みくちゃにされ誉められていましたが、なぜかムッと不機嫌そうにしていました。
表彰式になり、優勝、準優勝は三年生のクラスが受賞して、2年3組はなんと三位をいただきました!そして、審査員特別賞には一佳が選ばれたのです。
閉会式のあと、会場を出て行く一佳を追い掛けました。その前に、一年生の女の子たちが集団で彼を捕まえ取り囲んでいました。
「藤原さん、特別賞おめでとうございます!素敵でした!」
「ここにサインしてください!」
女の子たちは目を輝かせ、一佳にキャーキャーと纏わりついていました。
「ねえ、俺、別にテレビのアイドルじゃないんだから、サインとかしないんだけど。」
「え?」
冷たい一佳の言葉に、女の子たちは呆れかえっていました。
「ウザイからくっついてこないでよ。」
そう言って、女の子たちを振り切って、会場を出て行ってしまいました。
「なによ、あれ!」
「噂どおりだね、めっちゃ感じ悪い!」
さっきまでチヤホヤしていた女の子たちからは、一転してブーイングの嵐が巻き起こりました。
「もう、なんであんな言い方をするのよ……」
私は女の子たちの横をすり抜け、一佳を追い掛けました。
「一佳ー!」
私の呼び声に気付いて、一佳は足を止めました。
「なんだよ。」
「一佳、クラスのみんなで打ち上げに行くよ。一緒に行こうよ。」
「イイよ、めんどくさいから。」
「みんな一佳を誉めてたよ。三位を取れたのだって一佳のおかげだよ!」
「別に、俺は関係無いし。」
その時ふと、一佳は顔を赤らめました。
「一佳、もしかして、誉められるのが照れくさいの?」
「はあ?違うよ、何言ってんの!」
そう言いながら、一佳の顔はどんどん赤くなって行きました。これはもう、決まりではありませんか?
「なんだー照れくさいんだー!」
「うるせー!」
私のつむじを目掛けて、一佳はチョップを振り下ろしました。逃げようとして避けたのに逆に肩をガツンと殴られました。
「痛ーい!」
「お前がからかうからいけないんだ。」
「でも、一佳の歌、本当に良かったよ、涙が止まらなかったもん!」
「それで、あんなに腫れた顔していたのか。不細工だったな。」
ううう、相変わらず、口の減らない子です。
「まあ、でも、七海になら誉められてやってもいいぞ。」
「分かった、いっぱい誉めるから、一緒に打ち上げに行こうよ!」
「やっぱやめた、めんどくせー。」
「いいから行こう!」
照れくさそうに顔をしかめる一佳の腕を掴んで、私はグイグイ引っ張りました。周りに冷たくするのは、恥ずかしがりな性格を隠したい、意外とそんな理由なのかな?
打ち上げのファミレスに一佳を連れていったら、クラスのみんなが揃って愕然としたので面白かったです。でも、いつもと違ってにこやかな一佳を囲み、徐々にみんなが彼を誉めたら、一佳もまんざらじゃなかったみたい。
もっと、打ち解けたらいいのになー!すっきりと整った一佳の横顔に、私はますます見惚れたのでした。
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