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ソイニーの過去〜下界巡回〜
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天地大戦の数年前の出来事。
「ソイニー、今日から俺らが下界巡回の当番だけど、最近下界人が騒がしいからめんどくさーな」
ロイスは下界へ通ずる下門《アンダーゲート》の前で、下界への進入許可が降りるまで待機している。
「ロイスそんなこと言わないの。私たちがしっかり下界の悪の目を摘み取ることで、下界を安定させ、天界の治安を守ることに繋がってるんだから、しっかり働かないと」
ソイニー師匠が天界魔導大学を主席で卒業後、天界公安局に入局し、天界内外の治安維持に従事していた。
この日は、実際に下界に降り立ち、天界に刃向かう危険因子の除去を目的とした下界巡回の日。
あらかじめ除去候補者は決められており、今日は男性1人の除去作業だけが任務で、すぐに仕事が終わる案件だった。
「今日は、この後アーシャ先生とナタリーと岩盤浴に行く予定だから、早めに仕事を終わらせましょう」
『下門進入許可』
ソイニー師匠が背伸びをしながら、この後のお楽しみな予定を告げた時、下門進入が許可され、ソイニー師匠とロイスは、下界に降りる。
——————
「じゃあ、まず、自宅を捜索しましょうか」
「そうだな、日曜の朝早いから自宅にいるだろう」
2人は、除去候補者の男の家に向かう。
しかし、自宅に着いたが、そこには誰もいなかった。
「ついてないな。誰もいないじゃないか。あれ、これはなんだ? ソイニー、このビラを見てみろよ」
ロイスは男の家の机に置いてあるビラをソイニーに見せる。
「大革命大会、天界支配からの脱却を果たすために集うべし、日にちはないわね」
「これは、ゲリラ集会が行われるのかも知れないな」
「ゲリラ集会か、そうね。あらかじめ日程を決めておくと、私たち天界公安局にバレてしまうものね。じゃあ、人が集まってそうな場所を探してみますか」
ソイニーとロイスは、空を飛んで、東京23区内を監視する。
すると、徐々に東京駅に人だかりが出きてきていることを視認する。
「取り敢えず、東京駅の集団を内偵しましょう。
男を見つけしだい集団内で暗殺しますよ、その後は緊急離脱で」
「了解、ソイニー」
ソイニー師匠とロイスは有楽町駅付近に降り立ち、徒歩で東京駅に向かう。
東京駅西口にたどり着くと、そこにはざっと見ただけでも1万人以上の人が集まってきており、人はさらに増え続けている。
これは探すのに骨が折れそうだとソイニー師匠とロイスはため息を吐く。
2人は人を掻い潜りながら、除去候補者の男を探す。
だが、見つける前に、デモ行進が始まったしまった。
『天界は地球から退け! 我々に干渉するな! 我々にも人権がある。お前達の奴隷ではない!』
そう叫びながら行進を続ける。
この時代、天界人が下界人を拉致し魂を餮《むさぼ》んだり、奴隷にして天界で飼い慣したりすることが普通の時代であった。
そのため、今回のデモはそれに反対し、地球間での結束を促し、天界に対抗するための礎を築こうとする狙いがあった。
デモ行進は進むに連れて激しさを増し、一部は暴徒化して、日本王国にある天界駐在所を強襲する者も現れた。
ソイニー師匠とロイスも、デモ参加者同士とぶつかり合いながら男を探し続ける。
——ドン
しかし、事は順調には進まなかった。
ロイスがデモ参加者とぶつかる。
そして、内ポケットから何かを落としてしまう。
「何か落としましたよ」
と、後ろの下界人が、素早くそれを拾い上げ、ロイスに返そうとする。
だが、その落とした代物が最悪だった。
……その代物は、天界公安局の身分証明書だった。
「こ、これは、お前はもしかして、天界の内通者か⁉︎」
ロイスの身分証明書を拾った男が叫ぶ。
そして、それを聞いた周囲のデモ参加者は一斉にロイス達を見る。
「ちくしょうばれちまった。ソイニー、別々に緊急離脱だ、下門でまた会おう」
そういうとロイスは風魔導で、辺りのデモ参加者を薙ぎ払い空中へと逃れる。
ソイニー師匠は、ロイスに比べてワンテンポ遅れて水球魔導を現界させ、周りのデモ参加者を倒す。
そして、隙をついて上空に逃げようとするが、デモ参加者の中には魔専の魔導士も参加しており、魔専の魔導士は味方敵関係なく魔導を放ち、味方もろともソイニー師匠を吹き飛ばす。
