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~高校生編~
第3章 名前呼びしていいですか?
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驚きの新学期スタートでしたが、しばらくしたら同じクラスに仲の良い友達も数人出来て、一緒にお弁当を食べるようになりました。選択授業の移動の時も声を掛け合って一緒に移動するようになりました。ビビりな私にとって、独りぼっちじゃないことは凄くホッとします。
間近に迫った体育祭の準備のため、放課後毎日のように居残るようになりました。
藤原くんは相変わらず必要以上に話しません。木谷瀬くんや清藤さん、去年も行事委員だった2組の飯島くんや1組の森田くんとは話しても、私には絡んで来ないのです。
私に委員をやれと言った理由は未だに謎のままです。「頼りになる」ってどういうことかな。藤原くんに悪く思われていないなら、まあいいや。木谷瀬くんや清藤さんは仲良くしてくれるし、飯島くんや森田くん、先輩も一年生も体育祭に向けて精力的に動きます。一致団結して何かに向かって行くって、楽しいですよね。
テキパキと仕事をこなす藤原くんは、それこそみんなのリーダー役です。謎もいつか解けるかも知れません。
「……何?」
いきなり不機嫌そうな藤原くんににらまれました。
「え、え?」
「ジロジロ見られるの、嫌いなんだけど。」
藤原くんの横顔が凛々しくて、つい見惚れていました。気をつけなきゃ。
「一佳、別に見られたからって減るもんじゃないし、いちいち突っかかるなよ。」
木谷瀬くんが呆れながら諭しました。
「して欲しくないことはしないで欲しいって、言ったらいけないのかよ。」
「ごめんなさい、これからはジロジロ見ないようにします。」
「七海ちゃん、コイツに気を使わなくてイイよ。昔っから他人に対する態度が悪過ぎなんだ。」
「潤が馴れ馴れし過ぎなんだろ。」
藤原くんはブツブツ文句を言いながら部屋を出て行きました。イケメンにはイケメンなりの苦労があるのですね。私が藤原くんだったら、みんなに一目置かれて嬉しいのに。
「入場門と退場門のデザイン、出来た。」
遅れてきた清藤さんが一枚の絵を見せました。
「何、この昇り竜は!」
「カッコいいでしょ?美術部の人に原画を描いてもらったんだ。」
「薫の悪趣味、全開だな。」
それはよくヤクザの人の刺青に彫られているような竜の絵で……でも清藤さんは気に入っているらしく、木谷瀬くんはクククと可笑しそうに笑い転げまていました。
「木谷瀬くんと清藤さんは、藤原くんと仲がイイんですね。」
思わず私が尋ねたら、二人はプッと吹き出しました。
「俺たち家が近所で、幼稚園から小・中・高校までずっと一緒なんだ。一佳はあれでも昔よりマシになったほうさ。」
「そうそう。女の子、絶対そばに寄せ付けなかったもの。七海ちゃんを委員会に誘うとか、マジあり得ない。」
「誘われたって言うか……無理やり委員にされたんですけど……でも、行事委員になって良かったです。木谷瀬くんや清藤さんや他のみんなも優しいし、委員会の仕事もやり甲斐がありますから。」
「ハハハ、同級生なんだから敬語でしゃべらなくっていいよ。それに名前も潤って呼んで。木谷瀬って言いにくいだろ?」
「私のことも、薫で良い。」
「分かった、じゃあ、私のことは七海って……あ、もう呼ばれてるね!」
三人でアハハと笑い合いました。潤くんは最初からフレンドリーだったけど、薫ちゃんもマイペースながら『氷の女王』と呼ばれるような冷たさは今のところ感じません。
「おい、入場門と退場門の張りボテ、作るぞ。」
戻ってきた藤原くんは、上下ジャージ姿で現れました。
「え、下張り、もう出来たの?」
「美術部の奴ら、去年みたいに任せっぱなしじゃいつまでも作業しないから、今年は早めにやれっって脅しといた。」
