愛され魔女の治療院

治療院

訪問治療 １

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　治療院の初仕事を終えてから１週間たちました。なのに…何故でしょう、ビナさんが退院してからも毎日みえます。お花と一緒にお仕事も持って来てくれました。

　竜の深傷は今まで治療の術がなくて死を待つのみだったとか。私が竜のビナさんの治療を始めたあたりから、騎士団内にも噂が広まって、お城にもその話は届いていて…キアヌさんが中継役を引き受けてくれたそうです。

　そんなわけで、ここのところ毎日彼の案内でお城の側の竜舎に通っています。負傷して騎士団を去るのも秒読みな竜は沢山いました。さて、しばらくは訪問治療頑張ります！
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【訪問治療初日】

　シャロはキアヌの案内で広大な敷地にある竜舎へと足を踏み入れた。

　入口付近の間仕切りされた部屋には、シャロの第１患者のビナが部屋の窓から顔を出して歓迎した。

「ビナさん、お元気そうですね。」
「クァ。」
「シャロ様…ビナは俺よりも貴女との信頼関係が芽生えたようです。俺が来てもこんなふうに出迎えてくれませんから。」
「ふふふ。」
「シャロ様、負傷した竜達は奥の部屋にいます。順番に診察をお願いします。」
「わかりました。」

　入口付近の部屋には現役の竜達が休んでおり、奥に伸びる部屋には負傷した竜達が時折悲痛な声を上げていた。

　シャロは気を引き締め、おろした髪を束ねると肩掛けバッグの中からエプロンを取り出しワンピースの上に身につけ、腰辺りの紐を後ろに回すようにして蝶結びした。

　前髪の隙間から覗く紫の瞳は大きく見開き、治療への意気込みがかんじられた。