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第2章 騎士団の紅一点、クレナ

17,驚きの事実

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 ある日、クレナは王都の図書館で本を読んでいた。

 近衛騎士団の試験を受けたクレナはあっさり……というほどではないが難なく受かり、今度から近衛騎士団に所属することになった。

 人事の都合上、すぐに異動というわけではないが近衛騎士になったおかげであることが出来るようになった。

 それが、入室の条件の厳しい王立図書館に入ることだ。

 通常、ここは高い税金を納めた者か貴族しか入れない。いくつかある例外として近衛騎士団に所属する者も見ることができるが。

 クレナは使えるモノなら何でも使ってやると言わんばかりにこの図書館の本を読み漁ることにした。

 とはいえクレナの休日は限られているし、翌日の夜は夜勤もある。

 あまり時間に猶予はないため手に取る本を限定した。

(さすがに言語が古すぎて読めんものもあるな……)

 彼女はしっかり教育を受けてきた身なので人並みに文字を読むことが出来る。古代の文章を読もうとなるとより専門的な知識が必要になるが。


 クレナは「女性騎士」という題名のさびれた薄い本を手に取った。


(なるほど……やはり過去に数人はいたんだな……ふむ。)

 クレナはかなりの集中力でその本を読んでいる。

『女性で騎士、またはそれに類するものになる場合、たいていその人物は男より男らしいことが多く、訓練も男の2倍はこなすだろう。しかし、そこに肉体の壁が存在することにやがて気づく。

 どうあがいても、男の屈強な体を超えて強くなることはなく、やがてその道の厳しさに直面することになる。』

(やはり……ここまでかなり努力をしてきたと思うが、それにも限界があるんだな……)

 クレナは軽い失望を覚えつつも、打開策を必死に探す。

 本を読み進めていくと、さらに厳しい現実が明らかになった。

 精鋭騎士や近衛騎士で非常に高い階級になった女性騎士は数名いる。その中の一人はなんと近衛騎士団長までもを務めたが、この人物を含め皆指揮系統に携わるようになったのだ。

 つまり実践で最上位の役職に就いた者はほとんどいない。

(お? 『だが、例外がかつて一人だけ存在した。その名は――』)

 本曰く、この人物は驚くべき速さで自身の成長を成し遂げ、しかも日々熱心な基礎トレーニングをしている様子は見受けられず、ひたすら実践でその腕を磨き続けた、と。

 日々基礎トレーニングが大事だと言い張っている騎士団にとってはかなり許し難い存在だったが、どういうわけか上層部から咎められることもなくその人物は最終的に騎士団を辞め、なんとAランクの冒険者になった、と。

(すごい…!!! アタシもいつかはこんな風に…… しかし、どうしてこの人はこんなに強かったんだ?)


 本にはこの後その人物について軽く考察が書いてあった。

『この人物が如何にして強くなったのだろうか。天賦の才があった、と言えばそれまでだが、もう一つ考えられるものとしては強い男性複数名に情交を持ち掛け、その力の一部分を奪っていったのではないか。

 しかし、ここまで急速に成長するとなるとかなりの人数としなければならない。もし仮に行為のみで成長していったと仮定するなら、それこそ近衛騎士団の中にいる上層部全員を食い尽くす勢いでないとならないだろう。』

「なっ!? ……ごほん」

(なんなんだ!? 情交ってつまりセッ…… それをすると力が奪える!?!?)

 この図書館にはその事実が複数の本に載っていれば真実だろう。

 クレナは薄い「女性騎士」という題名の本だけでは怪しいと思い、いくつか能力に関する本、すこし18禁っぽい本などを漁ると、いづれも同じような事実が乗っていた。

 詳細を確認すると、「男性の精液を子宮に受け入れた時」のみ相手の経験値が一部得られるという。

(そんな……そんなことが……あるわけ……ハハハハハ)

 強くなるなら女を捨てなければならない。そう思ってここまでやってきたクレナだったがまさか女であることを認めないと強くなれないとは。

 それも最も屈辱的な方法で。

(くそ! どうすればいい!? 諦めて真面目に特訓するか!? でもそれじゃあ、いつか周りの奴らに……)

 彼女の頭の中はごちゃごちゃになっている。

 以前の彼女であれば完全にそんなことは無視をして真面目に訓練しただろう。

 しかし今、彼女は知っているのだ。おそらく男性の棒を入れると気持ちいいだろうということを。

 それが脳裏にこびりついて完全に捨てきれない。

(いい気分になってさらに強くなれる……いや! そもそもそれ自体がおかしい! 苦労しないで強くなれるなど……いや、そうか、この心の葛藤こそがこの試練の一番の壁なのか。)

 クレナは気づいた。男性の精液で強くなろうとした場合、そもそも男性を誘わなければならない。当然それには絶大な勇気もいるし、恥もかく。プライドだってズタズタだろう。それを乗り越えなければならないからこそ、強い増強効果があるのだと。つまりいままで肉体的な負担を超えてレベルを上げていたのが精神的なものに変わるわけだ。


(よおし! 分かった! やってやる! 絶対に私はこの国で最強の剣士になるんだ!!!)

 先にある大きな壁が見えたが、同時にさらにその奥に続く最強への道もまた見つけた。既に体をタツシによって毒されていたクレナは本能的にか、その道を受け入れてしまった。

 彼女はその事実が嬉しく、知ったならば即実行とばかりに図書館を出た。

 出たところで足を止めた。



(うっ……そういえば誰と交わればいいんだ……?)

 クレナは考える。

(いままで『一緒に飲みましょう』とか言って誘ってきたやつにするか?

 いやしかし、そもそもどこでそんなことをするんだ?? しかも今まで誘ってきた奴らってアタシより弱いやつばかりだっただろう。それではダメだが……)

 クレナの足は動き出した。

(こうなったらあのマッサージ店員だ! アイツ、一見弱そうなふりしてしっかり筋肉がついているのを私は知っている!

 おそらくかつて冒険者か騎士団をやっていたのに、どこか怪我でもして引退したのだろう。

 よくわからん怪しい店だからこそ、ちょっと頼めばしてくれるはずだ)


 別にタツシは彼女の思考誘導などは一切していない。しかしそれでも彼女の肉体は彼を選んでしまったようだ。クレナは頭の中でその理由を後付けしているに過ぎない。

 そうとも気づかないクレナはスライム・リフレへと向かって行った。




 予約していなかったせいでタツシは担当してくれなかった。仕方なく次の休日に予約を取ってクレナは帰っていった。

 その夜から彼女の体の疼きは一層強くなり、オナニーの回数も徐々に増えてきた。

 寝ている間もタツシのアレの形をしたスライムが彼女の膣内を突きまくっている。

 彼女が知らない間にもなんども絶頂に達しているのだ。だがスライムは毎朝しっかり弱めの回復魔法をかけ、疲労感が残らないように調整しているため日常生活にほとんど支障はでない。

 出ているとすれば休憩時間中によからぬことを思い出し膣が濡れてくることくらいだ。



 ――そして、彼女は再びスライム・リフレへ訪れた。

「いらっしゃいませ、クレナさん。先日は私が担当できなくて申し訳ありませんでした。」
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