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しおりを挟むスティアは出迎えたミシュン・スイラートと共に彼女の部屋へと案内された。
二人だけのお茶会の最中、扉の外から声がした。
「ミシュンさんのお友達がいらしてるの?ご挨拶よろしいかしら。」
「お姉さま?スティア様良いかしら?」
「はい。」
ミシュンは席を立ち、スティアに確認をとると部屋の扉を開け、スティアも席を立ち、ミシュンの姉を出迎えた。
「スティア様、姉のルキアナです。ライカ様と同じくらいじゃないかしら。」
ミシュンの言葉にルキアナは目を輝かせてスティアをまじまじと見つめた。
「あの変わり者の王子の許嫁の」
「お姉様失礼ですよ!」
ミシュンは慌ててルキアナの口を塞ごうと、背伸びし手をバタつかせれば、その手を掴んだルキアナはニンマリと笑顔でミシュンを見下ろした。
「お姉さまを注意するなんて~いけない妹ねミシュン!」
ルキアナはミシュンの空きをつき、腰へと手を伸ばしくすぐり始めた。
「うきゃ~!ひゃ~」
スティアは姉妹のじゃれ合いが羨ましくもあり微笑ましく思いにこにこと、その光景を見守っていた。
「ルキアナ様、スティア・メディアンともうします。許嫁のライカ様は父が1番信頼する強いお方です。変わり者ではありません。暖かな心をもつ優しいお方です。」
ルキアナはじゃれ合う手を止め、スティアに失礼な事を言ってしまったことをようやく反省したようで、ミシュンをくすぐりの刑から解放し、ドレスの裾を上品につまみ小さくお辞儀し、侘びたのだった。
「ご無礼をお許しください、スティア様。」
「いえ。頭を下げないでください。」
「ありがとう。私、ライカ様とは学園で一緒でしたの。」
「そうなんですか!」
スティアは驚いたように目を見開かせた。
「ええ。剣の腕も素晴らしく、美しい容姿から女性からはとても人気がありましたの。」
「女性に…人気がですかぁ。」
「安心なさって、ライカ様は女性に見向きもせずとても真面目に勉学に励まれてましたから、今辺境の地でご活躍されているのでしょうね。」
「そうなんですね。」
スティアはライカの過去を知り、初めて胸の奥がチクリと痛く感じた。
毎日顔を合わしていた辺境の地での生活がふと恋しくなった。スティアに優しいライカの姿を思い出し、『許嫁の自分は彼にとって、もしかしたら、特別な存在なのだろうか。』とそう思えば、胸の奥が熱く、トクトクと鼓動が早くなるのを感じた。
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