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交わるという事 晴サイド

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「ヒャッ」

向かい合って横向きに寝たまま、慶喜の唇が唇から離れて耳たぶを噛まれた。びっくりして声が出る。耳の中に吐息を吹きかけられてぞくぞくして身体がひくひくする。気を良くした慶喜が耳の中を舐め回して、たまらず縋るように慶喜のTシャツを握る。散々耳を弄ばれ、俺は息も絶え絶えなのに止まらなくて慶喜の唇はそのまま首筋に移動して、首筋を舐められて首筋に沿って舐めた舌は鎖骨の窪みをなぞる。

Tシャツを脱がされて上半身を裸に剥かれ、手で乳首を摘ままれる。

「ヤッ!!」

妊娠してから乳首が黒ずんできた上に敏感になっていてちょっとの刺激でも感じてしまう。指先でてっぺんをぐりぐりされびくびくが止まらなくて、声にならない息が荒くなって恥ずかしい。
慶喜の舌は器用に身体の窪みに沿ってなぞっているし、臍の中とか舌でぐりぐりされて気持ち良すぎるのが辛い。舌と片手がいつの間にか交代していて、乳首を舌でしゃぶられながら下着の中に手が入れられてて、勃起してたちんこの先っぽを指でぐりぐりされる。ちんこから出た先走りと後ろの穴から出た愛液で、俺の下着の中はぐちゃぐちゃに濡れてて気持ち悪い。

「ぐちゃぐちゃだから脱いじゃおうな」

刺激が止まってホッと息をついている間に短パンが下着ごと抜かれて、俺の固くなったちんこが飛び出した。

「かわいい。」

と言いながら手の平で先っぽを撫で撫でするのは止めて欲しい。かわいいってなんだよ!

「かわいくないし!出ちゃうからやめて!」

涙目でうったえても手は止まらず。
悔しいので慶喜の股間の膨らみを握ったらガチガチに固くなっている。

「わっ!ちょっと触ったら出ちゃうから」

ガチガチのちんこを握って上から擦るとぬるぬるが出てくる。慶喜の手が俺の手を押さえて、やっと俺のを弄る手が離れた。

「出せばいいだろ?その前に慶喜も大きくなってるから脱ごうな。」

向かい合って寝転がったまま下にずれてパジャマの短パンを下着ごと下ろすと勢いよく勃ち上がったちんこが飛び出した。

「かわいいな。」

とよしよしとてっぺんを撫でてやった。慶喜に手をどかされて先走りでぬるぬるになった手を拭われる。
ムッとする慶喜にニヤニヤしちゃう。

「かわいくないし。もう、俺はいいから晴を気持ちよくしたかったのに。」

「気持ち良すぎて辛いからヤダ。慶喜と一緒に気持ちよくなりたいよ。慶喜も全部脱いで。」

慶喜の服装を脱がせると綺麗に筋肉のついた身体が現れる。最近大分見慣れた裸だけど、俺と違って細身なのにがっしりしていてカッコいい。
これに触れていいのは俺だけになるんだよな。
手の平で確かめる様に固い腹筋の割れ目をなぞる。
俺の好きにさせてくれながら、慶喜がクスクス笑いながら今日の晴はいたずらっ子みたいだな、なんて頭を撫でてくる。慶喜に頭を撫でられるのが好きだ。


俺は全裸でベッドに座る慶喜の太ももに跨がって、慶喜に抱きつく。慶喜も俺の背中に手を回して抱き締めてくれる。しっとりと汗ばんだ少し体温高目の肌に触れて慶喜の香りに包まれると、とても安心するんだ。いつからそんな風に変わったんだろう。絆されて、受け入れて、一緒にいるのが当たり前になって、一緒にいられないのが寂しくて、会えると嬉しくて、気が付いたら好きになっていた。
強がって一人で大丈夫と突き放そうとしても、慶喜は離れないでいてくれた。離れないでいてくれる事に安心して、本当は嬉しかった。

