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第2章 森再生編
61話 拒絶
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光の衝撃波が放たれた場所には、輝く金色の髪の女性と冷静冷酷な青い目をしている男性が立っていたのだ。
「舞、大丈夫?」
ジルコンが駆け寄って来たのだ。
何度見ても綺麗で、そして強く輝く女性なのだ。
「大丈夫です。
来てくれたのですね。」
「そうよ。
二人が森に行った事はシウン殿から聞いたのだけど、帰りが遅いから心配して来てみたの。
案の定ね。
あのブラックが付いていながら、舞を危険な状況にさらすなんて。
あんな偽物にたぶらかされている魔人の王なんているのかしら?」
ブラックも駆け寄って来た。
「舞、済まない。
ジルコン、助かったよ。
・・・ああ、私が悪かった。
ジルコンの言う通りだ。
反論する言葉がないよ。」
「ブラック様。
勝手ながら、この辺一帯の黒い影達から森を侵食して得た記憶を全て抜き取りました。
寄生されない限り、何物にも変わる事はありません。
ただの黒い集合体でしかありません。」
ユークレイスは、頭を下げながらブラックに伝えたのだ。
「ありがとう。
それで構わないよ。
さすが、ユークレイスだね。」
ブラックがそう言うと普段無表情のユークレイスが顔を緩めたのだ。
ブラックに褒められる事がとても嬉しかったようなのだ。
私はジルコンとユークレイスに今までのことを話したのだ。
森の精霊に会ったこと、今は薬を使って黒い影の侵食を防いでいること。
そして、今後、私が思う共存計画について。
「この森は精霊によって植物達の成長をコントロールしていたみたいです。
以前来た時不思議な感じがしたんです。
いつでも花は咲き乱れ、草木は枯れることなく茂っていました。
しかし、黒い影達と共生することで、冬のような環境を作り出しエネルギーを消費し、また春のような環境に変えてエネルギーを蓄える事の繰り返しができないかと思ったのです。
もちろん、全てのエネルギーを吸い尽くしてしまえばこの森は死に、黒い影達はまた別のところを探さなければなりません。
しかし、共生し調整することで、安定したエネルギーを得ることが出来るのじゃないかと思うのです。
黒い影達が知恵をつけたのであれば、私が言っている意味がわかるのではないかと思うのですが。」
「舞らしいわね。でも、そう簡単に行くかしら?
本能で植物達のエネルギーを吸い取っているなら、それにより増殖するのも本能。
ここに共生することで安定はするけど、増やす事は出来なくなるんじゃない?」
確かにジルコンが言う通りかもしれない。
どんな生き物も本能で増殖するようプログラムされていて、繁栄を目指すものなのかもしれない。
舞の世界にいる人間ですら、自分達の周りの自然を破壊したり、資源を取り尽くしたりと自分たちの繁栄することしか考えていなかった。
とにかく私は精霊に、黒い影達に共生する気持ちがあるか聞いてもらう事にしたのだ。
「わかりました。
こちらの考えを送ってみます。」
その子供のような精霊は思念のようなものを使い、黒い影の核となるものにコンタクトしたのだ。
しかし、良い答えは貰えなかったようだ。
「こちらのエネルギーを吸い尽くすことがこの黒い影の意思のようです。
それは変わらないと。
・・・上手くは行きませんね。」
「仕方ないですね。
やはり消滅させるしかありませんね。
どうにか薬の効果があるうちに消滅させないと、また寄生されてしまう。
そうなると、森全体を消滅させるしかなくなります。
それに、人間へも影響がある事がわかった今、野放しには出来ません。
もし、街に移動する事があれば、問題になるのはわかりますよね、舞。」
ブラックがこう決断するのも仕方ないのだ。
共存を拒否されたらもう、方法は一つしかないのだ。
これからたくさん訪れる事になる人間達を考えれば、この影達が街にいるのはとても危険なのだ。
やはり、私の考えは甘かったのだ。
「そうですね。
森を守るために、お願いします。」
拒絶した黒い影の集合体は、さらに集まりだしたのだ。
森の記憶が無くなってしまったため、何かに変わる事は無かった。
しかし、大きな負のエネルギーの塊となって私たちの方に向かって来たのだ。
ブラックはユークレイスにこの黒い集合体の核に影響出来るか聞いていたのだ。
「ユークレイス、この集合体の核にもっと仲間を集めるように操作できるかな?