「ぐはっ」
ソイニー師匠は道路沿いのお店に吹き飛ばされ、そのまま店舗の壁もぶち破り、裏路地まで飛ばされる。
「おい、あの女天界人を追え!」
群衆がソイニー師匠を始末しようと、店舗に流れ込む。
「逃げなければ‥‥‥、だけど、足が折れて‥‥‥」
吹き飛ばされた衝撃でソイニー師匠の片足は折れてしまっていた。
ソイニー師匠は、もう立つことすらできない。
絶体絶命である。
ソイニー師匠は命の最後を感じる。
「もっと‥‥‥生きたかったのに‥‥‥」
ソイニー師匠はゆっくりと目を閉じる。
「こっちだ、こっちに来るんだ!」
急に目の前の扉が開き、見知らぬ男がソイニー師匠を呼ぶ。
「動けないのか? 仕方ない。少し痛むかもしれないが、抱えるぞ」
そういうと、男はソイニー師匠を抱え、扉の中に入り鍵を閉める。
外からは「どこいったあの天界人は」と群衆の怒声が聞こえてくる。
ソイニー師匠は間一髪助かったのだ。
「良かった、なんとか助かったみたいで。もし隣の店舗に飛ばされていたら、助けられなかったよ」
男はソイニー師匠を抱えながら笑顔になる。
「あ、ありがとう、あなたは一体誰なの?」
「私は、シーモ・ヒラオカです」
「え? 日本王国民!? 天界人ではないのですか?」
「天界人では、ないですよ」
「それじゃあ、なんで私を‥‥‥助けてくれたんですか?」
ソイニー師匠は、足が折れていて、杖もなく、反撃できない状況のため少し怯えながら訊く。
「それは、困っている人がいるなら助けるもんじゃないですか?」
「それは、そうですが‥‥‥。あ、すみません、片足で立てますので、降ろしてもらってもいいですか?」
「あ、本当に大丈夫ですか? それなら、はいっと」
男は、ゆっくりとソイニー師匠を下ろす。
そして、男はゆっくり話し出す。
「外にいる人たちは、言うなれば過激派です。武力で天界からの支配から脱却しようとする人たちです。だけど、私はそれには反対です。無益な血は流すべきではありません。私は人々が傷つくところを見たくない。だから、私は、天界との話し合いでこそ、現状を変える努力をすべきだと考えています」
「だから、天界人の私を助けてくれたのですね。となると、あなたも革命派なのですか?」
「革命派と言えば、そうですね。僕も、天界からの支配から脱却したいとは思っています」
「やはり、そうなんですね‥‥‥って、ちょっと待って、あなたは‥‥‥」
ソイニー師匠は落ち着きを取り戻したところで、男の顔をしっかりと見る。
そしてたじろぐ。目の前に立っていた男はこそが、ソイニー師匠の今回の任務の除去候補者であった。
ソイニー師匠は今一度、顔写真を確認し、名前も確認する。
書類には「シーモ・ヒラオカ」と記載されている。
完全な一致である。
ソイニー師匠は黙って考える。目の前にいる人物は革命派の人間で、天界に仇なす者。そして、今回の除去候補者。
通常ならば、即刻始末しなければならない。
しかし、彼は私を天界人だと知りながら、ソイニー師匠を助けた。
そして、革命派と言えども、武力を好まず対話による革命を成し遂げたいと言っている。
天界で習った感じとは全く異なっている。
天界では、下界人は野蛮で、天界人を殺すことを生きがいにしている。そして、知能が低く、天界人が支配してあげないと自らも律することができないと習ってきた。
しかし、目の前にいる彼は、優しく、紳士的で、なんなら天界人よりも己を律している。
いや、猫をかぶってこちらの油断を誘っているだけかもしれないが、それでも、好感が持てる男性であった。
ソイニー師匠は、困惑してしまう。
今、目の前の彼を殺すべきか、殺さないべきか。
助けてもらった恩もある。
そして、この人は悪い人ではないという、ソイニー師匠の直感が言う。
ソイニー師匠は最終的に己の正義感で判断することにし、今回は彼のことを見て見ぬ振りをすることにする。
ソイニー師匠が葛藤して、そして意思を固めたちょうどその時、シーアが再び話し始める。
「多分、これから過激派は躍起になってあなたを探すと思います。あなたもその怪我では、すぐには天界に戻れないのではないですか? それならば、怪我が治るまで、私の隠れ家にきませんか?」
隠れ家に? さっき出会ったばかりの除去候補者と一緒に過ごす?