……藤原くんに脅されたら、きっと青くなって速攻で作業したでしょうね。
「私もジャージに着替えて来る。七海も行こう。」
「え!私、体育の無い日は、ジャージは持ってきてないよ!」
「はあ?ジャージなんて、置きっぱなしにしておくもんだろ?」
え、そんな!汗かいて汚いのに置きっぱなしには出来ないですよ!……と、言い返すことは出来ません。
「ペンキを塗るから汚れるよ。他に着替え持ってない?」
「う、うん、知ってたら要らない服を持って来たんだけど……」
「じゃあ、今日は俺のジャージを貸してやる。」
藤原くんがいきなり上着を脱いで、私に押し付けました。
「え、え、でも、藤原くん、風邪引いちゃうよ?」
「動いていたら熱くなるから大丈夫。」
せっかくの好意です。それに、嫌と言ったらまた怖いし……私は藤原くんの大きなジャージをすっぽり制服の上から被りました。
「ムササビみたいだな!」
可笑しそうに藤原くんがお腹を抱えて笑いました。だって、藤原くんのサイズじゃ大き過ぎて、裾は私の膝近くあるし手を広げたらビヨーンって脇が広がるんだもの。
強がっていたのに外に出た途端、藤原くんは「ヘックショイ!」と盛大なくしゃみをしました。心配したけどペンキを塗り始めたらあっという間に汗を掻きました。
藤原くんは薫ちゃんの持ってきた昇り竜の絵に散々ケチを付けつつ、忠実に下書きをしていきました。美術も上手いんだ。何をやらせても上手い人っているものですね。
下書きをしたら次は色塗りです。ペンキ塗りは結構楽しいです。去年の文化祭でも校門の装飾に使うから藤原くん達と色塗りをしたんですよ。
「アンタ、そういうの、嫌がらないよな。」
ペタペタと塗りながら、私をチラリと見て藤原くんが呟きました。
「うん、楽しいですよ?」
「去年の体育祭の時は、委員になってた女どもが手が汚れるって大騒ぎで、作業が全然進まなかったんだ……だから、文化祭で、アンタが手伝ってくれてスゲー助かったんだよ。」
「なんだ、そんなことだったんですか!雑用ならいくらでもやりますから、藤原くん、どんどん持ってきてください!」
「……藤原くん、って呼ぶな。」
へ?今まで結構仲良く話していたと思ったのに、急に不機嫌になってしまいました……なんだか落ち込みそう……
「七海ちゃん、今のは『藤原くん、じゃなくて一佳って呼んで』って意味だからね!」
ニヤリとしながら潤くんが私の頭をポンと撫でました。
「誰もそんなこと、言ってねーし!」
「一佳って呼ばれた方がイイんだよな?」
「う……」
驚きました!藤原くん……て言うか、一佳くんが顔を赤らめたのです。
「潤もわざわざ一佳の気持ちを代弁することは無かろう?だから、コイツはいつまで経っても他人とコミュニケーションがまともに出来ないんだ。」
「コミュ障なんて、似た者同士の薫には言われたくない!」
ブスっとする一佳くんを見て、薫ちゃんがクスリと笑いました。薫ちゃんの方が一佳くんよりマシですけど。
作業は途中まで終わり、また明日続きをすることになりました。私は藤原くんのジャージを脱いでおずおずと尋ねました。
「あの、ふ……一佳くん、ジャージ貸してくれてありがとうね。洗って返すから。」
「別にいいよ、そのままで。」
「でも、汚れたかも知れないし……」
「別に……イイ匂いだよ。」
私からジャージを取りあげ、一佳くんはクンと匂いを嗅ぎました。
「一佳、それでヌくなよ?」
「バカなのおまえは!」
ニヤニヤ笑う潤くんに、一佳くんは回し蹴りしましたが、するりと逃げられてしまいました。その後を追い掛けてさらに殴り掛っています。あれ、いつもの冷たい一佳くんとは思えません。
「あんな馬鹿どもの相手はせずに、早く帰ろう。」
薫ちゃんに誘われて、道具を片付けに行きました。思っていたのとは違う人なんだ……ムキになる一佳くんに見惚れていたら、また目が合って睨まれてしまい、慌てて目を逸らしました。
