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第1章【許嫁の始り】

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 マヤは国へ戻ってから…また、何時もと変わらない日常を過ごしていた。そんなある日、リュシンがザバス国王の使いとして…貿易に関する仕事の話の架け橋し役として。マヤの国へと訪れた。

「…仕事の話はここまでにしよう。ザバス国王陛下にはよろしくお伝えください。」

 ピッシュ国王はそう言い、リュシンは席をたつと一礼をし部屋を後にした。

 出口まで見送るピッシュ国の兵を前にリュシンはふと許嫁の事を思いだし…衛兵に聞けば…

「今日は宮殿にドレスの仕立て屋を呼んでるそうです。」

「ドレスを?」

「はあ。妹が宮殿の侍女をしてまして…はしゃいでいましたから…、ここだけの話にしてください、マヤ王女様のご婚約者様だからお話ししたまでです。」

 青年衛兵は爽やかな笑顔でそう答え…リュシンは真似できないその表情を羨ましく思った。

「国王陛下からは、リュシン王子殿下をマヤ王女殿下に会わせても良いと言われています。宮殿に寄られますか?中には入れませんが…お呼び出来ると思いますが」

「頼む…」

「かしこまりました。」

 ‡

《宮殿内》

 王女達マヤの姉二人は色とりどりの生地をてにしはしゃいでいた。今日はマヤが婚約が決まって国ではお祝いの宴を開くことになりそのドレスを作るため生地屋と仕立て屋を呼び人形のように固まるひときわ小さなマヤに姉たちはマヤに似合う色をと体に合わせては

「マヤはピンクはどう?」

「コバルトブルーはどうかしら?」

「「きゃー可愛い!」」

「…お姉さま…まだあ?」

 仕立て屋、生地屋、侍女達はその光景を微笑ましく見守っていた。

コンコン

部屋の扉をノックする音がして返事をすれば…侍女が現れマヤを呼んだ。

「本日お仕事で立ち寄られたと…ザバス国のリュシン王子殿下がマヤ様にお会いしたいといらしています。」

マヤは人形のように固まった表情をぱあっと明るくさせ、思わず叫んだ。

「行きます!今すぐ!」

逃げようとしたマヤを姉二人が行く手を阻み、マヤと視線を合わせて

「「メ!」」

と指摘し…第1王女ルールアがマヤにひと言

「今日は貴女のためにドレスを決めてるのよ?」

続いて第2王女ミーリヤが…

「生地の色と採寸!それが終わってからですよ!」

 マヤは渋々頷けば、ルールアがにっこり笑ってマヤに囁く。

「御披露目で王子も来るんでしょ?待たせても、きっと文句なんていわないはずよ。終わったら沢山お話しできるでしょ?ね?」

 マヤがコクコクと頷けば二人の姉は良いこだと頭を撫でる。年が離れているだけに…そして年齢よりも幼く見える妹が可愛くて仕方がない姉二人だった。
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