危険すぎやしないかとソイニー師匠は内心思う。
しかし、今頼れるのは、目の前にいるシーモしかいない。
ソイニー師匠は選択を迫られ、悪い人ではなさそうだからと、シーモの隠れ家に行くことにする。
なんとかバレずに、シーモの車に乗り込み、東京を後にして横浜方面へと向かう。
車中、ソイニー師匠は気になることがあったため、シーモに訊く。
「あの、シーモさん、あなたはなぜ、あんなところにいたのですか?」
「あ、私ですか? 私はですね、隠しアジトから過激派の動向を監視してたのですよ。そしたら、急に天界人のあなたが吹き飛ばされてきたから、助けたと言うわけです。ほんと、奇跡ですよ。隠れアジトの目の前に飛んでくるなんて」
シーモは笑いながら愉快そうに話す。
「奇跡、ですか」
と、ソイニー師匠はぽつりと呟く。
そして、後で、天界に安否報告をしなければと思いながら、車窓から過ぎ行く街並みを見る。
「ソイニー、今日から俺らが下界巡回の当番だけど、最近下界人が騒がしいからめんどくさーな」
ロイスは下界へ通ずる下門《アンダーゲート》の前で、下界への進入許可が降りるまで待機している。
「ロイスそんなこと言わないの。私たちがしっかり下界の悪の目を摘み取ることで、下界を安定させ、天界の治安を守ることに繋がってるんだから、しっかり働かないと」
ソイニー師匠が天界魔導大学を主席で卒業後、天界公安局に入局し、天界内外の治安維持に従事していた。
この日は、実際に下界に降り立ち、天界に刃向かう危険因子の除去を目的とした下界巡回の日。
あらかじめ除去候補者は決められており、今日は男性1人の除去作業だけが任務で、すぐに仕事が終わる案件だった。
「今日は、この後アーシャ先生とナタリーと岩盤浴に行く予定だから、早めに仕事を終わらせましょう」
『下門進入許可』
ソイニー師匠が背伸びをしながら、この後のお楽しみな予定を告げた時、下門進入が許可され、ソイニー師匠とロイスは、下界に降りる。
——————
「じゃあ、まず、自宅を捜索しましょうか」
「そうだな、日曜の朝早いから自宅にいるだろう」
2人は、除去候補者の男の家に向かう。
しかし、自宅に着いたが、そこには誰もいなかった。
「ついてないな。誰もいないじゃないか。あれ、これはなんだ? ソイニー、このビラを見てみろよ」
ロイスは男の家の机に置いてあるビラをソイニーに見せる。
「大革命大会、天界支配からの脱却を果たすために集うべし、日にちはないわね」
「これは、ゲリラ集会が行われるのかも知れないな」
「ゲリラ集会か、そうね。あらかじめ日程を決めておくと、私たち天界公安局にバレてしまうものね。じゃあ、人が集まってそうな場所を探してみますか」
ソイニーとロイスは、空を飛んで、東京23区内を監視する。
すると、徐々に東京駅に人だかりが出きてきていることを視認する。
「取り敢えず、東京駅の集団を内偵しましょう。
男を見つけしだい集団内で暗殺しますよ、その後は緊急離脱で」
「了解、ソイニー」
ソイニー師匠とロイスは有楽町駅付近に降り立ち、徒歩で東京駅に向かう。
東京駅西口にたどり着くと、そこにはざっと見ただけでも1万人以上の人が集まってきており、人はさらに増え続けている。
これは探すのに骨が折れそうだとソイニー師匠とロイスはため息を吐く。
2人は人を掻い潜りながら、除去候補者の男を探す。
だが、見つける前に、デモ行進が始まったしまった。
