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治療院 Ⅱ
炎竜と治療院 最終話
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【変化5】
白い世界に…赤い髪の美しい女性と…その腕に眠る赤ん坊。彼女を包み込むように抱きしめる、人の姿をした白銀の長い髪の美しい性別不明の高貴な身なりの者。
それを見守るのは、紫色の瞳を隠す前髪の白銀の髪の少女…治療の魔女シャロと、隣に立つのはキラキラと輝く白いローブを纏う漆黒の瞳と黒髪の少女。
「シャロ、無茶してくれましたね。私のテリトリーに侵入して、大騒動ですよ。我が主の隠し子なんて。」
「ふふふ。空間を繋げた事かしら?でも…ステラさん、一応伝言飛ばしましたよ?」
「ああ、光鳥の…精霊ね。」
「ええ。私の呼ぶ光の王様ココちゃんは天空の神殿に棲む精霊ですから。」
「…まあ、良い知らせではあります…シャロには礼をしないと、後でまた…」
「ええ、ふふふ。」
シャロの隣りにいたローブの少女ステラは、再会を喜ぶ主に呼ばれ近くまで駆け寄れば、空間が歪み始め、ステラの主は赤ん坊を抱いた炎竜族の女性とともに消えた。ステラはシャロの方に向くと、何かを言い空間の歪みにのまれるように姿を消した。
次の瞬間、白い世界は消えて、町長の家の中へと戻っていた。
目の前には、呆然とした町長の息子と、心配そうにシャロの肩に手を伸ばすキアヌがいた。
「シャロ様?」
「さて夜はお祝いです。これから準備に取りかかります。キアヌさん、ビナさんと手伝ってくださいね。」
「はあ…今何がおきたのですか?」
「炎竜族の方は赤ちゃんのパパの所にゆきました。」
「なんと…」
驚くキアヌをみあげたシャロは、前髪からちらりと見える紫の瞳を細めニコリと微笑んだ。それを見たキアヌは頬を紅くして何度も頷き、二人は何事も無かったかのように町長の家を後にしたのだった。
【話は現在、竜騎士団第一部隊率いる第2王子カナンのテント】
カナンと話を終えた副隊長リベットは、急ぐようにテントを出ようとカナンに背を向けた。
「では、援軍の手配と、捕虜を連れてまいります…」
「「「なっわ、わあ~!!!」」」
テントの外は騒がしく、歓喜に似た悲鳴が響き渡り、リベットとカナンは慌てるようにテントを飛び出した。
「「なん…と?」」
暗くなり始めた空に、竜騎士団の竜が一体…ゆっくりと旋回し、その背から白い球体が空高く打ち上げられ…弾けた。それはお祝い事を思わせ、打ち上がると白や青の花火となり空を覆った。
「キアヌさん、ビナさんありがとうございます。」
「光竜の王が彼女を妻に迎えるそうです。バハード国には迷惑をかけたからと…今夜は町に光竜の眷属がお詫びに来るそうです。ほら…」
少し前に、ビナに乗ったキアヌとともにシャロは炎竜に事情を伝えていたため、空には何かを迎えるように空に留まる炎竜の群れを前に…歪んだ空から現れた光竜の群れ。打ち上げる花火の光に照らされ白銀の鱗は虹色に輝き神々しく、地上ではカナンとリベットも驚き、部隊の騎士たちと共に空に降臨した神々しい竜の群れに心奪われていた。
この夜の出来事は彼らの記憶に強烈に残り、また、拍子抜けしたまま終わりを告げたのだった。
白い世界に…赤い髪の美しい女性と…その腕に眠る赤ん坊。彼女を包み込むように抱きしめる、人の姿をした白銀の長い髪の美しい性別不明の高貴な身なりの者。
それを見守るのは、紫色の瞳を隠す前髪の白銀の髪の少女…治療の魔女シャロと、隣に立つのはキラキラと輝く白いローブを纏う漆黒の瞳と黒髪の少女。
「シャロ、無茶してくれましたね。私のテリトリーに侵入して、大騒動ですよ。我が主の隠し子なんて。」
「ふふふ。空間を繋げた事かしら?でも…ステラさん、一応伝言飛ばしましたよ?」
「ああ、光鳥の…精霊ね。」
「ええ。私の呼ぶ光の王様ココちゃんは天空の神殿に棲む精霊ですから。」
「…まあ、良い知らせではあります…シャロには礼をしないと、後でまた…」
「ええ、ふふふ。」
シャロの隣りにいたローブの少女ステラは、再会を喜ぶ主に呼ばれ近くまで駆け寄れば、空間が歪み始め、ステラの主は赤ん坊を抱いた炎竜族の女性とともに消えた。ステラはシャロの方に向くと、何かを言い空間の歪みにのまれるように姿を消した。
次の瞬間、白い世界は消えて、町長の家の中へと戻っていた。
目の前には、呆然とした町長の息子と、心配そうにシャロの肩に手を伸ばすキアヌがいた。
「シャロ様?」
「さて夜はお祝いです。これから準備に取りかかります。キアヌさん、ビナさんと手伝ってくださいね。」
「はあ…今何がおきたのですか?」
「炎竜族の方は赤ちゃんのパパの所にゆきました。」
「なんと…」
驚くキアヌをみあげたシャロは、前髪からちらりと見える紫の瞳を細めニコリと微笑んだ。それを見たキアヌは頬を紅くして何度も頷き、二人は何事も無かったかのように町長の家を後にしたのだった。
【話は現在、竜騎士団第一部隊率いる第2王子カナンのテント】
カナンと話を終えた副隊長リベットは、急ぐようにテントを出ようとカナンに背を向けた。
「では、援軍の手配と、捕虜を連れてまいります…」
「「「なっわ、わあ~!!!」」」
テントの外は騒がしく、歓喜に似た悲鳴が響き渡り、リベットとカナンは慌てるようにテントを飛び出した。
「「なん…と?」」
暗くなり始めた空に、竜騎士団の竜が一体…ゆっくりと旋回し、その背から白い球体が空高く打ち上げられ…弾けた。それはお祝い事を思わせ、打ち上がると白や青の花火となり空を覆った。
「キアヌさん、ビナさんありがとうございます。」
「光竜の王が彼女を妻に迎えるそうです。バハード国には迷惑をかけたからと…今夜は町に光竜の眷属がお詫びに来るそうです。ほら…」
少し前に、ビナに乗ったキアヌとともにシャロは炎竜に事情を伝えていたため、空には何かを迎えるように空に留まる炎竜の群れを前に…歪んだ空から現れた光竜の群れ。打ち上げる花火の光に照らされ白銀の鱗は虹色に輝き神々しく、地上ではカナンとリベットも驚き、部隊の騎士たちと共に空に降臨した神々しい竜の群れに心奪われていた。
この夜の出来事は彼らの記憶に強烈に残り、また、拍子抜けしたまま終わりを告げたのだった。
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