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#1 中世 イリア編
#1.2 根性曲げずに膝曲げろ (1/3)
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「おい、ユウキ。裏に行って商品をそこの棚に並べてくれ」
早速、働けってか。ん?
「なんで俺の名前を? おじさん、ただ者じゃないな?」
「バカ言ってんじゃねー。お前の着てる服に書いてあるだろうが、ツアーレ? ユウキって」
自分の胸の部分に、変な文字が書いてある。何で名前が? これもサービスなのか?
「イリア。そいつに商品の場所と仕事の仕方を教えてやんな」
「えー、私がー。まあ、いいけど。おいで、ユウキ」
何だか犬を呼んでいるような言い方だ。
「さあ、ユウキ。この箱を持って行って」
「へいへい、これか」
小さな箱を持ち上げようとすると、見た目以上に重い。
「ちょっと、ユウキ。そんなも落ち方したら腰が悪くなるわよ。ほら、こうやって持つのよ」
そう言って、イリアは軽々と持ち上げた。
「いい、膝を曲げて腰を落としてから持ち上げるのよ。
腕の力だけでやろうとすると、腰を痛めるだけよ。分かった?、ユウキ」
言われた通りに持ち上げてみると、あら不思議。以外と簡単に持ち上がった。
「なんだ、イリアの方が力持ちだと思ったよ」
イリアは俺が持っている箱の上に両肘を付け、顔を近づける。
「イリアですって? 私はあなたの雇い主なのよ」
「顔が、顔が近いって!」
顔も近いが、イリアは両肘に力を入れて下げている。重い、頭に血がのぼる~、もう、手を離しそうだ。
「さあ、なんて言うの? 言っていいのよ」
「イリアさん~」
「はあ?」
「イリア様、お嬢様~」
イリアは力を抜くと俺から離れた。
教訓その1 根性曲げずに膝曲げろ。
おかしい。絶対におかしい。働かせられるのもあれだが、何でこんなに疲れるんだ? ここは仮想世界じゃないのか?ここまで本気で再現しなくても、いいだろう。全く人使いの荒い親子だ。こんなことを毎日二人でやっているのか? いや、そう思うと大したものだ。これならまだ、コンビニの方がマシかもしれない。いや、待てよ。そういう設定なんだろうな。再現度、半端無し。
「おう、ユウキ。日も暮れたから店じまいだ。もう、上がっていいぞ。疲れただろう、先に風呂に入っときな」
風呂かあ、いいねー。もう汗びっしょりだ。
「お疲れ様でした。じゃあ、お先に」
「そうだ。先にイリアが入ってるかもしれないから、入る前に気を付けてな」
キター、イベント、キター。
そういうことか。あのおっさんの言い方。何かを期待しているのか? ハプニングとか。起きるのか? ハプニング。起きるといいな。
何となく、自分の顔が緩んでいるのが分かる。別に…期待しているわけじゃ…してる、かな?。
風呂に入れって言っても、その風呂場はどこだ? 俺は大して広くもない家の中を探し続ける。部屋の角を曲がったところでイリアが前から歩きて来た。どうも、さっきから姿を見ないと思ったら、こんなところにいたのか。
「どこ行くの? ユウキ。もう仕事は終わったの?」
「終わったよ。それで、風呂に入ろうかと」
「あ、そう。ふーん」
この反応は、どう解釈すればいいんだ?
「あー。ところで、お風呂って、どこ?」
「この先の奥よ。ゆっくり、入ってらっしゃいな」
「そうするよ。じゃあ」
何事もなくイベントは終了した。
もっと勇気が欲しい。それに ちなんで名前を付けたのにな。まあ、いいさ。まだ初日だ。まだまだチャンスはある、はず。
「ユウキ?」
「ん?」
「一緒に入る? お風呂」
「えええええええええええええええええええええええええええええええ」
もし、ここで”Yes”と答えたら、入るのか? 本当か? 入るのか? 入るのか? まだ、知り合ってから半日しか経ってないぞ。それでか、いいのか? どうする俺? チャンスなのか? チャンスだよな。ここで断ったりしたら彼女に恥を掻かせてしまうかも。それはいけないよな、男として。それも女性に恥を掻かせるなんで。
でも、でも、でも。ぐうーーーーーーーーーーーーーー。
「やっぱり、一人で入りたいわよね」
えええええええええええええええええええええええええええええええ。
俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、バカか?
「い、いや、構わないけど?(もっと大きい声で)」
「いいのよ、遠慮しなくても。お父さんとイキナリ一緒じゃ、いやだよね」
あの親父?
「お父さんも、もう少しで、こっちに来るから、男同士、いいかもって思っただけよ。気にしないでいいわよ。お風呂、行ってらっしゃい」
千の言葉をもってしても、俺の気持ちを表すには、足りないと、思った。
教訓その2 人の話は最後まで聞け。
◇
早速、働けってか。ん?
