中の島

第2巻

#05 証拠

物的証拠を探し求める奥田と、二階堂と話す俺。
「二階堂、有難うな」
「だから、褒めても何も出ないって」
彼女はよそ見して、「情報。Power社の薬の材料に、大麻系の奴が入ってたって」
「ホントか？」
「うん」
何故か信じてしまう。その時、スマホが鳴った。俺はポケットからスマホを取り出し、電話に出た。
「奥田か？」
「あぁ。証拠ゲットだよ」
「マジか」
「新宿駅の14番線の防犯カメラに、磯田荘次郎があの日、写ってた。オマケに能力を発動させた瞬間を撮ってる」
「よし、それ写真を印刷してくれ」
俺は電話を切り、スマホをポケットに入れた。
「奥田が証拠を見つけたって」
「そう、」
彼女は興味無さげに言った。その時風が吹き、彼女の髪が風であおられた。
「やっぱり、わかんない」
「何が？」
「アンタの性別。女？男？」
「分かんねー。思い出したいが、生憎記憶が飛んでてな」
「子供の時の記憶がないの？」
俺は頷いた。すると風が止み、「林は、男だよ」
彼女はそう言って、階段を上がって行った。俺は不思議に思って、「女だろ」
と言った。

Power社

Power社では、超能力者の暴走対策薬を販売している。Power社の創立者は磯田荘次郎。磯田荘次郎は色々な事に挑戦し、数々の成功を収めている。今回のこの事件も、何かの実験の1つなのか？

俺は事務所を後にし、Power社の本社がある、高輪ゲートウェイに向かった。