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恋愛編
9話・デート満喫したので猫で居ます。
しおりを挟む討伐隊は一路王都へと帰路につき、討伐に向かった先での出来事を報告会で伝え終えれば、少しの休暇が与えられた。
*
この報告会で、魔女が人間側に味方についた事を報告し、今回の功績からリュイは討伐隊のメンバーに加えられることが決定され、白猫のリュイは、ハリスのそばにいることを許され、まったり猫で過ごせることを喜んでいたのだった。
*
しかし、以前とは違う日常が始まっていた。
寮に帰宅し部屋でくつろぐハリスと白猫のリュイ。
「リュイ、今日は服を選びに出掛けないか?」
「にゃん?」
「子猫ちゃんがあのエルフ魔女だとわかれば、普段着れる流行りの服でも着てみたらいいかと思うんだ。」
「にゃ~、あれは私が魔女になって魔王様に…。にゃにゃにゃ。」
白猫はいいかけてまた、猫の言葉でごまかせば、ハリスは深いため息をついた。
「今の君はもう魔王の配下じゃない。もらったものなら、尚更思いを引きずるだけだよ。僕も、可愛い子猫ちゃんの記憶に残るプレゼントがしたいなあと思うんだ。」
「にゃ。」
リュイは照れ隠しに猫の鳴き声で返事し頭を下げた。
「いいんだね?じゃあ今から行こう。」
「にゃ。」
白猫のリュイはハリスに抱き抱えられるとぐるぐると喉をならし、目の前のハリスの胸板に耳を寄せ、鼓動を聞きながらうとうとと、眠り始めた。
※ ※ ※ ※ ※
リュイはハリスの肩にのり、ハリスは街を歩いていた。
人混みが多く賑やかな街並みを歩く先に、婦人服のお店が現れ、ハリスは白猫を肩からおろした。
「リュイ、店で変身すると驚かれるだろうから、こっちで魔女に戻ってくれるかい?」
「はい。」
リュイとハリスは建物の影に隠れ、リュイは金色に光ると、光の中から現れた魔女はノースリーブのグレーのワンピースドレス姿をしていた。
「さあ、子猫ちゃん行こう。」
ハリスは魔女のリュイのてをひき店内へと入った。
リュイはきせかえ人形のようになん着も試着し、ハリスはあるワンピースを着せて鏡の前に立たせた。
「君はきっとエルフなんだろうね。白銀の髪と金色の瞳、尖った耳。以前遠征先で出会った旅をするエルフの一団と出会ったんだけど、彼らも同じ特徴があったんだ。」
「ハリス様、その人達は今どこに?」
リュイは試着した空色の膝丈までの長さのワンピースをふわりと舞わせ振り返りハリスの手を取り至近距離で問いかけた。
思わず距離を縮めてしまい、互いに顔を紅くし恥ずかしそうに目をそらした。
「ワンピース、それにしようか。店員さん、着て帰りますタグをとってください。履いた青色のハイヒールも。お代は僕が払います。」
「かしこまりました。」
二人の前に現れた店員はリュイのワンピースのタグを外し、ハリスの前に代金をのせるトレーを両手で差しだし、ハリスは持ってきた財布からお金を取り出しトレーにのせた。
「お買い上げありがとうございました。」
ハリスはリュイの手を取り、二人は店をあとにした。
「なんだか、デートみたいですね、みられてる気が…」
「ふふふ。子猫ちゃんは恥ずかしがりやだね?僕はデート気分を楽しみたいな?ダメかな?」
「いえ、嬉しいです。もう少しだけ、この姿でいてもいいかなあと…」
リュイはハリスと繋ぐてにわずかに力が入りながらうつむくように言葉を返した。
*
二人はしばらくデートを楽しみ、寮に帰宅する頃にはいつもの光景へと変わり、ハリスの肩には白猫が丸くなるように身を寄せていた。
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