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しおりを挟む数日後、スティアは、学園で習得した獣使いの能力を活かし父の仕事を手伝う許しを得た。
スティアの役目は狼キラルをお供に馬車で移動し従者2名と集落の巡回。途中砦に立ち寄りリューイと合流して本日の報告をして屋敷に帰る。
それがスティアの日課になった。
そんなある日、スティアは半日休暇をとったライカとメディアン邸の庭に来ていた。
鳥かごの様な小屋のベンチに座るスティアはライカを待っていると、ライカは鉄壁無表情で手には白い薔薇の花束を抱えて現れた。
「スティア。」
「あっ、ライカ様?どうしたんですか?」
首を傾げるスティアに花束を手渡したライカは膝を付きスティアの手を取り熱い視線で見上げると、柔らかな笑みを向けて言葉を発した。
「愛しいスティア、正式に結婚を申し込みたい。正式に婚約をできるようになった今ようやく君にプロポーズできる。君を世界一愛してる17歳の成人を迎えたその時、僕の花嫁になってください。」
「えっ。」
スティアは突然の事に動揺した。
(こう言う時、どう返事するのが正解かしら。勿論嬉しいことだけど、簡単に『はい』と答えるだけでいいの?もっと特別な言葉じゃないといけないのかしら。)
固まるスティアの前に黒い影が突然茂みから現れた。
「ちょっと待ったあー!」
突如茂みから現れた茶色い小熊に、スティアは直感でそれが誰か感じ取ることができた。
前世に最後に戦った最強の敵、勇者の青年の生まれ変わりであると…。
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