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後編 青年と大精霊

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「あのさ、ライア? マジでこの森歩きにくいんだけど?」

「えへへー。そうでしょ~?」

「いや、あの、褒めているんじゃなくて、ちょっとさ、真面目にもう少し木減らした方がいいなじゃないか?」

「嫌よ。これからもまだまだ増やすわ。」

「いや、昔言ったけど、背の高い木を増やしてさ……」

「あ、そうね、そういってたわね」


 あの事件から一年が経った。

 もちろん彼らは今でも仲睦まじく毎日を暮らしている。

 ライアの圧倒的な努力と完璧に調整された気候のおかげで瞬く間に森はかつての繁栄を取り戻した。


 二人の共同作業で再興に取り組んでいたおかげでライアは楽しくこの作業を続けられた。

「アーロルー、今日も……あの……」

「ん? なに?」

「いつもの……」

「はっきり言ってくれないとワカラナイな~」

「毎日やってるでしょ!」

「え??」

「いやあもう…… あの……私にギュッってして!」

「はーい」

 ライアが魔法を使って森の木々に生命力を分け与える作業。

 かなりの集中力を必要とし、一番精霊にとっても辛い作業だが――


 アーロルはライアの細い腰に手を添え、優しく抱きしめた。

 そしてライアは魔法の詠唱を始める。

 不思議なことに、アーロルの腕の中にいると不安がなく、落ち着いた状態で魔法が使えるのだ。

 ちなみにさっきのやり取りはほぼ毎日行われている。

 毎日やってもお願いするのに慣れないライアと毎日やってもはっきり言わせたいアーロルなのであった。
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