「なんで俺の名前を? おじさん、ただ者じゃないな?」
「バカ言ってんじゃねー。お前の着てる服に書いてあるだろうが、ツアーレ? ユウキって」
自分の胸の部分に、変な文字が書いてある。何で名前が? これもサービスなのか?
「イリア。そいつに商品の場所と仕事の仕方を教えてやんな」
「えー、私がー。まあ、いいけど。おいで、ユウキ」
何だか犬を呼んでいるような言い方だ。
「さあ、ユウキ。この箱を持って行って」
「へいへい、これか」
小さな箱を持ち上げようとすると、見た目以上に重い。
「ちょっと、ユウキ。そんなも落ち方したら腰が悪くなるわよ。ほら、こうやって持つのよ」
そう言って、イリアは軽々と持ち上げた。
「いい、膝を曲げて腰を落としてから持ち上げるのよ。
腕の力だけでやろうとすると、腰を痛めるだけよ。分かった?、ユウキ」
言われた通りに持ち上げてみると、あら不思議。以外と簡単に持ち上がった。
「なんだ、イリアの方が力持ちだと思ったよ」
イリアは俺が持っている箱の上に両肘を付け、顔を近づける。
「イリアですって? 私はあなたの雇い主なのよ」
「顔が、顔が近いって!」
顔も近いが、イリアは両肘に力を入れて下げている。重い、頭に血がのぼる~、もう、手を離しそうだ。
「さあ、なんて言うの? 言っていいのよ」
「イリアさん~」
「はあ?」
「イリア様、お嬢様~」
イリアは力を抜くと俺から離れた。
教訓その1 根性曲げずに膝曲げろ。
おかしい。絶対におかしい。働かせられるのもあれだが、何でこんなに疲れるんだ? ここは仮想世界じゃないのか?ここまで本気で再現しなくても、いいだろう。全く人使いの荒い親子だ。こんなことを毎日二人でやっているのか? いや、そう思うと大したものだ。これならまだ、コンビニの方がマシかもしれない。いや、待てよ。そういう設定なんだろうな。再現度、半端無し。
「おう、ユウキ。日も暮れたから店じまいだ。もう、上がっていいぞ。疲れただろう、先に風呂に入っときな」
風呂かあ、いいねー。もう汗びっしょりだ。
「お疲れ様でした。じゃあ、お先に」
「そうだ。先にイリアが入ってるかもしれないから、入る前に気を付けてな」
キター、イベント、キター。
そういうことか。あのおっさんの言い方。何かを期待しているのか? ハプニングとか。起きるのか? ハプニング。起きるといいな。
何となく、自分の顔が緩んでいるのが分かる。別に…期待しているわけじゃ…してる、かな?。
風呂に入れって言っても、その風呂場はどこだ? 俺は大して広くもない家の中を探し続ける。部屋の角を曲がったところでイリアが前から歩きて来た。どうも、さっきから姿を見ないと思ったら、こんなところにいたのか。
「どこ行くの? ユウキ。もう仕事は終わったの?」
「終わったよ。それで、風呂に入ろうかと」
「あ、そう。ふーん」
この反応は、どう解釈すればいいんだ?
「あー。ところで、お風呂って、どこ?」
「この先の奥よ。ゆっくり、入ってらっしゃいな」
「そうするよ。じゃあ」
何事もなくイベントは終了した。
もっと勇気が欲しい。それに ちなんで名前を付けたのにな。まあ、いいさ。まだ初日だ。まだまだチャンスはある、はず。
「ユウキ?」
「ん?」
「一緒に入る? お風呂」
「えええええええええええええええええええええええええええええええ」
もし、ここで”Yes”と答えたら、入るのか? 本当か? 入るのか? 入るのか? まだ、知り合ってから半日しか経ってないぞ。それでか、いいのか? どうする俺? チャンスなのか? チャンスだよな。ここで断ったりしたら彼女に恥を掻かせてしまうかも。それはいけないよな、男として。それも女性に恥を掻かせるなんで。
でも、でも、でも。ぐうーーーーーーーーーーーーーー。
「やっぱり、一人で入りたいわよね」
えええええええええええええええええええええええええええええええ。
俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、俺は、バカか?
「い、いや、構わないけど?(もっと大きい声で)」
「いいのよ、遠慮しなくても。お父さんとイキナリ一緒じゃ、いやだよね」
あの親父?
「お父さんも、もう少しで、こっちに来るから、男同士、いいかもって思っただけよ。気にしないでいいわよ。お風呂、行ってらっしゃい」
千の言葉をもってしても、俺の気持ちを表すには、足りないと、思った。
教訓その2 人の話は最後まで聞け。
◇
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