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王宮にて、ことの顛末

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王宮に着いた一行はマーガレットだけ別室に連れていかれ、国王と王妃の待つ応接間に通された。
王宮までクリストファーに付き添って事情を聞いたアルバートはいい笑顔で、
「ちゃんと待っていますから、怒られていらっしゃい。」
と送り出してくれた。



クリストファーは待ち構えていた国王にめちゃくちゃ怒られて、王妃には泣いてなじられた。宰相の仕事で会場に遅れて入る予定だった、アリシアの父親であるノートン公爵には無言で睨まれた。

憑き物が落ちたようにめちゃくちゃ謝って 、この一年の事を反省するクリストファーにとりあえずの怒りを抑えた国王はアリシアを交えて家族会議という名の尋問会を開くことにした。


「フォークス嬢の事はどうするつもりだ?」

床に正座させられたクリストファーに正面に座る国王が聞く。

「マーガレットとは別れます。」

「真実の愛ではなかったのか?」

本当に全部影から報告されているんだ。と、思うと卒業パーティーでの自分の言動に居たたまれなくなるクリストファー。

「あれは、、真実の愛などというには程遠い稚拙な関係でした。目が覚めました。」

「そうか。あの娘に愛想を尽かせたということか?」

「違います。私自身の問題です。」

「そうか。アリシアに婚約破棄の宣言をしたそうだが、どうするつもりだ?」

「婚約破棄はしたいです。アリシアとは結婚出来ません。お許し下さい。陛下。」

「そうだな。あんなパーティーで婚約破棄など宣言する前に、わしにそうやって相談するべきだった。」

「申し訳ありません。」

「そして、アリシアともちゃんと話して、許しを乞うべきだろう。」

「はい。」
「すまない。アリシア、君とは結婚出来ない。婚約を破棄させて下さい。」

「わかりました。この一年殿下はおかしくなってしまわれて、私も愛想が尽きました。婚約破棄などされては私に瑕疵が残ります。婚約は解消ということなら慎んでお受け致します。」

「ノートン公爵もかまわないのか?」

「陛下のお心のままに。」

「アリシア 。バカ息子がすまなかった。国王としてではなく、これの父として謝らせてくれ。婚約は破棄でも、解消でもなく、白紙に戻す。双方それで良いな?」

「陛下のお心遣いに感謝致します。」
「父上、ありがとうございます。」

「だが、そなたが立太子する条件はアリシアを妃に迎えることだった。気付いておったろう?そなたはそれでかまわないのか?」

「私に国王は務まりません。王位継承権を放棄致します。」

吹っ切れて、さっぱりした顔をしたクリストファーに、この一年の様子に各々心配していた一同は安心した。


そして、話し合いが続き。

クリストファーの王位継承権を失い、王籍を抜けて公爵として新しく家を興すことになり、成り手のない国境沿いの開拓の遅れた辺境の地を領地として与えられた。辺境の地の開拓こそが、クリストファーの罰となった。
アリシアは新たにロバートと婚約を結び、ロバートの学園卒業と共に嫁ぐ事が決まり、同時にロバートの立太子の儀をおこなうことになった。
マーガレットは、一晩王宮の貴族牢に留め置かれ、翌朝父親のフォークス男爵に引りに来る事が決まった。



―――――――――



 家族会議を終えたクリストファーはマーガレットに会いに来ていた。

「クリストファー様!会いに来て下さったんですね。早くここから出して下さい!」

拘束を解かれて、猿轡も外され口の回りに出来ていた赤い後もなくなったマーガレットが涙目で訴えてくる。
もうそれを愛おしいと思えないクリストファー。

「マーガレット。それは出来ない。明日の朝、フォークス男爵が君を迎えに来るからそれまでそこにいるのが君への罰になったんだ。」

「明日には出してもらえるんですね。…良かった。」

「うん。君の処罰はフォークス男爵家に任された。」

「処罰?」

「学園の卒業パーティーで騒ぎを起こした罰だ。あと、アリシアへの不敬罪と色々あるけど、君だけに責任を取らせるにみんな色々やらかしてるから不問にされて、君の事はフォークス男爵の判断に任された。」

「そんな、、、」

「私は王籍を抜けて辺境を開拓しに行くことなった。君は一緒に来てくれるか?」

「えーっ!!クリストファー様王子様じゃなくなっちゃうんですか?」

「そうだ。私は王子様じゃなくなっちゃうんだ。王子様どころか貴族としての普通の生活も厳しかもしれない。累計が途絶えて王国管理になってる開拓の進んでない土地が国境沿いにあるんだが、そこの領主になった。国境の砦と小さな村しかない処だ。どうする?一緒に来るか?」

「私、クリストファー様の事は好きですけど、辺境の開拓とか行きたくないです。」

「あははっ、だと思った。」

「マーガレット、私と別れて欲しい。」

「………、はい。」

「………私、クリストファー様の事ちゃんと好きでしたよ。」

マーガレットの頬を涙が伝う。演技出ない涙は止めようと思っても止まらず、嗚咽が混じる。

「知ってる。私もマーガレットが好きだったよ。」

クリストファーが差し出したハンカチを受け取ってぐちゃぐちゃの泣き顔を拭うが、涙が止まらない。

「さよならだ。マーガレット。」
そのまま、マーガレットを置いて部屋を出ていくクリストファーに、もうマーガレットが泣いてもクリストファーは涙を拭ってはくれないんだなぁと思った。





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