『天界は地球から退け! 我々に干渉するな! 我々にも人権がある。お前達の奴隷ではない!』
そう叫びながら行進を続ける。
この時代、天界人が下界人を拉致し魂を餮《むさぼ》んだり、奴隷にして天界で飼い慣したりすることが普通の時代であった。
そのため、今回のデモはそれに反対し、地球間での結束を促し、天界に対抗するための礎を築こうとする狙いがあった。
デモ行進は進むに連れて激しさを増し、一部は暴徒化して、日本王国にある天界駐在所を強襲する者も現れた。
ソイニー師匠とロイスも、デモ参加者同士とぶつかり合いながら男を探し続ける。
——ドン
しかし、事は順調には進まなかった。
ロイスがデモ参加者とぶつかる。
そして、内ポケットから何かを落としてしまう。
「何か落としましたよ」
と、後ろの下界人が、素早くそれを拾い上げ、ロイスに返そうとする。
だが、その落とした代物が最悪だった。
……その代物は、天界公安局の身分証明書だった。
「こ、これは、お前はもしかして、天界の内通者か⁉︎」
ロイスの身分証明書を拾った男が叫ぶ。
そして、それを聞いた周囲のデモ参加者は一斉にロイス達を見る。
「ちくしょうばれちまった。ソイニー、別々に緊急離脱だ、下門でまた会おう」
そういうとロイスは風魔導で、辺りのデモ参加者を薙ぎ払い空中へと逃れる。
ソイニー師匠は、ロイスに比べてワンテンポ遅れて水球魔導を現界させ、周りのデモ参加者を倒す。
そして、隙をついて上空に逃げようとするが、デモ参加者の中には魔専の魔導士も参加しており、魔専の魔導士は味方敵関係なく魔導を放ち、味方もろともソイニー師匠を吹き飛ばす。
「ぐはっ」
ソイニー師匠は道路沿いのお店に吹き飛ばされ、そのまま店舗の壁もぶち破り、裏路地まで飛ばされる。
「おい、あの女天界人を追え!」
群衆がソイニー師匠を始末しようと、店舗に流れ込む。
「逃げなければ‥‥‥、だけど、足が折れて‥‥‥」
吹き飛ばされた衝撃でソイニー師匠の片足は折れてしまっていた。
ソイニー師匠は、もう立つことすらできない。
絶体絶命である。
ソイニー師匠は命の最後を感じる。
「もっと‥‥‥生きたかったのに‥‥‥」
ソイニー師匠はゆっくりと目を閉じる。
「こっちだ、こっちに来るんだ!」
急に目の前の扉が開き、見知らぬ男がソイニー師匠を呼ぶ。
「動けないのか? 仕方ない。少し痛むかもしれないが、抱えるぞ」
そういうと、男はソイニー師匠を抱え、扉の中に入り鍵を閉める。
外からは「どこいったあの天界人は」と群衆の怒声が聞こえてくる。
ソイニー師匠は間一髪助かったのだ。
「良かった、なんとか助かったみたいで。もし隣の店舗に飛ばされていたら、助けられなかったよ」
男はソイニー師匠を抱えながら笑顔になる。
「あ、ありがとう、あなたは一体誰なの?」
「私は、シーモ・ヒラオカです」
「え? 日本王国民!? 天界人ではないのですか?」
「天界人では、ないですよ」
「それじゃあ、なんで私を‥‥‥助けてくれたんですか?」
ソイニー師匠は、足が折れていて、杖もなく、反撃できない状況のため少し怯えながら訊く。
「それは、困っている人がいるなら助けるもんじゃないですか?」
「それは、そうですが‥‥‥。あ、すみません、片足で立てますので、降ろしてもらってもいいですか?」
「あ、本当に大丈夫ですか? それなら、はいっと」
男は、ゆっくりとソイニー師匠を下ろす。
そして、男はゆっくり話し出す。
