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治療院 Ⅱ
炎竜と治療院 12
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【変化 4】
〈町長の家〉
シャロ達が家に入ると、慌てるように出迎えたのはシャロより少し年上に思われる優しそうな青年だった。
「あなた方は?」
「初めまして、私は…私は由緒ある…流星魔女学院よりGランクの称号を得ている魔女…治療の魔女としてここにいますが優秀な魔女の一人、シャロと申します。どうぞ、お見知りおきを。」
「僕は町長の息子の…カラハ・ジャアンです。兵士ともめていたようですが…親切心からこちらにいらしたのなら、早くお帰りください。僕のせいで事態が悪化している今、あなた方まで巻き込むわけには…国の認める治療の魔女様とお聞きしております、ご迷惑はかけられません。」
シャロはニコリと微笑み、ペコリと小さくお辞儀した。
「ふふふ。私は…あなた方がご心配されるようなか弱い者ではございません、ご紹介しましたとうり…私は名のしれた魔女、こう見えても私…強いんですよ。ふふふ。」
「あぶぶぅ。」
「この子は…。」
「失礼しました。私は、炎竜族人のカナ、この子は娘の…名はまだありません。」
町長の息子の後から現れたのは、シャロと同じくらいの年齢にみえる背には赤い竜の翼を持つ美しい女性。
彼女の腕の中には、白く輝く小さな翼を背に、頬には白銀の鱗が2枚、銀色に光る瞳を見開き笑みを浮かべる赤ん坊がいた。
「なるほど、カナ様事情を聞かせていただけませんか?私は光竜の神殿に仕える魔女を知っています。学友です。カナ様の悩み解決の手助けをできるかもしれません。」
「何故光竜だと…」
「私の愛用にこちらがありまして…」
シャロはカバンからおっきな愛用の図鑑を取り出し、開くページには光竜の情報がびっしりと書き記されていた。
カナはその様子に、ため息をつくとゆっくりと話し始めた。
腕の中にいる赤ん坊は誰の子であるか…その始まりは、竜国の5年に1度開催される各地の竜の集う宴遊会での出会いで恋に落ちた事…バハード国の火山に戻ってから、子を身ごもっていることに気がつき、家出の様に火山より飛び出して、町の近くに隠れていたのを町長の息子に見つけられ…今に至ることなどを話した。
図鑑を閉じるとシャロは女性に笑みを向けた。
「お時間はとりません私にお任せください。ついでに愛しい人に我が子を知らせ名をつけてもらいましょう。」
シャロの前髪はふわりと舞い上がり、現れた額の星の模様は白く輝き出すと次の瞬間、周辺の視界を覆うほどに白く発光したのだった。
〈町長の家〉
シャロ達が家に入ると、慌てるように出迎えたのはシャロより少し年上に思われる優しそうな青年だった。
「あなた方は?」
「初めまして、私は…私は由緒ある…流星魔女学院よりGランクの称号を得ている魔女…治療の魔女としてここにいますが優秀な魔女の一人、シャロと申します。どうぞ、お見知りおきを。」
「僕は町長の息子の…カラハ・ジャアンです。兵士ともめていたようですが…親切心からこちらにいらしたのなら、早くお帰りください。僕のせいで事態が悪化している今、あなた方まで巻き込むわけには…国の認める治療の魔女様とお聞きしております、ご迷惑はかけられません。」
シャロはニコリと微笑み、ペコリと小さくお辞儀した。
「ふふふ。私は…あなた方がご心配されるようなか弱い者ではございません、ご紹介しましたとうり…私は名のしれた魔女、こう見えても私…強いんですよ。ふふふ。」
「あぶぶぅ。」
「この子は…。」
「失礼しました。私は、炎竜族人のカナ、この子は娘の…名はまだありません。」
町長の息子の後から現れたのは、シャロと同じくらいの年齢にみえる背には赤い竜の翼を持つ美しい女性。
彼女の腕の中には、白く輝く小さな翼を背に、頬には白銀の鱗が2枚、銀色に光る瞳を見開き笑みを浮かべる赤ん坊がいた。
「なるほど、カナ様事情を聞かせていただけませんか?私は光竜の神殿に仕える魔女を知っています。学友です。カナ様の悩み解決の手助けをできるかもしれません。」
「何故光竜だと…」
「私の愛用にこちらがありまして…」
シャロはカバンからおっきな愛用の図鑑を取り出し、開くページには光竜の情報がびっしりと書き記されていた。
カナはその様子に、ため息をつくとゆっくりと話し始めた。
腕の中にいる赤ん坊は誰の子であるか…その始まりは、竜国の5年に1度開催される各地の竜の集う宴遊会での出会いで恋に落ちた事…バハード国の火山に戻ってから、子を身ごもっていることに気がつき、家出の様に火山より飛び出して、町の近くに隠れていたのを町長の息子に見つけられ…今に至ることなどを話した。
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「お時間はとりません私にお任せください。ついでに愛しい人に我が子を知らせ名をつけてもらいましょう。」
シャロの前髪はふわりと舞い上がり、現れた額の星の模様は白く輝き出すと次の瞬間、周辺の視界を覆うほどに白く発光したのだった。
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