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喫茶あんどno.3
しおりを挟む「お会計、いいかな?」
どうやら食事を終えたらしい武田さんは会計するため私を呼びに来たみたいです。
「は、はぁい!」
私は急いでレジのある入り口前に向かい、急ぐように武田さんのお会計をすれば、武田さんの強面な顔がにっこり笑顔になって
「そんなに慌てなくても怒らないよ、ごちそうさま。」
武田さんはそういって手を振り帰って行きました。
+ + +
彼が去った席のお皿やコップを片付けていると、椅子のしたにスマホが転がっていた。
「店長、武田さんがスマホ忘れていったみたいです。」
「今まだお客さんも少ないし、武田さんの職場近いから篠田さん届けてくれるかな?」
私は思わず目を見開いて絶句してしまった。武田さんの職場なんて未知の世界。私がいって良いのだろうかと迷えば駒田店長(50代男性)はケラケラ笑って言った。
「ランチの出前とかもしてるから大丈夫だよ~。パートさん、その制服で行ってるよ?だからめずらしがられないよー?社会勉強だと思って行ってきな。」
「そうなんですね、わかりました。」
私は社会勉強だと言い聞かせ、テーブルを片付け終え、武田さんのスマホをポケットにしまって店を出て、近くにある武田さんの職場のはいるビルへ向かいました。
ごく普通のビルの3階は武田さんの職場の出版社が入っていると聞く。
1階には会計事務所や、2階には整体の店が入り、最上階の3階が武田さんの勤める出版社。通路には束ねた雑誌が積み上げられ、蓋を閉じた箱も乱雑に積み上げられて、その横を通りすぎて、出版社の扉をノックすれば、武田さんの叫び声が聞こえてきた。
「あー!スマホがないー!俺、どこに置いた?」
「コンコン。あのー喫茶あんどの者です!武田さんいらっしゃいますか?」
私が言い終えた直後に扉がバン!と開け放たれ、私の前に武田さんが飛び出してきた。
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