「外にいる人たちは、言うなれば過激派です。武力で天界からの支配から脱却しようとする人たちです。だけど、私はそれには反対です。無益な血は流すべきではありません。私は人々が傷つくところを見たくない。だから、私は、天界との話し合いでこそ、現状を変える努力をすべきだと考えています」
「だから、天界人の私を助けてくれたのですね。となると、あなたも革命派なのですか?」
「革命派と言えば、そうですね。僕も、天界からの支配から脱却したいとは思っています」
「やはり、そうなんですね‥‥‥って、ちょっと待って、あなたは‥‥‥」
ソイニー師匠は落ち着きを取り戻したところで、男の顔をしっかりと見る。
そしてたじろぐ。目の前に立っていた男はこそが、ソイニー師匠の今回の任務の除去候補者であった。
ソイニー師匠は今一度、顔写真を確認し、名前も確認する。
書類には「シーモ・ヒラオカ」と記載されている。
完全な一致である。
ソイニー師匠は黙って考える。目の前にいる人物は革命派の人間で、天界に仇なす者。そして、今回の除去候補者。
通常ならば、即刻始末しなければならない。
しかし、彼は私を天界人だと知りながら、ソイニー師匠を助けた。
そして、革命派と言えども、武力を好まず対話による革命を成し遂げたいと言っている。
天界で習った感じとは全く異なっている。
天界では、下界人は野蛮で、天界人を殺すことを生きがいにしている。そして、知能が低く、天界人が支配してあげないと自らも律することができないと習ってきた。
しかし、目の前にいる彼は、優しく、紳士的で、なんなら天界人よりも己を律している。
いや、猫をかぶってこちらの油断を誘っているだけかもしれないが、それでも、好感が持てる男性であった。
ソイニー師匠は、困惑してしまう。
今、目の前の彼を殺すべきか、殺さないべきか。
助けてもらった恩もある。
そして、この人は悪い人ではないという、ソイニー師匠の直感が言う。
ソイニー師匠は最終的に己の正義感で判断することにし、今回は彼のことを見て見ぬ振りをすることにする。
ソイニー師匠が葛藤して、そして意思を固めたちょうどその時、シーアが再び話し始める。
「多分、これから過激派は躍起になってあなたを探すと思います。あなたもその怪我では、すぐには天界に戻れないのではないですか? それならば、怪我が治るまで、私の隠れ家にきませんか?」
隠れ家に? さっき出会ったばかりの除去候補者と一緒に過ごす?
危険すぎやしないかとソイニー師匠は内心思う。
しかし、今頼れるのは、目の前にいるシーモしかいない。
ソイニー師匠は選択を迫られ、悪い人ではなさそうだからと、シーモの隠れ家に行くことにする。
なんとかバレずに、シーモの車に乗り込み、東京を後にして横浜方面へと向かう。
車中、ソイニー師匠は気になることがあったため、シーモに訊く。
「あの、シーモさん、あなたはなぜ、あんなところにいたのですか?」
「あ、私ですか? 私はですね、隠しアジトから過激派の動向を監視してたのですよ。そしたら、急に天界人のあなたが吹き飛ばされてきたから、助けたと言うわけです。ほんと、奇跡ですよ。隠れアジトの目の前に飛んでくるなんて」
シーモは笑いながら愉快そうに話す。
「奇跡、ですか」
と、ソイニー師匠はぽつりと呟く。
そして、後で、天界に安否報告をしなければと思いながら、車窓から過ぎ行く街並みを見る。
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