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★22-10 俺も…ほしい【注:本命以外と】

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 反射的に、ドアのほうを見た。

 ドアが開く音したし、声はそっちから聞こえたから……当然だよな?

 声の主を。
 乱暴気味にガチャッってドアを開ける理由を。
 声音が不安と緊張感を帯びてるそのワケを。

 確かめたくなるんだろう……無意識に。

 で、その結果。

 開かれた扉から部屋に踏み込んだ女性と、目が合った。



 裸で。
 かいに突っ込んだ状態で。



 え? 何? 誰? 何? 俺、今こんな……見られた!?
 どうしよう……!?
 どうにかごまかせ……るわけないじゃん!!!



 脳内パニック気味の俺にとっては、短い数秒。
 俺と凱のあられもない姿を目撃したその女性にとっては、事態を把握するのに十分な数秒の沈黙を経て。



「えーと……大丈夫のようね。凱?」

 女性が凱に尋ねる口調はごく自然。



 何故自然!?

 焦ろうよ!
 男同士のアナルセックスの現場よ? 生でこの距離で見ちゃってるのよ?
 キャっとか言って出てくもんじゃないの……!?



「あ……れ? あやさん……何か用?」



 凱も普通だし! 息上がってるけど!

 焦りとか、恥ずかしいとか、気マズいとか! ないの?
 男とセックスしてるとこ見られたんだよ?



 つーか! 今も見られてる!



 俺、抜いたほうがいいのか……?
 いや!
 さらに気マズい気がする……心細いから、中にいさせてもらおう。
 このまま……この人が去るのを待つ……しかないよね?
 情けないけど。

 ほかにどうしようもなくない……!?



「上に来たら、あなたの叫び声がしたから。何かあったのかと思ったのよ。好印象でマジメそうな友達とパソコンするらしいって、修哉から聞いてたし」

「あーそんな暇……ねぇな」

「そうみたいね」

「じゃあ、出てって……今いいとこ」

 綾さんと呼ばれた女性が、視線を俺に移した。

「ごめんなさい。いきなり入って来ちゃって」

 これ……今また目が合ってるんだから、俺に言ってるんだよな?

「いえ……その……こちらこそ……」

 何だその受け答え。マヌケだ。
 うー早く終わってくれこの時間……!

「凱。続けるなら声抑えて。烈が帰ってきて部屋にいるから」

「りょー、かい」

 綾さんが部屋を出ていった。



 ドアが閉まってから少し置いて。

「綾さんて誰!? 見られたよ! 俺とやってるの! いいのか?」

 まくし立てる俺に、やわらかい笑みを浮かべる凱。

「カウンセラーの、おばさん。俺が男とやってんの見たくらい何ともねぇよ。動じてなかっただろ……問題なし」

「おばさん? まだ若いじゃん!」

 整った賢そうな顔は、まだ20代に見えた気が……。

「見た目はねー。確か……35か6。いーから続き。お前のちんこ……まだ元気」

 1ミリも動揺してない凱の瞳にある欲望が、初対面の女性にセックスしてるところを見られた事実を過去に流す。
 それに……。



 そう。
 パニクっても、ペニスは萎えてない。不思議なことに。
 むしろ、見られて焦って軽く興奮……はしてない!
 俺にそういう性癖はない。ない……はず。
 きっと、いいところで寸止めされたせい。
 集まった快感が渋滞してるみたいな?

 何だとしても。
 身体は続きを欲してる。

 心は……。



「やろーぜ。俺とセックスすんの、この先ねぇだろ?」

 そうだ。
 この『お試し』は、今回だけのもの。

「今。お前がほしいの。ちょーだいもっと」

「俺も……ほしい」

 確認し合うと、頭も心も身体も……そこにフォーカスされるよね。
 綾さんに見られたことは、今は忘れよう。

 凱が下から腰を浮かせるように動かした。

「んっ……あーローション足さねぇとな。あとタオル取って、そこの」

「うん」

 手の届く位置に両方あったけど。
 ローションをつけるのに、ペニスを引き抜いた。

「っあッ……んっはぁ……あー喪失感……」

 その言葉に笑った。

「すぐ挿れるから」

 ローションでペニスを覆い、垂れ落ちないうちに凱のアナルにあてがう。

「あ、タオルは? 腰の下にでも敷くのか?」

「ううん。くわえんの。気をつけるけどさー途中でわかんなくなるかもしんねぇから」

 凱が手渡したタオルを頭の脇に置いた。

「俺の声デカくなったら、口に突っ込んで」



 え……そんなの嫌だ。
 レイプしてるみたいな気分になりそうじゃん?



「その時は俺が塞ぐ」

 アナルにあてたペニスを押し入れると、抜いて間もないおかげでズルリと中へ。

「んッ! っあッ……うん、たのむ……ねっん、ああッ……!」

「全部挿れるよ。苦しそうだったらやめるからな」

 さっきの続きとはいえ、最初はもう一度ゆっくりと。
 抜く時にカリのとこがちょっと引っかかる感じの場所を過ぎて、奥の狭くなったとこまで。

「っあッん……はっあっんッ……ああッもっ……とはや、く……つい、て……」

 う……自分が好意持ってる人間からの要望って、応えちゃうよな?
 加えて、自分も望むものだったらなおさら。

 丁寧に進めようとしてたのをすっ飛ばして。
 アナルの口まで抜いたペニスを、一気に突き入れた。

「っああッ! んっ、くッあッひああッッ……!」

 凱の爪が腕に食い込む。そのちっちゃな痛みより何十倍もの快感が腰回りにジンジンと広がる。

 俺を見る凱の瞳。
 アナルと擦れるペニス。
 前立腺のしこりに引っかかれて、奥の肉に埋まる圧迫感。



 もう、快感を追うしかない……!



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