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第一部 魔力解放 牽牛編
#02 無慈悲な子
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♦︎
突然雨が降り出した。私達はバス停の屋根の下に入り、空を見上げて雨宿りをした。
狗飼美咲はアイスを頬張り、「あたし達って、いつまでこれをやり続けるんだろうね」と一言。
「えっ?」
私は狗飼美咲を見た。狗飼美咲は心無しか、泣いている様に見えた。
「あたし達、もう、ダメかもしれない」
「……何言ってるのよ」
私は鞘から刀を取り出し前に構えて、「ダメじゃない…まだ、まだ!出来る!」
私は空高く飛び、刀をどんよりとした雲に向かって振った。
♦︎
狗飼美咲って……誰?
私はベッドから這い出て、床に落ちた。
「うぅ、痛い…」
ゆっくり立ち上がり、一階のリビングまで階段を使って降りた。リビングのソファには父親と弟が座ってテレビを見て居た。キッチンには母親が私達の弁当を作っていた。
「おはよ、凛花」
「お母さん、おはよう」
私は返事をして、テーブルの椅子に座る。テーブルには既に朝食が四人分並べられていた。
──三十分程した後、私は制服に着替え、部活動の為学校へ向かった。
国道の交差点をさっさと歩いて渡り、大きな橋を数分掛けて渡り、ようやく学校に着いた。
吹奏楽部の部室から曲が聞こえてくる。ショパンの練習曲10-4だ。
──私の所属している部活は美術部で、部室は四階。最上階だ。廊下を進むと、前から、学校ではかなり有名な生徒、狗飼美咲が歩いて来た。
彼女にはちょっとした変な名前が付いている。
『無慈悲な魔女』
誰がこの名前付けたんだし、と心の中で思った。
──「……何見てんの?」
「あ、ごめん」
ボーッとしていた。狗飼美咲は私に近付いて、
「何?」と。
「な、なんでもないよ」
「へぇー、そう」
狗飼美咲は何かを見透かしたかの様な顔をして、立ち去った。
──部活終わりの帰宅途中、橋を渡る。橋は長い。
狗飼美咲、不思議な子だ。彼女は、一体何者なのか?
「……ん?」
気が付くとそこは、知らない不思議な場所だった。不思議な場所は円形のドームの様な形をしていて、何かを閉じ込める為の空間に思えた。
空間の真ん中にポツンと何かが座っている。白い肌をした、人?が体育座りをして固まっていた。するとその白い何かが動き出し、こちらを指差した。白い何かは叫び声を発し、私に向かって歩いて来た。
「何よ……?」
白い何かは口を開き、何かを呟いた。聞き取れない。
「なんなの!もう」
白い何かは走り出した。
「うわっ!」
私は一心不乱に白い何かから逃げた。
その時、グチャッという痛々しい音が聞こえた。振り返ると、白い何かに銃を突き付けている、私と同じくらいの身長をした女性が立っていた。
「え?それ人…」
「こんな奴に慈悲なんかない」
何処かで聞いた事ある声だった。女性は引き金を引いて、白い何かを殺した。
「なんであなたが此処に居るの?」
「い…狗飼美咲?」
服装が変わり過ぎていて気付かなかった。狗飼美咲だ。
「何?その服装」
「………」
狗飼美咲は黙る。その時、円形のドームの外から何者かが入って来た。私より背は高い。
「あら?もうアレを倒したのかしら?」
「チッ…遅いよ『無名の魔女』さん」
意味のわからない会話だ。
「…人間が居るね。生き残ってたの?」
「えぇ、幸いにも」
背の高い女性が近付いて来た。近付くなり私の右手を両手で握って、「今すぐアレにするから…」と言った。
「え?何?ちょ、」
──ポンッと言う音と共に、目が覚めた。右手の薬指に何か嵌められてる?右手を見ると、薬指に紫色の指輪が嵌っていた。
突然雨が降り出した。私達はバス停の屋根の下に入り、空を見上げて雨宿りをした。
狗飼美咲はアイスを頬張り、「あたし達って、いつまでこれをやり続けるんだろうね」と一言。
「えっ?」
私は狗飼美咲を見た。狗飼美咲は心無しか、泣いている様に見えた。
「あたし達、もう、ダメかもしれない」
「……何言ってるのよ」
私は鞘から刀を取り出し前に構えて、「ダメじゃない…まだ、まだ!出来る!」
私は空高く飛び、刀をどんよりとした雲に向かって振った。
♦︎
狗飼美咲って……誰?
私はベッドから這い出て、床に落ちた。
「うぅ、痛い…」
ゆっくり立ち上がり、一階のリビングまで階段を使って降りた。リビングのソファには父親と弟が座ってテレビを見て居た。キッチンには母親が私達の弁当を作っていた。
「おはよ、凛花」
「お母さん、おはよう」
私は返事をして、テーブルの椅子に座る。テーブルには既に朝食が四人分並べられていた。
──三十分程した後、私は制服に着替え、部活動の為学校へ向かった。
国道の交差点をさっさと歩いて渡り、大きな橋を数分掛けて渡り、ようやく学校に着いた。
吹奏楽部の部室から曲が聞こえてくる。ショパンの練習曲10-4だ。
──私の所属している部活は美術部で、部室は四階。最上階だ。廊下を進むと、前から、学校ではかなり有名な生徒、狗飼美咲が歩いて来た。
彼女にはちょっとした変な名前が付いている。
『無慈悲な魔女』
誰がこの名前付けたんだし、と心の中で思った。
──「……何見てんの?」
「あ、ごめん」
ボーッとしていた。狗飼美咲は私に近付いて、
「何?」と。
「な、なんでもないよ」
「へぇー、そう」
狗飼美咲は何かを見透かしたかの様な顔をして、立ち去った。
──部活終わりの帰宅途中、橋を渡る。橋は長い。
狗飼美咲、不思議な子だ。彼女は、一体何者なのか?
「……ん?」
気が付くとそこは、知らない不思議な場所だった。不思議な場所は円形のドームの様な形をしていて、何かを閉じ込める為の空間に思えた。
空間の真ん中にポツンと何かが座っている。白い肌をした、人?が体育座りをして固まっていた。するとその白い何かが動き出し、こちらを指差した。白い何かは叫び声を発し、私に向かって歩いて来た。
「何よ……?」
白い何かは口を開き、何かを呟いた。聞き取れない。
「なんなの!もう」
白い何かは走り出した。
「うわっ!」
私は一心不乱に白い何かから逃げた。
その時、グチャッという痛々しい音が聞こえた。振り返ると、白い何かに銃を突き付けている、私と同じくらいの身長をした女性が立っていた。
「え?それ人…」
「こんな奴に慈悲なんかない」
何処かで聞いた事ある声だった。女性は引き金を引いて、白い何かを殺した。
「なんであなたが此処に居るの?」
「い…狗飼美咲?」
服装が変わり過ぎていて気付かなかった。狗飼美咲だ。
「何?その服装」
「………」
狗飼美咲は黙る。その時、円形のドームの外から何者かが入って来た。私より背は高い。
「あら?もうアレを倒したのかしら?」
「チッ…遅いよ『無名の魔女』さん」
意味のわからない会話だ。
「…人間が居るね。生き残ってたの?」
「えぇ、幸いにも」
背の高い女性が近付いて来た。近付くなり私の右手を両手で握って、「今すぐアレにするから…」と言った。
「え?何?ちょ、」
──ポンッと言う音と共に、目が覚めた。右手の薬指に何か嵌められてる?右手を見ると、薬指に紫色の指輪が嵌っていた。
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