"寵愛"梟の贈り物

金の瞳no.5

 アズ・ナーグルは人へと姿を変え、椅子に座り今夜の宿のことを考えていた。

（ああ、夜も更けてきたし王都の我が家に帰るのは真夜中になりそう。町から離れてるし、今人間になってしまったけど…梟に戻った方が良いかも…）

 そう頭の中で梟になって野宿しようと決めたアズはマーレア・リックが手紙を読み終えたのを確認すると、配達表にサインを求め、マーレアは人間の姿のアズに笑顔を向けサインをした。

「では、私はお役目を終えましたのでこれで失礼します。」

 席をたったアズが頭を下げれば、マーレアの息子のジューンは咄嗟に口を開いた。

「こ、今夜はこちらに泊まれば？」
「え？」

 アズはニコニコと笑顔をつくり瞼を閉じていたが、驚いて目を見開かせ、金色の瞳にジューンをとらえてしまった。

「父上、来客用の部屋がありますよね？こんなに可愛らしいお嬢さんを暗闇に返すのはどうかと思いませんか？」

 マーレアは、女性に気遣う息子をみて目を丸くした。

「ジューン、お前の本心か？」
「はい？俺は、こんなに可愛らしい子を夜道に帰すのはどうかと思っただけです。可笑しいですか？」

マーレアはクスリと笑い了承した。

「そう言うことだ。アズさん、使用人に部屋を案内させるから、少し待っててくれるかね？」
「私は、また変身するだけですから野宿でも大丈夫ですよ？」

 マーレアはアズに椅子に座るように促し、使用人を呼びに部屋をでて、アズとジューンは部屋に二人きり。ジューンはアズに自分に興味を持たせようと、隣の椅子に座ると、アズの小さな手をとり、自己紹介をし、アズの好きなものは何か、興味津々に聞いてくるのだった。

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 しばらくして、アズはマーレアと共に現れた女性の使用人につれられ部屋をあとにした。

 移動中、使用人は笑いながら先を急いだ。

「ジューン様が女性に興味を持たれるなんて…くすくす。珍しいことです。」
「でも、私は子供ですよ？」

「あなたはまだお若く見えますが、綺麗でいらっしゃる。ジューン様がご興味を抱かれるのも無理はないかと…さあ、こちらがお客様のお部屋となります。ごゆっくりおやすみください。」

使用人は部屋の扉を開け、アズを中へと促し、アズが中へはいると、頭を下げ、ゆっくりと扉を閉めた。