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プロローグ

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  僕が出会ったのは声の出ない君だった。

  君と知り合ったのはインターネットでだった。軽い奴だと誤解されたくないから言っておくが、僕は自分から女の子に声をかけるタイプではない。
  ないのだが、君を見つけ、話をしたいと思いメッセージを送った。なぜか君が寂しそうに感じたから、放っておけなかった。
  僕の性癖を暴露してしまうと、僕は年下が好きだ。だから、年上の君と恋愛関係になるとは欠片も思っていなかった。
  ネットで仲良くなってから、急に君から食事の誘いが来た。だが、怪我で退院したばかりだったし、車もないし、お金もなかったからその旨を伝えて断った。が、君は“お金なら出してあげるよ”と言って再度僕を食事に誘った。断る理由はもうなかったから、知らない人の車に乗るのは少し怖かったけど、僕は君に会うことにした。

  待ち合わせ場所に教えてくれたナンバーの車がやってくる。ドキドキしながら車に乗って挨拶をした。が、なかなか反応が返って来なくて、何か悪いことをしたのだろうか、見た目がダサいと思われているのだろうかとマイナスな思いが頭の中をぐるぐると回っていく。

  “隠しててごめんね。私、声が出ない病気なんだ”

  手渡された小さなメモ帳には綺麗な字でそう書かれていた。
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