慶喜の上に跨がると少しだけ俺の頭が上になる。慶喜の頭に顔を埋めて、耳元で想いを伝える。

「慶喜大好き。」

「俺も晴の事、大好きだよ。」

「嬉しい。俺の事好きになってくれてありがとう。諦めないで好きでいてくれて本当は嬉しかった。」

「本当に?」

「本当はとっくに離れられないくらい好きになってたんだ。」

「晴が俺を受け入れてくれて嬉しい。」

向き合って慶喜を見つめると笑ってくれる。細めた目元が嬉しそうで俺を本当に愛おしと思ってくれているのが伝わって来るようだ。慶喜の唇にキスをする。唇を食み合って舌を絡ませて。彼と繋がっていられる事が嬉しい。触れ合う皮膚から伝わる彼の熱が愛おしい。

慶喜の唇が離れて首筋に移る。下に向かい合って舐められて肩との境目を強く吸われた。

「あぁっ」

気持ちよくて声が出た。キスマーク付けられた?俺も首を傾げて目の間にある慶喜の首筋に吸い付いてみる。唇で肌を吸う感じが思いの外気持ちよくて、慶喜を真似て舌を這わせてみる。うっすらとする汗の味と滑らかな弾力のある肉を伝う舌の感触。

気持ちいい。
それに俺のする事に慶喜がピクンとしたり、声が漏れたり反応しているのが楽しい。慶喜も気持ちいいと思ってくれてるのかな?

歯をたてて、甘噛みして、舌でなぞって、唇で吸い付く。夢中で慶喜の身体にむしゃぶりついて、堪能する。慶喜も俺に触れる所を舐め回して、吸いついて、甘噛みされて、二人お互いの身体に自分の跡を残していく。動く度勃起してカウパーでぬるぬるになったちんこが擦れ合うのも気持ちいい。

慶喜の手が擦れ合うちんこを上から二本まとめて握って擦り出した。手で擦られるのもちんこ同士が擦れるのも気持ちいい。出ちゃいそう。もう舐めてられなくて慶喜にしがみつく。

「慶喜、気持ちいい。」

「俺も。イっちゃいそう。」

気持ちいい。

「あっ!」

「くっ!」

数回擦られただけなのにイってしまった。二人分の精液が慶喜の手を汚している。腕を解いてサイドボードに置かれたティッシュを取って慶喜に渡す。どろどろを拭ってベッドに抱き合ったまま横向きに倒れ込む。なんだか離れ難いのだ。慶喜の肩の辺りに集中して残る俺の付けた赤い跡や噛み跡を指でなぞる。そのまま指で慶喜の身体をなぞり、乳首をぐりぐりする。黙ってされるままになっている慶喜が身悶えてクスクス笑い出した。

「ちょっと、晴。くすぐったい。」

「何で気持ち良くない?」

「気持ちいいっていうよりくすぐったいんだけど。晴はそこが気持ち良くて好きなの?」

そう言って、俺の乳首を指でぐりぐりしてくる。

「あっ!!ダメ!」

「晴、気持ち良さそう。」

クスクス笑いながら乳首をぐりぐりしたり摘まんだりしてくる。ぐりぐりされると電流が通ったみたいな感じがして下半身がもやもやするんだよ。こんなの知らなかったのに慶喜と触れ合うようになってから俺はこれが気持ちいいって身体が覚えてしまったみたいで、身体を慶喜に触れられる度に脳が気持ちいいって認識しちゃうようになってる。
手は動かしたままで拭き残って胸に飛んだ精液を慶喜が舐め取る。乳首を弄ばれて身体を舐め回されて、敏感になった身体が感じて、イッたばかりなのにまた慶喜に身体を高められる。

「慶喜ダメ!また勃っちゃう。」

「何度でもいかせてあげるから大丈夫だよ。でも、妊婦さんだからお腹張ったりしたらやめるから教えて。」

「お腹は大丈夫だけど、気持ち良すぎると辛い。」

「晴、ごめんね。晴が可愛すぎてずっと触ってたくなっちゃうんだ。俺のになってくれたんだなって思ったら嬉しくて、俺もストッパー外れちゃったのかも。今日は晴を離してあげられないかもしれない。」