ともかく、少しは仲良くなれそうで良かった。最初は怖い人だったのに、その時すでに一佳くんのことが気になって仕方なくなっていたのです。
間近に迫った体育祭の準備のため、放課後毎日のように居残るようになりました。
藤原くんは相変わらず必要以上に話しません。木谷瀬くんや清藤さん、去年も行事委員だった2組の飯島くんや1組の森田くんとは話しても、私には絡んで来ないのです。
私に委員をやれと言った理由は未だに謎のままです。「頼りになる」ってどういうことかな。藤原くんに悪く思われていないなら、まあいいや。木谷瀬くんや清藤さんは仲良くしてくれるし、飯島くんや森田くん、先輩も一年生も体育祭に向けて精力的に動きます。一致団結して何かに向かって行くって、楽しいですよね。
テキパキと仕事をこなす藤原くんは、それこそみんなのリーダー役です。謎もいつか解けるかも知れません。
「……何?」
いきなり不機嫌そうな藤原くんににらまれました。
「え、え?」
「ジロジロ見られるの、嫌いなんだけど。」
藤原くんの横顔が凛々しくて、つい見惚れていました。気をつけなきゃ。
「一佳、別に見られたからって減るもんじゃないし、いちいち突っかかるなよ。」
木谷瀬くんが呆れながら諭しました。
「して欲しくないことはしないで欲しいって、言ったらいけないのかよ。」
「ごめんなさい、これからはジロジロ見ないようにします。」
「七海ちゃん、コイツに気を使わなくてイイよ。昔っから他人に対する態度が悪過ぎなんだ。」
「潤が馴れ馴れし過ぎなんだろ。」
藤原くんはブツブツ文句を言いながら部屋を出て行きました。イケメンにはイケメンなりの苦労があるのですね。私が藤原くんだったら、みんなに一目置かれて嬉しいのに。
「入場門と退場門のデザイン、出来た。」
遅れてきた清藤さんが一枚の絵を見せました。
「何、この昇り竜は!」
「カッコいいでしょ?美術部の人に原画を描いてもらったんだ。」
「薫の悪趣味、全開だな。」
それはよくヤクザの人の刺青に彫られているような竜の絵で……でも清藤さんは気に入っているらしく、木谷瀬くんはクククと可笑しそうに笑い転げまていました。
「木谷瀬くんと清藤さんは、藤原くんと仲がイイんですね。」
思わず私が尋ねたら、二人はプッと吹き出しました。
「俺たち家が近所で、幼稚園から小・中・高校までずっと一緒なんだ。一佳はあれでも昔よりマシになったほうさ。」
「そうそう。女の子、絶対そばに寄せ付けなかったもの。七海ちゃんを委員会に誘うとか、マジあり得ない。」
「誘われたって言うか……無理やり委員にされたんですけど……でも、行事委員になって良かったです。木谷瀬くんや清藤さんや他のみんなも優しいし、委員会の仕事もやり甲斐がありますから。」
「ハハハ、同級生なんだから敬語でしゃべらなくっていいよ。それに名前も潤って呼んで。木谷瀬って言いにくいだろ?」
「私のことも、薫で良い。」
「分かった、じゃあ、私のことは七海って……あ、もう呼ばれてるね!」
三人でアハハと笑い合いました。潤くんは最初からフレンドリーだったけど、薫ちゃんもマイペースながら『氷の女王』と呼ばれるような冷たさは今のところ感じません。
「おい、入場門と退場門の張りボテ、作るぞ。」
戻ってきた藤原くんは、上下ジャージ姿で現れました。
「え、下張り、もう出来たの?」
「美術部の奴ら、去年みたいに任せっぱなしじゃいつまでも作業しないから、今年は早めにやれっって脅しといた。」
……藤原くんに脅されたら、きっと青くなって速攻で作業したでしょうね。
「私もジャージに着替えて来る。七海も行こう。」
「え!私、体育の無い日は、ジャージは持ってきてないよ!」
「はあ?ジャージなんて、置きっぱなしにしておくもんだろ?」
