愛され魔女の治療院

yu-kie

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任務・隣国

シャロの任務・隣国 11

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 ︵シャロの治療院・仮3︶

 シャロに怯え逃げ去る黒いマントの人物を前にアシュンは小さく呟いた。

「陛下が契約している悪魔が何故私の影に…」

 アシュンは顔を青くさせ、力が抜けたようにその場に崩れた。

「私の監視か…成果を出せなければ…私はここに来て何も成果が…何故治療師が悪魔を追い払えたんだ…」
「どうですか?信じてもらえました?」
「ブツブツブツブツ…」

 キアヌとニサはその様子に…ため息を漏らした。

「シャロ様…多分やりすぎだったかもしれませんよ。」
「ま、治療師様、彼は混乱している様子です。このまま帰らせるのはまずいきがします…」

 ニサは魔女様と呼びそうになり訂正したが、今起きた現象を国王に報告されるのではないかと、王太子の危険を察し恐れた。

「ニサさん、ユナ・キ・アシュンさんを連れて帰ってもらいましょう。」
「わかりました。獣舎の前に警備させている騎士を呼んでまいります。」
「はい。呼んでくださるだけでよいですから、ニサさんはお役目を果たしてきてください。」
「わかりました。今日の報告を殿下に伝えに参ります!」

 ニサは慌ただしくその場をさり、シャロは混乱するアシュンに小さな白い袋を差し出した。

「これをあなたに差し上げます。」

「あ…はい。」

 アシュンは笑顔のシャロに思わず視線を合わしてしまい…差し出された袋を思わず手に取った。

 アシュンの手にした袋はモゾモゾと動き出し、袋が弾け中からドライフラワーにした、花々を砕いたカラフルな粒が飛び出し…粒は光を放ちながらアシュンを包み込んだ。

「浄化のびっくり袋です。」
「なんだ?はぁわわわぁ~」

 アシュンはとても喜びながらそのまま眠りに落ちていった。

「なっ…」

 キアヌは足元に笑顔の寝顔のアシュンを見下ろし、嫌そうに顔を歪ませていた。

「キアヌさん、そんな目で見ないであげてください。彼の精神に植え込まれた闇を浄化する夢を見せる魔法を染み込ませたポプリの作用なんですから。ふふふ。きっと悪夢が楽しい夢に変わったはずです。」
「シャロ様、目覚めたらこの男はどうなるんですか?」
「戦争を嫌う優しすぎる青年に生まれ変わっているはずです。」
「なるほど…」

「治療師様、アシュン様を迎えに参りました!」



 駆けつけた騎士たちに担がれたアシュンは時折寝言を呟きながら獣舎を後にしたのだった。

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