そんな事言いながら慶喜の手も口も止まることなく撫で回してくる。俺も慶喜に触れられて触れられる事で愛情が伝わってくるようで嬉しいんだけど、快楽を高められ続ける身体が辛い。もっと決定的な快楽が欲しい。って思っちゃって。
慶喜に抱いて欲しいと思った。
でも、

「…なぁ。慶喜。俺、ちゃんとセックスしたことないんだ。いつも、ヒートで訳わかんないうちにやられてて、合意?でそういうことしたことなくて。」

「うん。」

自分でも、何めんどくさいこと言い出したと思うんだけど、弱音を吐いて甘えてみたくなった。
いつの間にか慶喜のまさぐっていたのがやんで抱き締められている。俺は慶喜の胸に頭を埋めて顔を見られないようにして続ける。

「本当言うと中に入れられてするの怖いんだ。」

同情を引くような事を言ってると自覚はある。慶喜に抱いて欲しい。でも、セックスって俺にとっていつも暴力とセットで怖い記憶になっていて、してみたいけど怖いんだ。

「そっか。ごめんな。俺も晴に怖い思いさせたんだってわかってるんだ。ごめん。晴の怖い事はしないから大丈夫だよ。怖かったら怖いって言って。入れたりしないから大丈夫だよ。」

慶喜が俺を包む腕に力を込めた。慶喜はいつも俺の事気遣ってくれて、きっと守ろうとしてくれてる。慶喜は怖くない。大丈夫。俺を気遣う言葉に安心して、

「違う。怖いんだけど、そうじゃなくて!……怖くないセックスしてみたいんだ。慶喜、俺のこと抱いて。俺のこと好きだって思われながら好きな人に抱かれてみたい。」

ストレートにセックスしたいと言えず、誘う前にさえ慶喜を試さないではいられない自分の狡さが恥ずかしい。でも、慶喜ならそんな俺の事も受け入れてくれるんじゃないかって思ってしまう。物分かりが良くて面倒な事を言わない俺じゃなくても嫌いにならないでいてくれる、俺の事を知りたいと慶喜はこの数ヵ月俺に伝え続けてくれたんだ。だから、俺は怖いけど、本当に慶喜と繋がりたいと思うならセックスが怖い事もそれでも繋がりたい事も彼に伝えたい。

慶喜への思いを認めたら欲が出てきた。だから、伝えたいんだ。
本当は欲しくてでも自分には縁のないものだと諦めていた事。Ωの性を搾取される事はあっても、愛情故に求められる事はないんじゃないかと思っていた。
誰も俺自身を欲しがったりしないと思ってたんだ。
でも慶喜が俺を求めてくれて欲が出た。
それに愛し合うセックスってヤツで俺の記憶を上書きしたら、このお腹に宿った命がヒートによる事故じゃなくて、愛されて宿ったものなのだと思えるんじゃないかって思ってしまった。

上手く話せなくて拙い言葉で話す俺の話を慶喜は黙って聞いている。
誰かに思っていることを伝えるのが苦手で、これまで当たり障りない会話しか人として来なかったので、自分の心情を話てしまった事が怖い。
慶喜はどう思っただろう?
めんどくさいって、思ってないかな?
顔が上げられなくていっそう慶喜にしがみついてしまう。

「……晴、顔見せて。」

「ごめん。無理」

抱き締められたまま慶喜の手が俺の頭を撫でてきた。

「晴。話してくれてありがとう。」

宥める様に大丈夫だよと伝えるように慶喜の手が俺の頭を何度も撫でる。

「俺も晴を抱きたい。優しくするから抱いていい?」

慶喜の言葉で顔を上げた俺の目に映ったのは、愛おしそうに俺を見る慶喜の顔だった。



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