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薬草と報酬 1/1
しおりを挟む誘いの森の番人は巨体の狼の姿をしている。森の中に珍しい草花が生息し、その草花を探し求め森に入った人間は番人に見つかればその大きな口に一飲みされる。
美味しい匂いに誘われ現れたその番人は、幼い少女を見つけた。
まさか精霊の加護に邪魔されてしまうなど思いもしなかった。
去った少女を見送った後…
『諦めるものか…』
誘いの森の番人は少女を探しに姿を消した。
✤
街に着くとリゼはロコット商会に向かった。
街の中には露店があれば衣服屋、食材屋、飲食店が並び…冒険者向けの商店が集まるエリアもある。そこに大きなレンガ造りの老舗店が一件、周りの店に比べて人の出入りも多いそこの入口上には大きな1枚板で作った看板が立つ。
老舗店の名、ロコット商会…リゼの目的の場所だった。
「こんにちは!ロコさんに会いに来ました。」
リゼが訪ねると受付に立つ2人の女性の内の1人、猫耳をピコピコ揺らす猫の獣人がリゼに駆け寄る。
「リゼさん、奥へどうぞ。」
リゼは豊富な種類の商品の並ぶ店内を抜け奥の部屋の扉の前へ立ち止まり、女性の開けた部屋へと入った。
「わあ~こんにちは、ロコさんっ。」
応接室に入ると、別の扉から現れた40代位のシンプルな黒いロングドレスを着た、銀色の長い髪のつり目の綺麗な女性が現れた。
「リゼさん待ってましたよ。では商談といたしましょう。」
「はい、お約束の薬草です。」
リゼはウキウキしながら持ってきた篭からいくつか束ねた薬草を取り出しテーブルに並べた。
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