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自殺へのカウントダウン
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私は愛していた人に裏切られた。それまでも何度も同じような出来事があり、「もうしないから」という言葉を信じながら関係を続けた。
その後私たちはもう離れざるを得ない出来事があり、あっけなく別れた。同じ職場なのでお互い顔を合わすのも辛い、最初はそんな感じだった。
しかしあれから数ヵ月経った今はどうだろうか。相手はケラケラ普通に笑顔を周りに見せるようになっている。それはもともと自分には帰る場所があったからだろう。
そう、不倫だったのだ。過去に私を保険くらいに思ってるならこの関係を辞めたい、と伝えたときも保険とは思ってない、バレたらあなたを必ず選ぶと言いながらも、バレて相手の配偶者に離婚しないでいいと言われたからか子供を選ぶという言い方をされたのである。まぁ初めから遊ばれてる気はしてたのだが。
その後、相手の配偶者から連絡を絶てと言われておきながら何度も連絡をしてきた。私も苦しいしお互い苦しいよね、というつもりで無視はしなかった。
ところがだ、自分が笑顔で話せるようになったら連絡もこないし、むしろ私を腫れ物扱いしてるそうではないか。
この事実を知ってから私は決めた。もともと遊ばれてただけだし、どこにも居場所がないのもわかっている。だから死のう、と。
そう決めてからは何をする気にもならなかった。
職場からも大丈夫か?と聞かれ遂には休職することになったのである。
そして思った、休職中が死ぬチャンスだと。
まずは死に方だ。
時間があったから色々調べた。そこで私が思いついたのは手持ちの睡眠薬をアルコールで流し込み、眠くなったらドアノブで首を吊る、という方法。これしかないと思った。
あと実行日だがいつにしようか、と思っていたのだか死に方が決まればもういつだっていい。ただ遺体が汚れるようなのでなるべく体から食べ物を抜いてからにしようと思った。ということで2日断食をして挑もうと決めた。
さぁ、この2日で何をしようかな。まずは部屋の掃除。物が多くては私が死んだ後に片付ける人も大変だろうと思い、なるべく物は捨てた。思い出ももう必要ないし。
あとは寝て過ごす。それでよいのだ。好きなYouTuberの動画観て寝るということでいいのだ。
最高だ。
思い出した。行かないと行けない場所がある。それは不倫相手とよく行った海。そこだけは最後観たいと思った。
もう日は暮れていたがすぐに車を走らせた。海に着いたときには完全に夜だった。
久しぶりに聞く波の音、風の匂い、この道腕組んで歩いたな、と色々なことがフラッシュバックした。月を見ながら「あー、あの人は今ごろ暖かい場所で温かいもの食べてるんだろうな」と思うと、とても恨めしかった。悲しかった。私はこの思いのまま家に帰ることにした。
帰ってすぐ酒を飲む。「ふんわり」という名前がついてるがアルコール℃数16%の全然ふんわりじゃないやつを。
そして睡眠薬。今あるだけさっと飲んだ。
その後も酒を飲む。当たり前だが眠たくなってきた。あとはドアノブに行くだけ、と思ったのだがロープがない。きっと一昨日ホームセンターで買ってそのまま車に忘れてるのだ。
しかし、マフラータオルならいける、というとっさの判断はまだできた。
マフラータオルを結んでドアノブにかける。そして首を入れて腰を落とした。我ながらジャストフィット、と拍手したくなった。
ほんの数秒すると頭がふわーっとしてきた。あぁ、プロレスなどで言われるスリーパーってこうやって落ちるんだろうな、と冷静に思った。
それからどれだけ時間が過ぎたのだろう。部屋は真っ暗だ。私は状況が飲み込めなかった。なぜ真っ暗の中部屋にいるのか、なぜドアの近くで寝ていたのか。
ふと見上げるとドアノブにはほどかれたマフラータオルが片方だけ引っ掛かっていた。それでようやく置かれている状況が理解できた。
「あー、マフラータオルが私の重みに堪えきれず結び目がほどけたか」と。しかし二重に括ってたのにほどけることなんてあるのか?それとも私が眠ってるあいだに無意識にほどいたのか?いずれにせよどちらかはわからない。そしてまだ私は生きてることに違いはない。
死ねなかった、ということにため息ついた。まだまだ私は苦しみながら生きていかないといけないのかと。