何回も対応するのは面倒だからね。
一回で終わりにしたいのだよ。」
「はい、やってみます。
記憶を抜き取る事が出来たので、別の記憶を埋め込む事も可能かと思います。」
ユークレイスが上手く操作出来たようで、黒い影達の集団は動きを止めたのだ。
その間に森中の影が集まり、集合体はより大きな存在となったのだ。
だいぶブラックに減らしてもらっていたはずなのに、かなりの量がまだ存在していたのだ。
そして、大きくなった集合体がこちらに向かって来たのだ。
ブラックが前に出て、左手をその集合体に向けると、その黒い影よりももっと黒い波のような衝撃波が放たれ、その黒い影全体を包み込んだのだ。
その後、一瞬光ったかと思うと、包まれた中の影は全て黒い粉となって下に落ちて消滅したのである。
「舞、大丈夫?」
ジルコンが駆け寄って来たのだ。
何度見ても綺麗で、そして強く輝く女性なのだ。
「大丈夫です。
来てくれたのですね。」
「そうよ。
二人が森に行った事はシウン殿から聞いたのだけど、帰りが遅いから心配して来てみたの。
案の定ね。
あのブラックが付いていながら、舞を危険な状況にさらすなんて。
あんな偽物にたぶらかされている魔人の王なんているのかしら?」
ブラックも駆け寄って来た。
「舞、済まない。
ジルコン、助かったよ。
・・・ああ、私が悪かった。
ジルコンの言う通りだ。
反論する言葉がないよ。」
「ブラック様。
勝手ながら、この辺一帯の黒い影達から森を侵食して得た記憶を全て抜き取りました。
寄生されない限り、何物にも変わる事はありません。
ただの黒い集合体でしかありません。」
ユークレイスは、頭を下げながらブラックに伝えたのだ。
「ありがとう。
それで構わないよ。
さすが、ユークレイスだね。」
ブラックがそう言うと普段無表情のユークレイスが顔を緩めたのだ。
ブラックに褒められる事がとても嬉しかったようなのだ。
私はジルコンとユークレイスに今までのことを話したのだ。
森の精霊に会ったこと、今は薬を使って黒い影の侵食を防いでいること。
そして、今後、私が思う共存計画について。
「この森は精霊によって植物達の成長をコントロールしていたみたいです。
以前来た時不思議な感じがしたんです。
いつでも花は咲き乱れ、草木は枯れることなく茂っていました。
しかし、黒い影達と共生することで、冬のような環境を作り出しエネルギーを消費し、また春のような環境に変えてエネルギーを蓄える事の繰り返しができないかと思ったのです。
もちろん、全てのエネルギーを吸い尽くしてしまえばこの森は死に、黒い影達はまた別のところを探さなければなりません。
しかし、共生し調整することで、安定したエネルギーを得ることが出来るのじゃないかと思うのです。
黒い影達が知恵をつけたのであれば、私が言っている意味がわかるのではないかと思うのですが。」
「舞らしいわね。でも、そう簡単に行くかしら?
本能で植物達のエネルギーを吸い取っているなら、それにより増殖するのも本能。
ここに共生することで安定はするけど、増やす事は出来なくなるんじゃない?」
確かにジルコンが言う通りかもしれない。
どんな生き物も本能で増殖するようプログラムされていて、繁栄を目指すものなのかもしれない。
舞の世界にいる人間ですら、自分達の周りの自然を破壊したり、資源を取り尽くしたりと自分たちの繁栄することしか考えていなかった。
とにかく私は精霊に、黒い影達に共生する気持ちがあるか聞いてもらう事にしたのだ。
「わかりました。
こちらの考えを送ってみます。」
その子供のような精霊は思念のようなものを使い、黒い影の核となるものにコンタクトしたのだ。
しかし、良い答えは貰えなかったようだ。
「こちらのエネルギーを吸い尽くすことがこの黒い影の意思のようです。
それは変わらないと。
・・・上手くは行きませんね。」
「仕方ないですね。
やはり消滅させるしかありませんね。
どうにか薬の効果があるうちに消滅させないと、また寄生されてしまう。
そうなると、森全体を消滅させるしかなくなります。
それに、人間へも影響がある事がわかった今、野放しには出来ません。
もし、街に移動する事があれば、問題になるのはわかりますよね、舞。」
ブラックがこう決断するのも仕方ないのだ。
共存を拒否されたらもう、方法は一つしかないのだ。
これからたくさん訪れる事になる人間達を考えれば、この影達が街にいるのはとても危険なのだ。
やはり、私の考えは甘かったのだ。
「そうですね。
森を守るために、お願いします。」
拒絶した黒い影の集合体は、さらに集まりだしたのだ。
森の記憶が無くなってしまったため、何かに変わる事は無かった。
しかし、大きな負のエネルギーの塊となって私たちの方に向かって来たのだ。
ブラックはユークレイスにこの黒い集合体の核に影響出来るか聞いていたのだ。
「ユークレイス、この集合体の核にもっと仲間を集めるように操作できるかな?
何回も対応するのは面倒だからね。
一回で終わりにしたいのだよ。」
「はい、やってみます。
記憶を抜き取る事が出来たので、別の記憶を埋め込む事も可能かと思います。」
ユークレイスが上手く操作出来たようで、黒い影達の集団は動きを止めたのだ。
その間に森中の影が集まり、集合体はより大きな存在となったのだ。
だいぶブラックに減らしてもらっていたはずなのに、かなりの量がまだ存在していたのだ。
そして、大きくなった集合体がこちらに向かって来たのだ。
ブラックが前に出て、左手をその集合体に向けると、その黒い影よりももっと黒い波のような衝撃波が放たれ、その黒い影全体を包み込んだのだ。
その後、一瞬光ったかと思うと、包まれた中の影は全て黒い粉となって下に落ちて消滅したのである。
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