愛され魔女の治療院

旅立ち

【魔女の村と学園】


　その村はどの国の領土でもなく、見つけるには難しい場所にある。

　その村は、どこかにかある…深い森の奥にあり、村には巨大な…白いかぼちゃの家が並ぶ。噂にある魔女の村がその村だった。

　かぼちゃハウスは円を描くように並び、中央には広場がある。広場に大きく描かれた魔法陣を使い、村の娘たちはある場所への移動手段としていた。

　魔法陣を超えた先には、亜空間に浮遊する島に立つ魔女の学園がある。娘たちはそこへ通い魔女の力を習得し、魔女の称号を得て…魔女として各地へと旅立つのだ。


　　　　　　　　※


　快晴なある日、魔女学園の卒業式が行われた。

　優秀な卒業生達は魔界へ、人間界へ旅立つ中、その中でも小柄な魔女が一人、治療院を始めるために人間界へと旅だった。彼女の名はシャロ。魔王城からの勧誘を断り、人間の世界で様々な生き物の怪我や病気を治す治療魔女として働き先に選んだのは…竜が多く生息する国、バハート国だった。彼女は幼い頃記憶を無くしこの村に迷い込み魔女の村の女性に育てれらた。その育ての親に別れを告げ、シャロは一人旅立った。

　シャロの額には幼い頃からある星の形の模様が刻まれている。

　白銀の長い髪に紫の瞳の可愛らしい少女は、愛用の動物図鑑を片手に、もう片方には道具の詰まった大きな旅行バックを軽々と持ち、白いかぼちゃの村を飛び出した。