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しおりを挟むスティアは学園の初等部に入り、初めて出会う同級の子供達と友達になって行った。
「スティア・メディアンくん、そのイヤリングはどういったものかね?」
担任教師の老人デーパルは幼いスティアの耳に揺れる石に難しい顔をして訪ねた。
「許嫁の方から頂いたものです。外しても戻ってくるとか、いけませんか?」
「ほぉ。許嫁殿は、もしや白薔薇の騎士と呼ばれるお方で?」
「はい!」
「魔法を施してあるのを感じたのだが、そういった理由なのだね。ふむふむ、良くわかりました、謎が解けてスッキリしました。さてスティアくん、次は移動授業ですから遅れないでくださいね?それでわ。」
「はい、先生。」
スティアはドレスの裾をつまみ上品にお辞儀をし、デーパルが去ってゆくのを見届け、急ぎ講堂へと向かったのだった。
講堂前にたどり着けば、仲良くなった少女、第5王子であるライカと同じワインレッドの髪をした…ミシュン・スイラートが手を大きく振って出迎えた。
「スティア様。行きましょ!」
「はい!ミシュン様。」
二人は仲良く手を繋いで講堂へと入っていった。
ミシュンは国王の姉の子供、ライカとは親戚にあたり、仲良くなるのも、そんなに時間はかからなかった。
二人は良く一緒に行動するようになり、ミシュンはある日、スティアをスイラート邸へと招待した。
††††
学園のお休みの日、スティアは馬車でスイラート邸へと向かった。
行き帰りの護衛に侍女姿のキラルが同行し、今は、スイラート邸へと向かう馬車のなかである。
いつも側にいたいスティア大好きなキラルはスイラート邸内へもついて行きたくてたまらなかったのだが、出発前、スティアの世話役侍女、グローリアに念を押されていた事を思い出していた。
『キラルさん、あなたの姿は人の時も狼の時も目立ちます。メディアン家の印象を悪くしては、スティア様のお立場も悪くなります。決してついて行こうとしませんように!』
毎日の様に五月蝿く注意をするグローリアがとても苦手で、そんなグローリアの出発前の言葉を思い出して、頭の中はその言葉がぐるぐると走り回っており、イライラしているキラルは深呼吸を何度もして、気持ちを必死に落ち着かせ…。馬車を降りるスティアの天使の笑顔に、イライラはすっと消え、満面の笑みでスティアを見送った。
「キラル、行ってきます。」
「はい。お昼にお迎えに参ります。」
馬車が屋敷前に止まり、馬車から降りたスティアは出迎えたスイラート邸の執事と屋敷の中へ入っていった。
見届けたキラルを乗せた馬車は走り出し、一人になったキラルは再び気持ちの葛藤が始まってしまうのを抑えこもうと、口をへの字に、目をギュッと瞑り、側に居たいのを耐え一路メディアン老夫婦の家へと戻っていった。
(駄目です!長時間会えないなんて耐えれませんー!早めにお迎えにゆきますからねスティアお嬢様~!!)
と、心の中で叫ぶキラルであった。
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