え、そんな!汗かいて汚いのに置きっぱなしには出来ないですよ!……と、言い返すことは出来ません。
「ペンキを塗るから汚れるよ。他に着替え持ってない?」
「う、うん、知ってたら要らない服を持って来たんだけど……」
「じゃあ、今日は俺のジャージを貸してやる。」
藤原くんがいきなり上着を脱いで、私に押し付けました。
「え、え、でも、藤原くん、風邪引いちゃうよ?」
「動いていたら熱くなるから大丈夫。」
せっかくの好意です。それに、嫌と言ったらまた怖いし……私は藤原くんの大きなジャージをすっぽり制服の上から被りました。
「ムササビみたいだな!」
可笑しそうに藤原くんがお腹を抱えて笑いました。だって、藤原くんのサイズじゃ大き過ぎて、裾は私の膝近くあるし手を広げたらビヨーンって脇が広がるんだもの。
強がっていたのに外に出た途端、藤原くんは「ヘックショイ!」と盛大なくしゃみをしました。心配したけどペンキを塗り始めたらあっという間に汗を掻きました。
藤原くんは薫ちゃんの持ってきた昇り竜の絵に散々ケチを付けつつ、忠実に下書きをしていきました。美術も上手いんだ。何をやらせても上手い人っているものですね。
下書きをしたら次は色塗りです。ペンキ塗りは結構楽しいです。去年の文化祭でも校門の装飾に使うから藤原くん達と色塗りをしたんですよ。
「アンタ、そういうの、嫌がらないよな。」
ペタペタと塗りながら、私をチラリと見て藤原くんが呟きました。
「うん、楽しいですよ?」
「去年の体育祭の時は、委員になってた女どもが手が汚れるって大騒ぎで、作業が全然進まなかったんだ……だから、文化祭で、アンタが手伝ってくれてスゲー助かったんだよ。」
「なんだ、そんなことだったんですか!雑用ならいくらでもやりますから、藤原くん、どんどん持ってきてください!」
「……藤原くん、って呼ぶな。」
へ?今まで結構仲良く話していたと思ったのに、急に不機嫌になってしまいました……なんだか落ち込みそう……
「七海ちゃん、今のは『藤原くん、じゃなくて一佳って呼んで』って意味だからね!」
ニヤリとしながら潤くんが私の頭をポンと撫でました。
「誰もそんなこと、言ってねーし!」
「一佳って呼ばれた方がイイんだよな?」
「う……」
驚きました!藤原くん……て言うか、一佳くんが顔を赤らめたのです。
「潤もわざわざ一佳の気持ちを代弁することは無かろう?だから、コイツはいつまで経っても他人とコミュニケーションがまともに出来ないんだ。」
「コミュ障なんて、似た者同士の薫には言われたくない!」
ブスっとする一佳くんを見て、薫ちゃんがクスリと笑いました。薫ちゃんの方が一佳くんよりマシですけど。
作業は途中まで終わり、また明日続きをすることになりました。私は藤原くんのジャージを脱いでおずおずと尋ねました。
「あの、ふ……一佳くん、ジャージ貸してくれてありがとうね。洗って返すから。」
「別にいいよ、そのままで。」
「でも、汚れたかも知れないし……」
「別に……イイ匂いだよ。」
私からジャージを取りあげ、一佳くんはクンと匂いを嗅ぎました。
「一佳、それでヌくなよ?」
「バカなのおまえは!」
ニヤニヤ笑う潤くんに、一佳くんは回し蹴りしましたが、するりと逃げられてしまいました。その後を追い掛けてさらに殴り掛っています。あれ、いつもの冷たい一佳くんとは思えません。
「あんな馬鹿どもの相手はせずに、早く帰ろう。」
薫ちゃんに誘われて、道具を片付けに行きました。思っていたのとは違う人なんだ……ムキになる一佳くんに見惚れていたら、また目が合って睨まれてしまい、慌てて目を逸らしました。
ともかく、少しは仲良くなれそうで良かった。最初は怖い人だったのに、その時すでに一佳くんのことが気になって仕方なくなっていたのです。
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