しかし、それと同時に「お腹すいた。何か食べたい」と思った。
これが今の私の答えなのだろう。
その後私たちはもう離れざるを得ない出来事があり、あっけなく別れた。同じ職場なのでお互い顔を合わすのも辛い、最初はそんな感じだった。
しかしあれから数ヵ月経った今はどうだろうか。相手はケラケラ普通に笑顔を周りに見せるようになっている。それはもともと自分には帰る場所があったからだろう。
そう、不倫だったのだ。過去に私を保険くらいに思ってるならこの関係を辞めたい、と伝えたときも保険とは思ってない、バレたらあなたを必ず選ぶと言いながらも、バレて相手の配偶者に離婚しないでいいと言われたからか子供を選ぶという言い方をされたのである。まぁ初めから遊ばれてる気はしてたのだが。
その後、相手の配偶者から連絡を絶てと言われておきながら何度も連絡をしてきた。私も苦しいしお互い苦しいよね、というつもりで無視はしなかった。
ところがだ、自分が笑顔で話せるようになったら連絡もこないし、むしろ私を腫れ物扱いしてるそうではないか。
この事実を知ってから私は決めた。もともと遊ばれてただけだし、どこにも居場所がないのもわかっている。だから死のう、と。
そう決めてからは何をする気にもならなかった。
職場からも大丈夫か?と聞かれ遂には休職することになったのである。
そして思った、休職中が死ぬチャンスだと。
まずは死に方だ。
時間があったから色々調べた。そこで私が思いついたのは手持ちの睡眠薬をアルコールで流し込み、眠くなったらドアノブで首を吊る、という方法。これしかないと思った。
あと実行日だがいつにしようか、と思っていたのだか死に方が決まればもういつだっていい。ただ遺体が汚れるようなのでなるべく体から食べ物を抜いてからにしようと思った。ということで2日断食をして挑もうと決めた。
さぁ、この2日で何をしようかな。まずは部屋の掃除。物が多くては私が死んだ後に片付ける人も大変だろうと思い、なるべく物は捨てた。思い出ももう必要ないし。
あとは寝て過ごす。それでよいのだ。好きなYouTuberの動画観て寝るということでいいのだ。
最高だ。
思い出した。行かないと行けない場所がある。それは不倫相手とよく行った海。そこだけは最後観たいと思った。
もう日は暮れていたがすぐに車を走らせた。海に着いたときには完全に夜だった。
久しぶりに聞く波の音、風の匂い、この道腕組んで歩いたな、と色々なことがフラッシュバックした。月を見ながら「あー、あの人は今ごろ暖かい場所で温かいもの食べてるんだろうな」と思うと、とても恨めしかった。悲しかった。私はこの思いのまま家に帰ることにした。
帰ってすぐ酒を飲む。「ふんわり」という名前がついてるがアルコール℃数16%の全然ふんわりじゃないやつを。
そして睡眠薬。今あるだけさっと飲んだ。
その後も酒を飲む。当たり前だが眠たくなってきた。あとはドアノブに行くだけ、と思ったのだがロープがない。きっと一昨日ホームセンターで買ってそのまま車に忘れてるのだ。
しかし、マフラータオルならいける、というとっさの判断はまだできた。
マフラータオルを結んでドアノブにかける。そして首を入れて腰を落とした。我ながらジャストフィット、と拍手したくなった。
ほんの数秒すると頭がふわーっとしてきた。あぁ、プロレスなどで言われるスリーパーってこうやって落ちるんだろうな、と冷静に思った。
それからどれだけ時間が過ぎたのだろう。部屋は真っ暗だ。私は状況が飲み込めなかった。なぜ真っ暗の中部屋にいるのか、なぜドアの近くで寝ていたのか。
ふと見上げるとドアノブにはほどかれたマフラータオルが片方だけ引っ掛かっていた。それでようやく置かれている状況が理解できた。
「あー、マフラータオルが私の重みに堪えきれず結び目がほどけたか」と。しかし二重に括ってたのにほどけることなんてあるのか?それとも私が眠ってるあいだに無意識にほどいたのか?いずれにせよどちらかはわからない。そしてまだ私は生きてることに違いはない。
死ねなかった、ということにため息ついた。まだまだ私は苦しみながら生きていかないといけないのかと。
しかし、それと同時に「お腹すいた。何か食べたい」と思った。
これが今の私の答えなのだろう。
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